ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

ダイエットで人気、「αリポ酸」で低血糖症に=厚生労働省研究班

2010年04月16日 | 食品・栄養
 ダイエットや老化防止に効果があるとして広く使われているサプリメント「α(アルファ)リポ酸」で、震えや動悸を引き起こす「自発性低血糖症」を招くケースが相次いでいる。

 厚生労働省研究班(主任研究者・内潟安子東京女子医大糖尿病センター教授)がまとめた全国調査で、2007年から3年間で少なくとも17件起きていたことがわかり、注意を呼びかけている。

 自発性低血糖症は、血糖値を下げる薬を使っているわけではないのに低血糖になるものをいう。重症になると、昏睡状態に陥る。

 原因は様々だが、特定の白血球の型を持つ人が、SH基と呼ばれる構造を持つ薬やサプリメントを服用すると、発症しやすい。αリポ酸にもSH基がある。

 この白血球の型を持つのは日本人の約8%だが、SH基のある薬やサプリメントによって自発性低血糖症が起きた患者は、9割以上がこの白血球の型を持っていた。

 研究班によると、全国の主要病院207施設で、07年から3年間に自発性低血糖症と診断された患者187人のうち、サプリメントとの関連が報告されたのは19人で、うち17人がαリポ酸だった。摂取した量や期間は不明だが、服用を始めてから一、二か月で震えや動悸などの症状が出て、受診するケースが多いという。

 内潟教授は「サプリメントは健康増進をうたっているが、使い方によって薬と同じような副作用が起こる恐れがある。異常が起きたらすぐ服用をやめ、受診の際はどんなサプリメントを服用しているかも医師に必ず伝えてほしい」と話す。

 ◆αリポ酸=ビタミンのように、体内で代謝を助ける働きを持つ補酵素の一つ。もともとは医薬品だが、2004年の基準改正でサプリメントとして売られるようになった。
(2010年4月16日15時49分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20100416-OYT1T00779.htm

体内のメカニズムが働いてインシュリン濃度が急変するのでしょうか。健康食品の服用も油断することなく注意を払う必要があるよ、ということですね。

アラキドン酸:心の病に予防効果?…卵・海藻含有の栄養素=東北大学

2009年04月08日 | 食品・栄養
 卵や海藻に多く含まれる栄養素「アラキドン酸」が脳の神経細胞の生成を促すことを、東北大などが動物実験で突き止めた。神経細胞の生成の減少は精神疾患に関係しているとの説があり、食品が精神疾患の予防や治療に役立つ可能性を示した成果という。7日付の米科学誌プロス・ワンに発表した。

 アラキドン酸は脳の発生に重要な役割を担う脂肪酸の一種。全脂肪酸中に4%のアラキドン酸を含む餌を与えた母ラットの母乳を、生後直後の子ラットに飲ませると、神経細胞の生成数は、アラキドン酸なしの場合に比べ30%増えた。生まれつき神経生成が少ないラットに同じ餌を与えると、それまで見られた不要な音に反応しやすい状態が改善した。この状態は統合失調症患者らに見られる。

 アラキドン酸は体内で合成できない。大隅典子・東北大教授(神経発生学)は「脳の発生期に適切な栄養を取ることで、心の病を予防できる可能性がある」と話す。【西川拓】

[毎日新聞 2009年04月08日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20090408k0000m040141000c.html

ブルーベリー「目にいい」実証=岐阜薬科大学

2009年04月03日 | 食品・栄養
 ブルーベリーの実に豊富に含まれる主成分アントシアニンに、目の網膜にある血管や神経の細胞を保護する作用があることを、岐阜薬科大の原英彰教授(薬効解析学)が突き止めた。俗に「ブルーベリーは目にいい」と言われてきたが、動物実験などで実証したのは初めてという。

 原教授が検証したのは、網膜に新しい血管が次々とできて視力を低下させる糖尿病網膜症と、老化や紫外線といった「酸化ストレス」で悪化するとされる緑内障への効果。

 実験では、ヒトの血管細胞に血管を増やす物質を加え、血管の数を2・5倍に増殖させて疑似的に糖尿病網膜症の状態をつくった。これにアントシアニンを加えたところ、血管の増殖が抑えられ、マウスの網膜を使った実験でも同様の結果が得られたという。

