ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

「八丁みそで頭よくなる」 マウスで実験=名古屋市立大学

2007年12月30日 | 食品・栄養
 愛知県岡崎市に伝わり、独自の製法で知られる八丁みそに、脳の学習能力を向上させる効果があることを、名古屋市立大大学院の岡嶋研二教授、原田直明准教授らのグループが、マウスの実験で突き止めた。岡嶋教授は「この地方が戦国時代に三英傑を生み、岡崎出身の徳川家康は天下を治めたのも、八丁みそと関係があるのかもしれない。ぼけ防止の効果も期待できる」と話している。

 岡嶋教授らは、5匹ずつのマウスに八丁みそと普通の豆みそ、みそ以外のえさを4週間食べさせた。その後、それぞれのマウスを直径120センチの円形プールの中で泳がせ、直径10センチの丸い台を探して到達するまでの時間を計測。その結果、豆みそと普通のえさを食べたマウスに比べ、八丁みそを食べたマウスの到達スピードは3日目以降急激にアップし続け、目的の台を探し出す学習能力が向上していることが分かった。

 脳の学習能力をつかさどる海馬の神経細胞を活性化させるタンパク質「インスリン様成長因子-1」(IGF-1)の濃度をはかると、八丁みそを食べたマウスの方が、豆みそや普通のえさを食べたマウスに比べて1・8倍に増加していることが分かった。

 知覚神経が刺激を受けると、神経末端からアミノ酸の複合体「CGRP」が放出され、CGRPが若い細胞に働きかけIGF-1の生成を促進するというメカニズムが分かっている。

 豆みそと八丁みその製法は発酵まで同じだが、八丁みそはその後、約2年半、石積みしたたるの中で熟成させる。岡嶋教授は「熟成期間にIGF-1生成を促進させる何らかの成分ができているはずだ」とみて、成分の特定を急いでいる。

[中日新聞 / 2007年12月30日]
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2007123002076086.html

麦芽乳酸菌でアレルギー軽減=サッポロビール、信州大学

2007年12月30日 | 食品・栄養
 麦芽乳酸菌がマウスを使った実験でアレルギー体質を改善する働きがあることがサッポロビールと保井久子・信州大学大学院教授の共同研究で分かった。今年、国際粘膜免疫学会で発表された。

 アレルギー症状をもつマウス20匹を、麦芽乳酸菌を与える群と与えない群の2群に分け、3カ月間飼育して観察した。

 麦芽乳酸菌を与えた群では約20日後から皮膚の乾燥、出血、浮腫、脱毛、発疹(ほっしん)などのアレルギー症状が軽減されることが観察された。

 ビールの乳酸菌といえば、ビールを白濁させるベルギーのホワイトビールが知られる。これまで多くのビールメーカーはビールを白濁させる乳酸菌を醸造工程で取り除く対象として研究してきたが、今度の発見はこれまで不要とされた乳酸菌に着目したことで生まれた。

 同社はホップ水抽出物(ホップフラボノール)が花粉症の症状を軽減させることもヒトの試験で実証している。今後、ホップフラボノールと麦芽乳酸菌の併用効果の研究が期待される。

[毎日新聞 / 2007年12月30日]
http://mainichi.jp/life/health/news/20071230ddm010100130000c.html

本当?就寝前のメールチェックは不眠のもと=エディンバラ睡眠センター

2007年12月29日 | 心のしくみ
 【ロンドン=森千春】「就寝前に電子メールを読むと、不眠の原因になる」――。28日付の英紙デイリー・テレグラフは、エディンバラ睡眠センターのクリス・イジコフスキ博士によるこんな研究結果を報じた。

 コンピューターなど電子機器からの光が、睡眠を誘うホルモン「メラトニン」の分泌を妨げ、脳が眠りに向かうための準備が止まってしまうためだという。

 同紙によると、ベッドに入る1時間前に仕事の電子メールをチェックすると、エスプレッソ2杯分と同じくらいの不眠効果がある。

 研究はホテル・チェーンの委託で行われた。

[読売新聞 / 2007年12月29日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071229i211.htm

・・・うーん、光、なのかなあ?
それよりもたくさんの神経活動を要求する文字情報、言葉の意味が惹起する情動、指の動きなどが脳全体を刺激するような気がするのですが‥。明るく光るものだけを見せる、という比較実験がされていたら、知りたいですね。
それにしても「不眠効果」って‥あんまり役に立たないんじゃないかな(わたしには笑えない(苦笑))。

