猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ファイト・クラブ

2020-09-26 22:55:07 | 日記
1999年のアメリカ映画「ファイト・クラブ」。

「僕」(エドワード・ノートン)は自動車会社に勤務するサラリーマンだが、
不眠症に悩んでいた。ある時彼は飛行機の中で石鹸の製造、販売の仕事を
しているチンピラのような男・タイラー(ブラッド・ピット)と知り合う。
自宅が火事になり焼け出された「僕」は、タイラーに連絡をとって彼の家
に居候することになる。タイラーはバーを出た後、「僕」に「力一杯俺を
殴ってくれ」と頼む。そして「僕」とタイラーはふざけ合いながらも本気
の殴り合いを始める。そこには多くの見物人が集まってきた。その後、タ
イラーは酒場の地下で「ファイト・クラブ」という拳闘の秘密集会を仕切
るようになる。たくさんの男たちがスリルを求めて集まってくるが、やが
てそのクラブは恐るべきテロ集団へと変貌していく。

デヴィッド・フィンチャー監督作品。不思議な映画だった。主人公の名前
は明かされず、「僕」の独白を中心に物語は進行していく。エンドロール
ではエドワード・ノートンは「ナレーター」となっていた。「僕」は不眠
症に悩まされていたが、医師は「君より辛い思いをしている患者はたくさ
んいる」と言って、がん患者の互助グループを紹介し、覗いてみるように
勧める。「僕」はそこで自分と同じように病気ではないのに色々な互助グ
ループに顔を出しているマーラ(ヘレナ・ボナム=カーター)と知り合う。
出張から帰ると自宅が火事になっていた「僕」は飛行機の中で知り合った
タイラーに電話をかけ、一緒にバーへ行く。その後「僕」はタイラーに頼
まれて彼を思い切り殴り、やがて2人は笑いながら殴り合う。彼らは痛み
の中で生きている実感を取り戻した気がした。そして「僕」はタイラーの
家(というか廃屋みたいなもの)に同居するようになり、タイラーは1対1の
勝負をするファイト・クラブという秘密集会を始める。そのクラブのメン
バーたちは次第に過激になっていき、「僕」は不安を感じる。
何だかよくわからない映画だった。「僕」はマーラを嫌っていたが、マー
ラとタイラーは付き合うようになってしまう。しかし「僕」はやがてマー
ラに惹かれていく。マーラのような変な女を好きになる「僕」の気持ちが
よくわからなかったし(彼も充分変になっていたのだが)、タイラーの人生
の目標もよくわからなかった。タイラーは博学でよくしゃべるのだが、観
ている方は次第にタイラーに置いてきぼりにされていく感じだ。この人は
一体何をしたいのだろう。それに巻き込まれていく「僕」にも、それでい
いのか?と思ってしまう。
けれども勢いのある映画で、決しておもしろくない訳ではない。とにかく
エドワード・ノートンとブラッド・ピットの演技がいい。ハンサムで体つ
きが良く腕っぷしも強いタイラーと、ちょっと冴えない「僕」の対比もお
もしろい。オチは段々とわかってくるが、自然に受け入れられる感じ。映
像もデヴィッド・フィンチャーらしくスタイリッシュで、よくわからない
けど観てしまうというタイプの映画だった。デヴィッド・フィンチャーの
作品は結構観ているが、「ソーシャル・ネットワーク」が断トツでおもし
ろかった。そして何度も観ているけれど、また「セブン」を観たくなった。




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ぼくの大切なともだち

2020-09-22 22:54:06 | 日記
2006年のフランス映画「ぼくの大切なともだち」。

美術商のフランソワ(ダニエル・オートゥイユ)は、自分の誕生日を祝う夕食会の
席で、「君には友達がいないから君の葬式には誰も来ない」と言われ、ショック
を受ける。そこで自分にも親友くらいいると言い張ったため、フランソワは10
日以内に親友を連れてこれるかどうか、共同経営者のカトリーヌ(ジュリー・ガ
イエ)と賭けをすることになってしまう。そんなある日フランソワはタクシー運
転手のブリュノ(ダニー・ブーン)と知り合い、誰とでも仲良くなれるブリュノに
どうすれば友達が作れるのか教えを請う。

