せっかくの週末も、ハルトくんに出掛けられてしまえば、私的には平日と何ら変わりはナイ。
それどころか、覚悟のナイ分やさぐれた気持ちになる。
眠くてぐずぐずしているサキタを抱っこして揺れながら、ぼんやりとテレビを眺めていた時のこと。
眠たいのに眠れないとは
途中からほんの少しだけ見てただけなので何の番組かはわからないけど、障害を持つ女性が子供を授かりたいと受けた人工授精が、残念な結果に終わったらしかった。
その女性を慰める看護士さんの言葉に、胸の詰まる想いだった。
簡単に子供を授かった人は、その尊さに気づかないこともある。
この「簡単に」というのは、不妊治療とかを特にせず、望んだ時に自然と授かった多くの場合で、望んでもいないのに軽い気持ちで、というような捻くれた物言いではナイだろう。
私は、一度悲しい経験をしてはいるけれど。
その後体調と気持ちと相談し、そろそろリトライと考えた時、幸いにも2ヶ月程度でサキタを授かった。
ほとんど何も、悩むことなく。
抱っこした腕の中で、うつらうつらと薄目になっているサキタを見る。
ずっと抱えているには重くて、腰や腕や手首ががっつり痛いけど、今この腕の中にいるサキタは、尊い奇跡によって生まれてきてくれたのか。
そうだよなぁ。
子供が生まれるって、すごく尊いことなんだよなぁ。
わかっているつもりでも、そんなことすっかり頭の中から追い出して、こんにゃろうとか思ったりする。
寝てくれないとか、授乳がうまくいかないとか、泣き止まないとか、着替えやおむつ換えで暴れるとか、そんな些細な赤ちゃんとしては当たり前のことで。
今にも眠りそうにとろりとしたサキタをベビーベッドに寝かせ、頭を撫でながら、囁いた。
君は、ママの大好きなハルトくんと、ママとの間に来てくれた奇跡の塊。
赤ちゃんを望んだすぐに、来てくれた奇跡。
ママが未熟なばかりに泣かせてしまうことも多いけど、大切に思う気持ちに嘘はナイ。
頬を濡らしたままの私に、寝惚けたサキタは、ニタリと笑った。