ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

タンパク質注射で脳梗塞治療 長崎大・植田教授ら発見 細胞壊死広がりを抑制=長崎大学

2007年06月29日 | 医療技術
 細胞中に存在するタンパク質の一種を静脈に注射することで脳梗塞(こうそく)による脳神経細胞の壊死(えし)の広がりを抑制できることを植田弘師・長崎大大学院医歯薬学総合研究科教授(分子薬理学)の研究グループがマウスを使った実験で突き止めた。英国の科学専門誌「セル・デス・アンド・ディファレンティエーション」の電子版で29日、発表する。

 研究グループは、脳神経細胞の壊死を防ぐ性質を持つタンパク質「プロサイモシンα」を発見。マウスの脳の血管をつまらせて人工的に脳梗塞の状態をつくり、1時間半後と4時間後の2回、プロサイモシンαを静脈注射で投与した。

 その結果、脳神経細胞の壊死の広がりが抑えられ、いずれも運動障害や学習障害をほぼ完全に防ぐことができたという。

 脳卒中による死因の多くを占める脳梗塞は、血管が詰まって脳神経細胞が次々に壊死していくため、救命できても失語症や手足のまひなどの後遺症を引き起こす。発症後3時間以内に血栓を溶かす薬剤の投与が効果的な治療法とされているが、脳出血を伴う危険性が指摘されていた。

 植田教授は「まだ動物実験段階だが、体内にあるタンパク質なので副作用は少ないとみられ、より安全な治療薬になるだろう」と話している。

[西日本新聞 / 2007年06月29日]
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/science/20070629/20070629_001.shtml

タンパク質注射で脳梗塞治療 長崎大・植田教授ら発見 細胞壊死広がりを抑制(西日本新聞) - goo ニュース

聴力回復実験に成功、メニエール病治療に道=厚生労働省研究班

2007年06月28日 | 再生医療
 様々な細胞に分化する幹細胞を難聴のラットの内耳に移植し、聴力を回復することに、厚生労働省研究班(主任研究者=松永達雄・国立病院機構東京医療センター室長)が成功した。

 難聴や激しいめまいがおこるメニエール病の治療法の開発に道を開くもので、米病理学誌最新号で報告した。

 音を脳神経に伝える内耳には、音を電気信号に変えるのに必要な細胞(線維細胞)と信号をセンサーのように感知する細胞(有毛細胞)がある。難聴は、こうした細胞が何らかの原因で死んでしまって起こる。しかし、センサー役の有毛細胞に幹細胞を移植しても、聴力は回復しなかった。松永室長らは、有毛細胞が生きていて、線維細胞だけが死んでいる難聴に着目。線維細胞を人工的に死滅させたラットの内耳に、骨髄から採取した幹細胞を移植し、聴力が回復するか試した。

 その結果、半数のラットで幹細胞が生着し、線維細胞と同じたんぱく質を作ることを確認。2週間後、聴力を比較したところ、何もしない7匹のラットの聴力の自然回復は平均37%だったのに対し、幹細胞が生着したラット6匹は平均60%まで向上した。線維細胞の障害や異常は、健康な人の聴力が突然落ちる「突発性難聴」や、メニエール病に関係していると指摘される。松永室長は「慢性化した難聴でも、音を感じる細胞や神経が生きていれば、幹細胞の移植で聴力が回復するかもしれない」と話している。

[読売新聞 / 2007年06月28日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070628i501.htm

聴力回復実験に成功、メニエール病治療に道…厚労省チーム(読売新聞) - goo ニュース

たんぱく質:栄養吸収の仕組み解明 肥満改善も=群馬大学

2007年06月28日 | 遺伝子組替マウス
 小腸から栄養素を細胞に送り込むトランスポーターなどの分布を決めているたんぱく質を、群馬大生体調節研究所などのグループが突き止めた。生後間もなく栄養が吸収できなくなる病気の治療への応用や、同たんぱく質の機能調整で栄養吸収を抑制し肥満改善に役立つ可能性があるという。研究成果は28日、英科学誌「ネイチャー」電子版に掲載される。

 小腸から栄養素を細胞に送り込むトランスポーター(たんぱく質)や酵素は小腸内壁に集中して分布している。一方、分布を決めている物質は特定されていなかった。

 同グループの実験では複数の候補物質のうち「ラブ8」というたんぱく質をなくしたマウスが栄養失調になり、生後3~4週間で死んだ。このことから「ラブ8」を失うと、小腸内壁に集中分布するトランスポーターや酵素が細胞内部にとどまったまま機能せず、糖分やアミノ酸をほとんど吸収しなくなった。

