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紋やのつぶやき

職人?たる上絵師のグチリ・知られざる失敗談・紋のウンチクを気の赴くまま語ろうと思いますが、どうなりますやら?

「家紋G]たより(27)松葉菱ほか

2007年10月14日 11時46分06秒 | 
「家紋G]『ま』の項、「松」以外をアップしました。

『ま』の項には「松」のほか、「鞠挟み」「鞠」「守」「松皮菱」「松葉菱」「豆造」「的」「鉞」「万字」「枡」紋の種類がありますが、「豆造」「的」「鞠」紋は描いた事がありません。

「松皮菱」「松葉菱」紋は、単独にはあまり描いた事は無く、中に様々な紋を入れて描きます。
掲載されていませんが、「三つ追い松葉」「三つ折れ松葉」「三つ追い組松葉」という紋もあり、この中にも色々な紋を入れる事が出来ます。

  「松葉菱に五三の桐」

  「中陰松皮菱に三の字」

又、下記のような紋帖に掲載されていない紋、名付けて 「松葉月」 紋もあります。
      
月夜に松を仰ぎ見たような紋で、古の人の想像力の豊かさを感じさせられます。
紋帖には「唐松」という紋がありますが、これから変形されたものと考えられます。

         「家紋ギャラリー」はこちらから

祝着の変遷

2007年10月10日 15時36分25秒 | 
昭和50年頃  

私がこの仕事を始めた頃、昭和50年頃は ↑ 写真のような『石持』(紋を入れる白場)のある、黒の祝着が殆どで、生地も羽二重地の薄っぺらな生地でした。

色の祝着もありましたが、半分は紺地の『石持』のあるもので、後半分は薄色(ブルー系統が多かった)の無地の祝着(三段目の祝着の色の更に薄色)で、紋は同系の濃い色又は裾の濃い色を使って刷込み紋を描いていました。(この祝着は高級品でした)

昭和60年頃  

前述の『石持』のある黒の祝着は少しづつ高級になって生地が縮緬の厚い生地になって来ましたが、『石持』のある色の祝着、薄色の無地の祝着同様少なくなって来ました。

それに変って販売される様になったのが、↑ 写真の様な黒又は濃紺の無地の祝着です。(白色で刷込んだ紋がついてますー「丸に三つ並び星」紋。通称三つだんご。当地では一部の松原姓に多い紋です)

当時黒の上にのるような白い色は無く、張り紋を貼った事もありましたが、白インクが出て来て、捺染して刷込み紋を描くようになりました。

現在  

     

平成元年頃には、『石持』の祝着は全然出なくなり、黒か紺の無地の祝着が主流となりました。

5,6年前から、上の写真のような中間色の色(茶系・グレー系・水色系)の祝着が出て来る様になり、最近は下の写真の祝着の様な白色の祝着(以前にもありましたが)も登場して来ました。
又変り物では、絞り模様の祝着も出て来ました。

勿論、主流は黒・紺の無地の祝着です。

余談ですが、男の子の四つ身の羽織は、今年特に減少しています。写真館のような貸衣装で済ませるのでしょうか。
実際買うとなれば、費用が掛かりますし、一度か二度着る物ですからね~(泣)


「家紋G]たより(26)松

2007年10月06日 13時09分41秒 | 
 
『黒松』

松は、庭のある家には、何処にでも見られる樹木の一つで、馴染み深い木です。
この松から、どのような紋様が作られるのでしょうか。

家紋ギャラリー『松』を編集している時、古の人の発想の奇抜さを改めて感じ入りました。

『松』紋の形のパターンは「三階松」「荒枝付三階松」・・とあり、少ないですが、「荒枝付」の松は、基本の松は同じですが、色々と形(しわ・目・荒枝)を変え、種類が多いです。

例えば、⇒の紋「見本・荒枝付左三階松」 

又紋帖によっても、同じ名称で形が違う紋があって、紋屋を困らせます。

  平安紋監の「丸に荒枝付左三階松」刷込み紋

  紋典の「丸に荒枝付左三階松」刷込み紋

松のしわ?の数が違っています。(間違い捜しみたいですねー笑)