クローンマウスの作成に成功、世界で最年少かも=近畿大学

2007年12月26日 | 遺伝子組替マウス
 近畿大生物理工学部4年の森田真裕(まさひろ)さん(22)が、体細胞クローンマウスを作成することに成功した。国内最年少での成功とみられる。熟練した専門家でも、クローン胚(はい)の段階から作成に成功する率は2%以下にとどまるといい、専門家からも称賛の声が上がっている。

 体細胞クローンマウスは、卵子の核を取り除き、別のマウスの体細胞の核を移植して作ったクローン胚を、メスの子宮内に着床させて作る。核は直径80マイクロメートル(マイクロは100万分の1)、胚を注入する卵管は直径150~200マイクロメートルと微小で、基礎技術の習得だけで1年近くかかるといわれている。

 森田さんは、昨年9月に同学部の三谷匡(たすく)准教授の研究室に入り、発生工学の技術を一から学んだ。夜中に排卵される卵子を新鮮なうちに採取するため、朝7時には実験を始め、休日も没頭した。今年6月にメスのクローンマウスを誕生させ、「風鈴(すず)」と命名。風鈴は9月、自然交配で10匹の子どもを出産し、正常な生殖能力を持つことも示した。

 森田さんは「卒業までに成功すれば幸運と思っていたので、自分でも驚いた。教わった技術を一つ一つ丁寧に覚えていったことが良かったのかも。先生や先輩、友達にも助けてもらった」と話す。

 97年に世界初の体細胞クローンマウスを誕生させた理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの若山照彦チームリーダーは「練習時間の短さは異例で、本当にすごい。世界でも最年少ではないか」と話している。【須田桃子】

[毎日新聞 / 2007年12月26日]
http://mainichi.jp/select/today/news/20071227k0000m040081000c.html

抗うつ薬:自殺リスクについて注意改訂を指示=厚労省

2007年12月26日 | 心のしくみ
 厚生労働省は、国内で承認されている全種類の抗うつ薬について使用上の注意を改訂し、24歳以下の患者が服用すると自殺を図るリスクが高まることを記載するよう、製薬会社に指示した。

 抗うつ薬により、うつ病患者が自殺を考えやすくなる場合があることは以前から知られており、一部の薬はこれまでも18歳未満への投与に対する危険性を指摘されていた。しかし海外の複数の臨床試験で、24歳以下の患者は抗うつ薬を服用しない場合よりリスクが高まるとの結果が出たことから、米国の食品医薬品局(FDA)が4~5月に使用上の注意改訂を指示。厚労省もこれを受け、注意喚起のために同様の措置を取ることにした。

 厚労省安全対策課は「効能を否定してはいないので、服用をただちにやめるのではなく、医師に相談しながら使ってほしい」と呼び掛けている。【清水健二】

[毎日新聞 / 2007年12月26日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20071227k0000m040042000c.html

iPS細胞で脊髄損傷のマウスの症状が改善=慶應義塾大学

2007年12月25日 | 再生医療
 慶応大学の岡野栄之教授(生理学)は25日、京都市で開かれたシンポジウム「多能性幹細胞研究のインパクト」で講演し、京都大との共同研究で、脊髄(せきずい)を損傷したマウスに、iPS細胞から分化させた神経前駆細胞を移植し、症状を改善できたことを明らかにした。

 岡野教授らのチームは、胸髄損傷により後ろ脚がまひしたマウスに対し、マウスの体細胞を使ってつくったiPS細胞から分化誘導した神経前駆細胞を損傷後9日目に移植した。その結果、症状は、後ろ脚に体重をかけられるまでに回復したという。腫瘍(しゅよう)はできなかった。また、神経前駆細胞が神経細胞に分化するだけでなく、移植を受ける側の神経の再生も促していることも分かった。

 iPS細胞が実際に治療に使えるかどうかについては、マサチューセッツ工科大のチームが重症の貧血のモデルマウスを使って症状改善に成功している。脊髄損傷の再生医療をめぐっては、米国では来年にもES細胞を使った臨床試験が始まる見通しだ。

