猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

今年映画館で観た映画

2020-12-31 22:51:33 | 日記
今年映画館で観た映画、おもしろかった順に。

1) ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像(フィンランド)
2) コリーニ事件(ドイツ)
3) タイムリミット 見知らぬ影(ドイツ)
4) パラサイト 半地下の家族(韓国)
5) 悪の偶像(韓国)
6) アングスト/不安(オーストリア)
7) 異端の鳥(チェコ・スロバキア・ウクライナ)
8) 屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ(ドイツ・フランス)
9) エクストリーム・ジョブ(韓国)
10) 赤い闇 スターリンの冷たい大地で(ポーランド・イギリス・ウクライナ)
11) この世界に残されて(ハンガリー)
12) 世宗大王 星を追う者たち(韓国)
13) グッバイ、リチャード!(アメリカ)
14) ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(アメリカ)
15) 私の知らないわたしの素顔(フランス)
16) 人間の時間(韓国)
17) ディアスキン 鹿革の殺人鬼(フランス)

今年はとてもおもしろい映画が多くて良かった。でも私韓流マニアではないの
に韓国映画を5本も観に行ってしまった(^^;)本当は華流マニアなのですが…
最近香港映画が来ないんですよねえ。台湾や中国映画はよく来るんですが。そ
れも好きですけど、香港映画観たいなあ。来年はおもしろい香港映画が来ます
ように!
それでは皆様、良いお年を。




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この世界に残されて

2020-12-26 23:04:47 | 日記
2019年のハンガリー映画「この世界に残されて」を観に行った。

1948年、第2次世界大戦後のハンガリー。ホロコーストを生き延びたものの、
家族を失い孤独の身となった16歳の少女クララ(アビゲール・セーケ)は、保
護者となった大おばにも心を開かず、学校にも馴染めずにいた。ある日クララ
は42歳の寡黙な医師アルド(カーロイ・ハイデュク)に出会う。言葉を交わすう
ちに、彼の心に自分と同じ孤独を感じ取ったクララは父を慕うように懐き、ア
ルドはクララを保護することで人生を再び取り戻そうとする。彼もまたホロコ
ーストの犠牲者だったのだ。だが、スターリン率いるソ連がハンガリーで権力
を掌握すると、再び世の中は不穏な空気に包まれ、世間は2人の関係に対して
スキャンダラスな誤解を抱くようになる。

ナチスドイツにより約56万人ものユダヤ人が虐殺されたと言われるハンガリ
ーを舞台に、ホロコーストで心に深い傷を負った孤独な男女の絶望と再生を描
いた物語。強制収容所で両親と妹を亡くした少女クララは、大おばに引き取ら
れていた。ある日大おばと一緒に行った病院で婦人科医のアルドと出会う。最
初は反抗的だったクララだが、アルドに自分と同じ孤独を感じ取ったクララは
次第にアルドに心を開いていく。2人は親子のように慕い合い、大おばの頼み
によりクララは週の半分をアルドのアパートで過ごすようになる。そんな中ハ
ンガリーはスターリンの台頭により社会主義国家へと向かっていた。
説明がないので初めはわからないのだが、アルドの腕に数字の刻印が見えるシ
ーンで彼がユダヤ人だとわかる。悲しいシーンである。アルドは病院と自宅ア
パートを行き来する孤独な日々を送っている。まるで世捨て人のようである。
一方クララは聡明だが本ばかり読んで真面目に勉強をしないため落第寸前であ
る。ある日クララはアルドが勤務を終えて帰宅するのについていき、そのまま
彼の部屋に上がり込む。お茶を飲みながら、無口なアルドに比べてクララはよ
くしゃべる。次第に2人は親子のような絆を感じるようになる。
アルドとクララの関係は親子のようでもあり恋人同士のようでもある。クララ
がダンスパーティーに出かけようとしている時アルドは「口紅が濃すぎないか
?」と父親のように心配するが、クララは男の子なんてくだらない、と言う。
国民は共産党に入党する者が増えていき、公園のベンチでクララがアルドの膝
に頭を乗せておしゃべりをしていると、入党しているクララの女教師に怪訝な
目で見られ、翌日クララは校長と女教師に2人の関係を詰問される。そしてア
ルドの旧友である医師もまた入党しており、アルドの様子を探るように命令さ
れたことを打ち明ける。夜中にアルドのアパートの前に車が止まり、階段をバ
タバタと昇る足音にアルドとクララが緊張して怯えるシーンは怖い。結局別の
部屋の住人が連行されていくのだが。
クララがアルドのアルバムを見て、彼には妻と2人の息子がいたことを知り、
クララが号泣するシーンはとても悲しい。アルドも収容所で妻子を亡くしてい
たことを、かつては幸せな家庭があったことを知るのである。やがて月日の流
れと共に2人の関係も変化していく。5年後、クララの夫がラジオから流れる
スターリンの訃報を聞いて、「やった!これでどこへでも行ける。アメリカに
だって」とクララを抱きしめて喜ぶシーンは印象的である。独裁者が死んで国
民は希望を抱いただろうけど、その数年後にはハンガリー動乱が起きたことを
私たちは知っている。ハンガリーの悲しい歴史である。それでもラストシーン
のクララの表情は明るく、とてもいい映画だった。


