ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

風邪ウイルスの作用が明らかに=カルガリー大学、バージニア大学、P&G社ら

2008年10月30日 | 創薬
 普通の風邪の根本的治療につながる新知見が、カナダおよび米国の研究チームにより報告された。普通の風邪は、どこにでも存在するヒトライノウイルス(HRV)が原因だといわれてきたが、実はこのウイルスが鼻水、くしゃみ、咳(せき)などの不快な症状を引き起こしているわけではなく、ウイルスによってヒトの体内の遺伝子活性が変化し、それによって症状が引き起こされるのだという。この知見は、米医学誌「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine(呼吸器・クリティカルケア医学)」11月号に掲載された。
 一般的な風邪の30~50%はHRVが原因であるとされ、喘息などの症状を増悪させることもある。「誰もが風邪には特に害はないと考えており、実際そうなのだが、喘息、気管支炎、肺気腫などの下気道疾患がある人の場合には、風邪のウイルスが急性発作の引き金となり、生命にかかわることもある」と、研究チームの1人、カナダ、カルガリー大学のDavid Proud氏は述べている。

 今回の研究では、35人のボランティアにHRVまたは偽ウイルスのいずれかを注入し、感染前および感染後に鼻上皮から擦過検体を採取した。DNAのマイクロアレイ分析の結果、感染後8時間では遺伝子変化は認められなかったが、2日後には約6,500の遺伝子に変化がみられ、活性が亢進するものもあれば鈍くなるものもあった。ウイルスの存在による影響が特に大きかったのは、気道炎症の一因となる抗ウイルス蛋白(たんぱく)および炎症性化学物質を作る遺伝子であったという。また、最も活性の高かった抗ウイルス蛋白viperinの値は細胞内で2倍以上となり、HRVの複製がviperinによって妨げられることも示された。

「これは、人体がウイルスから身を守るメカニズムとしてこれまで知られていなかった部分である」とProud氏は述べ、この知見が2通りの風邪の治療法につながるとしている。その1つは、症状を引き起こす炎症性遺伝子を特定し、その活性を阻害する方法、もう1つはウイルスとの戦いを助ける鍵となる分子を特定し、その分子の能力を上げたり、外部から補ったりする方法だという。なお、この研究には、米バージニア大学およびP&G社の研究チームが参加している。

 医学誌「Journal of Infectious Diseases(感染症)」11月15日号に掲載された別の研究では、小児の肺感染症による入院の主な原因となる呼吸器合胞体ウイルス(RSV)が、症状が治まった後も体内に残り続けることが判明した。このことが喘息などの慢性気道疾患の原因となるとも考えられ、新しい治療標的となる可能性もあると米テキサス大学サウスウェスタン・メディカルセンター(ダラス)の研究グループは述べている。

原文

[2008年10月24日/HealthDay News]

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[NIKKEI NET いきいき健康 2008年10月30日]
http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm


昔から「風邪と、禿げと、水虫、いずれかの特効薬を創ったらノーベル賞」っていう都市伝説がありましたよね。これ、実現しちゃうのかなあ?
将来、「今日は風邪をひいたのでお休みします」って言い訳が通用しなくなっちゃうのかしら。
(元気な人健康な人前提ですが)たまには風邪くらいひいてくれた方が良いような気もします。卵がゆ作って看病してあげますから。

世界の雑記帳:ブドウに血圧下げる効果、マウスで確認=ミシガン大学

2008年10月30日 | 食品・栄養
 [シカゴ 29日 ロイター] 米国の研究チームが29日、マウスを使った実験で、ブドウに血圧降下と心機能向上を助ける効果がみられたと明らかにした。

 実験は、ミシガン大の心臓保護研究所のミッチェル・セイモア氏のチームがカリフォルニア州のブドウ栽培業者から一部資金援助を受けて実施。結果を学術誌「老年学ジャーナル:生物科学」で発表した。