 また、ラットの網膜神経細胞に酸化ストレスを増やす物質を加え、細胞の4割を死滅させた上でアントシアニンを加えると、それ以上の細胞の死滅を防ぐことができたという。

 原教授は「アントシアニンにある非常に強い抗酸化作用が関係していると考えられる。ただ、ブルーベリーを果物として食べるだけでは足りないので、サプリメントなどで効率よく摂取するのがいいだろう」と指摘している。

 ▽慶応大医学部眼科学教室の坪田一男教授の話 アントシアニンが、細胞や動物の体の中で、一部の病的刺激に対して保護的に作用するということを示した画期的な報告。今後はメカニズムの解析や人体での作用など一層の研究が期待される。

[中日新聞 2009年04月03日]
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2009040302000162.html

ストレス緩和ペプチド発見-抗不安剤素材へ提案=京都大学

2009年03月23日 | 食品・栄養
 京都大学大学院農学研究科の大日向耕作准教授らは、精神的ストレス緩和作用のある低分子ペプチドを発見、一般的な抗不安剤のジアゼパムに匹敵する作用があることをマウス実験で確認した。天然物由来のため安全で、生産性も高いという。ガンマアミノ酪酸(GABA)配合などの抗不安食品や製薬市場の拡大が期待され、新しい素材として提案する。27日から開かれる日本農芸化学会09年度大会で発表する。

 低分子ペプチドは2種のアミノ酸が結合したジペプチドで、カゼインなど乳たんぱく質に多く含まれる。特定のアミノ酸配列が脳内のGABAの放出を促進することで精神的ストレスを緩和させるという。食品由来の安全性のほか、2種のアミノ酸というシンプルな構造のため合成がしやすく、量産性が高い。

[日刊工業新聞 2009年03月23日]
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0620090323eaaf.html

朝倉産スイゼンジノリ 抗細菌作用保有か 新薬開発などに期待=九州共立大学

2009年03月22日 | 食品・栄養
 福岡県朝倉市の黄金(こがね)川に自生するスイゼンジノリに、細菌やウイルス感染への抵抗力を高める作用があるとみられることが、九州共立大学(北九州市)の富田純史教授(予防医学)などのマウスを使った実験で分かった。スイゼンジノリには、レアメタル(希少金属)の吸着などに優れたサクランと呼ばれる物質が含まれており、既に事業化に向けた実証実験が進められているが、新たな可能性が出てきたことで、生物資源として一段と注目されそうだ。

 実験はラン藻類の特性を把握する目的で実施。スイゼンジノリを熱水抽出した物質の濃度1%の水溶液を1日0.2ミリリットルずつマウス10匹に与え、8日目に食中毒菌のリステリア菌を注入して脾臓(ひぞう)の菌の繁殖状況を調べた。効果を比較するため、別の10匹には精製水だけを与え、既に抗ウイルス作用が知られている中国産のハッサイの水溶液を投与する一群も設けた。

 その結果、精製水を与えていたマウス群の菌の1グラムあたりの平均個体群数が約3億6100万個だったのに対し、ハッサイは約1億1100万個、スイゼンジノリは精製水の約4分の1の約7800万個だった。

 富田教授は、藻などの細胞壁に含まれる多糖類が影響していると推測。「ほかの細菌やウイルスに対しても免疫力を高める効果があるはず。人向けの薬品や機能性食品などの研究開発につながれば」と期待している。

 スイゼンジノリについては、北陸先端科学技術大学院大学(石川県)がサクランを発見し、現在、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として実用化に向けた研究を進めている。しかし、世界で唯一、スイゼンジノリが自生する黄金川の水源地域には水資源機構が小石原川ダム建設を計画しており、絶滅が危惧(きぐ)されている。

[西日本新聞 2009年03月22日]
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/84664


緑茶に歯周病予防効果の可能性=九州大学

2009年03月12日 | 食品・栄養
【3月12日 Relaxnews】抗がん作用があると言われる緑茶に、歯周病を防ぐ効果もありそうだ。九州大学の研究チームが学術誌「Journal of Periodontology」で発表した。

