猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ハーフ・ア・チャンス

2019-03-30 21:01:52 | 日記
1998年のフランス映画「ハーフ・ア・チャンス」。

高級車窃盗常習犯のアリス(ヴァネッサ・パラディ)は出所後、服役中に亡くなった
母親が遺したカセット・テープで、自分の父親が、母親が20年前同時に愛した2人
の男のどちらかだと知らされる。2人の男とはジュリアン・ヴィニャル(アラン・
ドロン)とレオ・ブラサック(ジャン=ポール・ベルモンド)。ところが、ジュリアン
は表向きはレストランのオーナーだが実は名うての宝石泥棒、レオは今は中古高級
車販売業者ながらかつては外国人部隊で鳴らしたエリート軍人だった。突然娘とし
て現れたアリスを巡ってお互いに父親だと張り合う2人だが、ひょんなことからア
リスがロシアン・マフィアのドラッグ取引の大金を積んだ車を拝借してしまい、マ
フィアの魔の手が3人に伸びる。

パトリス・ルコント監督作品。アラン・ドロンとジャン=ポール・ベルモンドの28
年ぶりの共演となれば、観るしかない。どちらかが自分の父親だと、突然現れた娘。
その娘がキュートな女の子だったために、2人の男は自分が父親だ、いや自分だと
張り合う。テンポが良くて軽快なアクション映画。ドロンもベルモンドも渋くてか
っこいい。高級車ディーラーのレオは車に乗せてくれるし、ジュリアンはヘリに乗
せてくれるし、アリスはどちらが父親なんて決めたくない。一応血液検査をするこ
とにはなるのだが。
アリスが盗み癖が出て拝借してしまった車はロシアン・マフィアの車で、大金が積
まれているものだったから大変なことになる。レオとジュリアンは昔取った何とや
らで、爆弾作りにカーチェイスに銃撃戦と大活躍。観ていてスカッとする。所々に
年寄りくさいセリフが入るのもおもしろい。とにかくフランスの2大スター共演な
のだから、それだけでも観る価値があるというもの。
マフィアとの戦いはハラハラするし(マフィアのボスもなかなかかっこいい)、アリ
スは殺されそうになるしで見どころ満載。ドロンとベルモンドのどちらかが父親だ
なんて、考えただけでも楽しくなる。私はドロンがいいけど(笑)。アクション映画
なのにこんなにコミカルでおしゃれな作品を作れてしまうなんて、さすがはパトリ
ス・ルコント。


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白いリボン

2019-03-26 21:26:43 | 日記
2009年のオーストリア・ドイツ・フランス・イタリア合作映画「白いリボン」。

1913年、ドイツの小さな村。男爵(ウルリッヒ・トゥクル)と牧師(ブルクハルト・
クラウスナー)が権力者として支配するこの村で起きた最初の事件は、ドクター(
ライナー・ボック)の落馬事故であった。屋敷への道に細い針金が渡されていて、
馬が転倒したのだ。重傷を負ったドクターは村の外の病院で療養することになる。
隣家の助産婦(スザンネ・ロータ)が彼の子供たちの世話をすることになる。その
後第2、第3の事件が起き、男爵は礼拝の席で「犯人を見つけ出せ。でなければ村
の平和はない」と言った。これによって、村には言いようのない不安が立ち込め
るようになる。

ミヒャエル・ハネケ監督、第62回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作。全編
モノクロームの人間ドラマ。小さな村で次々と起きる事件によって、村人たちが
不安と疑心暗鬼になっていく様子を描き出す、とてもおもしろい映画だった。
ドクターが針金によって落馬させられ重傷を負ったり、小作人の妻が転落死した
り、男爵の子供が行方不明になった挙げ句に暴行されて発見されたり、助産婦の
知的障害のある息子が失明するかもしれない程のケガを負わされたりと、村には
次々と犯人のわからない事件が起きる。小作人の妻の転落死以外は、教師(クリス
チャン・フリーデル)は子供たちの関与を疑う。
一見のどかな小さい村だが、そこには悪意、憎しみ、嫉妬、猜疑心などが渦巻い
ている。大人だけでなく子供たちの中にも。白いリボンは子供の無垢、素直さ、
純粋さの象徴だが、あんなに支配的な村で育つ子供たちからは無垢さは失われる
だろう。そしていくつもの事件の犯人は見つからないままなのである(小作人の妻
の転落死は事故と思われる)。犯人捜しをする映画ではないのはわかっているが、
何とももやもやが残る。全て推測に過ぎない、とても不条理な物語なのだ。
悪意のかたまりのような村で、救いとなるのは教師の恋愛話と、牧師の末子の鳥
のエピソードである。牧師の幼い子供は優しい子だ。モノクロの映像が時代をよ
く表現していて、とても見応えのある映画だった。私の好みの作品である。



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ファニーゲーム




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10×10 テン・バイ・テン

2019-03-23 17:43:28 | 日記
2018年のイギリス映画「10×10 テン・バイ・テン」。

ルイス(ルーク・エヴァンズ)は花屋を営む女性キャシー(ケリー・ライリー)を白昼
堂々と誘拐し、自宅に自ら作成した10フィート4方の防音室に彼女を監禁する。ル
イスの目的は、キャシーによって隠蔽されたある秘密を告白させることだった。だ
がキャシーは抵抗して何も語ろうとはせず、ルイスに対して反撃に出る。

