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医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

神戸の山中に光るキノコ ホタルと同じ物質持ち発光

2007年06月24日 | 可視化技術
 神戸市北区の山中で、発光性のキノコ「シイノトモシビタケ」が、幻想的な姿を見せ始めた。

 同キノコは、落葉高木であるシマサルスベリの老木に生えている。根元付近や枝の朽ちたくぼみには現在、高さ2センチ程度のものが50本ほど見られる。昼間は薄茶色だが、辺りが闇に包まれると淡い緑色の光を放つ。珍しさから持ち帰る人もいるらしく、有志による見回りも行われている。

 兵庫県立人と自然の博物館などによると、このキノコは、ホタルと同じ「ルシフェリン」という物質を持ち、酵素反応によって光る。50年代に八丈島で発見後、しばらく島の固有種と考えられてきたが、95年ごろに和歌山で2例目が見つかって以降、三重や大分などの県でも確認されている。

 いずれも湿度の高い梅雨時に現れ始め、数日間のサイクルで枯れては生える。秋雨前線の影響で9月ごろ再び見られる年もあるという。

[朝日新聞 / 2007年06月24日]
http://www.asahi.com/science/update/0622/OSK200706220097.html


 この光るキノコの話ではないのですが‥。
 最近の細胞生物学の研究では欠かせなくかっている技術の一つに「GFP(=緑色蛍光たんぱく質)」の遺伝子導入というものがあります。

 日本沿岸でごく普通に見られるオワンクラゲは、棒で突つくなど刺激すると青白く蛍光を発します。海洋生物学の下村脩(しもむら おさむ)さんはここから1960年代にGFPを発見し、このたんぱく質が光るメカニズムを解明しました。
 1990年代に入り、この遺伝子がクローニングされると、他の生物の細胞でも、この緑色の蛍光を発するたんぱく質を自由にくっつけて発現させる技術が実用化されました。これによって(病気などの)特定の遺伝子が発現しているかどうかを顕微鏡下で容易に観察できるようになったのです。このブログの中でも引用されている、美しい蛍光顕微鏡画像の多くがこのような「レポーター遺伝子」を発現させて可視化したものです。

 オリジナリティのあるものにはとても魅かれます。不思議な生物、不思議な化合物、不思議なメカニズム‥。下村脩さんのされた研究も又、とてもオリジナリティのある、そして素晴らしいものだと思います。可視化(イメージング)の技術はこれからももっと、高度に発達することでしょう。そして多くの人たちが生命の不思議を観察することが出来るようになると思います。
 あらゆる総てのものはよく見ると不思議で、そしていつも輝いていると思います。