 研究チームは49-59歳の男性約1000人を対象に、緑茶が歯に与える影響、特に歯肉やせや歯茎からの出血に対する効果を調べた。

 すると、日常的に緑茶を飲む人はあまり飲まない人よりも歯肉が健康なことが分かった。緑茶に含まれる抗酸化作用のあるカテキンに抗炎症作用があるかもしれないという。

 緑茶の原料となるチャ樹の研究は世界的に行われており、歯周病予防以外にも、動脈硬化、肥満、糖尿病、うつ病、頭痛、がんなどの予防に効果があると言われている。

 米国立衛生研究所(National Institutes of Health)の国立補完代替医療センター(National Center for Complementary and Alternative Medicine)のホームページには、緑茶に関する研究やその効能、副作用などについて、さらなる情報が掲載されている。(c)Relaxnews

[AFP BB News 2009年03月12日]
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2581093/3907030

大豆製品:女性は食べ過ぎにご用心=厚生労働省研究班(国立がんセンター研究所)

2009年03月10日 | 食品・栄養
 大豆製品をたくさん食べる女性は、あまり食べない女性に比べて肝臓がんになる危険性が3~4倍に高まることが、厚生労働省の研究班(主任研究者、津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の大規模調査で分かった。大豆に含まれるイソフラボンは、乳がんのリスクを減らすことが知られており、研究班は「食事を通して適度に取るのがいい」としている。

 研究班は93年から05年まで、6府県の男女約2万人(開始時40~69歳)の健康状態を追跡した。うち101人(男性69人、女性32人)が肝臓がんになった。アンケートで大豆食品をどれぐらい食べるかを尋ね、イソフラボンの2成分の摂取量と発症との関連を調べた。

 その結果、摂取量とリスクの関連が明らかになったのは女性だけで、摂取量が最も多い群(1日あたり豆腐80グラム以上、納豆3分の2パック以上)が肝臓がんになるリスクは、最も少ない群(同豆腐40グラム未満、納豆3分の1パック未満)のリスクの約3.2~3.9倍だった。

 研究班の倉橋典絵・国立がんセンター予防研究部研究員によると、イソフラボンの分子構造は、女性ホルモンのエストロゲンに似ている。エストロゲンは乳がんのリスクを高める半面、肝臓がんには予防作用があり、イソフラボンの過剰摂取がこうした作用を妨げると考えられる。

 倉橋研究員は「肝臓がんの最大のリスク要因はB型、C型肝炎ウイルス。女性の場合、まず感染の有無を調べ、感染が分かれば大豆製品の取りすぎに注意してほしい。感染していなくても過度の取りすぎには注意が必要」と指摘する。【関東晋慈】

[毎日新聞 2009年03月10日]
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090310k0000e040071000c.html

コラーゲンやはり美肌効果あり、機能の一端解明=京都府立医科大学

2009年01月24日 | 食品・栄養
 コラーゲン(ゼラチン)の分解物のペプチドが皮膚の傷の修復を助けるメカニズムが、京都府立大などのグループの研究で分かった。コラーゲンは「肌に良い」と言われながらもそのメカニズムは不明で疑問視する声もあったが、機能の一端が初めて確かめられた。近く発行される米国化学会の学術誌「食品と農芸化学誌」の2009年第2号に掲載される。

 グループは、佐藤健司教授(食品機能学)、大学院生の岩井浩二さん、大阪夕陽丘学園短期大の重村泰毅助教ら。

 コラーゲンは皮膚や軟骨などを構成するタンパク質の一つで、食物から摂取すると分解されて体内に吸収される。これまで個々のアミノ酸にまで分解して吸収されると考えられており、「肌に良い」のがコラーゲン本来の働きかどうかは不明だった。

 佐藤教授らは、人の実験で、ブタや魚のコラーゲンを食べると、コラーゲンに多いアミノ酸のヒドロキシプロリンとプロリンが結びついたペプチド(アミノ酸化合物)が血中に長時間にわたって増えることを突き止めた。

