ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

タミフル、脳に侵入…厚労省見解覆す?動物実験結果=高崎健康福祉大学、東京大学

2007年10月31日 | 脳、神経
 服用した若者や子どもに異常行動や突然死が相次いだインフルエンザ治療薬「タミフル」が脳に達する仕組みを、国内の二つの研究グループが動物実験で明らかにした。

 脳には薬など異物の侵入を防ぐ「血液脳関門」という防御機能があることなどから、厚生労働省の作業部会などは服用と異常行動の因果関係に否定的な見方を出していたが、それを覆す可能性のある研究結果として注目される。

 タミフルは、体内に入ると主に肝臓の酵素によって「活性体」に変わり、ウイルスの増殖を抑える。一方、血液脳関門では、「P糖たんぱく質」という物質が脳に入ろうとする異物を排除する。

 荻原琢男・高崎健康福祉大教授らは、タミフルを、通常のマウスとP糖たんぱく質を作れないマウスに投与して比較した。その結果、P糖たんぱく質を持たないマウスでは、脳内のタミフル濃度が血中濃度の65~85%にも達し、通常のマウスの14~17%より大幅に高かった。また、活性体を直接投与したところ、いずれのマウスでも脳に達したタミフルの濃度は血中の1%程度に過ぎず、活性化前のタミフルが脳に達しやすいことがわかった。

 人間の場合、肝臓の酵素や脳のP糖たんぱく質の量には個人差がある。この動物実験の結果が人間にもあてはまるとすれば、一部の人の脳にはタミフルが届いてそこで活性化され、影響を及ぼす可能性があることを示す結果だ。

 東京大の杉山雄一、柴崎正勝両教授らも、ほぼ同じ実験で同様の結果を得た。さらに生後3~42日のラットにタミフルを投与したところ、生後6日目までの幼いラットは、21日目以降の成体に比べ、脳内の濃度が約6倍も高くなった。P糖たんぱく質の量は幼い時は少なく、11日目前後の青年期を過ぎて急増することも確認された。

[読売新聞 / 2007年10月31日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071031i207.htm

再発の仕組みを解明 成人の急性骨髄性白血病=理化学研究所、九州大学、虎ノ門病院

2007年10月29日 | 再生医療
 大人の急性骨髄性白血病の再発は、急激に増殖する白血病細胞そのものではなく、白血病細胞のもとになる白血病幹細胞がカギを握っているらしいことが、理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター(横浜市)と九州大病院、虎の門病院などの共同研究でわかった。新たな治療戦略を立てるのに役立ちそうだ。米科学誌ネイチャー・バイオテクノロジーに発表した。

 急性骨髄性白血病は成人10万人に約3人が発症し、白血病の中では発症率が高く根治が難しい。

 研究チームは、ヒトの白血病を再現するマウスを作り、白血病細胞と白血病幹細胞について、抗がん剤の効き目や発症能力などを調べた。

 その結果、白血病細胞は増殖能力が高いが抗がん剤がよく効いた。一方、幹細胞は増え方はゆっくりだが抗がん剤はあまり効かなかった。このため、抗がん剤で治療をしても、幹細胞が残って再発の原因になっていることが考えられた。

 幹細胞に抗がん剤が効かないのは、これまでの抗がん剤が増殖能力が高い細胞を標的にしていることが裏目に出ているためらしい。

 理研の石川文彦ユニットリーダーは「再発防止では急激に増える白血病細胞をたたくとともに、増殖速度が正常細胞に近い白血病幹細胞もたたく必要がある。それができる分子標的薬の開発につなげたい」としている。

[朝日新聞 / 2007年10月29日]
http://www.asahi.com/health/news/TKY200710280142.html

「楽観的思考」をつかさどる脳領域を特定=ニューヨーク大学、ロンドン大学

2007年10月28日 | 心のしくみ
ワシントン(AP) 将来の出来事についての楽観的な考え方は、脳のある部分と密接な関係にあるとの研究結果を、米ニューヨーク大の心理学者らがこのほど、英科学誌ネイチャー電子版で発表した。


