紋やのつぶやき

職人?たる上絵師のグチリ・知られざる失敗談・紋のウンチクを気の赴くまま語ろうと思いますが、どうなりますやら?

傲慢な上絵師

2008年07月28日 21時43分42秒 | つぶやき
先日下記の紋が付いた男紋付の張り紋の注文がありました。
通常でしたら『紋洗い』した方がきれいに仕上げる事が出来るのですが、近日中に使用するから、急いで張り紋を付けて欲しいとの事。
   
この紋は、「丸に根笹」紋と分かります。少々一般的な「丸に根笹」紋と形が違いますが、名付ければそう云う名前になります。

   紋帖の「丸に根笹」
   千太屋の「丸無し根笹」

普段でしたら、急品の事でもあり、我が千太屋の「丸に根笹」紋を貼るのですが、やはり形が違う。
そして、先日の『きせき』さんとのやり取りを思い出しました。

「紋形が現在のようにキレイな形に統一されたのは明治時代に入ってからです。
職人に対する便宜としてはとても有用だったと思いますが、それが本当に家紋にとって良かったことかは微妙なところです。
統一紋形になったことで喪失してしまったものも多かったはずです。
おそらく功罪半ばするのでしょうね。」

そうです。職人=上絵師、少なくとも私は、少々形が違っていてもその紋が「丸に根笹」の形をかたどっていれば、私なりの「丸に根笹」に解釈して、紋入れをして来たのです。
形の違いは、見本の紋の描き方が違うだけで、傲慢にもこちらの紋の方が形がいい、と云う事で自分の形の紋を押し付けてきたのではないかと、自省する次第です。
ここ何十年間、代々伝えられて来た紋の形を自分なりの紋の形に変えて来た事、自戒しきりです。

この見本の「丸に根笹」紋は、紋帖の紋とも形が違い、それなりにその形を伝えられて来たのでしょう。
いろいろな見本が、手書の絵図・墓石・瓦紋・提灯などで添付して紋入れに来ます。見た目に、紋が少々略されて描かれている事が多いのですが、先日の瓦紋=「干し網に水」の様に原型を大切に描いて行こうと思う次第です。

で、新たに版下を作り、張り紋を施しました。
   

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「家紋G]たより (38)

2008年07月23日 19時58分49秒 | 
久し振りに「家紋ギャラリー」を更新する事が出来ました。
    『家紋G』 「ひ}
『ひ』の項には<菱><引(両)><柊><引違い><日足><瓢>があります。
菱・引紋の種類はそこそこありましたが、柊・引違い・日足紋はは描いている紋の数は少なく、瓢紋は千成瓢箪の秀吉の近所だというのに全然描いていない様です。

で、手描きで使っていた『紋型』を捜してみてみましたが、やはり菱・引・柊紋の型はありましたが、引違い・日足・瓢紋の型は無かった。ここズ―ット使わなく、棚の奥底に仕舞っていたので、何処かに紛れ込んでいるかも知れません。

久し振りに昔の紋型を見ましたので、一つ紹介します。
    
「丸に枝付き一つ柊」とでも云いましょうか。
かなり古く、風化しかかっています。
油紙を切抜いた物で、伊勢型紙の様に細かい所をキチット彫るのが、染料を刷込んだ後の仕上げが楽にさせます。
まだツヤツヤした、今でも使えそうなシッカリした型もありました。
ページの方に一部アップしましたので、よろしかったら覗いて見て下さい。

     
「揺り結び柏」紋です。
これは、お客さんが見本として持ち込まれたもので、私が描いたものではありません。
その正確さには驚かされました。建築か機械の設計をやっておられるのでしょうか。各弧の中心をも割出して弧を描いているのが分かります。私共はそこまで正確には描いていません(汗)

まだまだ暑い日が続きそうです。
皆さん体調には気を付けて下さい!!!!

「篤姫」 (4) 井伊家の紋所???

2008年07月20日 19時13分49秒 | 篤姫
最近井伊直弼がよく登場しますが、その裃に描かれた紋がガテンがいかない???????????
  
この紋は「橘」紋と思われる。 
丸無しですが、家紋ギャラリーから転載しました。
井伊家は藤原氏の流れをくむと云われ、「橘紋」でもいいと思われます。
しかし、私は今まで井伊家の紋は「彦根橘」と信じていました。
紋帖の「平安紋監」には「井伊家橘」と名付けられています。
         (丸無し紋です)

で、今日重い腰を上げ、図書館に行って調べました。
井伊家の家紋の由来は 「井伊家の祖といわれる共保が井伊谷の八幡宮の井戸から生まれ、その井戸のかあたわらに橘の実があったという伝説に由来する」(典拠忘れたー汗)
その本にも、井伊家の家紋は「彦根橘」で掲載されています。

NHKの事ですから、時代考証はシッカリしてると思いますが、どちらが正しいのでしょうか。
一介の職人(大学出ていて資料考証は苦手)の調べる範囲は狭く、、一つ皆さんにお伺いをしたく、こうして書いてる訳です。
『きせき』さん、よろしくお願いします(汗)


今日も暑かった~~
夕方チコを連れて長良川に行って泳いで、ではなく川水に浸かって来ました。ここら辺りは、長良川の中流域で水もきれいで気持良かった!!!!!!!!!!!!
ついでに久し振りにチコを洗いました。


「珍しき紋」(33)

2008年07月12日 19時56分47秒 | 珍しい紋
多分今日の最高気温は38℃くらい行ったんじゃないかな?
まだまだ暑いのでビール片手にやってます(汗)

仕事はほとんど暇状態ですが、変った紋がやって来ます。

  
「見本・錨に一木」紋  「錨」紋はこちら この紋は紋帖通りの紋はなく、来る度に違った形の紋で、その都度原稿を描いて紋入れをします。
この紋は美濃市の「山岡」姓の紋です。


かなり年代物の風呂敷で、由緒ある家柄かと思われます。
祝着の紋入れの見本で来ました。
「徳川葵」ですが、葵の軸の所が変っています。
で、原稿を描き、紋入れをしました。
   

 
「花クルス」と呼ばれているようです。
金沢・前田藩の重職を担った家系らしいのですが、初めて見る紋です。中村姓です。
おばーちゃんの喪服を持ってみえ、家紋額を作りたいとの事。
やっと版下が出来ました。

縫紋でも変った紋が続きました。

これは商標で、これをこの店のおかみサンが訪問着に縫紋で入れたいとの事。
とりあえず版下を作り、縫いソフトを作ってもらい、縫紋を施しました。
 

これをアップして気が付いたのですが、左右の大きさが違う!
外注した縫紋ソフトが、縫うと小さかったので、120パーセント大きくしたつもりですが、片手落ちだったみたい(汗)
今日納品したので、明日もう一度引き上げて、やり直しです。

追伸  今日行って来て紋を確かめましたら、同じ大きさの紋で大丈夫で、ほっとしました。
デジカメの撮影の仕方が悪かったのかどうか知れませんが、ひとまず安心して帰って来ました。
ガソリン0.7リッター(1L=172円)無駄になりました(汗)


  

これも縫紋。
「三つ蔓藤」でしょうか。
紋帖には掲載されていません。

明日は大変です!!!!!!!!!!取りあえずこれまで!