 これは、小腸内壁細胞の絨毛(じゅうもう)が萎縮(いしゅく)する先天性疾病「微絨毛萎縮症」とよく似た症状で、実際、同症患者の小腸細胞ではラブ8が大幅に減っていた。同グループは「さらに研究の余地がある」としながらも、ラブ8の機能を抑える薬品を開発できれば、肥満改善に役立つと期待している。【塩崎崇】

[毎日新聞 / 2007年06月28日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20070628k0000m040179000c.html

緑内障:世界初のモデル動物=東京医科歯科大学

2007年06月27日 | 遺伝子組替マウス
 眼球内の圧力が正常でも発症する「正常眼圧緑内障」と同じ視覚障害があるマウスを作ることに、東京医科歯科大の田中光一教授(神経科学)らが成功した。正常眼圧緑内障では世界初のモデル動物で、病気のメカニズム解明や新しい治療薬の開発に役立つという。

 緑内障は、視神経が死んで徐々に視野が欠けていく病気。国内では最多の失明原因で、40歳以上の約5%に発症し、患者数は約400万人と推定される。7割が正常眼圧緑内障で、眼球内の圧力が高くなる高眼圧緑内障に比べ治療法の開発が遅れている。

 田中教授と東京都神経科学総合研究所の原田高幸部門長(眼科学)らは、光の情報を脳に伝える「グルタミン酸」が細胞外で過剰に増えると、神経細胞を死なせる性質があることに着目。グルタミン酸を運んで細胞内に回収し、細胞外の濃度を制御するたんぱく質の機能異常が、緑内障に関係していると考えた。このたんぱく質を作る遺伝子を壊したマウスを調べると、加齢に伴って視覚機能が低下し視神経も萎縮(いしゅく)していたが、眼圧は正常だった。

 田中教授は「マウスは新薬の開発や評価にも有用だ」と話している。21日付の米医学誌で発表した。【須田桃子】

[毎日新聞 / 2007年06月27日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20070627ddm016040121000c.html

細胞内タンパク質、リズムで増殖=京都大学

2007年06月26日 | 生理学
 細胞内で、2時間周期で増減して生体活動のリズムを作っているタンパク質を、京都大ウイルス研究所の影山龍一郎教授(分子生物学)らのグループが見つけた。細胞の増殖や分化にかかわる情報伝達に関わっており「情報がリズミックに伝わることが、増殖の効率化や調節につながっているのではないか」(影山教授)という。米国科学アカデミー紀要電子版で26日、発表した。

 生物には24時間周期の「概日時計」のほか、より短いリズムを刻む分子の存在が知られている。影山教授らはこれまでに、遺伝子の働きを調節するタンパク質Hes1とHes7が2時間周期で増減しており、Hes7は卵からの発生段階に背骨や胸骨などの元になる体節を作ることを見つけている。

 今回、マウスの繊維芽細胞の活動から、発現量を増減する遺伝子を網羅的に探した。細胞の増殖や分化で働くSocs3とSmad6の2分子も、2時間周期で増減していることが新たに分かった。Socs3が働く情報伝達経路はHes1と相互依存しながらリズムを刻んでおり、Hes1がリズムを刻めないと、細胞増殖が半分以下になることが分かった。

 リズムがあることで、細胞増殖がうまく行われているらしく、再生医学で研究が進む幹細胞の増殖を効率よく進める手法につながる可能性もあるという。影山教授は「細胞の増殖だけでなく、さまざまな生体活動が短周期のリズムで働いているのではないか」と話している。

[京都新聞 / 2007年06月26日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007062600060&genre=G1&area=K10

タンパク質2時間周期で増減 細胞増殖に重要な役割か(共同通信) - goo ニュース

アルツハイマー病の治療薬、緑内障の進行抑制=東京医科歯科大学

2007年06月26日 | 薬理
 日本人の緑内障の7割を占める「正常眼圧緑内障」の進行を、アルツハイマー病の治療薬で抑えることに、東京医科歯科大の研究グループが、動物実験で成功した。

 緑内障による失明の予防などにつながる研究成果で、22日の米医学誌電子版に掲載される。

 緑内障は、視神経が損傷し、視野が次第に狭くなる病気。日本人の失明の原因のトップで、国内の患者数は約400万人。眼球の圧力(眼圧)が高くなると発症するタイプと、正常眼圧で起こるタイプがある。

 同大の田中光一教授(分子神経科学)らは、マウスの網膜に、視神経に光の情報を伝えるアミノ酸の一種、グルタミン酸が異常に蓄積すると、視神経が損傷することに着目。余分なグルタミン酸を排除する機能をなくすと、マウスは、人間と同じ正常眼圧の緑内障を起こすことがわかった。