 研究チームでは、この結果が高血圧の人に対する効果の確認にもつながればと期待している。

[毎日新聞 2008年10月30日]
http://mainichi.jp/select/world/newsinbrief/news/20081030reu00m030001000c.html


ポリフェノールの持つ抗酸化作用は動脈硬化や脳梗塞には効果があります。他にも血中コレステロールを下げる作用や、血圧を下げる作用も知られてきたようです。ブドウ酢飲料の降圧作用は山梨大学でも以前に紹介されていました。
http://www.yamanashi-tlo.co.jp/store_caes/109.pdf
もちろん、動物性脂肪を控えた食生活を心がけるのが大切なのは言うまでもありません。それから、適度な運動も必要だと思います。
食欲の秋からスポーツの秋へ。最近ズボンを買い換えた、身近な人にも強く強く奨めております。

赤い服を着た女性は「より魅力的に見える」=ロチェスター大学

2008年10月29日 | 心のしくみ
【10月29日 ワシントンD.C./米国発 AFP】
 かつて『レディー・イン・レッド(赤いドレスの女)』というバラード曲が大ヒットしたが、このタイトルに全く新たな意味が付与されることになった。男性にとって、赤いドレスを着た女性は「ホット」である、科学的に言えば「魅力的に見える」という研究結果が、28日発表されたのだ。

 米ロチェスター大学(University of Rochester)の研究チームは、若い男性を対象に、「女性を見る目」に赤色がどのような影響を与えるかについて5種類の心理実験を行った。

 実験では、そこそこ魅力的な女性の写真を、背景色だけ赤色、白色、灰色、緑色に変えたものを、被験者に短時間見てもらい、どれがいちばん魅力的かを答えてもらった。すると、赤い背景の女性で最も肉体的・性的魅力を感じるとの回答が多かった。

 次に、赤いシャツを着た女性と、青いシャツを着た同じ女性を見比べてもらった。すると、被験者たちは「赤いシャツを着た女性の方をデートに誘いたい」と回答した。

■赤色と性的魅力の関係性

 研究者らは、こうした「赤色と性的魅力との密接な関係」には生物学的な根拠があるとみている。 

 たとえば霊長類のメスは、排卵期が近づくと、尻などの身体の一部の赤みが増す。これは、オスの気を引くためと考えられ、実際にオスがこうしたメスに発情する傾向が強いことが、研究で確認されているという。

 研究を主導したアンドリュー・エリオット(Andrew Elliot)教授(心理学)らは、今回の研究で、女性が男性に対して抱いてきた印象、つまり「男は性の領域ではケモノになる」との考えが裏付けられたとしている。

 研究はまた、男性たち自身は「女性には思慮深さと洗練さをもって接している」と考えたがるけれども、彼らの女性の好みは少なくともある程度までは「原始的」であるようだ、と結論付けている。(c)AFP

[AFP BB News 2008年10月29日]
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2533200/3477599

超多剤耐性結核:菌に効果の化合物開発=微生物化学研究会

2008年10月28日 | 創薬
 4種類以上の抗生物質が効かない超多剤耐性結核菌に効果のある化合物を、財団法人微生物化学研究会(東京都品川区)などが開発した。2012年の臨床試験開始を目指す。治療薬ができれば非営利で普及させるという。

 超多剤耐性結核は世界約50カ国で確認され、毎年5万人近くが発病しているとされる。有効な治療薬がなく、国内では02年、3122人の結核患者のうち17人から、この結核菌が検出されている。

 同研究会は抗結核薬「カプラザマイシン」から、より活性を高めた化合物「CPZEN-45」を作った。10種類の治療薬に耐性がある結核菌に感染させたマウスに投与したところ、何も与えなかったマウスに比べて、菌が100分の1に減少、副作用も確認できなかったという。

 同研究会の赤松穣・微生物化学研究センター長(生化学)は「より耐性菌が出にくいように、複数の治療薬を組み合わせる投与法も考えたい。非営利で取り組むことで、臨床試験に協力してくれる機関が出てくることを期待している」と話している。【関東晋慈】