[朝日新聞 / 2007年12月25日]
http://www.asahi.com/science/update/1225/OSK200712250065.html

ホタルの発光効率は定説の半分=東京大学

2007年12月24日 | 生きもの色々
 ホタルの発光効率が定説の半分しかないことを、秋山英文・東京大物性研究所准教授(物理学)らが突き止めた。ホタルの発光効率は現在、知られている生物の中で最も高く、この発見でも地位は揺るがない。しかし、エネルギーを予想以上に浪費していることに、専門家は新たな謎が見つかったと驚いている。科学誌ネイチャー・フォトニクス1月号に掲載される。

 研究チームは、全発光量を測定できる装置を開発、ホタルの中で最も明るい光を出す北米産ホタルを調べた。その結果、発光量は最大でも、ホタルの発光物質「ルシフェリン」から理想的な条件下で出ると考えられる光の強度の41%にとどまった。定説では発光効率は、半世紀前の一部の光の測定結果から88%と推定されていた。

 また、ホタルが出す光の成分を調べると、赤色の光量を変えないまま、緑色の光だけを増減させて色を変化させていることも判明した。従来は赤色と緑色の間で発光量を変えると考えられていた。光の三原色の残りの青色は出していない。

 秋山准教授は「光にならなかったエネルギーは熱に変化したと考えられる。今後、日本のゲンジボタルなどで測り、発光の仕組みに迫りたい」と話している。【河内敏康】

[毎日新聞 / 2007年12月24日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20071225k0000m040073000c.html

緑茶が進行性前立腺がん抑制、1日5杯以上で危険性半減=国立がんセンター

2007年12月20日 | 食品・栄養
 緑茶をよく飲む男性ほど、進行性の前立腺がんになる危険性が下がることが19日、厚生労働省の研究班(班長=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の大規模調査でわかった。

 1日5杯以上飲む人は、ほとんど飲まない人に比べ、危険性は約半分だった。

 研究班は、40~69歳の男性約5万人を対象に、1990年代初めから10年以上にわたって追跡調査。404人が前立腺がんを発症した。うち114人は、前立腺以外にもがんが広がっている進行性がん、271人が前立腺にがんがとどまっているタイプと診断され、19人は不明だった。こうした患者の食生活を調べたところ、緑茶1日5杯以上飲む習慣がある人は、1日1杯未満の人に比べて、前立腺がんになる確率自体は変わらなかったものの、進行性のがんに発展する危険性は52%に減った。

 動物実験などで、緑茶の成分のカテキンは、がん細胞の増殖や、前立腺がんの危険性を高める男性ホルモンのレベルを抑えることが分かっている。

[読売新聞 / 2007年12月19日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071219i204.htm

多動性障害の治療薬を発売=ヤンセンファーマ

2007年12月19日 | 創薬
 ヤンセンファーマ(東京都千代田区)は19日、児童が授業中に動き回ったり、忘れものが多いなどの「注意欠陥多動性障害(ADHD)」の日本初の治療薬「コンサータ錠」を発売した。脳内の神経伝達物質の働きを活性化し、ADHDの症状を緩和する。世界70カ国で使われており、厚生労働省が18歳未満の適用を今年承認した。朝1回服用で12時間効果が持続する。医師の処方が必要。同社は米ジョンソン・エンド・ジョンソンの医療用医薬品の日本法人。

[毎日新聞 / 2007年12月19日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20071220k0000m020080000c.html

メスの閉経期、チンパンジーになかった=ハーバード大学、京都大学霊長類研究所

2007年12月18日 | 生きもの色々
 ヒトの女性にある閉経期が、ヒトに最も近い類人猿である野生のチンパンジーにはないことを、米ハーバード大のリチャード・ランガム教授や京都大霊長類研究所の松沢哲郎所長らの国際共同研究チームが確認した。閉経後のヒトの女性は、子育ての知恵や経験を生かして種の繁栄に貢献するように進化し、動物の中では特異な存在だという。この「おばあさん仮説」を類人猿の調査から初めて裏付けたことになる。18日発行の米科学誌カレント・バイオロジーに発表した。

 閉経後も長く活動するメスの存在は霊長類ではヒトにしかないと考えられてきたが、ヒトに最も近いチンパンジーのメスに閉経期がみられないことで、その可能性がさらに高まった。