 このペプチドの機能をマウスの皮膚細胞で調べたところ、ペプチドが再びコラーゲンになるのではなく、コラーゲンを作って傷を修復している皮膚の繊維芽細胞を傷の部分に呼び寄せるのを助けることが分かった。

 佐藤教授は「コラーゲンの一部はペプチドとして体内に取り込まれて働いているらしい。コラーゲンの摂取により血圧を降下させたり、骨密度低下を抑えることも報告されており、その機能を確かめたい」と話している。

[京都新聞 2009年01月24日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009012400088&genre=G1&area=K00

うまみ:昆布、かつおだしの相乗効果…仕組み解明=米国

2008年12月26日 | 食品・栄養
 昆布だしに含まれるうまみ成分のグルタミン酸とかつおだしに含まれるイノシン酸を合わせると、うまみが増す「相乗効果」が起きる仕組みを、米国の研究グループが分子レベルで解明した。「米科学アカデミー紀要」に掲載された。

 人の舌の細胞表面には、味を感じる「味覚受容体」と呼ばれるたんぱく質があり、これまで、うまみ、苦み、甘みを感じる受容体が見つかっている。

 研究グループは、グルタミン酸とイノシン酸が「T1R1」という受容体に作用すると推測。この受容体は二枚貝のような葉を閉じて虫を補える食虫植物の「ハエトリグサ」に形が似ており、受容体のどの部分に結合するかを、人やラットで調べた。

 グループは、グルタミン酸は「ハエトリグサ」が開く際のちょうつがいの部分に、イノシン酸は先端の開閉部にそれぞれ結合することを突き止めた。イノシン酸が結合すると、閉じた構造になり、グルタミン酸が安定して中にとどまるため、うまみを増強させると結論づけた。

 味覚を研究している三浦裕仁・鹿児島大准教授は「受容体に働くうまみ増強物質を探せば、おいしさを増す調味料が開発できるだろう。また、甘みや塩味をより強く感じさせる物質を見つければ、食事の塩分や糖分を減らすことも可能だ」と話している。

 味覚には「甘み」「苦み」「酸味」「塩味」「うまみ」の5つの基本味がある。うまみ成分のグルタミン酸、イノシン酸、しいたけのグアニル酸はいずれも日本人が発見したため、うまみという言葉は「umami」として国際的に使われている。【下桐実雅子】

[毎日新聞 2008年12月26日]
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20081226k0000e040036000c.html

ワサビが脳細胞の再生促進=名古屋市立大学

2008年12月18日 | 食品・栄養
 ワサビの辛み成分が脳の神経細胞の再生を促し、記憶力や学習能力を改善させる。こんな効果を名古屋市立大大学院医学研究科の岡嶋研二教授と原田直明准教授が、マウスを使った実験で突き止めた。人の認知症予防につながると期待される。

 岡嶋教授らはこれまで、人の胃や腸の知覚神経がトウガラシの辛みや熱さ、痛みの刺激を受けると、全身の細胞の増殖を促進するタンパク質「インスリン様成長因子-1(IGF-1)」が多く作られ、認知機能が改善されることを解明していた。

 今回は、ワサビでも同じメカニズムが働くかどうかを調べた。

 実験は、ワサビの辛み成分「6MSからし油」をマウスのえさに混ぜ、4週間食べさせた。記憶や学習機能にかかわる脳の海馬でIGF-1の濃度を調べたところ、濃度が2-2・5倍に増加。増殖した海馬の細胞数も、通常の2-3倍に増えていた。

 水を張ったプールでマウスを泳がせて浅瀬を見つけるまでの時間を比べ、ワサビを与えたマウスは初日の80秒が、5日目で30秒に短縮。

 与えていないマウスは5日目でも60秒かかり、浅瀬の場所を覚える能力の向上が見られた。

 一度に大量のワサビを食べると体調を崩すこともあるが、岡嶋教授は「計算では、人間も1日にワサビ12・5グラム(刺し身に添える時の5人分)を食べれば、同程度の効果が出るはず。脳だけでなく全身で細胞の再生が促進され、認知症予防以外にも、血管拡張や骨密度強化など多彩な効能がある」と話している。