 このモデルマウスに、欧米で認可されているアルツハイマー病治療薬(メマンチン)を1日1回、1週間注射すると、何もしないマウスは網膜の視神経の細胞が20%失われたのに対し、注射したマウスは3%の損傷に抑えられた。

[読売新聞 / 2007年06月22日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070622i402.htm

アルツハイマー病の治療薬、緑内障の進行抑制…東京医歯大(読売新聞) - goo ニュース

女王か働きバチかを決める酵素=実験で初解明=アリゾナ州立大学、パーデュー大学

2007年06月25日 | 生きもの色々
 ミツバチの雌の幼虫は、ロイヤルゼリーを与えられて育つと女王バチとなり、はちみつや花粉で育つと働きバチになるが、この違いをつかさどる酵素が初めて解明された。米国のアリゾナ州立大とパーデュー大の研究チームが25日までに、米科学誌プロス・ワンに発表した。
 この酵素は「TORキナーゼ」と呼ばれ、最初は人間の手術に使われる免疫抑制剤「ラパマイシン」が作用する酵素として発見された。その後、栄養状態に応じて細胞の増殖・成長を制御する機能が明らかになっていた。
 研究チームは、働きバチが分泌するロイヤルゼリーを与えられ、いずれ女王バチになるはずのセイヨウミツバチの幼虫にラパマイシンを投与し、TORキナーゼの働きを抑える実験を行った。
 その結果、この幼虫は通常の女王バチより成長が遅くなり、成虫になった際の体重も少なかった。また、働きバチに特徴的な、花粉を集めるための器官「花粉かご」が後ろ脚に形成された。
 さらに、「RNA干渉」と呼ばれる方法で、TORキナーゼを作る遺伝子の働きを抑える実験では、ロイヤルゼリーで女王バチになるはずの幼虫が、完全に働きバチに成長した。

[時事ドットコム / 2007年06月25日]
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007062500020

受動喫煙で認知症リスク増=30年以上で3割アップ、初調査=カリフォルニア大学バークレー校

2007年06月25日 | 脳、神経
 他人のたばこの煙に長年さらされると、認知症のリスクが高まることが、米カリフォルニア大バークレー校のタデウス・ヘイト氏らの調査研究で分かった。受動喫煙と認知症に関する調査は初めてとみられ、先月開かれた米国神経学会で発表された。
 この研究は、認知症でない65歳以上の男女約3600人を対象に、喫煙や心血管疾患の有無などを調査。心血管疾患のない非喫煙者985人(うち受動喫煙者495人)を6年間追跡し、認知症の発症率を調べた。
 この結果、30年以上受動喫煙しているグループは、受動喫煙していないグループと比べ、認知症発症のリスクが約3割高かった。
 脳に血液を供給する頚(けい)動脈に異常がある場合、この傾向がより顕著であることも分かった。30年以上受動喫煙していて頚動脈の異常がある人は、受動喫煙も異常もない人の2.4倍のリスクだった。

[時事ドットコム / 2007年06月25日]
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007062500019

神戸の山中に光るキノコ ホタルと同じ物質持ち発光

2007年06月24日 | 可視化技術
 神戸市北区の山中で、発光性のキノコ「シイノトモシビタケ」が、幻想的な姿を見せ始めた。

 同キノコは、落葉高木であるシマサルスベリの老木に生えている。根元付近や枝の朽ちたくぼみには現在、高さ2センチ程度のものが50本ほど見られる。昼間は薄茶色だが、辺りが闇に包まれると淡い緑色の光を放つ。珍しさから持ち帰る人もいるらしく、有志による見回りも行われている。

 兵庫県立人と自然の博物館などによると、このキノコは、ホタルと同じ「ルシフェリン」という物質を持ち、酵素反応によって光る。50年代に八丈島で発見後、しばらく島の固有種と考えられてきたが、95年ごろに和歌山で2例目が見つかって以降、三重や大分などの県でも確認されている。

 いずれも湿度の高い梅雨時に現れ始め、数日間のサイクルで枯れては生える。秋雨前線の影響で9月ごろ再び見られる年もあるという。

[朝日新聞 / 2007年06月24日]
http://www.asahi.com/science/update/0622/OSK200706220097.html


 この光るキノコの話ではないのですが‥。
 最近の細胞生物学の研究では欠かせなくかっている技術の一つに「GFP(=緑色蛍光たんぱく質)」の遺伝子導入というものがあります。

