猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ドント・ウォーリー・ダーリン

2023-06-02 17:58:49 | 日記
2022年のアメリカ映画「ドント・ウォーリー・ダーリン」。

1950年代のカリフォルニア。若い夫婦、アリス(フローレンス・ピュー)
と夫のジャック(ハリー・スタイルズ)は完璧な生活が保証された理想の街
ビクトリーで、平穏な日々を送っていた。そんなある日、アリスは隣人の
女性が赤いつなぎの男たちに連れ去られるのを目撃する。それ以降、彼女
の周囲では不可解な出来事が起きるようになる。次第に精神が不安定にな
り周囲からも心配されるアリスだったが、あることをきっかけに、この街
に疑問を抱くようになる。

サスペンス・ミステリー。アリスとジャックの若い夫婦は、ビクトリー社
が造った住宅地で、何不自由のない生活をしていた。美しく整然とした街
はまさに理想の街だった。夫たちは皆ビクトリー社に勤めており、朝は高
級車に乗って出勤していく。妻たちは家の掃除をし、習い事や近所付き合
いを楽しみ、完璧な夕食を作って夫の帰りを待つ毎日。ある日アリスはバ
スに乗って外出するが、飛行機が墜落するのを目撃する。驚いてバスの運
転手に言うが運転手は関心を示さない。呆れたアリスは助けに行こうとバ
スを降り、立ち入り禁止区域に入るが、そこにあるビクトリーの本社の大
きなガラス窓に触れると気が遠くなり、気がつくと自宅のベッドにいた。
そして早く帰宅したジャックが夕食を作ってくれようとしていた。
飛行機の墜落のことを話してもジャックは信じてくれない。そしてある日、
アリスは隣人のマーガレット(キキ・レイン)が屋根の上に立って、ナイフ
で自分の喉を切って転落するのを目撃する。アリスが駆け寄ろうとすると、
赤いつなぎを着た男たちがマーガレットを連れ去り、アリスも彼らに捕ま
えられた。そしてジャックはその話も信じてくれない。アリスは幻覚や幻
聴に悩まされ、精神が不安定になっていく。心配したジャックは医者に往
診に来てもらうが、アリスが医者にマーガレットのことを聞いても、医者
は「屋根から落ちたが命には別条ない」と言う。
最初の方で変だな、と思うところがある。街に住む妻たちは皆専業主婦な
のだ。仕事をしている主婦がいない。そしてこれは後で重要な意味を持っ
てくるのだ。舞台が1950年代なのも、女性たちが皆専業主婦なのも、映
画の半ば頃から物語のからくりに気づくポイントになっている。精神的に
参っていくアリスだったが、ジャックの仕事は好調で、昇進も決まる。だ
がジャックの昇進を祝うパーティーでアリスは不快でたまらなくなる。こ
の街は何かがおかしい、と感じる。
映画の途中で「あ~なるほど~」と気づくのだが、かなりおもしろかった。
アリスが掃除をしている時に窓ガラスと壁の間に挟まれたり、料理をして
いる時にラップで自分の顔をぐるぐる巻きにしてしまうシーンなどは、自
分が閉じ込められているということの暗示だ。アリスやマーガレットは気
づいてはいけないことに気づいてしまったのだ。この映画は女優でもある
オリヴィア・ワイルドの監督作で、女性ならではの作品だな、と思わせら
れる。「言いたいこと」がやはり女性目線なのだ。怖い物語だった。ハリ
ー・スタイルズがとてもかっこよかった。



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ジャッリカットゥ 牛の怒り

2023-05-27 20:21:55 | 日記
2019年のインド映画「ジャッリカットゥ 牛の怒り」。

南インド、ケーララ州のジャングルにある村。ヴァルキ(チェンバン・
ヴィノード・ジョーズ)という男の肉屋で働いている冴えない男アントニ
(アントニ・ヴァルギーズ)が1頭の水牛を屠殺しようとすると、命の危機
を察した牛は怒り狂って脱走する。肉屋に群がっていた人々は慌てて追い
すがるが全く手に負えず、暴れ牛は村の商店を破壊し、タピオカ畑を踏み
荒らす。恋心を寄せるソフィ(シャーンティ・バーラクリシュナン)に愛想
を尽かされたアントニは、牛を捕まえてソフィに見直してもらおうと奔走。
村中がパニックに陥る中、密売の罪で村を追放された荒くれ者クッタッチ
ャン(サーブモーン・アブドゥサマド)が呼び戻されるが、アントニとクッ
タッチャンはかつてソフィを巡っていがみ合った仲だった。牛追い騒動は、
いつしか人間同士の醜い争いへと大きくなっていく。

