ツケのカタ

　今日、お客さんがパチンコに行ってきたが、欲をかいて儲け損ねたと愚痴をこぼした。

　お客「パチンコ、14箱とってたけどまだいけそうやったので打ったら全部摩(ス)ってしもたわ」
　私　「可哀想に。14箱やったらなんぼになるの？」
　お客「7万5千円ぐらいや」
　私　「うわー、もったいな。そこで止めてたらよかったのに、なんで続けてしたん？」
　お客「ここのツケ払お思て」
　私　「そんなんいつでも良かったのに」
　お客「ツケ払えへんかったら、娘のとこ取り立てに行くやろ」
　私　「わざわざ娘さんの住んでる岸和田まで行けへんわ」
　お客「それで払えへんかったら、カタに娘をソープに売りとばすやろ」
　私　「何をおかしなコト言うねん。大事な娘さんを売りとばせへんわ。・・・俺が買うわ」

　一句：昔みたいに　娘は取らない　ツケのカタ

早い時間

　店の早い時間は暇。だからママは12時出勤だ。今晩も8時過ぎに来たお客のTさんとマン・ツー・マンの接客だ。

　客T「寂しいなあ、誰か来(ケ)ーへんかなあ」
　私 「俺とこ、朝までやってるから客足が遅いねん」
　客T「いや、皆、ママのファンばっかりやから、それで12時過ぎからしか来ーへんねん」
　私 「ほんだら、いつも早い時間に来るTさんは、俺がお目当てなんか？」
　客T「なんでや、俺はそっちの気(ケ)は無いワ！」
　私 「そやけど、しょっちゅう早い時間に来てるやん。何でやねん」
　客T「ツケで飲めるのはここしかないもん。他の客に毎回ツケやと知られたないからや」

　一句：早い時間　客の目当ては　何かいな

ジュークBOX

　時々、「カラオケの無いスナックが落ち着くから好きや」と言うお客さんがいる。

　お客「俺、カラオケの無い店が好きやねん」
　私　「なんでや、カラオケ代が勿体ないんか？」
　お客「そんなんと違う！俺、音痴やからカラオケ、嫌いやねん」
　私　「店にカラオケがあったら、時々勧められるもんなあ」
　お客「お金出して、何で恥じかかんなアカンねと思うわ」
　私　「昔みたいにカラオケが無い店て、今は無くなったなあ」
　お客「カラオケが無かった頃は、店の片隅にジュークBOXが置いたったわ」
　私　「ジュースBOX？ボタン押したらジュース出てくるやつか？」
　お客「それはジュースの自販機や」
　私　「ああ、シューズBOXか？」
　お客「シューズBOX言うたら下駄箱やんか。ジュークBOXはお金入れたら音楽が流れる箱や」
　私　「ああ、ジュークかいな。俺、あの頃はハタチやったけど19(ジューク)、よう聞いたわ」
　お客「マスターの脳ミソはジョークBOXやなあ」

　一句：若かれし　ジュークの思い出　19の春　

しゃーない

　今日の54歳のお客さん、リストラの後、今の会社に勤務して1年になるが未だに仕事に慣れず、社長に怒らっぱなしだとか。

　私　「久しぶりやなあ。あの会社、まだ行ってんの？」
　お客「仕事、俺に合わんけど行かなしゃーない」
　私　「社長に気に入られてないんやろ？」
　お客「今の時代、仕事選んでられへん。イヤミ言われても我慢せんなしゃーない」
　私　「それで仕事はもう覚えたんか？」
　お客「やる気がないのに覚えられるわけ無いやろ。怒られっぱなしやけど、しゃーない」
　私　「ちゃんとメシ食うてるか？」
　お客「メシ食わんな、しゃーない」
　私　「しゃーない、しゃーないて、流行らそ思てんのか？」
　お客「いや違う。給料少ないから生活は赤字やろ。しゃーないしか言葉出てけーへんで」
　私　「そんなけ開き直れたら、プレッしゃーないわ」

