今日(4月28日・水)、本部塩川港でのベルトコンベア設置許可を決裁した北部土木事務所長との交渉を行った。コロナ禍で辺野古新基地建設事業の抗議行動の休止期間中だったが、本部町島ぐるみ会議のメンバーをはじめ、50名近い人たちが集まった。県政の柱は辺野古新基地建設阻止だとしているにもかかわらず、土木事務所が、辺野古の埋立を加速するような許可を出したことに対する県民の怒りは強い。
我々が指摘したのは、主に次の点である。
① 今までの実績でも、この業者が塩川港を利用しているのは、平均して月の3分の1ほどにすぎない。ところが今回の許可により、公共施設である県の港湾の3000平方メートルもの土地を、長期間にわたって特定の業者に独占的・排他的な使用を認めてしまったのだ。作業のない日でも、港の広い面積が仕切られ、他の利用ができなくなってしまう。これは、県の「港湾施設使用許可に係る審査基準」にも抵触する。少なくとも、作業がない日は、全て片付けさせるべきではないか。
② 所長は、冒頭、「申請は昨年2月から出されていた。しかし埋立土砂を直置きするため、濁水発生が危惧されたのが、改善されたので許可した」と述べた。しかし、この「濁水対策」というのは、全く納得できない。
たとえば、外周部に高さ 1.1メートルもの大型土嚢が延長158メートルも設置される。県は、外からの水の侵入を防止するため、また、敷地内からの汚濁水の流出を止めるための土嚢という。しかし、現地は平たんなコンクリート舗装の場所で、外から水が来ることなどない。敷地内も、荷こぼれした土砂は「速やかに清掃すること」としているのだから、雨が降るまで放置されて汚濁水になることもない。百歩譲ったとしても、こんな大型の土嚢を設置する必要はない。大型土嚢設置の理由は他にあることは明らかだ。
また、濁水処理プラントも何故、必要なのか不明だし、プラントの能力も説明されていない。6m×8mの鋼製の桝に土砂を入れるのだが、雨天時はブルーシートをかけるのであり、その土砂から濁水が発生することはない。「濁水対策」というのは、許可を与えるためのまやかしでしかない。
今回のような濁水処理対策が必要だというのなら、本部塩川港の他の部分や、県の他の港でも同様の措置をさせる必要がある。
所長は、我々が指摘したいくつもの問題点(その内容は後述)について、「皆様方からいろいろ疑義が出され、私もモロモロの疑義が生じています。基本的なことをチェックしたつもりでしたが、できていないところがありました。再度、申請者に確認して、改善すべきところは改善しますので、検討させてください」、「確認後、また皆様方と意見交換をします」と答えた。そして、我々から、「当然、その意見交換は、5月分の許可を出す前ですね」と確認したところ、「そうです」「はい」と約束した。
4月分の申請・許可内容に多くの杜撰な点や誤りがあったことが明かになり、改善を約束したのだから、このままでは今月中に5月分の許可を出すことなどあり得なくなった。
以下、所長との具体的なやり取り説明する。
<質問1>長期間、特定の業者に使用を許すこととなるが、今の使用実績は月の3分の1にすぎない。公共施設の管理として不適切ではないか? 現在の使用実態をきちんと審査して許可したのか? 作業がない日は片付けさせること
所長:「我々もどういう利用形態なのか、今、答えられません。実態に即した利用でいいので、申請者にも確認して検討します」
<質問2>外部からの流入水を防ぐために外周に大型土嚢を積むというが、いったい何処から水が来るというのか?
所長:「敷地外からの流入水が少ないことは分かります。必要ないことはやる必要はありません。申請者に確認させてください」
<質問3>百歩譲って。もし、流入水があるとしても、何故、高さ 1.1mもの大きな土嚢が必要なのか? 大洪水でも来るというのか?
所長:「土嚢については、1.1mの高さが必要かどうかの説明がされていません。申請者に確認します」
<質問4>現在、業者が設置した土嚢は道路部分にはみ出している。申請書の数字もおかしいのではないか? 是正させるというのではなく、いったん申請書を取下げて訂正させるべきだ。
所長:「許可は当然、荷捌き地の中だけ。道路にはみ出して置かれているのならあり得ない」
担当者:「昨日、皆さんから指摘を受けて、土嚢が道路部分にはみ出していることについては、業者に是正を指示している。申請書の数字がおかしいという指摘については、検討して金曜日に回答します」
<質問5>濁水処理プラントなど何故、必要なのか?
所長:「濁水処理プラント、ポンプの能力は、申請書に記載がありません。土嚢が大きすぎるとかプラントの能力を確認していないとか、モロモロの疑義が私も生じています。私も細かく対応できていませんでした。疑義については、事業者に確認して、改善すべき点は改善します」
担当者:「濁水処理プラントが必要ないのであれば、申請者と協議して取止めます」
<その他の質問>
・昨年の申請書は、「使用目的」が「石材出荷」だったが、今回、許可した「使用目的」は、「石材等出荷」に変更されているのは何故か?
所長:「これは我々も聞いていませんでした。「等」とは何なのかは事業者に聞く必要があります」
・今回の申請書・許可書では、ダンプトラックが1日に「数百台」とされている。しかし、防衛局の地元崎本部の住民への説明会では、1日に「160台」とされている。これは訂正させよ。また、作業時間は午前8時からと約束していたが、今は午前7時から始めている。これも遵守させよ
所長:「回答なし」
・本部塩川港付近の国道の粉塵問題に対応すべきではないか?
・所長:「本部塩川港付近の粉塵の問題については、安和の住民からも苦情が出ている。保健所とも相談して対応する」
所長が問題点を認め、改善を約束したのはいいが、所長は第3者ではない。何故、決裁にあたってこれらの問題点に気がつかなかったのかという責任が問われる。それにしても、あまりに杜撰な審理の実態には驚くほかない。
いずれにしろ、こうした問題点を放置したまま5月分の許可などあり得なくなった。
(先週から設置が始まった大型土嚢。これは流入水の侵入を防ぐためではなく、抗議する県民を排除するためのものであることは明らか。しかも、港湾道路にはみ出して設置されており、県も是正を指示している)