猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

花様年華

2016-03-31 06:04:11 | 日記
2000年の香港映画「花様年華」。
1962年の香港。ジャーナリストのチャウ(トニー・レオン)は妻と共にあるアパート
に引っ越してくる。同じ日、隣の部屋にはチャン夫妻が引っ越してきていた。チャ
ウの妻とチャン夫人(マギー・チャン)の夫は仕事のせいであまり家におらず、2人
はそれぞれの部屋に1人でいることが多い。そして、実はお互いの妻と夫が浮気
していることを察し始め、2人は次第に親密になっていく。

トニー・レオンがカンヌ国際映画祭で香港人として初めて主演男優賞を受賞した、
ウォン・カーウァイ監督作品。匂い立つような色気を感じる、大人の恋愛ドラマで
ある。パトリス・ルコントの映画みたいだった。
アパートの隣同士の部屋に住む、チャウとチャン夫人。ちょっとしたことがきっか
けで、お互いの妻と夫が浮気していることに気づく。チャウは割り切った様子にも
見えるが、チャン夫人は傷つく。時間を共にすることが増えていく2人だが、彼ら
はそう簡単に男女の仲になる訳ではない。少しずつ心を通わせていく。
チャウの妻とチャン夫人の夫がほとんど姿を見せない演出がいい。後ろ姿がチ
ラッと見えたり、あとはセリフが聞こえてくる程度。アパートの家主や住人たちは
普通に登場するのだが。ざわついたアパートが、ああ香港だなあという雰囲気で
良かった。
ラストのトニー・レオンの表情がとてもいい。カンヌ受賞も納得である。トニー・レ
オンってアンディ・ラウやアーロン・クォックと違って、正統派の美形ではないん
だけど、不思議なセクシーさがある。マギー・チャンも相変わらずきれいだった。
チャン夫人を始め、女性たちがいつもチャイナドレスを着ているのだが、香港の
人ってあんなに日常的にチャイナドレスを着ているものなのだろうか?チャン夫
人は社長秘書の仕事をしているが、職場でもチャイナドレスを着ていた。舞台が
1962年だからだろうか?よくわからない。
とにかくチャン夫人の様々な柄のチャイナドレス姿はため息ものである。私も1度
着てみたいものだ(昔からチャイナドレスに憧れていた)。でも、マギー・チャンの
握り箸には驚いた。あんな有名女優が握り箸だなんて…直そうよ(-_-;)



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ムカデ人間3

2016-03-27 04:31:33 | 日記
2015年のオランダ・イギリス合作映画「ムカデ人間3」。
暴動数、医療費、離職率が全米1となってしまった刑務所の所長ビル・ボス
(ディーター・ラーザー)は、この状況が改善できなければ解雇すると州知事
(エリック・ロバーツ)からの最後通告を受けていた。しかしどんな策を講じて
も一向に囚人たちをおとなしくさせることができないでいた。そんな中、ビルの
右腕で会計士のドワイト(ローレンス・R・ハーヴェイ)は映画「ムカデ人間」を
参考に、囚人たちをひざまずかせて口と肛門をつなげることを提案する。抑
止力となり得るだけでなく食費も1人分で済んでしまうこのアイデアに乗り、2
人は500人もの囚人をつなげようとする。

「ムカデ人間」の主人公ディーター・ラーザーと「ムカデ人間2」の主人公ロー
レンス・R・ハーヴェイが出演しているので、「ムカデ人間」の集大成なんだろ
うけど、とにかくおもしろくなかった(^^;)やっぱりシリーズものは第1作が1番
おもしろいなあ。1作目では3人、2作目では12人、今回は500人のムカデ人間
が作られるんだけど、スケールが大きくなっただけでストーリー自体はおもし
ろくなくなってしまった。1作目は変態映画ながらもディーター・ラーザー演じる
マッド・サイエンティストがインパクトがあって、ドイツ人な顔の博士のキャラク
ターが良かったのだけど、今回の彼の役どころは下品なセリフをおおげさに
ひたすら叫んでいるだけで、キチガイそのもの。2の主人公も気持ち悪かった
けど。
舞台が1作目はオランダ、2作目はイギリスだったのが今回はアメリカなので、
いかにもアメリカ映画っぽい雰囲気になっているのが残念。徐々にストーリー
性がなくなっていっている。でもエリック・ロバーツみたいな大物がさりげなく
出演している点はいいかな。でも彼が演じる州知事、もう笑ってしまう。あと、
1作目でムカデ人間にされてしまう日本人ヤクザを演じていた北村昭博も出
演しているので今度はどんな役だろうと期待していたら、囚人の1人で、5シー
ンくらい映っただけであっさり殺されてしまった。これも残念。「ムカデ人間」
での彼は、人間として死ぬことを選択した重要な役で、良かったんだけどなあ。
ま、大勢の出演者の皆さん、お疲れさまという感じ。



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MAY -メイ-

2016-03-22 23:06:46 | 日記
2002年のアメリカ映画「MAY -メイ-」。
内気なメイ(アンジェラ・ベティス)は、動物病院で助手を勤める女の子。幼い頃、
斜視であるというコンプレックスのため友達ができなかったメイは、人とうまく接す
ることができず、母親にプレゼントされた人形のスージーだけが唯一の話し相手
だった。ある日メイはアダム(ジェレミー・シスト)という青年と知り合い、恋に落ち
るが、メイの愛情表現が常軌を逸したものになると、アダムは彼女を避けるよう
になる。

