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体内カルシウム:濃度制御のたんぱく質解明=京都大学

2007年06月15日 | 蛋白質
 ほ乳類の体内のカルシウム濃度の維持、調節を担う根本的な機能を「αクロトー」というたんぱく質が持っていることを、京都大の鍋島陽一教授(分子生物学)らの研究チームが明らかにした。カルシウム濃度は、ビタミンDやPTHといったホルモンによって調節されるメカニズムは分かっていたが、今回、ホルモンを使わない調節機構を明らかにし、更に個々の調節メカニズムを統合的に制御するシステムを解明した。鍋島教授は「ビタミンDやPTHの発見以来、60~70年を経てカルシウム調節の統一的原理が解明された」としている。15日、米科学誌「サイエンス」で発表される。

 カルシウムはほ乳類の体に必須の分子で、極端に不足すると心臓や神経の活動が停止するため、体内の濃度は厳密にコントロールされている。

 鍋島教授らは97年、カルシウム代謝異常によって、さまざまな病的老化症状を起こす遺伝子としてαクロトーを発見。その機能を調べていた。

 αクロトーは、腎臓と脳、首にあるカルシウム調整に深くかかわる臓器3カ所にほぼ限定して発現することを発見。細胞内の「ナトリウム(Na)ポンプ」という分子と結合、複合体を作っていることを突き止めた。

 この複合体は、腎臓と脳では、細胞内のカルシウムを適時排出し、血液と脳を浮かべる脳脊髄(せきずい)液などで濃度を調整していた。また、血液中のカルシウム濃度を上げるホルモンPTHの分泌を促す機能も持ち、αクロトー単体でも腸でのカルシウム吸収量調節などの働きがあるビタミンDの活性化の調節をするなど、あらゆるカルシウム調整機能の“司令塔”の役目を担っていることも分かった。【奥野敦史】

[毎日新聞 / 2007年06月15日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/archive/news/2007/06/20070615ddm003040009000c.html


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