     「家紋ギャラリー」『松』はこちらから

「珍しい紋」(22)

2007年09月27日 17時30分49秒 | 
仕事が少なくなったとは云え、たまに来る仕事の中には珍しい、変った紋の比率が多くなっています。
今回紹介する紋は全て「イラストレーター」で原図を描きました。最近このソフトにも少し慣れてきたようです(汗)

  「見本・丸に三つ盛幣子」 祝着の刷込み紋で描きました。一般的な「三つ盛幣子」紋と幣子の盛り方が違っています。
              『幣子』はこちら

  「見本・丸に陰帆掛け船」 これも祝着の刷込み紋。「帆掛け船」紋は来る度に紋の形が違っていて、男紋で陰紋も珍しいです。
              『帆掛け船』はこちら

  「細抱き柏に左三巴」 これ又祝着の刷込み紋。「細抱き柏」紋の中には様々な紋を入れる事が出来、バラエティーが増します。

  これが今日の超目玉!!!!!!!
「見本・向い浪に重ね十六鬼菊」 
貼り紋の注文で四国から来ました。昔瀬戸内海を縦横に走った水軍の末裔かも知れません。重厚な紋で描き応えがありました。
「浪」紋も、来る度に違った形をしている紋の一つです。
         『浪』紋はこちら

抜き紋の「色差し」

2007年09月24日 12時46分30秒 | 
「色差し」とは、色物の着物に『抜紋』をした場合、どうしても抜く過程に地色が余分に抜けるので、それを補正して仕上げる、紋章上絵の一作業です。


色無地を「木瓜」紋に抜いた所で、紋の中と縁が白く抜けています。
これを直すために、地色に合わせた色=染料を作り、彩色筆で色を差して行きます。
今でも未熟ですが、仕事を始めた頃、よく余計な所を多く抜いてしまい、手直しが大変でした。抜けた部分が多いと、作る染料自体が地色と完全に一致する事は難しく、その部分が目立つようになります。

又この仕事は緻密さが要求されますので、紋抜き・色差しの仕事は、黒の紋付の上絵が一通り出来るようになって初めてさせてもらいます。



色差しの途中で、未だ白い部分が残っています。
この前に地色に合った色を作りますが、これが一番肝心な事で、色が違えば折角の紋付は台無しになります。

着物の色は千差万別で、同じ色の系統でも少しづつ、微妙に色が違っていますので、色を合わせる作業には非常に気を使います。



差し終わり、蒸気で蒸して色を浸透させ、水際を直して完成します。

          「抜紋」「色差し」の詳細

「貼り紋」-元紋がある場合

2007年09月18日 17時17分38秒 | 
「張り紋・貼り紋」は、本来は元紋が汚れて紋洗いをしたいが、生地が弱っていて不可能な場合、又紋を替えたいが生地が弱っていて出来ない場合に、元紋の上に、別の生地に紋を上絵した物を貼る方法の事です。

最近は、この様な古い着物に紋を付け替える事は少なくなりました。紋付の着物が箪笥の肥しになって、取り出される機会が無くなっていると思われます。又古く汚れた紋をどうしたら良いか、分からない人が多くなっているのではないかとも思われます。

しかし、最近は気軽に貼れる「貼り紋・張り紋」が登場して、貸衣装などに貼られるようになりました。
たまたま「張り紋」の注文があって、こちらで貼る事になりましたので、少し詳しく紹介します。

紋付の生地はシッカリしていて、張り紋をするには勿体無いような気がしますが、注文されましたので仕方ありません。

 「丸に木瓜」紋の男紋付。この紋を「丸に二つ引」紋に替える注文です。この着物の紋に直接張り紋を貼ると、薄手の張り紋ですので ↓ の様に元紋が透けて見えます。(便宜上<丸に剣片ばみ」紋を貼りました)


 元紋を黒く塗りつぶします。

 「背紋用張り紋ー丸に二つ引」紋を貼りました。元紋は全然見えません。

 張り紋の縁をガラス棒で押さえて付きを良くします。

 張り紋の縁を修正して完成です。薄手の生地の張り紋ですので、重ね合わせた部分がチョイ分かります(汗)