 国際チームは、タンザニア、ウガンダ、ギニア、ガンビアのアフリカ4カ国のチンパンジー6集団を長年にわたり観察している。今回はメスのチンパンジー延べ534頭分の出産データを調べた。

 その結果、メスは、10代前半で子どもを初出産し、その後も6~8年間隔で産み続けた。50年以上生き続けることはまれだが、その直前まで子どもを産んでおり、子どもを産む能力をなくすのと寿命が終わるのがほぼ同じだった。

 比較のため、似た環境で狩猟採集生活をしているアフリカや南米の女性を調べたところ、子どもを産み始めるのはチンパンジーより少し遅く、ピークは30代前後。70代過ぎまで生きるが、50代で閉経を迎え、出産はしなくなった。

 ヒトの「おばあさん仮説」は、98年に米ユタ大学の人類学者クリスティン・ホークス教授らが提唱した。閉経後の女性は人類独自に進化した存在で、孫の世話をしてくれる女性がいると、子孫の存続に有利だったとされる。

 京大霊長研の松沢所長は「チンパンジーの子育ては基本的に母親だけでする。これに対してヒトは閉経後の女性の知恵と力を生かすように進化してきた」と話している。

[朝日新聞 / 2007年12月18日]
http://www.asahi.com/science/update/1218/OSK200712180009.html

暗算、サルにもできる 正答率8割=デューク大学

2007年12月18日 | 心のしくみ
 サルにも足し算の暗算をこなす能力があり、正答率は8割近くに達したとする実験報告を米デューク大学(ノースカロライナ州)のエリザベス・ブラノン准教授(認識神経学)らの研究チームがまとめ、科学誌プロス・バイオロジー12月号で発表した。

 動物には数量を認識する能力が備わっていることは分かっているが、足し算などの算数ができるかどうかははっきりしていなかった。(時事)

[朝日新聞 / 2007年12月18日]
http://www.asahi.com/science/update/1218/JJT200712180006.html

川崎病に関連遺伝子 発症しやすい配列解明=理化学研究所

2007年12月17日 | 遺伝子
 子どもに発熱や発疹などの症状が出る川崎病にかかわる遺伝子を、理化学研究所などのチームが突き止めた。遺伝子のタイプによっては2倍近く発症しやすく、心臓の冠動脈に瘤(こぶ)ができる合併症や治療効果とも関係するという。川崎病が報告されてから40年たつが原因はわかっておらず、原因解明や治療法の選択に役立つと期待されている。

 理研遺伝子多型センターの尾内善広・上級研究員らが米カリフォルニア大サンディエゴ校と共同で研究。論文は17日(日本時間)付米科学誌ネイチャージェネティクス電子版で発表された。

 川崎病との関連がわかったのは「ITPKC」という遺伝子だ。尾内さんらは、兄弟姉妹で発症した患者78組の協力で、関連遺伝子がありそうな場所を10カ所見つけた。さらに患者と患者以外の人を比較し、米国人患者のデータも解析した。

 この遺伝子には、遺伝暗号を記す塩基の並び方が1カ所変わったタイプがある。このタイプの人は川崎病を1.89倍発症しやすく、合併症も2.05倍起きやすかった。合併症を防ぐために投与する薬、ガンマグロブリンの効果が不十分な人にも多かった。

 この遺伝子は、免疫を担うT細胞を活性化する物質インターロイキン2の増加を抑制し、過剰な免疫反応を抑えることもわかった。川崎病の発症直後はインターロイキン2の濃度が高く、合併症の患者はさらに高いという報告もある。遺伝子の塩基配列の違いが関係しているとみられる。

[朝日新聞 / 2007年12月17日]
http://www.asahi.com/health/news/TKY200712160153.html

乳がん転移促すたんぱく質特定=大阪バイオサイエンス研究所

2007年12月17日 | 創薬
 乳がんの転移を促すたんぱく質を、大阪バイオサイエンス研究所の佐邊寿孝(さべ・ひさたか)研究部長らのグループが新たに特定した。佐邊さんらは06年にも、乳がんの転移を促す別のたんぱく質を特定し、発表している。いずれも副作用がより少ない治療薬の開発につながるという。16日付の英科学誌ネイチャー・セル・バイオロジー(電子版)に掲載される。