同大のエリザベス・フェルプス氏は、英ロンドン大のタリ・シャロット氏との共同研究で、被験者15人が先のことを予測する際、脳内の血流がどう変化するかを、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で調べた。その結果、本人が楽観的な考え方をしている時ほど、脳の「前部帯状回吻側部(rACC)」と呼ばれる部分の活動が活発になることが明らかになったという。rACCは情動に関連する領域とされ、うつ病患者では血流が低下するとの研究報告もある。


人間は一般に、まだ起きていない出来事について楽観的な見方をする傾向があるとされる。フェルプス氏らの研究では、この傾向を裏付ける結果も報告された。結果が良くも悪くもなり得る将来の出来事80件を被験者に想像させたところ、悪い結果や中立的な結果を予測した人はほとんどいなかったという。たとえば、「髪を切りに行く」ことを想像する場合は、普段のカットでなく、「人生最高の髪型」にしてもらう場面を思い浮かべる人が多かった。


フェルプス氏は、「われわれの脳が楽観的傾向を備えているのは、概して良いことだといえる。逆に悲観的な見方しかできなかったら、何もやる気が起きないだろう」と指摘している。

[CNN.co.jp / 2007年10月28日]
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200710280020.html

<掃除屋細胞>センサーのように要不要を区別=京都大学

2007年10月25日 | 免疫
 体内の“掃除屋”細胞と言われる「マクロファージ」が不要になった細胞を取り除く際、アレルギーなど免疫にかかわるたんぱく質がセンサーのように要不要を見分けていることを、京都大医学研究科の長田重一教授らが突き止めた。ぜんそくやアレルギー、アトピーなど自己免疫疾患の解明や治療法の開発に役立つ成果という。25日付の英科学誌ネイチャーに発表された。

 古くなり不要になった細胞が死ぬと、有害な物質が放たれて周囲に炎症が起きないように、マクロファージが細胞を丸ごと取り込んで分解する。死んだ細胞の表面にリン脂質の物質が現れるが、マクロファージがどのように目印を見分けるかは未解明の部分が多かった。

 マクロファージの表面にあり、この目印と結合するたんぱく質を探したところ、免疫にかかわる「Tim1」と「Tim4」が当てはまると判明。これらを抗体で働けなくすると、マクロファージは細胞を取り込めなくなり、Timたんぱく質が死細胞を取り除くために必要だと分かった。

 研究グループの大阪大医学系研究科、内山安男教授は「マクロファージがうまく掃除できないことと、自己免疫疾患など免疫の病気が関係すると分かった。治療法を考えるうえで重要な発見だ」と話している。【根本毅】

[毎日新聞 / 2007年10月25日]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071025-00000008-mai-soci

ニコチンが運動障害抑制、パーキンソン病対策に活用も=パーキンソン研究所(米国)

2007年10月25日 | 創薬
 【シリコンバレー24日時事】たばこ依存症をもたらす猛毒ニコチンに、パーキンソン病に伴う手足のけいれんなどの運動障害を抑える効果があることが分かった。当地にあるパーキンソン研究所が医学誌最新号に研究成果を発表した。
 研究では、投薬によりパーキンソン病に似た症状を持たせたマウスにニコチン混入飲料を飲ませ、効果を調べた。その結果、運動障害の発生が、ニコチンを与えなかった場合に比べ最大50%抑制されたという。
 ニコチンは毒性が強くそのまま患者に投与できないが、研究者は「ニコチンあるいはニコチン的機能を持つ物質が、パーキンソン病の運動障害への有効な治療薬になり得る」と期待している。
 以前から、喫煙者がパーキンソン病になる比率は非喫煙者の半分程度にとどまることが知られてきた。同研究所はニコチンに焦点を合わせ、その理由の解明に取り組んできた。パーキンソン病患者は米国だけで150万人に上る。

[時事通信 Yahoo!ニュース / 2007年10月25日]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071025-00000085-jij-int

肝臓がん発症、血液で判別、「糖鎖」解析=北海道大学

2007年10月23日 | 医療技術
 生物の細胞を覆う「糖鎖」という生体物質のタイプから、肝臓がんの発症者と健康な人をほぼ確実に見分ける方法を、北海道大の研究グループが発見した。