ベル、アップ。












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冬時間のパリ

2020-12-22 22:30:39 | 日記
2018年のフランス映画「冬時間のパリ」。

敏腕編集者のアラン(ギヨーム・カネ)は電子書籍ブームが押し寄せる中、何
とか時代に順応しようと苦心していた。ある日、作家で友人のレオナール(
ヴァンサン・マケーニュ)から不倫をテーマにした新作の相談を受ける。ア
ランは内心、彼の作風はもう古臭いと感じており、出版を断る。だが、アラ
ンの妻で女優のセレナ(ジュリエット・ビノシュ)の意見は正反対だった。最
近アランとセレナの関係はあまりうまくいっておらず、アランは年下の部下
と浮気をしている。一方、セレナとレオナールも数年に亘って不倫関係にあ
った。そしてレオナールの妻ヴァレリー(ノラ・ハムザウィ)は夫の度重なる
不倫に気づいていたが、何も言わなかった。

2組の夫婦の愛の行方をユーモラスに描いたドラマ。編集者のアランの友人
で作家のレオナールは不倫をテーマにした新作の相談を持ち掛ける。レオナ
ールは私小説作家で、いつも自分の経験を小説にしていて、アランはその作
風は既に読者に飽きられていると感じていたため、出版を断る。だがアラン
の妻で女優のセレナはレオナールの小説をとても褒めた。実はセレナとレオ
ナールは数年間不倫関係にあり、アランもまた部下と浮気をしていた。レオ
ナールは自らの不倫を何度も小説に書いてきたため(もちろん相手が誰なの
かはわからないように)、レオナールの妻ヴァレリーは夫の不倫に気づいて
いたが、問い質したことはなかった。
冒頭からアランたち数人の友人が集まってお酒を飲んだり食事をしたりしな
がら、会話の嵐。とにかく皆しゃべるしゃべる。そしてそのシーンが何度も
繰り返され、そのパワーに圧倒される。フランス人って本当にあんなによく
しゃべるのだろうか。話すのが苦手(人とコミュニケーションをとるのが苦
手)な私がああいう場にいたら、疲労困憊してしまうだろうな。アランは部
下と不倫をし、セレナもレオナールと6年くらい不倫を続けていて、もうど
うぞご自由に、といった感じ。本当に恋愛至上主義の国なんだなあ。
しゃべると言えば、レオナールが読者たちを集めて意見や質問を聞くという
場があったのだが、皆レオナールの本のファンなのかと思っていたらそうで
もないのだ。飛んでくる質問は小説に対する批判が多く、「いつも私小説を
書いているが本に書かれている女性に対して悪いとは思わないのか」とかそ
ういう内容。レオナールは相手のことはぼかして書いていると答えるが、本
人が読めばわかるのではないかと突っ込まれる。最初は受け流していたレオ
ノールだが次第にムッとしてくる。本当にフランス人ははっきりとものを言
うのだなと思った。
アランとセレナは夫婦2人暮らしなのかと思っていたら、幼い子供がいたの
でびっくりした。何というか、生活感が感じられないのだ。セレナの仕事が
女優だからだろうか。友人たちを招いていても子供は姿を現さないし、「こ
こからは大人の時間」ときっちり躾をするのだろうか。日本ではちょっと考
えられないが。それにしてもレオナール、どうして妻にセレナとのことを告
白するかなあ。「正直に打ち明けて謝りたかった」と言っていたけど、言わ
なくていいのに。でもこの夫婦にとってはハッピーエンドだったようだから
いいのだろう。会話も洗練されていておもしろいし、フランスの文化がよく
わかる興味深い映画だった。


少し早いクリスマスのランチに行きました。フレンチのコースで、とてもお
いしくてお腹いっぱいになりました。


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ポラロイド

2020-12-19 22:26:03 | 日記
2019年のアメリカ映画「ポラロイド」。

カメラ好きの女子高生バード(キャスリン・プレスコット)はアルバイト先の
アンティークショップで年代物のポラロイドカメラを手に入れる。バードは
友人や密かに思いを寄せるコナー(タイラー・ヤング)たちとの楽しい時間を
カメラで撮り始める。しかし、そのカメラで撮影された友人が次々と悲惨な
死を遂げていく。バードが写真を処分しようと火をつけると、被写体となっ
ている友人の体にも火がつく不可解な現象が起こる。このことから、一連の
悪夢のような出来事がポラロイドカメラによるものであるとバードは確信す
るが、彼女自身も写真に写り込んでいることが発覚する。バードとコナーは
カメラの謎を調べ始める。