[毎日新聞 2008年10月28日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20081029k0000m040036000c.html

肝がん細胞を光らせ切除 再発防止へ新手法開発=大阪府立成人病センター

2008年10月28日 | 可視化技術
 肝臓がんの手術中にがん細胞だけを光らせることで残らず切除する手法を大阪府立成人病センター(大阪市)の研究チームが開発した。28日から名古屋市で開かれる日本癌学会で発表する。

 微小な肝がんを取り残すと約7割が5年以内に再発するとされ、センターは「手術後の再発防止につながりそうだ」としている。

 チームは、肝機能検査で使う試薬「インドシアニングリーン」が肝がん細胞に一定期間とどまるのを発見。光学機器メーカー「浜松ホトニクス」(浜松市)の小型赤外線カメラで患部を観察するとがん細胞だけが光って見え、従来は見つけることができなかった5ミリ以下のがん組織を手術中に見つけるのに成功した。

 昨年2月からセンターで肝がん手術を受けた患者39人にこの手法を適用。うち7人で手術前の検査で見つからなかった新たながんを発見、切除したという。

[共同通信47NEWS 2008年10月28日]
http://www.47news.jp/CN/200810/CN2008102801000329.html

がん細胞増殖の仕組み解明=愛知医科大学

2008年10月28日 | 癌、腫瘍
 がん細胞の増殖に重要な働きをするタンパク質を、愛知医科大の笠井謙次准教授らのグループが突き止めた。このタンパク質を制御する薬物が開発されれば、膵臓(すいぞう)がんのような難治性がんの治療も期待できるという。成果は米国がん専門誌に掲載、28日に名古屋市で始まった日本癌(がん)学会で29日に報告される。

 がん細胞内にあるタンパク質「GLI1」は単独で核内に入り込むと、がん細胞の増殖を活発化させる。正常時に、GLI1はタンパク質「SUFU」と結びつき、核内に入っても働きが抑えられている。SUFUとの分離が、がん細胞増殖の引き金となっていたが、その原因は不明だった。

 笠井准教授らは、がん細胞の増殖が始まると、タンパク質「SIL」が過剰に合成されることに気付いた。そしてSILはSUFUと結合し、GLI1を外す役割をしていることを突き止めた。SILを人為的に破壊すると、SUFUが再びGLI1と結合し、がん細胞の増殖は停止した。

 SILが合成される仕組みは不明だが、笠井准教授は「SILの発生を抑える薬物が開発されれば、将来的にがんを抑制できる」と話している。

◆非常に興味深い
 <高橋雅英・名古屋大大学院医学系研究科教授(腫瘍=しゅよう=病理学)の話> 難治性のがん細胞が増殖していくメカニズムを解明した非常に興味深い研究成果だ。薬物開発には、さまざまなステップをクリアする必要があるが、膵臓がんの新しい治療法開発に大きな可能性を持たせる。

[中日新聞Web 2008年10月28日]
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008102802000259.html

カフェイン:痛み緩和の効果見つかる=自然科学研究機構

2008年10月28日 | 脳、神経
 コーヒーの成分のカフェインにヒトの痛みを和らげる効果のあることが、自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の久保義弘教授らの研究で分かった。カフェインを使った新しい鎮痛薬の開発につながる可能性がある。米国科学アカデミー紀要(電子版)で今週発表する。

 痛みを感じる代表的なヒトのタンパク質TRPA1に、カフェインを投与すると、通常よりも反応が鈍くなった。さらに、TRPA1に痛みを感じさせるマスタードを投与して刺激させた後、カフェインを投与すると反応が抑えられた。実験で使ったカフェイン濃度は水1リットル当たり2グラム。