内気、というよりコミュニケーション障害っぽい少女のグロテスクで切ないホラー。
コミュ障に関しては私も人のことは言えないので、メイの気持ちがわからなくもな
いが、まあ私はメイほど異常ではない。子供の頃から友達がいなかったメイは、
好きになったアダムに対して、愛情をどう表現すればいいのかわからない。最初
はメイを「変わった子だな」と思いつつも好意を持っていたアダムだが、彼女の異
常さがエスカレートしていくと、恐怖を覚えるようになり、距離を置くようになる。
「僕たちはうまくいかなかったけど」と優しく話しかけるアダムに、「いいのよ」と答
えるメイ。アダムはホッとするが、メイのアダムに対する執着はなくなってはいな
かった。メイはレズビアン関係も経験するが、浮気されてしまい、やっぱりうまく
いかない。
アンジェラ・ベティスの狂気をたたえた演技がうまい。キョロキョロと落ち着かない
目つきや体の動き。孤独で異常な少女を見事に体現している。メイが大切にして
いる人形のスージーのガラスケースが割れたシーンは、本当にかわいそうだった。
「友達ができなければ、自分で作ってしまおう」と考えたメイの狂気。ラストシーン
の安らかな表情のメイは、あれからどうなってしまうのだろうか。



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リスボン特急

2016-03-18 07:28:19 | 日記
1972年のフランス映画「リスボン特急」。
パリの町にとばりが降りると、パトカーの赤いランプが回りだす。そしてエドアール・
コールマン刑事(アラン・ドロン)の1日が始まる。1台のエッジが打ち寄せる波しぶき
をかぶりながら疾走する。車の中では、4人の男が押し黙ったままだった。ハンドル
を握るルイ、その隣に首謀者のシモン(リチャード・クレンナ)。後部にマルクとポール。
4人は大西洋に臨むある小さな町の銀行襲撃のために、パリから車を走らせてきた
のだ。

アラン・ドロン主演のフィルム・ノワールである。とにかく静かで、セリフが凄く少ない。
映像でストーリーを追わせようとしていて、とてもクールでかっこいい。最初の銀行
強盗のシーンからいい。強い雨の中走り続ける1台の車、車の中には4人の男たち。
やがて銀行のそばに車を止めると、彼らは客のふりをして中に入るのだが、あから
さまに怪しい。そして銃を向けて、銀行員に袋に金を入れさせる。出納係が警報ブ
ザーを押したために撃たれるが、マルクも負傷してしまう。3人はマルクを抱きかかえ、
金を持って逃げる。この流れがとても緊迫していて、惹きつけられる。そして警察が
動き出すのだが、コールマン刑事とシモンは実は戦友同士だった。
シモンたちが一旦埋めた金を取りにいくシーンもいい。特に列車の中でのシモンの
行動は本当にハラハラさせられる。「ランボー」でおなじみのリチャード・クレンナが
この映画でも圧倒的な存在感を放っている。アラン・ドロンはもちろん無茶苦茶かっ
こいいのだが、リチャード・クレンナも渋くてかっこいい。アメリカの俳優だがフランス
語も話せるのかな?まさか吹き替えじゃないよね?
友情で結ばれていたコールマンとシモンは、対決しなければならなかった。ラスト
シーンがまたいい。終始セリフが極端に少ない中で終わっていくが、その分見どこ
ろは多い。若いカトリーヌ・ドヌ―ヴが輝くように美しかった。



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義兄弟 SECRET REUNION

2016-03-14 03:43:45 | 日記
2010年の韓国映画「義兄弟 SECRET REUNION」。
北朝鮮工作員のソン・ジウォン(カン・ドンウォン)が、「影」と共に脱北者暗殺に
向かう。だがその現場に、イ・ハンギュ(ソン・ガンホ)ら諜報員が密告を受けて
駆けつける。この事件で、濡れ衣を着せられたジウォンは党に捨てられ、一方
ハンギュは工作員を取り逃がした上に死傷者を出した責任を問われ、免職さ
れる。6年後再び出くわした2人は、互いに顔と立場を覚えてはいたが、ハンギュ
はジウォンが党に捨てられたことを、ジウォンはハンギュが免職されたことを知
らない。ハンギュは逃げた妻や外国人花嫁捜しといった探偵稼業で生計を立て
ていた。ハンギュの熱心な誘いで一緒に働くようになった2人は、それぞれの
目的を胸の内に秘めながらも、寝食を共にするうちに次第に心を通わせていく。

ソン・ガンホとカン・ドンウォンの豪華共演。ストーリーもとてもおもしろかった。
党に捨てられ、工作員ではなくなってしまったジウォンは、北朝鮮に帰ることも
韓国人になることもできない。こういう人ってたくさんいるのかもしれない。自分
が誰でもないという状況は辛い。しかもジウォンは北朝鮮に妻子を残したまま
なのだ。一方諜報員を免職され、妻とも離婚したハンギュ。彼も妻が引き取った
娘のことが気がかりだ。立場は違えど、家族を思う気持ちは同じ。
お互いのことを知りながら、知らないふりをして同居、仕事をする様子はスリリ
ング。対立する立場にある2人は、お互いの動向を探り続けていた。2人の目
つきにハラハラする。でもジウォンに妻子がいることを知りながら(もちろんジ
ウォンは独身だと言っている)、自分は失敗したが、お前はいい夫になれと言う
ハンギュの言葉にはホロリとさせられる。
この映画で印象に残ったのは、外国人花嫁の実態だ。ベトナム辺りから売られ
てくる女性たちが、夫の暴力などに耐えかねて逃げ出す。日本でもこんな現実
あるのだろうか?かわいそうな女性たち。
そしてとにかくカン・ドンウォンがかっこいいっ。美形、長身、スリム、手足長い、
こんなにかっこいい人ってなかなかいない。ソン・ガンホと一緒にいるから余計
…(失礼)。ラストも「シュリ」みたいな悲劇でなくて良かった。もちろんあの映画
はあの映画でいいのだけど。



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