 臨床的に応用されれば、X線などによる画像診断よりも早期に発症を確認でき、発症前診断につながる可能性もある。近く論文が米国の生化学専門誌に掲載される。

 研究を行ったのは北大先端生命科学研究院の西村紳一郎教授ら。北大病院が保存する肝がん患者83人と健康な20人の血清から糖鎖だけを分離し、発症者に特有の傾向を調べた。

 西村教授らは人の血清中に約40種類ある糖鎖のうち、「分枝型N―グリカン」系と呼ばれる4種類(糖鎖X、Y、Z、W)の構成比に注目。肝がん患者に限って、糖鎖XがYより多くなることがわかった。

 糖鎖のほかの組み合わせでも、同様に、患者だけが多くなるものが複数認められた。

 糖鎖がもつ機能解明の研究は世界的にも数年前から本格化したばかり。西村教授らは2005年、多数のサンプルを用いた大規模解析の手法を全国に先駆けて開発している。

 今年3月、血清から糖鎖を短時間で取り出す装置が完成し、今回が初めての解析だった。

 西村教授は「1000分の1cc程度の血液で分析できるので、健康診断時の採血から調べられる。今後は子宮がんや生活習慣病などにも研究対象を広げていきたい」と話している。

[読売新聞 / 2007年10月23日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071023i401.htm

アルツハイマー進行、高学歴ほど加速度的に=アルバート・アインシュタイン大学(米国)

2007年10月23日 | 脳、神経
 高学歴の人ほど、アルツハイマー病による記憶能力低下は遅い時期に始まるが、いったん低下が始まると、病状の進行度は学歴の低い人に比べ速いことが、米アルバート・アインシュタイン大の研究で明らかになった。

 23日付の米医学誌ニューロロジーで発表した。

 研究チームは「高学歴の人は“認知力の蓄え”があるために、ある一定レベルまで病状が進むまで症状が見えないのでは」と指摘している。

 研究チームは、1980年代からニューヨーク市の高齢者488人に対し、記憶力のテストを定期的に実施。結果的にアルツハイマー病などの認知症と診断された117人について詳しく検討した。

 その結果、教育を受けた期間が1年長いと、記憶能力の低下が始まる時期が約2か月半遅れたが、いったん記憶障害が始まると、記憶低下の速度が教育期間1年あたり4%速まっていた。研究チームは「今回の結果は、患者の症状が速く進むかゆっくり進むかを、アドバイスするのに重要になる」としている。

[読売新聞 / 2007年10月23日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071023i512.htm

エイズ発症の速度を決定する遺伝子発見=テキサス大学(米国)

2007年10月22日 | 遺伝子
【10月22日 AFP】エイズ(HIV/AIDS)ウイルスに感染した人の、エイズを発症する速度を決定する2つの主要遺伝子を特定したとする研究が、21日発行の科学誌「Nature Immunology」に掲載された。

 エイズ確認以来四半世紀にわたり、エイズ発症を促すのは血液内のHIVウイルスで、それが増大しヒトの免疫システムを破壊してしまうことが原因と考えられていたが、今回の研究は、その考え方に修正を促すものになりそう。

 研究では、個人の遺伝子特性が、HIVの複製と、HIVへの身体反応に影響を及ぼすことが明らかになった。

 HIVウイルスと免疫システムの相互作用は、「通常は軽い感染をも致死性のあるものに変えてしまう」と研究者。

 今回特定された遺伝子は「CCR5」と「CCL3L1」。まだ解明されていない他の遺伝子も、同様の役割をになう可能性もあるという。

 「CCR5」は、HIVウイルスがとりつく免疫細胞「CD4」の表面の主要な受容体を制御する。もう1つの「CCL3L1」は、HIVが受容体に付着するのを阻止するケモカイン(chemokine)と呼ばれる分子に信号を送る免疫システムを制御する。

 以前からの研究により、「CCR5」のある種の変異体は、HIVウイルスの侵入を阻止する盾の役割を果たしているらしいことが明らかになっていた。

 2005年には、今回の研究と同じテキサス大学ヘルスサイエンスセンター・サンアントニオ校(University of Texas Health Science Center)のチームが、「CCL3L1」遺伝子の複製の数も、影響を及ぼすことを明らかにしている。