 カフェインには覚せいや利尿などの作用があるが、久保教授によると「ずきずきする痛みなどを抑える新しい作用が分かった」という。ただ「実験では投与する濃度が高く、ほかの作用も効きすぎてしまうため、薬を開発するには課題も多い」とも説明している。

 一方、マウスのTRPA1に同様にカフェインを投与すると、活性化して痛みが増え、ヒトとは正反対の反応を示した。ヒトのTRPA1と構造の一部が違うためで、久保教授は「マウスを使った実験でも、カフェインが痛みに影響を与える新しい作用が分かった」と注目する。【中村宰和】

[毎日新聞 2008年10月28日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20081028k0000e040058000c.html

オゾン殺菌でバクテリア退治、免疫治療に期待=京都大学

2008年10月26日 | 免疫
 水道水の浄水などで行われているオゾン(O3)殺菌が人の体内でも行われていることが、京都大医学研究科の山下浩平助教(血液内科学)らの研究で分かった。白血球の一つの「好中球(こうちゅうきゅう)」が自分の細胞内でオゾンを作り、バクテリア退治の「武器」にしているという。米国科学アカデミー紀要に21日発表した。

 白血球「好中球」

 好中球は、「スーパーオキシド」などの活性酸素を細胞内で作り、体内に侵入したバクテリアや細菌を食べ活性酸素の力で分解して殺している。

 山下助教は、スーパーオキシドを作ることができない病気の患者の好中球の働きを調べ、好中球がオゾンを作っていることを見つけた。体内の細胞がオゾンを作っていることが分かったのは世界で初めて。バクテリアが増えて殺菌が追いつかなくなると、活性酸素に加えてオゾンも作って武器を増やしているらしい。

 好中球にアミノ酸「トリプトファン」などを投与すると、オゾンをたくさん作ることも分かった。山下助教は「白血病などで好中球が減っている患者にアミノ酸を使って免疫力を向上させる治療法も可能性がある」と話している。

[京都新聞 2008年10月26日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008102100102&genre=G1&area=K00

長期体罰の子、脳が萎縮=熊本大学、ハーバード大学

2008年10月24日 | 心のしくみ
 子どものころ長期にわたり強い体罰を受けた人は、受けていない人より脳の前頭葉の一部が最大で約19%縮んでいるという研究結果を、熊本大大学院医学薬学研究部の友田明美准教授(小児発達社会学)が米ハーバード大医学部との共同研究でまとめた。体罰と脳の萎縮(いしゅく)の因果関係を実証した研究として、体罰のあり方に一石を投じることになりそうだ。

 友田准教授は筑波大(茨城県つくば市)で開かれている「都市化社会と脳の健全育成」を主題としたシンポジウムで25日、研究結果を発表する。11月に米ワシントンでも学会発表の予定。

 研究は米国で、4~15歳のころに平手打ちされたり、むちで尻をたたかれたりするなどの体罰を年12回以上、3年以上にわたって受けた米国人の男女23人を対象に実施。磁気共鳴断層撮影装置(MRI)で脳の断面図を解析したところ、体罰を受けず育った同年代の22人に比べ、感情や意欲の動きにかかわる前頭前野内側部が平均19.1%、集中力や注意力にかかわる前帯状回が16.9%、認知機能にかかわる前頭前野背外側部が14.5%小さかった。

 小児期に過度の体罰を受けると行為障害や抑うつなどの精神症状を引き起こすことは知られているが、脳への影響は解明されていなかった。今回の研究で脳の萎縮がみられた人については、体罰でストレス下に置かれた脳が、前頭葉の発達を止めたと考えられるという。

 友田准教授は「研究結果は虐待の早期発見に生かせるのではないか」と話している。

■虐待発見に役立つ

 子どもの虐待に詳しい才村純・関西学院大学人間福祉学部教授(児童福祉・母子保健)の話 虐待が子どもに与える影響を客観的な証拠で示した画期的な研究だ。子どもが虐待の事実を言い出せず、親も隠したり認識がなかったりして見落とされる事例は多い。脳との因果関係を裏付けることができるなら、隠れた虐待の発見に役立つだろう。研究成果が今後、教育や福祉の分野で普遍化されていくことを期待する。