 日本沿岸でごく普通に見られるオワンクラゲは、棒で突つくなど刺激すると青白く蛍光を発します。海洋生物学の下村脩(しもむら おさむ)さんはここから1960年代にGFPを発見し、このたんぱく質が光るメカニズムを解明しました。
 1990年代に入り、この遺伝子がクローニングされると、他の生物の細胞でも、この緑色の蛍光を発するたんぱく質を自由にくっつけて発現させる技術が実用化されました。これによって(病気などの)特定の遺伝子が発現しているかどうかを顕微鏡下で容易に観察できるようになったのです。このブログの中でも引用されている、美しい蛍光顕微鏡画像の多くがこのような「レポーター遺伝子」を発現させて可視化したものです。

 オリジナリティのあるものにはとても魅かれます。不思議な生物、不思議な化合物、不思議なメカニズム‥。下村脩さんのされた研究も又、とてもオリジナリティのある、そして素晴らしいものだと思います。可視化(イメージング)の技術はこれからももっと、高度に発達することでしょう。そして多くの人たちが生命の不思議を観察することが出来るようになると思います。
 あらゆる総てのものはよく見ると不思議で、そしていつも輝いていると思います。

パーキンソン病治療に光明?臨床試験、症状改善に成功=コーネル大学

2007年06月22日 | 脳、神経
 【ワシントン=増満浩志】体のふるえなどが起きるパーキンソン病患者の脳内で不足する物質を、遺伝子治療によって増やし、症状を改善することに、米コーネル大などの研究チームが成功した。

 臨床試験の初期段階で、対象の患者は12人だけだが、治療から1年たっても効果は持続している。詳細は23日付の英医学誌ランセットに発表する。

 研究チームは、神経の興奮を抑えるGABAという物質が、患者の脳内の視床下核という部分で不足することに着目。GABAの生成を促す酵素「GAD」の遺伝子を特殊なウイルスに組み込み、視床下核に入れた。注入は、半身の左右どちらかをつかさどる部分だけに行った。

 その結果、注入部位に対応する半身で、症状が12人とも緩和。パーキンソン病の重症度を表す点数が、注入前に比べて1年後には平均27%も下がった。ウイルスが細胞に感染し、GADを作り出しているらしく、副作用は見られない。

 研究チームは今年後半から、患者の数を増やして効果を確かめる第二段階の臨床試験を計画している。

[読売新聞 / 2007年06月22日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070622it03.htm

パーキンソン病治療に光明?米大学で症状改善に成功(読売新聞) - goo ニュース

ハエで体内時計の遺伝子発見 「時計じかけのオレンジ」=理化学研究所

2007年06月19日 | 生きもの色々
 睡眠など1日の生活リズムを決める体内時計の新たな「時計遺伝子」を、理化学研究所神戸研究所システムバイオロジー研究チームなどがショウジョウバエで見つけた。19日付の米科学誌「ジーンズ・アンド・ディベロップメント」の電子版に発表する。上田泰己チームリーダーは「ヒトの体内時計の解明につながる研究だ」と話している。

 研究では、ショウジョウバエを用いた。生活リズムを制御している頭部にある137の遺伝子について、それぞれ遺伝子操作したハエを作り、生活リズムの変化を調べた。すると、CWOという遺伝子を働かなくしたハエの睡眠などの生活リズムが24時間周期から2時間遅れて26時間になることが分かった。

 また、この遺伝子はオレンジという名がついた遺伝子配列の領域を含み、ほかの時計遺伝子の働きにも影響していた。そのため、スタンリー・キューブリック監督によって映画化されたアンソニー・バージェスの小説名にちなみ「時計じかけのオレンジ」と名付けられた。上田チームリーダーは「今後、これまでに分かっている6、7個の別の時計遺伝子との関係を調べていきたい」という。

[朝日新聞 / 2007年06月19日]
http://www.asahi.com/science/update/0618/OSK200706180062.html

理化学研究所 プレスリリース
 時計遺伝子のニューフェイス“時計じかけのオレンジ”を発見
 - 体内時計システムの完全理解への一歩 -
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2007/070619/detail.html

ヒトES細胞の大半は類似=京都大学教授ほか国際チーム、11カ国の59株を比較

2007年06月18日 | 再生医療
 京都大など世界11カ国、17カ所の研究機関が所有するヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)59株の大半は、ES細胞に特徴的な遺伝子などが似ているとの研究結果を、日米欧などの国際チームが18日、米科学誌ネイチャーバイオテクノロジーに発表した。

 チームの1人で京都大再生医科学研究所の中辻憲夫所長は「各国の研究者がどのようなES細胞を使っているかが分かる貴重な研究。ES細胞の標準化につながるかもしれない」と話している。