 この遺伝子複製の数には個人差があり、0から5、場合によってはそれ以上のこともあるが、この数が多い人ほどHIVウイルスに感染しにくいということがわかっていた。

 今回の研究でテキサス大学のSunil Ahuja氏を中心とするチームは、好ましい、あるいは好ましくないCCR5の変異体と、CCL3L1の複製の数に基づき、遺伝子的「リスク・グループ」のいくつかを特定。

 その上で、HIVウイルスに感染している米国人患者と健康な人3500人を比較・分析し、どの段階で感染者がエイズを発症するのかを調べ、これを「リスク・グループ」の特徴および免疫反応と比較した。

 感染初期段階では、HIV感染者がAIDSを発症する速度に血液中のウイルスの量が及ぼす影響は9%にとどまった。

 ウイルスの量と同じくらい重要なのは上述の2つの遺伝子の組み合わせのあり方であることも明らかになった。「個人の遺伝子の性質は、HIV1ウイルスの血中量と同じくらい、エイズを発症する速度に影響を及ぼす」とAhuja氏。

 「ウイルスの量が及ぼす影響を考慮してもなお、遺伝子的な要素がエイズ発症の速度に影響を及ぼすのはあきらか」と、共同研究者で同じテキサス大学ヘルスサイエンスセンター・サンアントニオ校のHemant Kulkarni準教授も指摘する。

 また「CCR5-CCL3L1」の特徴は、健康な人の免疫反応にも影響があることがわかり、この遺伝子の組み合わせは、エイズ以外の感染症への身体反応にも影響を及ぼすという結論も導かれた。

 もう1人の共同研究者San Antonio Military Medical Center(サンアントニオ陸軍医学センター)のMatthew Dolan氏によると、今回の発見は個人の遺伝子的特徴に合わせたHIVの薬品とワクチンを作る必要性を補強する点で極めて大きな意味を持つという。

 2006年末の時点で、世界で3950万人がHIVウイルスに感染するか、あるいはエイズを発症していると国連合同エイズ計画(UNAIDS)と世界保健機関(World Health Organisation、WHO)が発表している。(c)AFP

[AFP BB News / 2007年10月22日]
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2301452/2271595

体内時計、真夜中の光はやっぱり禁物=理化学研究所

2007年10月22日 | 心のしくみ
 真夜中に光を浴びると眠れなくなるのは、細胞に組み込まれている体内時計が光の刺激でバラバラになり、機能停止に陥るのが原因であることを理化学研究所などの研究チームが突き止めた。

 この成果は、米科学誌「ネイチャー・セル・バイオロジー」(電子版)に22日掲載される。

 体内時計は人間などの動物に生まれつき備わっている。体を作る細胞はいろいろな「時計遺伝子」を備えていて、心拍や体温などを約24時間周期で調節する。このバランスが崩れると、不眠症などになることもある。

 理研の上田泰己チームリーダーらは、マウスの皮膚細胞を〈1〉網膜のように光を感じる〈2〉朝の活動モードに切り替える時計遺伝子が働くと、細胞自身が発光する――ように改造。そのうえで、改造細胞群に様々なタイミングで光を当てた。

 正常なら細胞群は朝方光り、夜は消えるはずだが、真夜中に光を当てると、朝の発光が少なくなり、体内時計の働きが弱まった。真夜中に光を3時間続けて当てると、体内時計の機能の一部が停止し、個々の細胞がバラバラに光るようになった。

[読売新聞 / 2007年10月22日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071022it01.htm

ローズマリーにアルツハイマー予防効果=岩手大学など

2007年10月22日 | 食品・栄養
 西洋料理などで使うハーブのローズマリーに多く含まれるカルノシン酸に、脳の神経細胞が細胞死するのを防ぐ効果があることを岩手大など日米合同研究チームが突き止め、22日発表する。アルツハイマー病やパーキンソン病の予防や治療をする新薬につながる成果だという。

