ビール！

　常連客が来た。このお客さんはジョークが好きな人なのでついイチビッてしまう。

　私　「いらっしゃい。なに飲む？」
　お客「ビール、おくれ」
　私　「アサヒか？キリンか？」
　お客「キリンビール！」
　私　「シビンビール？」
　お客「なんや、尿瓶(シビン)にビールが入ってるんかいな」
　私　「今日は元気やさかいアワ立ちがええで」
　お客「いきなり、それかいな。アワてるわ」
　私　「昨日、日本酒飲んだからチャンポンやで。一口で二度美味しい。得した気分やろ」
　お客「グリコじゃあるまいし、何でオシッコ飲まされて、得やねん！」
　※一粒で二度美味しい、は以前のグリコのキャッチフレーズ。
　
　一句：息の合う　客と会話で　戯れる

運動不足

　今日来たデブっちょのお客のA君は、どこへ行くにもタクシーを使うとか。

　客A「今日、病院へ行ってきてん」
　私 「病院へは何(交通手段)で行ったん？」
　客A「いつもタクシーを使うねん」
　ママ「勿体ないなぁ。バスで行きぃや」
　客A「バスは時間がかかるわ」
　私 「歩いて行ったら？病院に着くまでに健康になってるで」
　客A「え～っ、歩くぅ？健康になる前にヘタってるわ」
　私 「A君はヘタるぐらい運動せんなアカン。大体、運動不足やから肥えて病気になるんや」
　客A「不足(運動)して過剰(体重)になる、反比例やな」
　ママ 「感心してる場合と違うで」

　一句：運動で　取り戻そうよ　健康を

白波五人男・忠信利平

　遠い昔、私が二十歳ぐらいの時に堺市民会館で“堺市民芸能まつり”があり、私は訳あって演目中の歌舞伎『白波五人男・稲瀬川揃いの場』の忠信利平役を演じた事がある。
　芝居に出るのは初めてで、セリフ(口上)を覚えるのに苦労をしたのを覚えている。余程、暗記に苦しめられたのか寝言でも歌舞伎調だったと知り合いに言われた事がある。
　「雀百まで踊り忘れず」ではないが、その苦労が未だに染み付いて40年経った今でもほとんど覚えている。
口上：
　続いて次に控(ヒケ)えしは、月の武蔵の江戸育ち
　幼児(ガキ)の折から 手癖が悪く
　抜参(ヌケメエ)りから グレ出して
　旅を稼ぎに 西国(サイコク)を
　廻って首尾も 吉野山
　まぶな仕事も 大峰に
　足をとめたる 奈良の京
　碁打(ゴウチ)と言って 寺々や
　豪家(ゴウカ)へ入り込み 盗んだる
　金が御嶽(ミタケ)の 罪科(ツミトガ)は
　蹴抜(ケヌケ)の塔の 二重三重
　重なる悪事に 高飛びなし
　後を隠せし 判官(ホウガン)の
　御名前騙(オナメエカタ)りの 忠信利平(タダノブリヘイ)

　一句：若き苦労　いついつまでも　覚えてる

外国人？

　私は奥目だから時々、「外人？」と言われることがある。今日の客もそうだ。

　お客「マスター、外人みたいやなあ、外人か？」
　私　「よう言われるねん。外国人から…」
　お客「そりゃ、当たり前の話やん。向こうの人から見たら日本人は皆、外人やがな」
　私　「以前太ってる時、髪の毛があって髭を生やしてたのでフセインて言われてたわ」
　お客「太って膨らんでたからフウセンと違うのん？」
　私　「ギャグやったんかなあ？そやけど俺、一応、ハーフやねん」
　お客「あ～、やっぱりなあ、そう思たわ。それでどこの？」
　私　「大阪と鹿児島の…」

　一句：どなたでも　外人から見れば　外国人

Endress Rain

　男性のお客さんがX-Japanの“Endress　Rain”を唄ったがキーが高くて苦しそうだ。

　私　　「難しそうな曲やなあ。誰の歌？」
　女性客「X-Japanや」
　私　　「えっ、セックス・マシン？」
　女性客「X-Japanや。マスターはすぐに下(シモ)に持ってくるわ。好きやなあ」

　「キーが高いわ。立って唄うわ」と男性客は間奏の時に立った。

　女性客「そう、(高音程曲は)立たんな声が出ーへんで」
　私　　「ほんで俺、声、出ーへんのかな」
　女性客「どうして？」
　私　　「(あっちの方が)立てへんから」
　女性客「そっちかい」
　私　　「立つと声が出て、立てへんかったら汁が出えへん。変比例や」
　女性客「変なオヤジ…」