[中日新聞 2008年12月18日]
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008121802000062.html

どうする「未病」:脳の記憶プロセスに関するメカニズムの一部が続々と解明(毎日新聞コラム)

2008年11月10日 | 食品・栄養
 高齢化社会を迎え、物忘れに始まる認知障害への問題が深刻化されていますが、10月末よりせきを切ったように、理化学研究所の各グループから脳の記憶プロセスに関するメカニズムの一部が解明される発表が続々と行われています。

 10月20日の「アルツハイマー病の原因となるアミロイドベータの産生調節機構を解明」(本トピックス欄10月24日号で紹介)を皮切りに、「脳内のグリア細胞が分泌するS100Bタンパク質が神経活動を調節」(10月22日)、「記憶の再固定化のプロセスが加齢に伴う記憶障害に関与」(10月28日)、「ヒトES細胞から層構造を持った大脳皮質組織の産生に成功」(11月6日)と、ここ2週間の間だけでも、脳に関する研究発表が実に4回も行われているのです。

 これまで「脳の中のことはなかなかわからない」と言われ、研究が追い付いていないのが現状でしたが、これらの研究発表により、記憶障害を改善する新たな治療戦略に明るい光が見えてきたのは喜ばしい限りです。

 折しも、11月3日に放送されたテレビ朝日の「報道発ドキュメンタリ宣言」は、記憶障害に苦しむ元女優の南田洋子さんを夫である長門裕之さんが介護する“老々介護”の日々が放送され、22.9%という高視聴率を獲得しました。もちろん、高視聴率の原因は有名夫妻の現実が映し出されたことによるものですが、実際に家族の間での記憶障害の問題が、もはや身近なものであることの証であるともいえるでしょう。

 家族にも気がつかないうちに進行するアルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞が死滅し、全体が委縮。特に記憶部分をつかさどる「海馬(かいば)」の委縮が症状に大きく影響しているといわれています。厚生労働省の予測によると、今後認知症の患者は増え続け、2002年には149万人だった患者が、2015年には250万人を突破、ピークを迎える2040年には385万人にも達するという報告までなされています。

 脳内メカニズムに関する研究が進む一方、アメリカ国立衛生研究所では「うつ病の罹患率と魚の摂取量は負に相関する(魚の脂肪酸であるDHAを多く取っているとうつ病にかかりにくい)」という論文を発表。同時にこの中で、DHAには記憶・認知能力の改善効果があることにも触れ、専門家から注目を集めています。

 それによると、DHAのほかにも、記憶・認知能力の改善効果にいい食品成分として、クルクミン(ウコンのスパイス成分)、フラボノイド(ココア、緑茶、柑橘類、ワインに含まれる)、飽和脂肪(バター、ラード、ヤシ油、チーズなどに多い)、ビタミンD(魚の肝、キノコ類、豆乳などに多い)、コリン(卵黄、大豆、牛肉、鶏肉、レタスなどに多い)などが挙げられています。

 認知障害の解明はまだまだ始まったばかりですが、私たちが今からできることとして、食事の面でもこれからは「脳に効く食べ物」に心がけ、予防・対策に努めたいものです。(倭村英敏/ライター・オフィスクリオ所属)

[毎日新聞 2008年11月10日]
http://mainichi.jp/life/health/news/20081107org00m100009000c.html

世界の雑記帳:ブドウに血圧下げる効果、マウスで確認=ミシガン大学

2008年10月30日 | 食品・栄養
 [シカゴ 29日 ロイター] 米国の研究チームが29日、マウスを使った実験で、ブドウに血圧降下と心機能向上を助ける効果がみられたと明らかにした。

 実験は、ミシガン大の心臓保護研究所のミッチェル・セイモア氏のチームがカリフォルニア州のブドウ栽培業者から一部資金援助を受けて実施。結果を学術誌「老年学ジャーナル:生物科学」で発表した。

 研究チームでは、この結果が高血圧の人に対する効果の確認にもつながればと期待している。

[毎日新聞 2008年10月30日]
http://mainichi.jp/select/world/newsinbrief/news/20081030reu00m030001000c.html