[朝日新聞 2008年10月24日]
http://www.asahi.com/science/update/1024/SEB200810230015.html

グリア細胞による神経活動の調節機構を解明、アルツハイマー病などの治療薬開発に期待=理化学研究所

2008年10月24日 | 脳、神経
 理化学研究所脳科学研究センターと金沢大大学院医学系研究科の研究グループが、ニューロン(神経回路)と共に脳を構成している「グリア細胞」の中で最も数が多い「アストロサイト」が、神経活動の強化に伴って「S100B」というタンパク質を分泌し、神経活動を調節していることを発見した。「S100B」は、アルツハイマー病やてんかんなど神経疾患患者の脳脊髄液で濃度が高く、理研では、「今回の研究が、神経疾患の予防や治療薬の開発に寄与できる」としている。成果は、米国の科学雑誌「The Journal of Neuroscience」に掲載された。

 「グリア細胞」は、人間の脳細胞の半数以上を占め、脳構造と共に、脳内の代謝などを維持すると考えられている。この中の「アストロサイト」は、神経伝達の“主役”のニューロンと同様に、種々の神経伝達物質を放出し、神経活動を調節しているとみられていたが、「アストロサイト」に特異的に発現する「S100B」の機能は不明だった。

 アルツハイマー病やてんかんなど神経疾患患者の脳脊髄液に含まれる「S100B」の濃度が高いことから、研究グループは、「S100B」が脳の神経活動に影響を及ぼしていると予想。「S100B」を欠損させたマウスに、けいれん脳波を誘発する「カイニン酸」を投与した。記憶などにかかわる脳の「海馬」で、けいれん脳波を計測したところ、マウスの脳波の振幅が減少していた。マウスに「S100B」を注入すると、「カイニン酸」投与時の脳波の振幅が増大した。

 また、「海馬」をスライスした標本から、細胞外に分泌された「S100B」の濃度を測定。その結果、「カイニン酸」投与後に、細胞外の「S100B」の濃度が5倍以上増加していた。「海馬」では、「アストロサイト」だけに「S100B」が発現しており、増加した「S100B」は、「アストロサイト」から分泌されていることが分かった。

 さらに、ニューロン間の接合部のシナプスからの神経伝達物質の放出を阻害すると、「S100B」の分泌量が減少。神経活動の強化に伴ってシナプスから放出された神経伝達物質を「アストロサイト」が感受して、「S100B」の分泌が起きていることが分かった。

 これらを通じ、理研では、「『S100B』が、神経活動の強化に伴って分泌されることや、分泌された『S100B』が、『アストロサイト』からニューロンへのシグナル伝達物質として働き、脳内で神経活動を調節していることが明らかになった。今回の発見は、アルツハイマー病など神経疾患の予防などに役立てることができる」としている。



[Yahoo!ニュース/医療介護CBニュース 2008年10月24日]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081024-00000006-cbn-soci

理化学研究所 プレスリリース
脳内のグリア細胞が分泌するS100Bタンパク質が神経活動を調節
- グリア細胞からニューロンへの分泌タンパク質を介したシグナル経路が活躍 -
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2008/081022/index.html
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2008/081022/detail.html

マウスの記憶の選択消去に成功、PTSDの治療に有効か=ジョージア医科大学

2008年10月23日 | 心のしくみ
【10月23日 ワシントンD.C./米国発 AFP】
米ジョージア医科大学(Medical College of Georgia)はマウスを使った研究で、マウスの記憶を選択的に消去することに成功したと、23日発行の医学誌「セル・プレス(Cell Press)」に発表した。PTSD(心的外傷後ストレス障害)など、記憶に起因する障害の治療に応用されることが期待される。