 中辻所長によると、59株の遺伝子を解析すると、それぞれ独自につくったES細胞であるにかかわらず、約9割は似ていたという。

 似ていなかったほかの細胞は、分化が少し進むなどしている可能性があるという。(共同通信)

[京都新聞 / 2007年06月18日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007061800024&genre=G1&area=K10

シート移植し皮下に肝臓 マウス実験、200日機能=奈良県立医科大学、京都大学、東京女子医科大学

2007年06月18日 | 再生医療
 肝細胞のシートをマウスの皮膚の下に移植し、200日以上にわたり、肝臓の機能の一部を果たすことを確かめたとの研究結果を奈良県立医大と東京女子医大、京都大のグループが米科学誌ネイチャーメディスン(電子版)に18日、発表した。

 肝臓がつくるタンパク質が欠乏する血友病などの治療につながるのではないかという。

 研究グループによると、肝細胞は、ばらばらの状態で移植しても血液の供給がないと短期間で死滅する。そこで、培養皿で肝細胞のシートを作製。マウスの皮膚の下に毛細血管を張り巡らせた場所を作り、シートを移植した。

 すると周囲の血管内皮細胞などとくっつき生着、肝臓のような組織ができた。200日以上にわたり、肝臓と同様にアルブミンや血液凝固因子などを出し続けた。肝臓の特徴である再生増殖能力もあるという。

 研究グループの中島祥介奈良県立医大教授は「シートを使うと肝細胞が効率よく生き残る」と話している。

(共同)
[中日新聞 / 2007年06月18日]
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2007061701000496.html

体内カルシウム:濃度制御のたんぱく質解明=京都大学

2007年06月15日 | 蛋白質
 ほ乳類の体内のカルシウム濃度の維持、調節を担う根本的な機能を「αクロトー」というたんぱく質が持っていることを、京都大の鍋島陽一教授(分子生物学)らの研究チームが明らかにした。カルシウム濃度は、ビタミンDやPTHといったホルモンによって調節されるメカニズムは分かっていたが、今回、ホルモンを使わない調節機構を明らかにし、更に個々の調節メカニズムを統合的に制御するシステムを解明した。鍋島教授は「ビタミンDやPTHの発見以来、60~70年を経てカルシウム調節の統一的原理が解明された」としている。15日、米科学誌「サイエンス」で発表される。

 カルシウムはほ乳類の体に必須の分子で、極端に不足すると心臓や神経の活動が停止するため、体内の濃度は厳密にコントロールされている。

 鍋島教授らは97年、カルシウム代謝異常によって、さまざまな病的老化症状を起こす遺伝子としてαクロトーを発見。その機能を調べていた。

 αクロトーは、腎臓と脳、首にあるカルシウム調整に深くかかわる臓器3カ所にほぼ限定して発現することを発見。細胞内の「ナトリウム(Na)ポンプ」という分子と結合、複合体を作っていることを突き止めた。

 この複合体は、腎臓と脳では、細胞内のカルシウムを適時排出し、血液と脳を浮かべる脳脊髄(せきずい)液などで濃度を調整していた。また、血液中のカルシウム濃度を上げるホルモンPTHの分泌を促す機能も持ち、αクロトー単体でも腸でのカルシウム吸収量調節などの働きがあるビタミンDの活性化の調節をするなど、あらゆるカルシウム調整機能の“司令塔”の役目を担っていることも分かった。【奥野敦史】

[毎日新聞 / 2007年06月15日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/archive/news/2007/06/20070615ddm003040009000c.html

科学技術白書:若手研究者の育成・支援重要と強調

2007年06月15日 | 徒然に
 政府は15日の閣議で、06年度の科学技術白書を了承した。過去20年間の自然科学系ノーベル賞受賞者は、30代から40代前半に受賞対象となった業績を上げていることが圧倒的に多いと分析。科学技術の振興には、若手研究者が自由な発想で研究に専念できるように育成・支援することが重要だと強調した。

 87~06年に物理学、化学、医学生理学の3分野でノーベル賞を受賞した133人が、対象となった業績を上げた年齢を調べた。医学生理学賞は30代が圧倒的に多く、物理学賞は30代から40代前半、化学賞は30代後半から40代前半に集中した。

 また、日本人の全受賞者(9人)では、業績を上げた平均年齢は38.1歳で、最も若かったのは湯川秀樹、田中耕一両氏の28歳だった。【下桐実雅子】

[毎日新聞 / 2007年06月15日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20070615k0000e040079000c.html