 米国では、医薬品への応用に向けたプロジェクトが始まった。成分を使ったサプリメントも製品化される予定だ。

 岩手大の佐藤拓己准教授(神経工学)らは、マウスの右脳の動脈をクリップで2時間閉じて人工的に脳の神経細胞が死ぬ状況を作った。カルノシン酸を事前に注射したマウスとしないマウス各9匹で、24時間後に脳の変化を比べた。

 注射しなかったマウスは右脳の52%が壊死(えし)していたが、注射したマウスでは壊死部分が34%にとどまり、カルノシン酸に強い脳細胞保護効果があることを実証した。

 カルノシン酸が細胞死を抑える遺伝子を活性化することも解明し、認知症など脳神経細胞の細胞死に関連する病気の予防や治療に応用できる可能性を示した。

 佐藤准教授は「認知力が衰え始める前に発症を予防できる可能性がある。神経回路を再生する力も高く、治療効果も期待できる」と話している。

[朝日新聞 / 2007年10月22日]
http://www.asahi.com/science/update/1021/OSK200710210042.html

ゾウの長い鼻「秘密」解明!? 危険の臭いかぎ分ける=セントアンドルーズ大学(英国)

2007年10月20日 | 生きもの色々
 【ロンドン=木村正人】アフリカゾウが、体臭や衣類の色で危害を加えられる可能性のあるマサイ族を識別していることが分かった。英セントアンドルーズ大学の研究チームが、アフリカ大陸東部のケニアで調査した結果をオンラインの科学誌に発表した。
 マサイ族には男らしさの証明のためゾウをヤリで突く風習があるなど、アフリカゾウにとっては危険な存在。調査は、マサイ族と、農耕主体でゾウに危害を加えることはまずないカンバ族で比較。それぞれの部族の男性が着用して体臭をつけた服を、アフリカゾウにかがせて反応を見た。
 その結果、アフリカゾウは、マサイ族が着た服のにおいをかいだときの方がはるかに早く、遠くに逃げることがわかった。落ち着きを取り戻すまでの時間も、長くかかった。
 アフリカゾウは色に対しても反応し、マサイ族の伝統的衣装の色である赤い衣類を見せると威嚇的な反応をしたという。白い衣類には反応はしなかった。大きな体のアフリカゾウにとってもマサイ族は、あまり出会いたくない相手のようだ。

[Yahoo!News(産経新聞提供) / 2007年10月20日]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071020-00000911-san-int

満月の光が「合図」 サンゴ産卵の謎とけた=クインズランド大学(オーストラリア)

2007年10月20日 | 生きもの色々
 世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフ(オーストラリア)のサンゴが満月とともにいっせいに産卵する仕組みを、豪州や米国などのチームが突き止めた。体内にある光センサーの一種が、満月の光を「合図」として感知しているという。19日の米科学誌サイエンスに発表した。

 約35万平方キロものサンゴが毎年、10~11月の満月の後の真夜中にいっせいに産卵する。潮流や水温、天候などの変化を手がかりにタイミングを合わせていると考えられてきたが、詳しい仕組みは謎だった。

 豪クインズランド大などは、サンゴにさまざまな色や強さの光を照射する実験をしたり、満月の夜のサンゴの反応を調べたりした。

 その結果、新月から満月まで光が強くなるにしたがってサンゴの体内にあるセンサー役の遺伝子がじょじょに活性化し、満月に合わせて産卵の引き金を引くとわかった。

 この遺伝子は5億年以上前、有害な紫外線から身を守るため原始生物の体内でできたのが起源と考えられている。いまでは昆虫から人間まで幅広い生物の体内時計の制御にかかわっている。

 研究チームは「サンゴはこのセンサーで、(紫外線に近い)満月の青い光を感知し、繁殖のタイミングを合わせている」という。

(写真:グレートバリアリーフのサンゴの産卵=オーストラリア研究評議会(ARC)提供)


[朝日新聞 / 2007年10月20日]
http://www.asahi.com/science/update/1019/TKY200710190433.html