イギリスのサスペンス映画。冒頭からルイスは車の中からキャシーをじっと見てお
り、気に入った女性を拉致して監禁する物語かと思ったが、違っていた。ルイスは
車に乗ろうとしたキャシーを手早く拘束し、自分の車のトランクに閉じ込める。そ
のまま自宅に帰り、防音室にキャシーを入れる。ルイスはキャシーに何度も名前を
聞き、その度にキャシーは答えるのだが納得しようとしない。実はルイスはキャシ
ーのことを調べ上げていたのだ。そしてルイスは度々テレビのニュースを見る。
登場人物も少なく、低予算で作られた感のある作品だが、なかなかおもしろかった。
普通の監禁ものの映画とは違っていて、観ているうちにどちらが被害者でどちらが
加害者なのかわからなくなる辺り、おもしろい。そしてキャシーがものすごく強い。
軍人かとおもうほど。ルイスを殴ったり刺したり、目一杯の抵抗をする。笑えるく
らい強く、殺す気満々である。ルイスの方は彼女にある告白をさせたいので殺すつ
もりはなく、結構やられてしまう。キャシーの秘密とは何なのか。
ルイスが見ていたテレビのニュースとキャシーがつながっていることがわかるシー
ンは意外でおもしろかった。サイコパスという人は現実にもいるもので、キャシー
のような人の事件が実際にしばしば起きている。その真相は良かった。ラストはあ
る疑惑が残るものの、一応は解決を見る。それにしてもルイスの家広いなあ。あん
な家に住んでみたいものだ。



ねむねむ。














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ブラッド・インフェルノ

2019-03-18 23:40:17 | 日記
2017年のアルゼンチン・ニュージーランド合作映画「ブラッド・インフェルノ」。

大洪水により今や廃墟となったエピクエンの町に、映画の撮影のために6人の若者が
やってきた。途中で車が立ち往生してしまい、1人が最寄りのガソリンスタンドまで
助けを呼びに行っている間、3人は撮影のため墓地へ向かう。辺りがすっかり暗くな
った頃、一行は車に戻ってくるが、車に残っていたはずの仲間の姿がない。そんな彼
らの前に、人の顔の皮で作った仮面をかぶった何者かが現れる。

タイトルでそれとわかるホラー映画。あまりおもしろくなかった。廃墟となった町に
映画撮影のためにやってきた若者たち、という設定はいいと思う。いかにも何かが起
こりそうでベタだが、それなりに期待させられる。途中寄ったガソリンスタンドの怪
しげな老婆もいい。そして現れる正体不明の者たち。ストーリーはいいと思うのだが、
どうして期待外れだったのだろう。多分無駄なシーンが多くちぐはぐな感じがするか
らだと思う。加害者側も被害者側もリアクションが何か変だし、怖くない。グロテス
クなシーンも中途半端。とにかくテンポが悪いのだ。
アルゼンチン版「悪魔のいけにえ」なのだろうが、「悪魔のいけにえ」の足元にも及
ばない。あんなに怖い映画はそうないと思う。ストーリーは似ているが、こちらは怖
さがあまりない。何かどうにかしたらもっと怖くておもしろい映画になったのではな
いか、と思うと残念。意外な真相は良かったが、その後も中途半端だし、色々惜しい
作品だった。




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わたしはロランス

2019-03-13 21:19:21 | 日記
2012年のカナダ・フランス合作映画「わたしはロランス」。

モントリオールで国語教師をしているロランス(メルヴィル・プポー)は、30歳の誕生
日を迎え、恋人のフレッド(スザンヌ・クレマン)にある告白をする。それは、自分の
体の性に違和感を持っており女になりたいと思っているということだった。この告白
にショックを受けたフレッドは、「私たちの2年間は何だったの」とロランスを非難
するが、やがてロランスの良き理解者になり彼を支えていこうと決意する。

グザヴィエ・ドラン監督作品。ある日突然自分の異性の恋人が、別の性になりたいと
言ったらどうするだろう。これはそんな恋人たちの10年に亘る愛憎や葛藤や思いやり
を描いた映画である。恋人たちと言っても、ロランスが女になりたいと言った時点か
らそれは普通の関係ではなくなった。フレッドは激怒するが、やがてロランスの気持
ちを尊重することを決意する。恋人であり友人であるような、不思議な関係である。
でも2人はお互いを必要としており、愛し合っているのだ。いろんな意味で。
フレッドはロランスにメイクや髪型などのアドバイスをするが、田舎町でそれはなか
なか受け入れられず、偏見の目にさらされることになる。やがてロランスは失職して
しまう。ロランスとフレッドの関係も平穏とは言えず、くっついたり離れたりパート
ナーを変えたりしながら、その不思議な関係は続いていく。
色彩がとてもきれいな映画だった。2人が再会して歩いていくシーンはとても印象に
残った。この2人の関係は何なのだろう。愛し合っていることは確かなのだが、言葉
では簡単には言い表せない複雑な関係である。フレッド役のスザンヌ・クレマンの演
技がとても良かった。自分の中にある葛藤、怒り、苦しみ、愛情といったものの表現
が素晴らしい。カフェでお店のマダムと口論をする(というか文句を言う)シーンは見
事で印象深い。
ロランスとフレッドは離れられない運命なのだろう。観終わった後すっきりする映画
ではないが、ラストは感動的だった。ドランが23歳でこの映画を撮ったというのは驚
きである。


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胸騒ぎの恋人
Mammy マミー
たかが世界の終わり




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