　一句：じり貧で　諦めモードの　しゃーないわ

五次会

　お客さんが従兄弟の結婚式に出席するとのこと。

　私 「結婚式はどこでするの？」
　客M「えー、どこやったかな？あ、そうや、サンパレスや」
　私 「サンパツヤ？」
　客M「なんでサンパツ屋で結婚式を挙げるのん！」
　私 「サンプラザ？」　
　客M「そこ、一泊3900円のビジネスホテルやん。結婚式場は無い！サンパレスや」
　私 「あぁ、サンパレスかいな。それで披露宴は何時に終わるのん？」
　客M「披露宴はたっぷり取ってるので終わるのんは、晩の7時ぐらいて言うてたわ」
　私 「7時かいな。それやったら二次会は勿論、タイガース(当店)やろな」
　客M「二次会と三次会は決まってるし、そのあと1軒約束あるから五次会ぐらいに来るわ」
　私 「五次会？それやったら俺とこもう終わってるわ」
　客M「そんなん言わんと開けてーな、頼むわ」
　私 「五次会やろ。歳やし遅うまで待ってられへんわ。ごじかい(ご理解)してや」

　一句：五次会でも　元気ハツラツ　若者は

ワールドカップ2010日本VSカメルーン

　巷ではワールドカップの話題でもちきり。当店では、今夜の11時からの日本VSカメルーン戦をお客さんと見た。そして前半30分経過。

　私　「なかなか点、入れへんなあ。日本はカメルーンに勝テルーン？」
　お客「まだ(前半は)15分残ってる。これからや」
　ママ「それにしても暇やなあ。みんな家でワールドカップを観戦してるから暇やなあ」
　お客「スポーツ・バーやったら盛り上がってるで」
　私　「まあ、店は暇でも日本が勝ってくれたら、かめへん、かめへん、カメルーン」
　ママ「しょうもないダジャレ言うてる場合と違うで。カメルーンは強いの?」
　私 「世界ランクはカメルーン19位で日本が45位。それに世界的なFWのエトーがいてるわ」
　ママ「エトーて、日本人みたいな名前やなあ」
　私　「いかにエトーの攻撃を食い止めてカウンターに転じられるかが、勝敗の分かれ目や」
　ママ「カウンターて何？」
　私　「防御から一転して攻撃に移る事。ボクシングは相手が打ってきた時に打ち返す、亀田が得意や」
　ママ「カウンターでカメルーンに勝ったら亀ルンルンやね」
　お客「それにしてもマスター、よう知ってるなあ。知識を仕入れてきたんやろ」
　私　「そうや、スーパーで」
　お客「スーパーでサッカーの知識なんか売ってない！」
　私　「そやけど客が来(ケ)－へんから、せっかくの知識が発揮でけへんわ」
　お客「それはそうと、黒人は老けて見えるなあ」
　私　「俺より上かな思た」
　ママ「なんでやねん、みんなアンタの子か孫みたいな歳やで」
　お客「やった～、本田がきめた～」
　私　「さすがセカイの本田」
　お客「サカイの本田？」
　私　「それ、俺とこの客や」
　ママ「本田が素晴らしいねえ。この後、本田が怪我でもせんように気をつけんな…」
　私　「本田がアカンかったらトヨタがある」
　お客「自動車と違う！」

　前半は1－0で日本がリードで終わった。

　私　「後半、カメルーンはエトーをどうカラメ(絡め)ルーンかがポイントやなあ」
　ママ「まだ20分あるなあ。どうにか逃げ切って欲しいなあ」
　お客「いや、もう勝ったも同然やで」
　私　「勝負は9回裏ツーアウトからやで」
　お客「野球と違う」
　私　「ロスタイム、4分やなあ」
　ママ「日本、このまま逃げや、逃げや！」
　お客「俺も飲み逃げしょう」
　私　「なんでやねん！ここまで相手して飲み逃げされたらサッカーだけに踏んだり蹴ったりや」
　
　そして、試合終了。日本が1ー0で勝った。

　ママ「日本、勝った、勝った」
　お客「勝ったんは日本がアフリカに援助してるからや」
　私　「素直に喜びや。それはそうと、そのイカ素麺、入歯無しで噛めるーん？」
　今夜は試合の放送中はお客さん一人だったが、にぎにぎしく観戦した。