異色のパニック・サスペンス。脱走した水牛が村を暴れ回り、男たちが捕
まえるのに奮闘するというシンプルな物語なのだが、これがなかなかおも
しろかった。最初に「あれっ、インドって牛肉食べないんじゃないの?」
と思ったのだが、インドはとにかく人口が多く、イスラム教徒やキリスト
教徒もたくさん住んでいる。ヒンドゥー教徒は牛肉を食べないがムスリム
やクリスチャンは食べるので、インドでは食用牛がかなり飼育されている
とのこと。納得。物語の中で、神父さん、教会、復活祭、といった言葉が
出てくるので、舞台の村はキリスト教徒の村のようだ。
肉屋で働く冴えない男アントニが水牛を屠殺しようとしたところ、牛が脱
走してしまう。牛は村中を暴れ回り、菜園を踏み荒らし、商店や銀行を破
壊する。村の男衆が捕まえに出てくるが、牛は暴れながら逃げ回ってなか
なか捕まらない。アントニは好きな女性ソフィに愛想を尽かされるが、汚
名返上のため何とか捕まえようとする。そして密売の罪で村を追放されて
いたクッタッチャンという強い男が呼び戻されるが、実はアントニとクッ
タッチャンはかつてソフィを取り合った仲だった。このソフィは魔性の女
と呼ばれていて、13歳の時に学校の教師と寝たと言われている。そうい
う女を取り合うのもどうかと思うが、それはまあいい。
とにかく水牛の迫力がすごい。ほぼCGなしらしいのだが、どうやって撮
影したのだろうと思った。そして村の男たちが追うシーンもすごい。画面
が暗くて(夜になるので)観にくく、明かりは男たちが持っている懐中電灯
やたいまつだけ。その上皆顔も体も泥だらけなので人の区別がつかない。
ただ、1000人くらいの男たちが牛を追っているということらしいのだが、
あの小さな村に1000人も住んでいないと思う。そしてアントニとクッタ
ッチャンのように以前から不仲だったりトラブルを抱えていたりする者た
ちが牛追い騒動に紛れて争いを始める。
次第に当初の目的を忘れて人間同士の醜い争いになっていく様子はおもし
ろい。人は追い詰められた時に本性が出るものだ。やがて死者まで出てし
まい、村は大混乱になる。ラストで人(男)の山ができるシーンは壮観だ。
人の上に人がよじ登っているのだ。逃げた水牛を男たちが追うというシン
プルな物語なのに、何だかすごい映画だった。インドで大ヒットし、色ん
な映画賞も受賞している。インドの名前って難しいなー。あらすじを書く
時大変だった。


ベルとノエル~

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哭悲 THE SADNESS

2023-05-19 22:34:12 | 日記
2021年の台湾映画「哭悲 THE SADNESS」。

台湾で感染拡大していた謎のウイルスが突然変異を起こし、人間の脳に
作用して凶暴性を助長する恐ろしい疫病が発生した。感染者たちは罪悪
感に苦しみながらも暴力衝動に抗えず、街中に殺人と拷問が横行する事
態に。感染者たちの殺意からどうにか逃げ延びた女性・カイティン(レ
ジーナ・レイ)は、数少ない生存者たちと共に病院に立てこもる。カイ
ティンから連絡を受けた同棲中の恋人・ジュンジョー(ベラント・チュ
ウ)は生きて彼女と再会するため、1人で狂気に満ちた街でさまよい始
める。


