小腸から栄養素を細胞に送り込むトランスポーターなどの分布を決めているたんぱく質を、群馬大生体調節研究所などのグループが突き止めた。生後間もなく栄養が吸収できなくなる病気の治療への応用や、同たんぱく質の機能調整で栄養吸収を抑制し肥満改善に役立つ可能性があるという。研究成果は28日、英科学誌「ネイチャー」電子版に掲載される。
小腸から栄養素を細胞に送り込むトランスポーター(たんぱく質)や酵素は小腸内壁に集中して分布している。一方、分布を決めている物質は特定されていなかった。
同グループの実験では複数の候補物質のうち「ラブ8」というたんぱく質をなくしたマウスが栄養失調になり、生後3~4週間で死んだ。このことから「ラブ8」を失うと、小腸内壁に集中分布するトランスポーターや酵素が細胞内部にとどまったまま機能せず、糖分やアミノ酸をほとんど吸収しなくなった。
これは、小腸内壁細胞の絨毛(じゅうもう)が萎縮(いしゅく)する先天性疾病「微絨毛萎縮症」とよく似た症状で、実際、同症患者の小腸細胞ではラブ8が大幅に減っていた。同グループは「さらに研究の余地がある」としながらも、ラブ8の機能を抑える薬品を開発できれば、肥満改善に役立つと期待している。【塩崎崇】
[毎日新聞 / 2007年06月28日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20070628k0000m040179000c.html
小腸から栄養素を細胞に送り込むトランスポーター(たんぱく質)や酵素は小腸内壁に集中して分布している。一方、分布を決めている物質は特定されていなかった。
同グループの実験では複数の候補物質のうち「ラブ8」というたんぱく質をなくしたマウスが栄養失調になり、生後3~4週間で死んだ。このことから「ラブ8」を失うと、小腸内壁に集中分布するトランスポーターや酵素が細胞内部にとどまったまま機能せず、糖分やアミノ酸をほとんど吸収しなくなった。
これは、小腸内壁細胞の絨毛(じゅうもう)が萎縮(いしゅく)する先天性疾病「微絨毛萎縮症」とよく似た症状で、実際、同症患者の小腸細胞ではラブ8が大幅に減っていた。同グループは「さらに研究の余地がある」としながらも、ラブ8の機能を抑える薬品を開発できれば、肥満改善に役立つと期待している。【塩崎崇】
[毎日新聞 / 2007年06月28日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20070628k0000m040179000c.html