パトリス・ルコント監督のハートウォーミングなコメディ映画。美術商のフラン
ソワは自分の誕生日パーティーの席で、「君には友達がいない」と言われてしま
う。フランソワは「君たちだって友達じゃないか」と言うが、皆口を揃えて「た
だの仕事仲間だ」と言う。そこで自分にも親友くらいいると言い張ったため、共
同経営者のカトリーヌの挑発に乗って、10日以内に親友を連れてくるという賭
けをしてしまう。もしできなければ、20万ユーロで落札したばかりの古代ギリ
シャの壺を手放す事態に。フランソワは早速自分が友達だと思っている人たちの
元を訪れるが、誰からも「友達じゃない、ただの仕事仲間だ」と言われてしまう。
皆フランソワのことを好きではなかったのだ。落胆するフランソワだったが、愛
想のいいタクシー運転手のブリュノと出会い、友達の作り方を教えてもらうこと
になる。
フランソワが友達だと思っていた人たちは皆そう思ってはいなかったというのが
悲しいし笑えてしまう。フランソワは自己中心的で他人に心を開かず、物にしか
興味がないのだ。けれども彼はその自覚がない。ブリュノは陽気で誰とでも親し
くなれるので、ブリュノに友達の作り方を尋ね、ブリュノは真面目に相談にのる。
ブリュノは「大切なのは笑顔と誠実さと感じ良さ」と言い、フランソワはその通
りに人と接するのだがうまくいかない。うさんくさく思われてしまうのだ。フラ
ンソワが必死に人に話しかけて友達を作ろうとしている姿はユーモラスだ。
しかしブリュノにも悩みがあった。彼は博識でクイズが得意で、テレビのクイズ
番組に出るのが夢なのだが、極度のあがり症のためにオーディションの段階で落
ちてしまうのだ。そしてフランソワもブリュノも離婚しているが、ブリュノの離
婚にはとても悲しい事情があったことをフランソワはブリュノの両親から聞かさ
れる。明るいブリュノがそんな辛い経験をしていたということにフランソワは胸
を痛める。
終盤は緊張感があり、かつホロリとさせられるのがいい。知らず知らずのうちに
フランソワとブリュノは友情を育んでいたのに、ブリュノはフランソワのある行
動にがっかりしてしまう。そしてカトリーヌがフランソワに「本当はあなたと友
達になりたかった」と言うシーンも良かった。フランソワはそれほど嫌な奴とは
思えないのだが、どこかズレているのだろうなあ。ラストはちょっと感動的。ル
コント作品っていいなあと思える映画だった。
ダニエル・オートゥイユは本当にいい俳優だと思う。シリアスからコメディまで
何でもできる。特に彼のコメディ演技は素晴らしい。それにしてもブリュノ、1
年間で100万ユーロを使い切ってしまうなんて、どういう散財をしたのだろう。
普段金を持たない人間が大金を持つと使い方がわからないみたいなことを言って
たけど。私だったらマンションを購入して、後は貯金するけどな(笑)


良かったらこちらもどうぞ。パトリス・ルコント監督作品です。
仕立て屋の恋
髪結いの亭主
イヴォンヌの香り
ハーフ・ア・チャンス
暮れ逢い



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グッバイ、リチャード!

2020-09-17 22:26:34 | 日記
2018年のアメリカ映画「グッバイ、リチャード!」を観に行った。

大学の英文学教授であるリチャード・ブラウン(ジョニー・デップ)は、医師から
末期の肺がんで余命は半年だと宣告される。妻ヴェロニカ(ローズマリー・デウ
ィット)と娘オリヴィア(オデッサ・ヤング)との何不自由ない暮らしを送ってい
たはずのリチャードの人生は一変する。彼は夕食の時に妻子に打ち明けようと決
意するが、先にオリヴィアが同性愛者であることを告白し、更にヴェロニカがリ
チャードの上司と不倫していることを告白したため、結局リチャードは余命宣告
を受けたことを家族に伝えられなかった。彼は病気のことは親友で同じ大学の教
授ピーター(ダニー・ヒューストン)にだけ打ち明け、妻子には隠したまま、残り
の人生を自分のために謳歌しようと決心する。そしてルールや立場に縛られない
新しい生き方で残りの日々を過ごすが、それはリチャードにこれまでにない喜び
を与え、彼の破天荒な言動は次第に周囲にも影響を与えていく。

ジョニー・デップ主演の人間ドラマ。主人公のリチャードは映画の冒頭でいきな
り医師から余命宣告を受ける。「治療をすれば1年から1年半は生きられるでしょ
うが、治療をしなかった場合は半年くらいでしょう」と言われ、リチャードは治
療をしないことを選ぶ。妻と娘には打ち明ける機会を逃してしまい、親友のピー
ターにだけ話す。心優しいピーターは嘆き悲しむのだった。
病気ものの映画だが、重たくはない。むしろコミカルで下ネタ満載である。死を
前に怖いものなしになったリチャードは、人の目を気にもとめない破天荒な言動
をし、学生たちも初めは困惑するが、次第にリチャードに興味を持つようになる。
授業中に酒やマリファナを楽しんだり、バーへ行って授業をしたり。とにかくセ
リフがおもしろい。ピーターに末期の肺がんだと話した時も「タバコは?」と聞
かれ「吸わない。でもこれからは吸える」と答えたり、学生に「マリファナの売
人の知り合いがいたら教えてくれ」と言ったり。リチャードが男子学生に迫られ
るエピソードは笑えた。
けれども笑えるシーンばかりではない。ジョニー・デップ独特のユーモアやペー
ソスが漂う演技に惹き込まれていく。病気は確実にリチャードの体を蝕んでいく
のだ。リチャードが学生たちに文学や人生について語る時はいつも真摯だ。彼ら
に話す言葉は胸を打つ。ただ、終盤の展開はあまり好きではないなあ。ああいう
形で余命について告白して欲しくなかった。それがちょっと残念。
ジョニーにしては珍しいミニシアター系の作品だが、改めてジョニーの演技派ぶ
りを見せつけられた。そしてとにかくかっこいい。ジョニーは現在57歳で、ブ
ラッド・ピットは今年57歳になるが、彼らみたいにかっこいい57歳ってそうい
ないと思う。笑えてそしてじんわり来る映画だった。