グロテスクな描写が満載のパニック・ホラー。R18なのも頷ける。謎の
感染症に長い間対処し続けてきた台湾。"アルヴィン"と名付けられたそ
のウイルスは、風邪のような軽微な症状しか伴わず、不自由な生活に不
満を持つ人々の警戒はいつしか解けてしまっていた。ある日、ジュンジ
ョーは、スマホのニュース動画を観ていた。そこではウォン博士(ラン
・ウエイホア)がアルヴィンウイルスの危険性を力説していた。司会者
は感染症の危険性を煽っているだけではないかと言うが、ウォン博士は
「アルヴィンウイルスは突然変異を繰り返しており、狂犬病に近い性質
を持っている」と主張する。
ジュンジョーにとっては大して興味のないニュースだったが、彼はベラ
ンダに出た時隣のビルの屋上に白い服の老婆が立つ姿を目撃する。不審
に思った彼が声をかけると、老婆の服は大量の血で汚れていた。驚いた
ジュンジョーだったが、カイティンが声をかけた時老婆の姿は消えてい
た。ジュンジョーは出勤するカイティンをミニバイクで地下鉄の駅まで
送るが、途中で2人はパトカーを目撃する。警官が血まみれの人物を取
り押さえ、ストレッチャーに横たわる人物にかけられた白布には大量の
血が付着していた。
凄惨な光景を見て驚く2人だったが、カイティンは仕事に向かう。その
後なじみのファストフード店に立ち寄ったジュンジョーは、そこへ先程
見た白い服の老婆が入ってきたのに気づく。老婆の目は黒くなっており
(白目がない)、老婆は店員を襲って殺害する。客たちも他の客を殺し、
何が起きているのかわからないままジュンジョーはミニバイクで逃げだ
すが、至る所で人が人を襲う惨劇を目撃する。自宅に帰ったジュンジョ
ーがテレビをつけると通常の放送は停止され、緊急事態を告げる文字が
画面に映し出されていた。
その頃地下鉄に乗っていたカイティンは座って本を読んでいたが、隣に
座った会社員風の男(ジョニー・ワン)にしつこく話しかけられ、馴れ馴
れしく「君は美人だ」などと言われ、「セクハラはやめて」と言う。そ
の言葉に男は怒り出す。カイティンは乗り込んできたマスクをした女性
リーシン(アップル・チェン)に席を譲るが、男は突然、リーシンの目を
傘の先で突き刺す。カイティンはリーシンと一緒に逃げるが、男はどこ
までも追ってくる。同時にあちこちで殺戮が起きていた。テレビの生放
送では総統までもが殺害される。
リーシンと共に台北大学病院へ逃げ込んだカイティンは、スマホでジュ
ンジョーに大学病院にいることを知らせ、ジュンジョーは必ず助けに行
くからそこを動くなと言った。病院の中は襲われて負傷した人であふれ
ており、リーシンは満足な手当てを受けられないでいたが、カイティン
はリーシンを励ます。物語としてはシンプルで、突然変異のウイルスに
感染した人々が生きている人々を襲い、あちこちで惨劇が起きるという
もので、「新感染 ファイナル・エクスプレス」や「#生きている」と
いった韓国映画に似た感じなのだが、あちらよりはるかにグロテスクで
とにかく流血シーンが多い。
感染者の目が黒くなっているのが気持ち悪かった。セクハラ男のしつこ
さもすごいし、どこまでカイティンとリーシンを追いかけるんだ、とい
う感じ。カイティンは途中でウォン博士に出会うが、彼が味方なのかど
うかもよくわからない。なかなか見応えがあっておもしろかったので、
グロテスクな描写が平気な人はお勧め。リーシン役のアップル・チェン
が顔も体型も渡辺直美そっくりだった。それとカイティンがすごいミニ
スカートのスーツを着ていて、台湾の女性はあんなミニスカートで会社
に行くのだろうか、と思った。




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午前4時にパリの夜は明ける

2023-05-14 19:50:09 | 日記
2022年のフランス映画「午前4時にパリの夜は明ける」を観に行った。

1981年、パリの街はミッテラン大統領の誕生で祝賀ムードに包まれ、
希望と変革の雰囲気に沸いていた。そんな中、エリザベート(シャルロ
ット・ゲンズブール)は夫と離婚し、大学生の娘ジュディット(メーガン
・ノータム)と高校生の息子マチアス(キト・レイヨン=リシュテル)を
1人で養うことに。深夜放送のラジオ番組の受付の仕事に就いたエリザ
ベートは、そこで出会った家出少女のタルラ(ノエ・アビタ)を自宅へ招
き入れる。そしてタルラとの交流を通して、エリザベートや子供たちの
心は徐々に変化していく。

ミカエル・アース監督による1980年代のパリを舞台にした人間ドラマ。
エリザベートは夫が不倫をして家を出ていき、離婚することになった。
1人で2人の子供を育てなければならなくなったが、ずっと専業主婦で
ほとんど働いた経験のない彼女は仕事を見つけても失敗ばかりですぐに
解雇されてしまった。やがて彼女はヴァンダ(エマニュエル・べアール)
という人気DJの深夜ラジオ番組の仕事に就くことになった。それはリ
スナー参加型の番組で、その電話の受付をすることになったのだ。エリ
ザベートはヴァンダに気に入られ、仕事は順調にできるようになる。
エリザベートの大学生の娘・ジュディットは政治に関心があり、デモに
参加したりしており、高校生の息子・マチアスはちょっと反抗的だ。そ
れでも母子は仲が良く、絆は強かった。エリザベートの父親が娘に「養
育費はもらえないのか?」「私が援助するよ」と語りかけるシーンはい
い。年老いた父親に迷惑はかけられないと思いながらも、そう言われて
嬉しいエリザベートは泣く。最初の方はエリザベートが泣くシーンが多
い。彼女は決して強い女ではなく、夫の不倫と離婚に傷つき、困惑して
いる普通の女性なのだ。シャルロット・ゲンズブールのささやくような
声がエリザベートのキャラクターに合っていると思った。
ある日エリザベートはラジオ番組で家出少女のタルラと出会い、外で寝
泊まりしているというタルラを寒空の下に放っておけず、アパートに連
れて帰り、上の階の小部屋に泊まらせる。ジュディットとマチアスはい
きなりやって来たタルラに驚くも、すぐに仲良くなる。やがてマチアス
にとってタルラは気になる存在になる。エリザベートは昼間に図書館の
パートの仕事を見つけ、そこで出会った男性と恋愛関係になる。夫の不
倫と離婚で落ち込んでいたのにすぐに次の相手を見つける辺り、フラン
ス人だなあ、と思う。
タルラは数年エリザベートのアパートで暮らすが、ある日突然姿を消す。
そしてその後また戻ってくる。まるで野良猫のようだ。それでもエリザ
ベートたちはタルラを温かく迎え入れる。しかしタルラの腕に注射の跡
を見つけたエリザベートは、「今度あれを手にしたり使ったりしたら、
叩き出す」と厳しく叱る。「私には普通の人生は無理」と言って泣くタ
ルラにエリザベートは優しく寄り添う。自分の境遇を悲観していたエリ
ザベートだったが、タルラとの出会いや子供たちの成長や、新しい恋人
との出会いや引っ越しなどによってこれまでの自分を見つめなおしてい
く。その過程が繊細に描かれていて感動的だ。1歩ずつ前へと進んでい
くエリザベートの姿がとてもいい。フランス映画らしい映画だった。久
しぶりに見たエマニュエル・べアールが年をとって太っていてびっくり
した。