 乳腺で増殖した乳がん細胞は、悪性化すると乳腺の壁を壊して浸潤し、血管やリンパ管を通って肺など全身に転移するとされる。

 佐邊さんらが悪性の乳がん細胞を調べたところ、正常な細胞ではほとんどないGEP100というたんぱく質が増えていることが分かった。

 シャーレで培養した悪性の乳がん細胞で、GEP100の生成を抑制し、顕微鏡で観察したところ、通常に比べて浸潤能力が低下した。また、GEP100ができないようにした悪性乳がん細胞とGEP100をもつがん細胞を別々のマウスに注入したところ、どちらも増殖したが、生成を抑えた細胞は肺への転移があまりみられなかった。

 佐邊さんは「これらのたんぱく質は、大人ではがん細胞の浸潤や転移のみにかかわっているとみられる。そのため、このたんぱく質の働きを抑える薬は、体内の他の働きを阻害することがなく、副作用が出にくいと考えられる」と話している。

[朝日新聞 / 2007年12月17日]
http://www.asahi.com/science/update/1216/OSK200712160039.html

アスパラガス酵素が2タイプの抗菌成分合成を発見=京都大学

2007年12月17日 | 生きもの色々
 京都大学生存圏研究所などの研究グループは、アスパラガスの酵素が1種類で2タイプの抗菌成分を合成できる能力を備えていることを突き止めた。一般的に生体内では異なるタイプの合成は別々の酵素が担う。1つで複数の成分を作り分ける仕組みが詳しく分かれば、より複雑で効き目の高い医薬品の開発などにつながりそうだ。
 この酵素はヒノキレジノールと呼ぶ抗菌成分をつくる。幹や茎が腐るのを防ぐのに役立てている。ヒノキレジノールには「コ」の字型と、「Z」字型の2種類がある。アスパラガスは「コ」しか作らないとされていたが、酵素を構成するたんぱく質分子の1つを取り除いたところ、「Z」を作れるようになった。

 酵素を形づくる「部品たんぱく質」を組み替えることで、酵素としての基本機能を保ちながらも別タイプの成分を合成できる可能性を示した。

[日経産業新聞(Nikkei NET) / 2007年12月17日]
http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2007121601338h1

足筋肉から培養の細胞シート、心臓に張り機能回復=大阪大学

2007年12月14日 | 医療技術
 重い心臓病で心臓移植を待っていた患者に、足の筋肉の細胞をもとにシートを作って心臓の周囲に張り付け、機能を回復させる治療に、大阪大病院(大阪府吹田市)などのチームが成功した。

 治療を受けた50歳代の男性は自力で歩けるようになり、20日に退院する予定。自分の細胞を利用した治療で移植待機患者が助かったのは世界で初めて。担当している同病院未来医療センター長の澤芳樹教授(心臓血管外科)は「心臓移植に代わる有力な選択肢になりうる」と話している。

 治療は、太ももの筋肉を10グラム程度を切り出し、筋肉の細胞のもとになる「筋芽細胞」を取り出す。これを直径4センチほどのシート状に培養したうえで、多数のシートを3層ほどに重ねて弱った心臓の表面に張り付ける。心臓が大きくなってポンプの力が弱る拡張型心筋症を対象にした臨床研究として昨年7月、院内の倫理審査機関で承認された。

 男性患者は2004年ごろ拡張型心筋症になり、06年1月に悪化して入院。同年2月に補助人工心臓を付けたが、症状が重く、同年8月に日本臓器移植ネットワークに登録し、心臓移植を待っていた。

 治療チームは、今年3月末に男性の筋芽細胞を採取し、2か月かけて25枚のシートを培養。5月末に全身の血液を送り出す左心室を中心に張り付けた。

 その後、心臓の収縮率や血液を送り出す量が急速に回復。98日後の9月5日、補助人工心臓を外せた。現在は、ほぼ正常な状態まで機能が回復し、日常生活にはほとんど支障がないという。退院後は服薬治療を続け、経過を見る予定。

 澤教授は「シートが心筋に変化したわけではないが、弱った心筋の動きを助ける物質がシートから出るようだ。他の心疾患や子どもにも使えるよう研究したい」と話している。

 同病院はさらに、拡張型心筋症の20歳代の男性を治療する準備を進めている。

[読売新聞 / 2007年12月14日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071214i114.htm