腸内細菌:人では800種類が未知の細菌=東京大学

2007年10月18日 | 生きもの色々
 1000種類に上るとされる健康な人の腸内細菌は8割が未知で、同じ食事をとることが多い家族同士でも細菌集団に大きな違いがあることが、東京大や宮崎大の共同研究で分かった。乳幼児から成人まで日本人13人の腸内細菌の遺伝子を解析し、18日発表した。今後、炎症性腸疾患や大腸がん患者などの腸内細菌と比較することで、予防や診断に役立てる。

 腸内細菌としては大腸菌やビフィズス菌などが知られているが、全体像やその役割はほとんど知られていなかった。

 服部正平・東京大教授(ゲノム科学)らは、生後3カ月から45歳までの健康な13人(乳児4人、幼児2人、成人7人)の大便に含まれる腸内細菌の遺伝子計66万個を解析し、その機能や個人差などを調べた。

 その結果、細菌の8割は未知のものだと推定された。乳児の細菌の遺伝子では、母乳に含まれる糖類やビタミンなどを取り込む遺伝子が増えていたが、離乳した幼児や成人はDNAを修復したり殺菌性物質に抵抗する遺伝子が増えていた。

 DNA修復に関する遺伝子の多さは、食品に含まれる有害性物質が予想以上に存在しているためだと考えられるという。

 生まれたばかりの乳児の腸は無菌だが、母乳を飲み始めると細菌群が生じる。細菌が親から子どもへ伝わる可能性も指摘されていたが、親子や夫婦間で細菌群は似ておらず、それぞれ独自の集団が形成されていた。

 服部教授は「家族間で腸内細菌に大きな違いがあったのは予想外だった。これだけ詳細な腸内細菌の調査は初めてで、食と病気との関係解明などにつなげたい」と話している。【足立旬子】

[毎日新聞 / 2007年10月18日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20071019k0000m040057000c.html

免疫細胞を改造し拒絶反応抑制、マウス実験で成功=理化学研究所

2007年10月17日 | 遺伝子組替マウス
 理化学研究所は、マウスを使った実験で、免疫細胞を改造することにより、骨髄移植後の重い拒絶反応やアレルギー性ぜんそくの抑制に成功したと17日発表した。

 両疾患の根本的な治療につながる成果で、米国の科学雑誌2誌の電子版に掲載された。

 拒絶反応やアレルギー性ぜんそくは、免疫機能が過剰に働いて起きる。

 理研の研究チームは、体に侵入した異物を見つけ、リンパ球に攻撃指令を出す「樹状細胞」という免疫細胞に着目。そのおおもととなる細胞をマウスから取り出した。これに特殊な試薬を加え、リンパ球の暴走を抑える機能を強化した樹状細胞に育て、培養して増やした。こうして改造した樹状細胞を、アレルギー症状を持つマウスと、別のマウスの骨髄細胞を移植したマウスに3回ずつ注射した。

 すると、気道の炎症などぜんそく特有の症状が著しく軽減。骨髄移植マウスは通常の治療薬を使っても90%に拒絶反応が起きたが、樹状細胞を注射したマウスは20%にしか起きず、しかも症状は軽かった。

[読売新聞 / 2007年10月17日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071017i416.htm

9割の確率でアルツハイマー発症の可能性を診断、新診断法を確立=スタンフォード大学(米国)

2007年10月16日 | 医療技術
【Technobahn 2007/10/16 19:46】9割の確率でアルツハイマーの発症の可能性を診断できるという画期的な診断方法の確立に米スタンフォード大学医学部が成功していたことが10日までに、学術専門誌「Nature Medicine」に掲載された論文により明らかとなった。

 スタンフォード大学の研究グループによって開発された診療方法は患者の血液検査を行うことで、将来、アルツハイマーを発症するかが判るというもの。これまでの試験では 9割の確率で今後、6年以内にアルツハイマーが発症する可能性を診断することに成功した。

 研究グループではこの診断方法を臨床の現場で用いるにはまで実験や検証が必要だとしており、米食品医薬品局(FDA)の許認可が必要のない、研究機関向けにこの技術を提供することで、診断法の精度を高めたいとしている。

[Technobahn science news / 2007年10月16日]
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200710161946