紋やのつぶやき

職人?たる上絵師のグチリ・知られざる失敗談・紋のウンチクを気の赴くまま語ろうと思いますが、どうなりますやら?

「街角の紋」(11)武具に貼り紋

2007年10月31日 20時54分43秒 | 街角の家紋
犬山祭の続きです。

お目当ての甲冑武者行列!
皆手作りの甲冑を纏っての登場で、ナカナカ見応えがありました。

兜の『鍬形台』には「丸に剣片喰」紋。吹返しにも「丸に剣片喰」紋(これ、多分紋ぺタくん)。
そして、刀の鞘にも「丸に剣片喰」紋。
「丸に剣片喰」紋の貼り紋尽くしです!





武者隊の隊長さん。
ハッキリしないけど、野袴に「丸に本多葵?」紋の貼り紋をペタペタ。


このお方は『鉄砲隊』の隊長さん。
鉄砲隊は名古屋からの出張で、岐阜祭にも出ています。
私が作った物ではありませんが、衛胴には「丸に松皮菱」紋。
腰の鉄砲の弾入れ?に「二つ藤巴」紋。年季が入っています。


これも私が作った物ではありませんが、凝った人がいます。
石田三成のファンのようで、陣羽織に「下り藤に石の字」紋
刀の鞘にも「丸に剣片喰」紋(この方の家紋)、三成の紋。
野袴は「丸に亀甲に花菱」の紋柄。


武具の名称には自信がありません。間違っていたらゴメンナサイ。
武者・武具には、家紋が似合います。
この様な祭のイベントでしか登場する機会はないでしょうが、前回書いた長半天と同様、家紋をいろいろな所に使って頂いて、嬉しい限りです。


「街角の紋」(10)犬山祭・たまには外へ

2007年10月30日 18時14分21秒 | 街角の家紋
先日の27,28日と愛知県犬山市で『犬山祭』が行われました。
27日は山車の曳き回しが行われたようですが、私は28日の「武者行列」を見に行きました。
というのも、「武者行列」には主に『甲冑製作教室』のメンバーが参加されているからです。このメンバーのお二人から、行列の衣装・武具に『家紋』を付けたいから、「貼り紋」を作って欲しいと依頼を受け、金刷りの貼り紋と「紋ぺタくん」(家紋シール)を作って送ったからです。

貼り紋の事は、次回に譲るとして、今日は新たな発見をしましたので、その事を紹介します。(画像を用意してなかった)



「亀甲に六角光琳鶴」紋
どういう踊の名称か分かりません(汗)が、よくイベントでお揃いの衣装で、集団で踊るメンバーの衣装・腹掛(Tシャツだったかもしれません)に、銀色で捺染されてました。

このような踊には、お揃いの「踊り長半天」など和風な衣装で踊っているのは知っていましたが、このように家紋を入れた衣装を着ているとは、驚き!
一つのデザインとして気に入られたようです。




このお若い女性、お揃いの長半天でなく、黒留袖の裾を短く端折ってご自分の半天として着てました。紋自体は滲んでいて見れたものではありませんでしたが、古着をうまく使って衣装としてました。

新たな発見に感動しました。
家の中で仕事ばかりせず、たまには世の中を見に出かけないと・・・・・・・・と反省する次第です。


途中の蔵に付いていた紋
「中村鷹の羽」紋らしき紋

  犬山城から木曽川下流を見た風景
ここから広大な濃尾平野が始まります。濃尾平野の東北端になります。

「家紋G」たより(28)茗荷・目結

2007年10月25日 18時27分34秒 | 
「家紋ギャラリー」『め』の項 「茗荷」と「目結・四つ目」をアップしました。

「目結・四つ目」は「隅立て四つ目」「四つ目菱」が代表的な紋で、ほとんど紋帖と変りありません。

「茗荷」の代表的な紋は「抱茗荷」で、よく描く紋の一つです。
いつも資料として使っている「家紋大図鑑」に 茗荷が紋として使われるようになった事に関して興味深かったので、珍しく長く引用させてもらいました(汗)