ポリフェノールの持つ抗酸化作用は動脈硬化や脳梗塞には効果があります。他にも血中コレステロールを下げる作用や、血圧を下げる作用も知られてきたようです。ブドウ酢飲料の降圧作用は山梨大学でも以前に紹介されていました。
http://www.yamanashi-tlo.co.jp/store_caes/109.pdf
もちろん、動物性脂肪を控えた食生活を心がけるのが大切なのは言うまでもありません。それから、適度な運動も必要だと思います。
食欲の秋からスポーツの秋へ。最近ズボンを買い換えた、身近な人にも強く強く奨めております。

心疾患の3分の1、ジャンクフードが原因の可能性=マクマスター大学

2008年10月21日 | 食品・栄養
[ワシントン 20日 ロイター]
 世界の心疾患の35%は、揚げ物や塩分の多いスナック菓子、肉といった食品が原因となっている可能性があるという研究結果が明らかになった。加オンタリオ州のマクマスター大のサリム・ユースフ博士のチームが専門誌「Circulation」で発表した。 

 同チームでは1999年2月から2003年3月にかけて、初めての心臓発作を起こしたばかりの患者5700人を含む1万6000人を対象に、血液検査と食生活に関するアンケート調査を実施。

 52カ国の人々について行った研究によると、肉や卵を基本とした「西欧の」食事やジャンクフードを多く摂取したグループは心臓発作を起こしやすく、果物や野菜を多く摂った人々は心臓発作のリスクがより低かった。

 同チームではまた、豆腐を多く摂る食事について、ナトリウムが多く含まれるため心疾患予防という観点からは良くも悪くもないとしている。

[ロイター 2008年10月21日]
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-34426420081021

緑茶カテキンに大腸ポリープ再発防止効果=岐阜大学

2008年10月11日 | 食品・栄養
 緑茶成分のカテキンを含む錠剤を飲み続けると大腸ポリープの再発が抑えられることを、岐阜大医学部の森脇久隆教授らが臨床試験で確かめた。名古屋市で28日から開かれる日本癌(がん)学会で発表する。

 大腸がんのもとになるポリープの再発予防が緑茶錠剤の臨床試験で実証されたのは初めてという。

 臨床試験では、大腸ポリープを切除した125人のうち60人に錠剤3錠(緑茶6杯分)を毎日飲んでもらい、飲まない65人と、1年後に大腸を内視鏡で検査して再発率を比べた。

 ポリープ再発率は、緑茶錠剤を飲まなかった人の31%に対し、錠剤を飲み続けた人は15%と明らかに低かった。再発したポリープのサイズも、錠剤を飲んだ人で小さい傾向があった。

 森脇教授は「緑茶をよく飲むという生活習慣で予防できる可能性もある」と話している。

[msn産経ニュース 2008年10月11日]
http://sankei.jp.msn.com/science/science/081011/scn0810111918001-n1.htm

おっぱいに内臓脂肪減らす効果、商品展開検討=ライオン、京都府立医科大学

2008年10月10日 | 食品・栄養
 ライオンは9日、ヒトや哺乳(ほにゅう)類の母乳に含まれるたんぱく質「ラクトフェリン」に、内臓脂肪を減らす効果があることが分かったと発表した。同社はすでにラクトフェリンを錠剤にした健康食品を通信販売で扱っているが、メタボ対策商品として展開することも検討する。

 京都府立医科大の西野輔翼教授らとの共同研究。30~62歳の男女26人を半数ずつに分け、片方には1日300ミリグラムのラクトフェリン入り錠剤を、もう片方には成分なしの錠剤を飲んでもらった。8週間後、ラクトフェリン入り錠剤を飲んだ人たちは、残りの人たちに比べ、腹囲が平均3.4センチ、体重が平均2.5キロ少なかったという。

 ラクトフェリンは胃酸で分解されてしまうため、小腸に届いてから溶ける特殊な錠剤にした。ラクトフェリンが小腸まで届くと、内臓脂肪をため込むのを抑える働きがあることが分かった。詳しい仕組みは今後解明するという。

[朝日新聞 2008年10月10日]
http://www.asahi.com/health/news/TKY200810090306.html