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「珍しき紋」(21)

2007年09月15日 18時35分44秒 | 

  「丸に本の字」 裃に紋入れをしましたが、字の書体・形はそれぞれの家によって違ってきて、紋帖通りの紋はなかなか無い。

  見本紋「細輪に船に浪」 『船』の項で紹介した様に、この紋も紋入れに来る度に違った形の紋です。

  「組井桁に下り藤」の刷込み紋。 この場合は、「下り藤」が小さくなっても、その紋通りに描いています。

  「中陰松皮菱に重ね三階松」の刷込み紋。 この場合は、「重ね三階松」紋の線が描き切れなく略しています。
『刷込み紋』は細かくなると描き切れなく、時折略す事が多いです。(これが消費者の感覚と異なって理解されない事もあります)

  「荒枝付き左三階松」 普通はこの紋ですが・・・・

  見本紋「荒枝付き左三階松」 木のこぶの下の線が1本多い。
祝着の刷込み紋で描くのですが、細かくて見本に忠実に描けなく、先に白色で刷込み、後で上絵しました。

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<物価情報> ガソリンは少し下がってきて、131円/L

障子を張る方へ・<家紋様障子>

2007年09月05日 17時31分23秒 | 
  夜の風景

  朝の風景





  外側から見たもの

最近、<和・伝統と現代>のコラボを書いてきたので、私も、以前から温めていたもの、具体的にどんな感じになるか分からないまま、<和と和>のコラボを作ってみました。
障子紙に直接、紋柄「地紙に梅蔓」「地紙に利休唐花」(Tシャツの紋様と同じです)を白色で捺染して、張りました。

「エリア15」「日吉屋」みたいなスケールの大きな、ダイナミックな物だはなく、単に家紋様を刷って張っただけのものですが・・・・・・・・・・・・・

『遊び心』・・・・・市販の障子を張ればいい事なのですが、チョット遊んでみてはどうでしょうか?
家の「家紋」もこのように張る予定なのですが、未だ準備が出来てませんので何れHPと一緒にアップします。

「家紋Tシャツ」「紋ぺタくん」と『遊び心』に訴える方法の域を脱しないと言うか、想像力の無さを感じる、今日この頃です。

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大道具の家紋様

2007年08月31日 17時51分45秒 | 
仕事が終わって、ふとテレビのスイッチを入れると・・・・・・・・





?さんはいろいろ家紋の入った羽織?を着、上には「丸に左三つ巴」紋、下の方には「青海波」紋。
紋尽くしの場面。NHKの「きよしの・・・・」という番組の一こま。
?さん(名前が出てきませんが、この人、いろいろな分野で芸達者で好感が持てます)の着物姿に合わせての場面設定で、この様な家紋様・和風の背景が造られたかもしれません。

あまりテレビを見ない私ですが、最近このようにスタジオの背景の大道具で、家紋様を何気なく使った場面を時折見る事があります。

家紋の再々流行・・・・到来か???????????

いろいろな所で、紋を表現したい懲りない私・・・・・ここ3日位前から『障子に家紋』を考えてます・・・・・・・商売になるかどうか先が読めない私ですが、完成したらアップしますので、ヨロシク!!!!!!!!!!!!

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布地で家紋を作る!

2007年08月14日 18時58分11秒 | 
布地を紋の形に切り、縫い合わせて家紋を作る。
こういうのがパッチワークと言うかどうか知りませんが、先日花火の折、三河から見えたお客さんの中に ↓ のような布地の家紋を作った人がいて、おねだりして画像を送って頂きました。



家紋に関しては素人の人が、形良く紋を描いています。型紙が肝心だと思いますが、これだけ立派に出来た作品には驚嘆させられました。

 「左三つ巴」紋

 「丸に二つ引」紋

 「丸に根笹」紋

 「丸に三つ鱗」紋

いろいろなサークル・グループで『家紋』を題材にして作品を作られている、と思うとうれしい限りです!!!!!!!

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