紋やのつぶやき

職人?たる上絵師のグチリ・知られざる失敗談・紋のウンチクを気の赴くまま語ろうと思いますが、どうなりますやら?

「珍しき紋」 - 上絵から

2010年10月30日 19時05分07秒 | 珍しい紋
紋帖にも掲載されてない紋を紹介します。


  
    「見本・足付橘」

男紋付の紋入れで来ましたが、橘紋には「久世橘」「井伊橘」などの他に、<下の枝>の形で違う紋になります。上部は私の気に入った風に描いています。
「橘」紋は http://park17.wakwak.com/~chitaya/gyarari/g-ta-tatibana.html 


  
    「見本・細輪に干網に水」

やはり安田姓できました。同じような形で<刷込み紋>で描いていました。
「干網」紋は こちら 

  
    「太丸に見本・三重ね杉」

御田村姓で来て、留袖は丸無しで紋入れし、今この男紋付の紋変えの作業中。生地が少々弱っているので心配。
「重ね杉」紋も、家によっていろいろな形があります。
   「杉」紋は こちら


  
    「見本・揚羽蝶」

張り紋の注文できました。

  
   「丸に見本・半鐘」

見本通りに描きましたが、このままの形で祝着に33ミリの大きさで紋入れをすると、細かいところが潰れてしまいますので、少々略しました。

  
  実際に白地の祝着にグレーで刷りこむと・・・・

撮り方が悪かった(汗)

昔の刷込み紋は、<型>を作る場合、細かい部分まで彫る事が不可能で、<紋の形>は見本に忠実に作りますが、細かいところは略していました。
「鶴」「三本杉」紋などは、ほとんど略して描いてきました。
最近は製版技術のお陰でかなり細かいところまで描く事が出来ますが、限界があります。
「家紋額」くらいの大きさの紋で描く事は十分可能です。

でもこの「半鐘」紋は初めてで、四国の出の方らしいです。 


ブログの作り方が変わって、手こづった(汗)  

「珍しき紋」 -墓石からー

2010年10月07日 21時15分08秒 | 珍しい紋
しばらく休んでいる中に、珍しい紋が溜まりました。
今まで描いた事があって且つ特異な紋、又今まで描いた事のない紋、今風のデザイン化された新紋、いろいろと出会う事ができました。

   
  「五瓜に見本・向い蟹」
ズーット以前に、祝着に紋入れしましたが、この紋の持ち主と故郷?が分かりました。
安八町の「古澤」姓に多くあり、蟹の形も様々でした。


安八町の北部の地域の「古澤」姓の紋は、全く違った「丸に鷹の羽違い」紋が多くありました。
この安八町は、昔長良川と揖斐川に挟まれ、中小の河川もあり、洪水に悩まされた土地です。川の関係で「蟹漁」に携わっていたのかと思いましたが、資料では蟹漁は掲載されていませんでした。
この紋は、残念ながら上絵では描いていません。

  
「見本・縦一引に二の字」
この紋は、この仕事を始めた当初に時々描きましたが、最近は描いた事がありません。
似たような紋が、「河村」姓でありました。
  

  
   「竹に三本筍」  長谷川姓でありました。

  
    「見本・笠に並び矢」
この紋は、違った形で描いた事がありますが、初めて見ます。
「日比野」姓でありました。

  
「亀甲に霞」でしょうか?
この様な形の紋を描いた事がありましたが、中の紋は「霞」でなく「工」の字の変形かと思っていました。
奥田姓です。


現代風にデザイン化された新紋も見つけ、最近の風潮が伺えます。

  
太陽の下に、親と子供が四人の家族の、シンボライズされた紋だと思いますが、如何でしょうか。何ともほほえましい紋です。
初め見た時は何が何だか理解できませんでしたが、画像を処理していて初めて理解できました。

  
多分、野球のベース盤に三星だと思います。
故人或いは送る人が野球好きなひとなのでしょうか。