　一句：立たぬ吾　下ネタギャグで　発散する

バイアグラ

　関東出身のお客・Y君が時々堺へ出張。こちらには彼女がいて、たまに逢うとホテルへしけ込む。彼はお酒は強いしアッチの方も強い。

　私　「Y君はアッチの方、強いんやなあ。俺、アガッたからY君が羨ましいわ」
　客Y「Hビデオ見ても勃起しませんか？」
　私　「うん、アカン。ボッキ(僕)は泣いちっち」(守屋浩の曲:S34年)
　客Y「今は勃起不全の事をEDと言いますよ」
　私　「勃起不全とかEDいう言葉、今の俺には応えるわ」
　客Y「EDにはバイアグラがイーデー(良いで)」
　私　「そう？バイアグラが効くてか？俺、アカンかったで」
　客Y「バイアグラ効かなかったら、トリプルアグラを飲まないといけませんね」
　私　「バイ(倍)の上のトリプルか、面白い事を言うな。Y君は効くか？」
　客Y「バイアグラ飲まなくても大丈夫！今の僕は大阪行きが(元気が出るので)バイアグラ」
　私　「調子に乗ってお酒飲んでバイアグラ飲んでアレしたら、バイアブナイ(倍、危ない)」

　一句：バイアグラ　節度守らず　心不全

体重と髪の関係

　よく店に来る女性客のN子ちゃん、近頃、肥えたみたいなので尋ねた。
　
　私　 「ちょっと肥えたんと違うか。体重は何キロや？」
　客N子「女性に体重を聞くのはエチケットに反するで、ホンマにもう！65kgやわ！」
　私　 「65kg？俺と一緒や。去年まで67kgあったけど髪の毛が抜けたりして2kg減ったわ」
　客N子「ホンマかいな。私も髪の毛を切ろかな。長いから(体重が)かなり減るかも」
　私　 「無理無理、そんなんで間に合わへんで」
　ママ 「アンタら何を言うてんのん。髪の毛が減ったぐらいで体重は変わらんで」
　私　 「そうか、体重が減ったとしても微量かいな。チンチンに毛が生えた程度ってことか」
　ママ 「毛が抜けたり生えたり、またややこしい事を言うてきたで、このおっさんは！」
　客N子「チンチンに毛が生えた程度て何？」
　私　 「ほんの僅かにまさってるけど大して変われへん、て意味や」
　ママ 「アンタ、そんなつまらんことばっかり考えるから毛が抜けるんや」
　私　 「何も考えへんよりマシやろ、サービス業やから…」
　客N子「マスターは考え過ぎたんと違う？」
　私　 「俺の頭がハゲ過ぎってことか？」

　一句：肥満体　髪の毛切っても　減量無理

プチトマト

　プチトマトを自宅のベランダで栽培している、お客さんのとの会話。
　
　お客「そろそろ熟(ジュク)してきたので明日、食べよと思てたら、ハトに食べられたわ」
　私　「それは腹が立つなあ」
　お客「プチトマト好きやのに…。プチっときたで」
　私　「そうや！そのハトを捕まえて食べたらエエねん」
　お客「何で？」
　私　「胃の中にプチトマトが入ってるやろ。焼き鳥とプチトマトが同時に食べられるわ」
　お客「ホンマやな。それにしても、何か防ぐ方法はないかな？」
　私　「中国産と書いときや」
　お客「ホンマやな。農薬ぎょうさんかかってるもんなあ」
　ママ「そやけど(ハトは)字、読まれへんやん」

　一句：プチトマト　植えたベランダ　プチ農園

今どきの人？

　お客さんが和菓子を持ってきたので皆に分けたが、年配の女性客のY子さんは断った。

　私　　「せっかくのお土産やのに、要らんのか？」
　客Y子「体重が増えたから、甘いのん食べるのやめてんねん」
　私　　「体重増えたて、何貫あるの？」
　客Y子「何貫て、今どきそんなん言えへんで！今はキログラムや」
　私　　「そやけど、Y子さん、今どきの人と違うやん」

　一句：今はキロ　貫と言うたら　あかん(貫)がな

小説家デビュー？

　当店に小説を勉強しているお客さんがいる。
　先日、彼が短編小説を書き上げたと作品を見せてれた。
　私はそれに触発され、「小説を書いてみたい」と思った。
　まだ慣れていないので完全なフィクションは無理だが、経験を踏まえた小説を書いた。
　また、文章力もイマイチなので短編小説よりも、もっと短い、ショートショート的な超短編小説を書きました。
　よかったら読んでください。

　一句：日々日記　自信がついて　小説家？

私の超短編小説「ヴァージンロード」　http://www.ainet21.com/hitomi-s.story.htm
お客さんの短編小説「鬼子」　http://www.ainet21.com/story.htm">