 記憶は通常、獲得・連結・保持・想起(再生)の4段階に分けられる。各段階で一定の役割を果たすとみられる「記憶分子」は、これまでの研究ですでに特定されている。

 今回、研究チームは、この記憶分子と呼ばれるタンパク質の一種、「CaMKII(カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII)」の活動を短時間で操る化学的な技術を開発した。CaMKIIは脳細胞間の伝達において重要な役割を果たし、学習・記憶におけるあらゆる局面に作用する。

 チームは、CaMKIIを大量生産するように遺伝子を組み換えたマウスで、短期的・長期的な恐怖の記憶や、新たな物体認識の記憶の再生を操作できるかどうか試験した。この結果、記憶が刺激されたときに、マウス脳内のCaMKIIを操作できることを確認した。さらに脳が刺激に関連する記憶を再生する能力を観察した。

 CaMKIIの操作によってチームは、刺激に関連する記憶の再生を遮断するだけではなく、その他の記憶再生能力にはまったく影響を与えずに、該当する記憶だけを消去する技術を発見した。

 研究を主導した同大のジョー・チェン(Joe Tsien)氏は、「記憶の選択消去はもはやサイエンスフィクションの世界だけのものではない」と語る。チェン氏は1999年に学習・記憶能力を強化した遺伝子操作マウス「ドギー(Doggie)」を開発したことでも知られる。

 同チームは、今回開発した新技術はまだごく初期の段階にあると強調するが、将来的には戦争帰還兵などのトラウマ的記憶や深層心理に根付いた恐怖を消去するなど、PTSDなどの治療に役立てられることが期待されている。(c)AFP

[AFP BB News 2008年10月23日]
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2531231/3457955

白血病薬アレムツズマブ、多発性硬化症にも効果=ケンブリッジ大学

2008年10月23日 | 創薬
【10月23日 ロンドン/英国発 AFP】
 英ケンブリッジ大(University of Cambridge)の研究チームは23日、白血病治療用に開発された薬剤アレムツズマブが、多発性硬化症(MS)にも効果があるとの発見を報告した。多発性硬化症の進行を阻止するだけでなく、回復も促進するという。

 多発性硬化症は自己免疫疾患の一つと考えられており、白血球やリンパ球などの免疫系が中枢神経系の神経線維を攻撃してしまう結果、視力の低下や四肢のまひ、疲労といった身体障害のほか、抑うつや認知障害などを起こす。患者数は世界で数百万人とされ、英国では10万人、米国では40万人が発病している。

 試験では、アレムツズマブによって発症回数が減り、さらに障害を起こした機能が回復した。破壊された脳組織が修復されたためで、研究開始時よりも患者の健康障害が改善した。

 今回の研究を多方面で準備した同大臨床神経科学部の講師、アラスデア・コール(Alasdair Cole)博士は、「脳組織の修復を促進するMS治療薬の存在はかつてなかった。十分早期に使用されれば、MSの進行を停止すると同時に、組織修復により失われた機能も回復させる薬だ」と期待する。

 英国最大の患者支援団体、多発性硬化症協会(MS Society)の主任研究員リー・ダンスター(Lee Dunster)氏は、今回の試験結果に対し、市販薬として承認を受けるまでにはさらなる研究が必要だとしながらも「MS治療で病状の進行を止める可能性がある薬は初めて。(アレムツズマブは)さらに機能回復効果もあるという。毎日症状に苦しんでいる人たちにとって、この上ない朗報だ」と歓迎を表明した。(c)AFP/Alice Ritchie

[AFP BB News 2008年10月23日]
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2531500/3458248