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検察側の罪人

2023-05-09 21:50:05 | 日記
2018年の日本映画「検察側の罪人」。

東京地方検察庁刑事部に配属された検事の沖野啓一郎(二宮和也)は、
有能で人望もある憧れのエリート検事・最上毅(木村拓哉)と同じ部署
になり、懸命に仕事に取り組んでいた。ある時、最上と沖野は都内で
発生した犯人不明の殺人事件を担当することになった。やがて、過去
に時効を迎えてしまった未解決殺人事件の容疑者だった松倉(酒向芳)
という男の存在が浮上し、最上は松倉を執拗に追い詰めていく。最上
を師と仰ぐ沖野も取り調べに力を入れるが、松倉は否認を続け、手ご
たえがない。沖野は次第に、最上が松倉を犯人に仕立て上げようとし
ているのではないかと、疑問を抱き始める。

雫井脩介氏の小説を原田眞人監督が映画化した社会派ミステリー。新
米検事の沖野は研修時にエリート検事の最上の講義を聞いてとても感
銘を受ける。それから5年、沖野は東京地方検察庁刑事部に配属され、
最上と同じ部署になる。ある日最上と沖野は老夫婦殺害事件の担当と
なった。夫婦は工場を経営している他に、個人で金貸しをしていた。
借用書のリストから数名の容疑者が浮上するが、その中から最上は松
倉という男を最も怪しいとにらむ。しかし松倉は容疑を認めず、なか
なか逮捕することができなかった。
最上は松倉を犯人と決めつけ、捜査を続けた。そして23年前の松倉
が少年の頃に犯した事件の資料を取り寄せる。松倉は少年の頃、自分
の兄と女子高生の2人を殺害した容疑がかかっていたにも関わらず、
逮捕できないままうやむやになっていたのだった。そして今度は老夫
婦殺害の容疑。最上は今度こそ逮捕する、有罪にするという気持ちを
強くした。最上と沖野の取り調べに追い込まれ、松倉はとうとう少年
の頃に兄と女子高生を殺害したことを認める。しかし、老夫婦に関し
ては自供もせず証拠もないままだった。
そんな頃、最上の大学時代の親友で政治家の丹野(平岳大)が自殺した
とニュースで知り、最上はショックを受ける。2人はいつも正義につ
いて話していたので、松倉が人を2人も殺しているにも関わらず、少
年法や時効によって裁かれず、知られることもないことに最上は強い
憤りを感じる。その後証拠が発見され、松倉は老夫婦殺害事件で逮捕
されるが、沖野と事務官の橘沙穂(吉高由里子)は不審なものを感じる。
彼らは松倉は冤罪なのでは?と思い始める。
悲しい物語というか、やり切れない思いになる映画だった。最上と沖
野の行動や考え方を見ていると、正義とは何なのか、そして正義は正
しいのか、ということを考えさせられる。最上が絶対に松倉を有罪に
しようという思いは、もちろん正義から来るものであるが、実は私怨
でもあるのだ。最上が何が何でも松倉を犯人にしようとしているので
はないかという行動に、沖野と橘は執念のようなものを感じ、最上に
対して疑惑を抱く。それはもちろん沖野と橘にとっての正義だ。殺人
事件の被害者遺族にとって苦しみ、憎しみはずっと続くのだというこ
とを改めて感じた(最上は遺族ではないが)。ラストシーンは、沖野は
これからどういう道を進んでいくのだろうかと思った。




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