　一句：閑古鳥も　サッカー観戦で　盛り上がる

早目の父の日

　今日は焼肉レストランで早目に義父の父の日を祝った。来週は義父が用事があるので1週間前倒しをした。
　84歳の義父は「昼間、知り合いに『今晩、娘夫婦に父の日を祝ってもらうねん』と言うたら、『おたく、ボケてるのんと違うか?父の日は来週やで』と言われたわ」と嬉しそうに話した。
　普段、妻の姉が義父の面倒をみてくれているので義姉とその家族も招待した。
　義父は好きな焼肉に生ビール、そして私達や孫夫婦やひ孫に囲まれご満悦。そしてカバンから古い写真を沢山取り出して昨年末に亡くなった義母との旅行写真などを見せてくれた。
　「これ、水戸の偕楽園や」「これ安芸の宮島」・・・「ワシ、日本三名園や日本三景は全部行ったわ」と話したので、私は「日本三景ですか？僕は職場三Kで新聞産経ですわ」と駄洒落で返した。
　義父は興に乗り『乃木大将の歌』を口ずさんだが、明治の軍人・乃木大将を分かるのは私だけ。しかし皆は手拍子をして義父を盛りたてたので上機嫌だった。
　
　一句：子が父の　長生き願う　父の日か

河童

　当店のカラオケを使っていない時はモニターの画面に運勢の情報が流れる。それを見て占いの話だ出た。

　私 「M君は何座？」
　客M「俺、ヤギ座」
　私 「ヤギ座かいな。どうりで大人しいなあ思たわ」
　客M「それに俺、干支は羊やねん。大人しすぎて“羊の皮を被ったヤギ”て言われるねん」
　客T「普通は“羊の皮を被った狼”て言うんや」
　私 「Tさんはチンチンの皮を被った丑(ウシ)やなあ」
　客T「皮を被ってるて、見たんか！ほんだらマスターは頭の皮を剥いだ河童や」
　私 「人の弱点を突いてくるなあ。でも河童は干支にはないで」
　客T「干支には無いけど、マスターは泳ぎがうまいやん。そういう人を河童て言うねん」
　私 「ああ、俺、泳ぎは屁のカッパや。でも河童ハゲをリーブ21で治したいからカンパして」

　一句：河童ハゲを　治したいので　カンパして

ミサンガ

　お客さんが珍しくミサンガをしていた。
　私　「ミサンガやん。どないしたん？」
　お客「ミサンガか？R子ちゃんに作ってもろてん」
　私　「へえ、R子ちゃんこんなん出来るんや。俺は小学校の時に習(ナロ)たけどな」
　お客「へえ、小学生で？」
　私　「ミサンガロク、言うて…」
　お客「それ、ニサンがロク、九九やんか」
　私　「面白いやろ。クク、クク…」
　お客「面白ないわ！」

　一句：にーさんがロク　でもないシャレ言い 　シラケられ

菅新内閣にひと言

　「クリーンな政治」を掲げて発足した菅新内閣に一言申し上げたい。
　「脱・小沢」「クリーン・政治とカネ」を強調しているが、それなら野党が要求する小沢氏と鳩山氏の証人喚問を実施するべきである。それが出来ないなら鳩山政権と同じで自浄能力が発揮出来ないとみなされる。
　また、就任記者会見で「政権運営が行き詰まる」と記者会見数を減らしたり、会見で自党に不利なS新聞の記者の挙手を指名せず「取材拒否」をした。国民の信頼回復の為と言うのなら会見数を減らさない事、取材は公平に応じるべきだ。
　またも噴き出た「政治とカネ」で荒井大臣、蓮舫大臣、川端大臣の事務所費疑惑などで支持率が下がらないうちに参院選挙を急ぐ姿勢は、国民不在で「選挙至上主義」の鳩山・小沢体制となんら変わりがない。
　それに新内閣発足したばかりなので例え1カ月延期してでも、新政権の政策を国民が考察する機会を与えないといけない。参議院議員の任期が6年だからこそ、じっくり選挙をするべきである。
　「財政再建」を謳うなら、先ず過去最高の国債発行を余儀なくされ財政を破綻寸前に追い込んだ衆院選でのバラマキ公約の撤回と謝罪をするべきである。
　菅首相は平成11年に成立した国旗国歌法案に反対票を投じたり、過去に拉致事件の実行犯の助命釈放嘆願書に署名した経緯があるが、日本国の長となった今、「君が代」「日の丸」「拉致問題」「対北朝鮮政策」はどうなのか伺いたい。
　「言いたい事は山ほどあるが、今日はこれぐらいにしといたるわ！」
　日本の将来を憂えると、一言のつもりが三言も四言にもなり、しまいには小言になってしまった。

　一句：国民に　耳傾けよ　新首相