ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

喫煙は精子を損傷、子孫のDNAに悪影響も=カナダ保健省

2007年06月02日 | 癌、腫瘍
 [ワシントン 2日 ロイター] 喫煙によって精子が損傷を受ける可能性があり、遺伝子を通じて子供へも悪影響があるという研究結果が報告された。カナダ保健省の研究者が今週発行の学術誌「Cancer Research」で発表した。

 マウスを使って実験を行った同研究によると、たばこの煙が精子の細胞のDNAに変異を起こすことが分かったという。こういった突然変異は、遺伝情報に永久的な変化をもたらすとされている。

 同研究の責任者で、保健省の環境職業毒性学担当のキャロル・ヨーク氏は、「これらの変異が遺伝したら、子孫の遺伝的構成物の中に不可逆変化として存続します」と指摘。「母親の喫煙が胎児に悪影響することは周知のことですが、父親による喫煙の方も、それが母親と出会う前であれ、子供に悪影響を与える可能性が示されました」と述べた。

[ロイター海外ニュース / 2007年06月02日]
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-26253220070603

エチゼンクラゲに抗菌・保湿の成分 医薬品などに利用も=理化学研究所

2007年06月02日 | 生きもの色々
 巨大なエチゼンクラゲをはじめ、クラゲ全般に「ムチン」という糖たんぱく質が豊富に含まれていることを、理化学研究所の丑田(うしだ)公規研究ユニットリーダーのチームが確かめた。さまざまな動物の粘液などに含まれるムチンは抗菌作用や保湿効果があり、医薬品や食品添加物などへの利用に期待できる。すでに複数の企業と事業化を検討している。

 米化学会と米薬学会が共同出版する科学誌電子版に近く発表される。

 エチゼンクラゲは傘の直径が約2メートルもあり、重さ100キロ以上はあるという。日本海沿岸では毎年、数万トンから数十万トンの規模で発生しているとみられ、底引き網の損傷などの被害が出ている。ほかのクラゲも、大量発生して原発や火力発電所の取水口を詰まらせたりする。

 チームは、こんな厄介者の有効活用を目指し、エチゼンクラゲを含む8種類のクラゲに有用物質が含まれていないか探索した。その結果、調べたクラゲすべてのほぼ全身からムチンを見つけた。

 ムチンはオクラやサトイモなどのヌルヌル成分として知られる。細菌やウイルスを認識して、攻撃から守る作用や保湿、洗浄作用がある。医薬品や化粧品、食品添加物など数多くの目的に使えると期待され、一部は商品化されている。

 ムチンはブタやウシなどの口や鼻、胃腸などの粘液にも含まれ、現在はそれらから製造されているが、未知の感染症などの心配がある。

 クラゲ由来のムチンは、そのような問題は今のところ見つかっておらず、重さ100キロのクラゲなら数十グラムも取れる。採取コストを10分の1ほどに下げられれば、産業化が可能だという。

(写真:有用成分を多く含むことが分かったエチゼンクラゲ)

[朝日新聞 / 2007年06月02日]
http://www.asahi.com/science/update/0602/TKY200706010394.html

がん抑制 タンパク質発見 世界初=千葉大学

2007年06月02日 | 癌、腫瘍
 ヒトの細胞のがん化を止める働きを持ったタンパク質「DA-Raf(ディーエー・ラフ)」の存在を、千葉大大学院理学研究科の遠藤剛教授らの研究グループが世界で初めて発見していたことが1日分かった。4日付の米科学誌「ジャーナル・オブ・セルバイオロジー」に発表される。

DA-Rafを形成する遺伝子ががん抑制遺伝子である可能性が高く、がんの遺伝子治療や薬物治療への応用が期待される。

 遠藤教授によると、ヒトの細胞ががん化する過程は、細胞内の遺伝子の突然変異によって「Ras」と呼ばれるタンパク質が常に活性された状態になり、細胞の異常増殖によるがん化が進行するというケースが約3分の1を占める。

 DA-Rafは、活性化したRasタンパク質に結合し、細胞の異常増殖の進行を阻害することでがん化を抑制するタンパク質で、細胞の増殖や分化、がん化などさまざまな生命現象を細胞内で制御している「Ras・マップキナーゼ経路」を遮断する働きがあるという。

 がんを抑制するため分子細胞生物学の研究を進める過程で、まずマウスの細胞内から見つかり、続いてヒトの細胞内でも確認された。

 Ras・マップキナーゼ経路を抑えるタンパク質はこれまでも数種類が見つかっているが、活性化したRasタンパク質に結合し、がん化を断つ働きを持つタンパク質が見つかったのは初めてという。

 遠藤教授は「マウスを使った実験ではがん化を抑制できるという結果が得られた。今後、実際にヒトのがんを抑制できるかが課題だ」と話している。

[産経新聞 / 2007年06月02日]
http://www.sankei.co.jp/culture/kagaku/070602/kgk070602000.htm