   「抱茗荷」紋の中には様々な紋を入れる事が出来ます。しかし、三星など単純な紋でしたらいいのですが、この紋「抱茗荷に違い柏」の様に、細かい紋が入ると、紋自体が小さく描かなくてはなりませんので、描くのが大変です。

  名付けて「丸に三つ並び茗荷」紋
この紋は紋帖には掲載されていません。このような特殊な紋に限って、少しづつ形を変えた紋が出てきます(涙)

      「家紋ギャラリー」はこちらから

デザイナーによる家紋ーパート2

2007年10月23日 18時30分12秒 | つぶやき
先日「若きデザイナーによる家紋」で、デザイナーとして家紋を捉えて、新たな家紋様を創作されているサイトを紹介しましたが、もうお一人いらっしゃりました。

このサイトも、以前から気にはしていたのですが、ナカナカじっくり閲覧してませんでした。私と同じ様に「家紋Tシャツ」も家紋様のデザインで作ってられます。(私のはナカナカ売れませんが・・・・・泣・)

自ら「家紋デザイナー」と称されてるように、「家紋」に関しても薀蓄が深いです。私が企画していた「家紋の構成」等、既に掲載されています。

興味のある方は  こちら  から入って下さい。沖さんです!

余談ですが、遠くバンコクにも「 家紋」を製作されている人がいます。
前にコメントが入って、初めて 『そんな事もあるのか!』 と驚かされました。
日本からの注文で、PCで製作されてる様です。

日本からの技術の移動が云われて久しいですが、着物の仕立ても、既に中国・ヴェトナムにシフトされているのは、知っていましたが、紋のデザインを他国で作っているとは、思いもよりませんでした。
考えてみれば、「家紋」の製作はインターネットの時代、着物の様に物を動かさないで出きるのでした。メールに添付さえすればいいのですから。

祝着に花紋

2007年10月21日 15時20分37秒 | 
当地・東海地方では男の子の祝着には家紋を入れますが、女の子の祝着にはあまり家紋を入れない事が多い様です。
本来は子供の祝着は式服なので、家紋を入れるのが正式だと思いますが、女の子の祝着には省略される傾向にあります。

女の子の七五三用の四つ身の着物に、花紋を刺繍で入れる注文が来ました。
花紋(加賀紋)は一時期振袖、色無地に「おしゃれ紋」として紋入れされましたが、最近は少なくなりました。

  

以前は当地にも刺繍(縫紋)の職人がいましたが、逝去されたり、高齢になってやる人がいなくなりました。
で、今はミシンで縫うようにしています。手刺繍と違って風合いが劣りますが、仕方ありません。
  

合成がチョイずれましたが、この様な感じの花紋を縫いました(汗)
      

先ほど書いた様に、祝着には家紋を入れるのが正式ですが、このような「おしゃれ紋」=花紋を入れるのも、祝着を華やかにします。
不要と言えば不要ですが、このように花紋をつけて楽しむのも一興だと思います。
最近このような遊び心が少なくなっている様に思うのは、私だけでしょうか?

     ホームはこちら

若きデザイナーによる家紋

2007年10月17日 22時59分39秒 | つぶやき
私は元々拙ホームページ 『家紋の広場』 を始めたのは、「家紋ギャラリー」「上絵」等で『家紋』について紹介すると共に、『家』と離れた「紋」のデザインのシンプルな美しさを未来に残して行きたいと想い、「家紋Tシャツ」「紋ぺタくん」などを作り、紹介して来ました。でも、この試みはあまり人気が無く支持されたない様です(泣)

しかし、上絵師たる職人の限界からか、古からの家紋・紋様の域から脱せず限界を感じ、若い人がこの様な『家紋』のデザインに関心を持ち、新たに発展させ後世に残してくれないかな~と絶えず思い続けておりました。