たばこの煙、ぜんそく起こす仕組み解明=山梨大学

2008年10月23日 | 免疫
山梨大医学部グループ、学会誌に掲載 研究者「発症予防につながる」

 山梨大は22日、同大医学部の中尾篤人教授(45)の研究グループが、たばこの煙がぜんそくを引き起こすメカニズムを解明し、研究内容が米アレルギーぜんそく免疫学会誌電子版に掲載された、と発表した。喫煙がぜんそくの発症原因になることは確認されていたが、その仕組みはこれまで分かっていなかった。
 中尾教授の研究グループは、体内で免疫の働きを調節するタンパク質の1つで、アレルギー型の免疫反応を起こさせる「TSLP」に注目。マウスの鼻にたばこの抽出物を付けて喫煙状態にし、ぜんそくを引き起こす過程を調べることで、喫煙によって肺の中にTSLPがつくられることを証明した。
 さらに、たばこの煙だけではぜんそくは発症せず、ダニなどアレルギーの原因物質(アレルゲン)を喫煙時に吸い込むことが、発症条件になることも分かった。
 喫煙するとアレルゲンが体内に入りやすくなり、TSLPの作用とともにアレルギー型の免疫反応を引き起こす。たばこの煙成分が細胞の障壁機能を弱めている可能性があるという。

[山梨日日新聞WEB版 2008年10月23日]
http://www.sannichi.co.jp/local/news/2008/10/23/5.html

ブタの細胞人体移植実験を許可、糖尿病治療開発に向け=ニュージーランド

2008年10月22日 | 医療技術
【10月22日 ウェリントン/ニュージーランド発 AFP】
ニュージーランド政府は21日、ブタの細胞を人体へ移植する臨床実験を認可した。糖尿病の画期的な治療法に道を開くものとして期待される。


 異種間移植として知られるこの方法は糖尿病患者にとって大きな可能性を秘めていると、デービット・カンリフ(David Cunliffe)保健相は指摘。「ニュージーランドが糖尿病の治療および異種間移植の双方で、世界のリーダー的立場に立つことができる重要な新技術だ」と強調した。

 バイオテクノロジー企業、リビング・セル・テクノロジーズ(Living Cell Technologies Ltd、LCT)は、1型糖尿病の治療でインシュリンの分泌を促進するため、ブタのすい臓から採取した細胞を移植したい考えだ。

 LCTによると、前年にニュージーランドのブタの細胞を移植された5人のロシア人患者では、1日あたりのインシュリン注射の必要量が23-100%減少し、うち4人では血糖値が正常に保たれるようになったという。

■心配される感染症

 だが、この技術は糖尿病患者に大きな恩恵をもたらす可能性がある一方で、ブタのウイルスが人体で広がって感染症を引き起こす恐れもあるため、激しい議論を呼んでいる。
 
 ニュージーランド医師会(New Zealand Medical Association)は2005年、移植によりブタのウイルスが人体に感染すると、数百万人が死亡する可能性があると指摘した。これに対しLCTは、細胞は、オークランド島で150年以上にわたり隔離されて飼育された系統の子ブタから採取されるため、そうしたリスクは低減できるとしている。 (c)AFP

[AFP BB News 2008年10月22日]
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2530919/3454571

心疾患の3分の1、ジャンクフードが原因の可能性=マクマスター大学

2008年10月21日 | 食品・栄養
[ワシントン 20日 ロイター]
 世界の心疾患の35%は、揚げ物や塩分の多いスナック菓子、肉といった食品が原因となっている可能性があるという研究結果が明らかになった。加オンタリオ州のマクマスター大のサリム・ユースフ博士のチームが専門誌「Circulation」で発表した。 

 同チームでは1999年2月から2003年3月にかけて、初めての心臓発作を起こしたばかりの患者5700人を含む1万6000人を対象に、血液検査と食生活に関するアンケート調査を実施。

 52カ国の人々について行った研究によると、肉や卵を基本とした「西欧の」食事やジャンクフードを多く摂取したグループは心臓発作を起こしやすく、果物や野菜を多く摂った人々は心臓発作のリスクがより低かった。

 同チームではまた、豆腐を多く摂る食事について、ナトリウムが多く含まれるため心疾患予防という観点からは良くも悪くもないとしている。

[ロイター 2008年10月21日]
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-34426420081021