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マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

心臓の弁を体内で再生(イヌで成功)自己移植に道=国立循環器病センター、日本大学

2010年03月27日 | 再生医療
 自分の細胞だけからなる心臓の弁を体内で作り出させる方法を、国立循環器病センターと日本大のグループが開発した。体内で再生させた弁を自分に再移植すれば、拒絶反応が起きない。心臓の弁障害のある犬で臨床研究を重ね、人への応用を目指すという。

 グループは、心臓の弁をかたどった直径約2センチのシリコーン製の「鋳型」を犬の背中の皮下組織に埋め込んだ。二つの円柱を組み合わせた形をしており、接続部が弁の形になるように設計されている。

 埋めた鋳型の周囲を犬の皮下組織の細胞が覆うようになった1カ月後に摘出。シリコーンの円柱を抜くと、血管状の筒の中に弁の構造を持った組織ができていた。

弁を再生させた2頭の犬自らに移植して、正常に働くことも確認した。国立循環器病センターの中山泰秀研究機器開発試験室長は、「体が培養器になることにより、安全で確実に作ることができる」と話す。

 日本大学の上地正実教授(獣医循環器学)は、「肺動脈に異常がある犬で、臨床応用の長期成績を確かめてから、人への応用も考えたい」と話している。

[朝日新聞 2010年03月27日]
http://www.asahi.com/science/update/0327/TKY201003270205.html

人工弁の置換手術をすると、血栓溶解剤の服用を続けなければいけません。いったん出血したら一大事ですので、脳内出血などの危険と隣り合わせの生活になります。
自家組織なら安心ですね、でも、心臓の弁のような強靭なしなやかさを長期間保てるのでしょうか。
もし耐久性安全性の問題が解決したら画期的ですね。


脊髄損傷のマウスが歩く…幹細胞移植と抗てんかん薬の併用で=奈良先端大

2010年03月09日 | 再生医療
 脊髄(せきずい)損傷の症状を、神経幹細胞の移植と抗てんかん薬の併用によって大きく改善させることに、奈良先端科学技術大学院大の中島欽一教授、あべ松昌彦研究員らがマウスの実験で成功した。後ろ脚のマヒしたマウスの7割が歩けるようになった。18日に広島市で開かれる日本再生医療学会で発表する。

 神経幹細胞は、信号を伝えるニューロン(神経細胞)、そこに栄養を供給する細胞、神経を包むさやなどのもとになるが、脳や脊髄の損傷部では大半が栄養供給細胞になり、新たなニューロンはほとんど作られない。グループはこれまでに、抗てんかん薬として使われているバルプロ酸が、神経幹細胞のニューロンへの変化を促すことを発見した。

 今回、脊髄の傷ついたマウスの損傷部に、遺伝的に同系の胎児マウスから採った神経幹細胞を移植し、バルプロ酸を注射すると、6週間後には21匹中、15匹が後ろ脚を使って歩けるまで回復した。幹細胞の移植だけでは後ろ脚は少し動くものの体重を支えられず、バルプロ酸だけでは、ほとんど動かないままだった。

詳しく調べると、神経幹細胞を移植してニューロンに変化するのは1%以下だが、バルプロ酸を併用すると約20%まで向上。断裂した神経回路を、新たな複数のニューロンがリレーするように再建していた。

あべ松研究員は「拒絶反応のない自分のiPS細胞(新型万能細胞)から神経幹細胞を作れば、有望な治療法になりそうだ」と話す。

(あべ=「木」偏に「青」)

[読売新聞 2010年03月09日]
http://osaka.yomiuri.co.jp/science/news/20100309-OYO8T00213.htm

まだマウスレベルでの実験です。ですが、
将来、脊髄損傷で歩けなくなった患者さんが歩けるようになる。そういう治療法が確立するのならば、とても素晴らしいことですよね。その日が待ち遠しいです。