最近何気なく、ヤフーの「家紋」検索をしていて、私のHPの上のランクに ↓ のサイトを見てみたら・・・・・・・・・・・・

          『KAMON BABY』 
   デザイナーが創作する『家紋らしくない家紋』

又、以前から「お気に入り」に入れて注目していたサイト
365日、一日一日の個紋があります。 ↓

          『うちの個紋』 

双方とも動植物などを題材にした創作紋で、なかなかの出来栄えですし、ホームページもお洒落です。職人の域を出ない私は恐れ入るばかりです。

上絵師の中でも、家紋紹介のサイトはありますが、若者のサイトは(私の知る限り)「家紋JAPON」しかなく、このサイトも残念ながらずっーと休眠状態です。

でも、上のような若い且つデザイナーの人が、紋に関心を持たれ、新しい紋を創作し色々な分野に展開されて行くのを見て、嬉しい限りです。翻って心沸き立たせて勇気付けられます。
今後、この様な若い人を見守りながら、応援していきたいと思う次第です。

皆さんにもよろしくお願いします!!!!!!!



「家紋G]たより(27)松葉菱ほか

2007年10月14日 11時46分06秒 | 
「家紋G]『ま』の項、「松」以外をアップしました。

『ま』の項には「松」のほか、「鞠挟み」「鞠」「守」「松皮菱」「松葉菱」「豆造」「的」「鉞」「万字」「枡」紋の種類がありますが、「豆造」「的」「鞠」紋は描いた事がありません。

「松皮菱」「松葉菱」紋は、単独にはあまり描いた事は無く、中に様々な紋を入れて描きます。
掲載されていませんが、「三つ追い松葉」「三つ折れ松葉」「三つ追い組松葉」という紋もあり、この中にも色々な紋を入れる事が出来ます。

  「松葉菱に五三の桐」

  「中陰松皮菱に三の字」

又、下記のような紋帖に掲載されていない紋、名付けて 「松葉月」 紋もあります。
      
月夜に松を仰ぎ見たような紋で、古の人の想像力の豊かさを感じさせられます。
紋帖には「唐松」という紋がありますが、これから変形されたものと考えられます。

         「家紋ギャラリー」はこちらから

「珍しい紋」(23)

2007年10月12日 16時59分50秒 | 珍しい紋
最近描いた珍しい紋・変った紋を紹介します。
最近、喪服・留袖の紋入れが極端に少なく、祝着の紋入れと張り紋が仕事になっています(泣)

  「丸に見本・葉」 祝着の刷込み紋。
この紋の種類は紋帖に載ってなく、杜若の葉に似てますので、『家紋ギャラリー』「杜若」に収録してます。

  「丸に剣片喰に一の字」 これも祝着の刷込み紋。

  名付けようが無く困って、その他の紋に入れてあります。燭台みたいな感じがしますがどうでしょうか?
同じく祝着の刷込み紋。以前喪服に紋入れした事がありますが、刷込み紋は初めてです。

  ⇒  
「丸に見本五つ對い浪」 これはネクタイに紋入れしました。
浪紋も見本付きが多い紋です。 『家紋G』「浪」参照

 ⇒ 
張り紋の注文で来ました。「綿の実」紋という事でしたが、紋帖を捜しても見当たりません。「綿」紋は「結綿」紋が殆どで、『実』といいう名がつく紋は描いた事がありません。
で、右のような見本を送っていただきました。
『家紋G』「結綿」参照

最近メッキリ涼しくなりました。何方様も風邪を召されません様に!