古いポラロイドカメラによる呪いを描いた、ちょっと「リング」風のオカル
ト・ホラー。内気な女子高生バード(変わった名前だと思う)はアルバイト先
のアンティークショップで一緒に働いている同級生から年代物のポラロイド
カメラをプレゼントされ喜ぶ。女友達にパーティーに連れて行かれるが、バ
ードはそこで同級生たちを撮影する。ところがその後、写真に撮った同級生
が2人続けて不審な死を遂げ、バードと同級生の少年コナーはカメラの呪い
であると確信する。カメラの謎を調べ始めた2人だったが、撮影したバード
が窓ガラスに反射して写真に写り込んでいることを知る。
ビデオテープを観た人が死んでいくのも怖いが、ポラロイドカメラに撮られ
た人が死ぬのもなかなか怖いと思う。死んだ同級生たちは事故や自殺で処理
されるが、バードとコナーはカメラのせいであると気づく。カメラにはR・
J・Sというイニシャルの刻印があり、バードたちはそれを頼りに調べていく
が、昔彼らの高校で教師が4人の生徒を殺害した事件に行き当たる。その教
師のイニシャルと同じだったのだ。カメラの持ち主がわかり、その教師を知
る人々に事情を聞いて回るが、そこには恐ろしい真実が隠されていた。
設定が不気味で、謎が少しずつ解けていく過程はおもしろかった。ただ悪霊
が実体化して怪物のような姿で出てきたのはちょっと残念。オカルト風味に
欠けてしまうというか、悪霊は悪霊でもっと霊らしい姿でいて欲しかったな、
と思った。その方が怖いし説得力がある。それと画面がとても暗く、観にく
いのが気になった。何故バードたちはそこで電気をつけないの、と思ってし
まう。観辛かったのも映画として残念だった。
結局悪い奴と思われた保安官(バードたちの高校の元生徒)が実はそうではな
かったので気の毒だったが、保安官はもっと早く事件の真相を話せば良かっ
たのに、と思った。R・J・Sというイニシャルの本当の意味がわかる辺りは
とてもおもしろかった。スプラッター的なシーンはなく、割と正統派のオカ
ルト・ホラーという感じで良かった。




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バーニング

2020-12-15 21:46:06 | 日記
1981年のアメリカ・カナダ合作映画「バーニング」。

キャンプ場の管理人のクロプシー(ルー・デヴィッド)はアル中で偏屈で粗暴な
性格のため、人々から嫌われていた。ある夜、少年たちがクロプシーを驚かせ
ようといたずらを仕掛けたが、彼は予想以上に驚き慌てたことで火だるまとな
り、大火傷を負ってしまう。5年後、退院したクロプシーは娼婦を大型の園芸
ばさみで殺害した後、かつて自分が管理人を務めていたキャンプ場に戻ってき
た。そして、自分に大火傷を負わせた元少年たち、更には無関係の人々までも
手にかけていく。

昔のスラッシャー映画。ずっと観たかったのだが機会がなく、やっと観られた。
ストーリーはあってないようなもので、この映画の前年に有名な「13日の金
曜日」が公開されているので、「13日の金曜日」の亜流といった感じ。舞台
がキャンプ場というのも同じだし。でもこれはこれでまあまあおもしろかった。
凶器が園芸ばさみというのが個性的。ちょっと単調な感じはするが。
嫌われ者のキャンプ場の管理人クロプシーは少年たちのちょっとしたいたずら
が原因で全身大火傷を負ってしまう。5年も入院するなんてどれだけひどかっ
たのだろう。まあ、そりゃ恨むよねといった感じだが。大体あんなに問題のあ
る人物を管理人にしておくこと自体おかしい。退院したクロプシーは娼婦の部
屋へ行き、自分の顔を見て驚き怯えた彼女を園芸ばさみで殺害する。何故最初
の犠牲者が娼婦なのかわからないが。そしてクロプシーはかつて働いていたキ
ャンプ場へ向かう。そこには少年少女たちが大勢来ており、引率の青年はかつ
てクロプシーに火傷を負わせた少年たちの1人だった。
クロプシーが少年たちを襲うまで結構時間がかかる。男子女子たちがキャッキ
ャウフフしているシーンが長く、「あ、この子殺されるな」と思うシーンでも
ギリギリ助かったり(本人は狙われていることに気づいていない)。そしてクロ
プシーの顔もなかなか見せない。なので全体的にあまり迫力がなく、怖くない。
けれども後半クロプシーの殺戮が始まってからはそれなりに観られるようにな
る。凶器の園芸ばさみは単調ではあるがやっぱり怖い。銃で撃たれるとかより
痛そうだし。グロテスクなシーンも多い。
少年少女たちの中で助からなかった者と助かった者がいるが、クロプシーはど
んなふうに区別をつけたのかな、と思った。いかにも殺されそうになったのに
腕をケガしただけの少年もいたし。でもまあクロプシーも踏んだり蹴ったりで
あるし、気の毒と言えば気の毒。大ヒットしたら「13日の金曜日」シリーズ
みたいに続編が作られたのかもしれない。DVDのパッケージの、クロプシー
が大きな園芸ばさみを振り上げている写真は印象的だ。古き良きホラー映画。




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