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なな、3年

2020-09-12 23:11:10 | 日記
今日9月12日は次女ななの命日です。もう3年が経ちました。
早いものです。まるで昨日のことのように覚えているのに…ななのことを思い
出さなかった日はありません。死ぬ数ヵ月前からあちこち具合が悪かったなな。
歯肉炎が化膿して顔が破れたり(あれは本当にびっくりしました)、脚がすごく
腫れたり、歩けなくなったり。18歳という高齢だったのでいろいろ辛かった
ことでしょう。それまで普通にしていたのに、トイレを間違えるようになって
きたり、急に弱ってきました。
顔が小さくて目がまん丸で大きくて、とてもかわいかったなな。子猫の時は本
当に美少女でした。長女のちゃぴのことが大好きで、いつもちゃぴの側にいた
なな。ちゃぴは最初突然現れたななのことを邪魔そうにしていましたが、次第
に仲良くなっていきました。
ななとちゃぴはいつもセットで思い出されます。今頃は3女のさくらと3人で、
天国で仲良く暮らしていることでしょう。病気のない国で。きっと走り回って
いるよね。ずっと幸せでいてね。

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サスペクト-薄氷の狂気-

2020-09-09 22:32:18 | 日記
2018年のカナダ映画「サスペクト-薄氷の狂気-」。

ある日、若い女性の遺体が見つかり、捜査官マーシャル(ヘンリー・カヴィル)
らは手がかりから犯人と思われる男サイモン(ブレンダン・フレッチャー)を逮
捕する。彼の尋問を担当するのは、プロファイラーのレイチェル(アレクサン
ドラ・ダダリオ)。数々の事件の痕跡は見つかったが、サイモンには知的障害
があるのか、子供のような振る舞いばかりを見せ、捜査は一向に進まない。そ
んな中、更なる事件が発生する。

サイコ・サスペンス映画。若い女性が何人も監禁され殺されるという事件が起
きる。容疑者として逮捕された男サイモンは、自宅の地下室に女性たちを監禁
しており、助かった女性の証言によると別々の部屋にいた女性たちはそれぞれ
顔を合わせていなかった。プロファイラーのレイチェルがサイモンの尋問に当
たるが、サイモンには知的障害があるのか、子供のような受け答えで何を言っ
ているのかわからない。レイチェルや刑事のマーシャルはサイモンを「知的障
害、もしくは統合失調症、もしくは多重人格、もしくは振りをしているだけ」
と推測する。
割とおもしろかったのだが、ちょっとわかりにくかった。監禁殺人事件と並行
して、クーパー(ベン・キングズレー)という元判事と少女が組んだ美人局の事
件が描かれるのだが、それがどういう関係なのか初めはわからなかった。クー
パーは美少女と組んで少女買春をしようとする男たちを罠にかけて、何と去勢
を施すということをしていた。元判事と少女の関係もわからなかったが、結局
クーパーたちの事件とサイモンの事件は全く関係はなく、あるきっかけでマー
シャルとクーパーは知り合うのだった。
マーシャルの私生活も同時に描かれる。彼は妻と別居(離婚?)しており、思春
期の娘に対しても愛情表現が下手だ。でもマーシャルの家庭のエピソードはい
らなかったのではないかと思う。レイチェルも夫の不倫に悩んでいることとか、
刑事たちのプライベートが無駄に描かれているので余計にややこしくなってし
まった感じがする。それにサイモンの事件も実際は悲惨な事件であるのに、あ
まり直接的に見せていないので悲惨さが伝わって来ない。
サイモンが逮捕されてからも事件が続いているのは何故なのか?彼には共犯者
がいるのか?そしてサイモンは知的障害、統合失調症、多重人格なのか、ある
いは振りをしているだけなのか?それらは終盤までわからないので興味深くは
あった。サイモンの取り調べ室の様子を撮影した映像をマーシャルが見ていて、
ある重要なことに気づいて飛び出していくシーンはおもしろかった。私も「そ
うだったのか!」と思った。犯人役のブレンダン・フレッチャーは熱演だし、
どこかをもう少し変えたらよくできたサイコ・サスペンスになっただろうと思
うと惜しい。


今日はノエルの3歳の誕生日です。早いなあ、もう3歳。でもやんちゃはちっ
とも直りませんこれからも元気でね









ノエル「ねーねー」。ベル、スルー。

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