祝着の変遷

2007年10月10日 15時36分25秒 | 
昭和50年頃  

私がこの仕事を始めた頃、昭和50年頃は ↑ 写真のような『石持』(紋を入れる白場)のある、黒の祝着が殆どで、生地も羽二重地の薄っぺらな生地でした。

色の祝着もありましたが、半分は紺地の『石持』のあるもので、後半分は薄色(ブルー系統が多かった)の無地の祝着(三段目の祝着の色の更に薄色)で、紋は同系の濃い色又は裾の濃い色を使って刷込み紋を描いていました。(この祝着は高級品でした)

昭和60年頃  

前述の『石持』のある黒の祝着は少しづつ高級になって生地が縮緬の厚い生地になって来ましたが、『石持』のある色の祝着、薄色の無地の祝着同様少なくなって来ました。

それに変って販売される様になったのが、↑ 写真の様な黒又は濃紺の無地の祝着です。(白色で刷込んだ紋がついてますー「丸に三つ並び星」紋。通称三つだんご。当地では一部の松原姓に多い紋です)

当時黒の上にのるような白い色は無く、張り紋を貼った事もありましたが、白インクが出て来て、捺染して刷込み紋を描くようになりました。

現在  

     

平成元年頃には、『石持』の祝着は全然出なくなり、黒か紺の無地の祝着が主流となりました。

5,6年前から、上の写真のような中間色の色(茶系・グレー系・水色系)の祝着が出て来る様になり、最近は下の写真の祝着の様な白色の祝着(以前にもありましたが)も登場して来ました。
又変り物では、絞り模様の祝着も出て来ました。

勿論、主流は黒・紺の無地の祝着です。

余談ですが、男の子の四つ身の羽織は、今年特に減少しています。写真館のような貸衣装で済ませるのでしょうか。
実際買うとなれば、費用が掛かりますし、一度か二度着る物ですからね~(泣)


「街角の紋」(9)掛川祭

2007年10月08日 10時33分33秒 | 街角の家紋
6,7日と、孫のあーちゃんの七五三用の着物を届けがてら掛川へ行って来ました。

おりしも「掛川祭」の真っ最中。掛川ばかりでなく、近辺の都市でも祭が行われていました。多分『遠州』地域全体の祭のようです。







華やかな飾りをつけた山車です。車力と引き手を合わせて2,30人で曳いてるようです。祭衣装もきりりと決まって格好良かったです。
お囃子は、太鼓一つと、鼓が2つでした。
山車は、車輪が一対(2つ)で小型で、梶方が重要な役目をするみたいです。(岐阜の山車は4輪)
山車が新品みたいに見えましたので、祭人に聞いてみますと、三年前に3千万掛けて作ったそうです。寄付金も各戸大変でしょうが、この地方の裕福さを感じました。

このような山車が、各地区で曳かれていました。
「岐阜祭」の場合は、4台の山車が各地区を回って、神社に曳き揃えするのですが、こちらは各地区それぞれの自地区を曳き回しするだけのようです。(4年に一回の大祭ではどうなる分かりません)
当日掛川の町から御前崎までドライブしましたが、その道中に5,6台の山車の曳き回しに遭遇しました。各地区でそれぞれ祭が行われているのに驚かされました。
岐阜の祭に見慣れている私にとって、新たな祭を見たようで感じ入りました。

      「掛川祭」はこちら

ところで、本題!
娘の住んでる地区の神社で、珍しい紋に出会いました。

 ⇒ 
この紋は紋帖には掲載されていません。「石榑根笹」と名前を付けていますが、『石榑』姓に多い紋で、岐阜特有の紋だと思っていましたが、当地・掛川にもこの紋が存在しました。驚きです。

 ⇒ 
ところが、同じ神社で ↑ の紋「丸に三本足篠笹」(これは紋帖にも掲載されています)もありました。奥の旗には一般的な「根笹」紋もあり、どの紋が、この神社の正式な紋か分からなくなりました(笑)


御前崎の海は結構波が高かったですが、海風も気持良く、久し振りの海を楽しめました。
あーちゃんも成長して、海を前にして何やら踊ってました。