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医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

「新薬は高く、古い薬は安く」 製薬業界が薬価制度案

2007年06月13日 | 創薬
 新薬メーカーを中心につくる日本製薬工業協会が、厚生労働省に新しい薬価制度を提案したことが13日わかった。治療効果が高い新薬には製薬会社が付けた高い薬価を特許期間中維持することと、特許が切れた薬の大幅な値下げをセットにした。15年の導入を目指しているが、値下げ対象になる後発医薬品や、新薬が出にくい中堅以下のメーカーの反発は必至だ。

 現行の新薬の値決めは原則的に、既存の同分野の薬価をもとに「画期性」「有用性」を評価して加算するが、製薬会社側には「加算幅が大きいとは言えない」(製薬大手)との不満がある。

 製薬協は、効き目が高い新薬は製薬会社が説明責任を負い値付けをする新方式を提案。その新薬の特許期間中は、2年に一度の値下げの対象外にすることも求めている。特許切れの薬で今以上の値下げを進めれば、保険財政の負担増は抑えられる、としている。

 新薬開発では、審査の厳格化から臨床試験(治験)費用が増える一方、副作用への懸念などから商品化の確率は低下している。このため、製薬大手を中心に、数少ない新薬で確実に投資を回収したいという思惑がある。

 製薬協会長の青木初夫・アステラス製薬共同会長は、新制度について「特許切れ薬に頼った経営ではなく、これまでにない新薬を出すことでしか生き残れないよう退路を断つ」と話す。

[朝日新聞 / 2007年06月13日]
http://www.asahi.com/life/update/0613/TKY200706130346.html

「新薬は高く、古い薬は安く」 製薬業界が薬価制度案(朝日新聞) - goo ニュース

おなかの細菌が餌を決める、大豆の害虫マルカメムシ=産業技術総合研究所

2007年06月13日 | 生きもの色々
 大豆など豆類の害虫として知られるマルカメムシの餌の好みは、虫自身の遺伝子ではなく腸内に共生する細菌が決めているとの研究結果を、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の研究グループが13日付の英王立協会紀要(電子版)に発表した。害虫被害を抑える手掛かりになるかもしれないという。

 研究によると、雌が植物に卵を産む際、腸内共生細菌を封入したカプセルを隣に産み付ける。ふ化した幼虫は口先をカプセルに突き立てて共生細菌を吸い取ることで感染する珍しい生態。

 大豆も食べるが主食ではないタイワンマルカメムシと、大豆を食べるマルカメムシの2種類を大豆の鉢で飼育したところ、タイワンマルカメムシはふ化率が大きく低下。ところが、双方の卵の隣にある共生細菌カプセルを交換すると、タイワンマルカメムシのふ化率は正常に戻り、マルカメムシのふ化率が低下した。大豆から栄養を取り込む能力が細菌によって左右されたためとみられる。(共同通信)

(写真説明: カプセル(黒い部分)に口先を突き立て、共生細菌を摂取するマルカメムシの幼虫=産業技術総合研究所提供)


[京都新聞 / 2007年06月13日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007061300017&genre=G1&area=Z10

産総研:プレスリリース 2007年06月13日発表

■共生細菌による昆虫の害虫化の発見
-昆虫自身の遺伝子ではなく腸内共生細菌によって決まる食餌-
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2007/pr20070613/pr20070613.html

コレステロールで脳発達、ラット実験=産業技術総合研究所

2007年06月13日 | 脳、神経
 脳の神経細胞に含まれるコレステロールが増えると、神経細胞が発達するとのラットの実験結果を、産業技術総合研究所関西センター(大阪府池田市)の小島正己主任研究員らがまとめ、13日発表した。

 神経細胞を成長させるタンパク質「BDNF」の働きで、神経細胞のコレステロールが増えることも分かった。小島研究員は「コレステロールとの関係が注目されるアルツハイマー病など、脳疾患の治療薬開発につなげたい」と話している。

 小島研究員らは、ラットの脳から神経細胞を取り出し実験。BDNFを加えると、3日後にコレステロールが4割増えた。この神経細胞では、ほかの神経細胞との接合部(シナプス)で神経伝達物質を放出する「シナプス小胞」の数が2・5倍に増え、情報伝達をする物質が増加し、細胞が発達した。(共同通信)

[京都新聞 / 2007年06月13日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007061300123&genre=G1&area=Z10

産総研:プレスリリース
■脳の発達には脳内コレステロール合成が欠かせないことを発見

(ポイント)
脳機能の発達には、神経細胞内におけるコレステロール合成の促進が重要であることを発見した。
コレステロール合成を促進するのは、脳の成長因子(BDNF)である。
コレステロール代謝と脳の成長因子の関係は、脳疾患の治療薬開発に新たな指針を与える可能性がある。
(概要)
 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)セルエンジニアリング研究部門【部門長 三宅 淳】小島 正己 主任研究員は、独立行政法人 科学技術振興機構(以下「JST」という)鈴木 辰吾 研究員と産総研 脳神経情報研究部門【部門長 岡本 治正】脳遺伝子研究グループ 清末 和之 主任研究員らとともに、神経細胞内において脳の成長因子によってコレステロール合成が促進される新しいメカニズムを発見した。
 今回の発見は、脳シナプスにおける神経伝達(図1)が発達していくためには、神経細胞内のコレステロール合成が促進されることが重要であり、その促進因子として脳の成長因子(BDNF)が働いていることを見いだしたものである。
 さまざまな脳疾患に共通する機能障害として神経伝達の変調や発達障害があり、コレステロール合成と神経伝達の関係の発見はこれら疾患の治療薬開発に新たな指針を与える可能性がある。
 本研究の成果は、平成19年6月13日(アメリカ東部時間)に、米国の国際雑誌 The Journal of Neuroscience電子版に掲載される。

(図1説明)
 神経細胞の電気的な活動によって「シナプス終末」から放出された神経伝達物質が「シナプス後細胞」に存在する受容体を活性化する。今回、脳の成長因子(BDNF)によるコレステロール合成の促進が、神経伝達物質の放出メカニズムの成熟に重要であることを見出した。

http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2007/pr20070613_2/pr20070613_2.html

コレステロール、脳に必須 伝達機能高める 実験で確認(朝日新聞) - goo ニュース

飲むワクチン:コメで開発 遺伝子を組み込み、注射要らずコスト安=東京大学医科学研究所

2007年06月13日 | 食品・栄養
 コレラ菌の遺伝子を組み込んで育てたコメを粉末にした「飲むワクチン」を東京大医科学研究所などが開発、マウス実験で効果を確認した。注射しなくてすみ1年以上の常温保存が可能。開発途上国での感染予防に役立つと期待される。

 コレラ菌に感染すると免疫ができ、2度目以降は発症しにくくなる。同研究所の清野宏教授(粘膜免疫学)らは、コレラ菌の一部をつくる遺伝子をイネに組み込んで栽培、できたコメを摂取することでワクチンとする方法を考えた。

 このコメを粉状にしてマウスに与えた後、コレラ菌に感染させたところ、下痢などの症状は出ず、コレラ菌に対する免疫が確認された。

 ワクチン作りではこれまで、ジャガイモなどを遺伝子操作する手法が使われてきた。コメは常温保存が可能なうえ、医師が注射する必要もなく、コスト面や2次感染の心配もない。

 組み込む遺伝子を替えればインフルエンザなど他の感染症にも対応できるという。【関東晋慈】

[毎日新聞 / 2007年06月13日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070613ddm003040035000c.html