猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

[リミット]

2015-03-31 02:44:27 | 日記
2010年のスペイン映画「[リミット]」。
アメリカに妻子を残して、イラクでトラックの運転手をしているポール・コンロイ(ライアン・
レイノルズ)は、ある日何者かに襲われ、気がつくと粗末な棺に閉じ込められて、棺は
地中のどこかに埋められていた。手元には自分のものではない携帯電話とライター。
状況が全くわからずに混乱するポールは、必死に外界とのコンタクトを試みる。

ほぼ全編が棺の中という、異色のスリラー映画。怖くてハラハラして、おもしろかった。
主人公のポールは、気がつくと棺の中にいた。手元を探ると自分のものではない携帯
電話とライターを見つける。ポールは警察や、FBIや、妻や、いろんなところに電話を
かけ、必死に助けを求める。そのうちに、犯人から電話がかかってきて、アメリカ政府に
身代金を払うよう言えと言われる。捜査官との電話の中で、ポールはイスラム過激派に
拉致されたのではないか?という推測がなされる。
とにかく、ポールがどこに埋められているのかわからないのだ。自分が襲われた場所の
近くではないか、とポールは言い、捜査官は携帯電話の電波で場所を捜す。このやり
とりがとてもハラハラする。ライターを消すと画面は真っ暗になり、それが続く。人間は
本能的に暗闇が怖いのだと思う。私も観ていて息が詰まりそうだった。
次第にポールの居場所がわかってくるのだが、犯人が身代金を要求している時間まで
もうあまりない。
イスラム過激派に拉致される人が多くいる今、時代を映していて怖い映画だと思った。
主演がアメリカ人で、英語なので(私は吹き替えで観たが、英語ということだ)スペイン
映画という感じはしないが、後味の悪さはヨーロッパ映画だな~、と思った。
ほぼライアン・レイノルズの1人芝居で、相手は声だけ。迫力ある演技で凄かった。



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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

2015-03-23 02:45:18 | 日記
イギリス・アメリカ合作「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」を観にいった。
1939年、英国はヒトラー率いるドイツと開戦、第2次世界大戦が勃発する。ケンブリッジ大学の
特別研究員で天才数学者と称えられる27歳のアラン・チューリング(ベネディクト・カンバー
バッチ)は、ドイツ軍の誇る暗号機エニグマの暗号を解読するという政府の極秘任務に就く。
6人の精鋭によるチームが結成されるが、自信家で人付き合いが苦手なアランは彼らとの
協力を拒み、1人で電子操作の解読マシンを作り始める。そんな中、クロスワードパズルの
天才で女性数学者のジョーン・クラーク(キーラ・ナイトレイ)という理解者を得たのを機に、
仲間との絆が生まれ始める。

もの凄くおもしろかった!戦争ものプラス暗号解読のサスペンスものだと思っていたが、人間
ドラマでもあった。英国政府が50年以上隠し続けた実話ということで、とても感動的だった。
私はアラン・チューリングという名前も、エニグマという言葉も知らなかった。もっとも、功績の
大きさの割に知名度が低い人らしいので、大抵の人は知らなかったのではないだろうか。
偉業を成し遂げた人なので、世界中の人たちがもっと彼のことを知るようになればいいな、と
思う。現在普及しているコンピューターの基礎を確立したのは、アランである。
アランは子供の時から頭が良くて、学校では勉強ができすぎるのと変わり者なためにいじめ
られる。唯一友達がいたが、彼がいなくなってからは、きっと孤独な人生だったと思う。暗号
解読の仲間であるジョーンとは終生良き友人だったということで、それが救いである。
アランたちはドイツ軍の暗号を解き、終戦を2年早めることができたという偉大な功績を残して
いる。アランがヒントに気づき、チームの皆と興奮しながら暗号解読に成功するシーンは、
とても感動的だ。
ベネディクト・カンバーバッチの演技が素晴らしかった。アランの苦悩や繊細さをよく表現して
いた。アメリカ俳優で言えばエドワード・ノートンやマット・デイモンみたいな雰囲気があると
思う。キーラ・ナイトレイも良かった。この2人、それぞれアカデミー主演男優賞と助演女優賞
にノミネートされたそうだが、受賞して良かったんじゃないか。
そして、アランの秘密は、生まれた時代が違っていたら…と思うと、かわいそうでならない。
感動的で、かつ悲しい映画だった。



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おとなのけんか

2015-03-20 02:46:51 | 日記
2011年のフランス・ドイツ・ポーランド・スペイン合作映画「おとなのけんか」。
ニューヨーク、ブルックリン。11歳の少年が友人を棒で殴って前歯を折るケガをさせたことで、
彼らの両親が話し合いのため集まることになった。被害者側のロングストリート夫妻(ジョン・
C・ライリー、ジョディ・フォスター)は、加害者側のカウワン夫妻(クリストフ・ヴァルツ、ケイト・
ウィンスレット)を家に招くが、冷静に平和的に始まったはずの話し合いは、解決を見るどころ
か、会話を重ねるにしたがって険悪な雰囲気になっていき、それぞれの夫婦間の問題までも
があらわになっていく。

シニカルなコメディで、とてもおもしろかった。マンションの一室で繰り広げられる、2組の夫婦
の会話劇なのだが、話し合えば話し合う程にいさかいに発展していくところがユーモラス。
子供をケガさせられた両親は被害者意識が強いが、ケガさせた方の両親は最初は謝罪して
いたが次第に「子供のすることだからそんなに目くじら立てなくても」という気持ちになっていく。
これはよくあることだろう。やがて夫婦同士がお互いを批判し合うようになる。
おもしろいのは、テンションが上がったみんなは、夫婦同士の対立から、夫婦の間で溜まって
いた不満をぶつけ合い、夫婦ゲンカへと発展するところだ。。そして更に、夫2人対妻2人の
対立へと変化していくのだ。そのやりとりが、本当におもしろい。私は女なので、妻2人の言い
分に賛成したくなるのだが。ラストも皮肉さが利いていて良かった。
とにかく俳優4人が皆とてもうまい。演技派が揃っているだけのことはある。ジョン・C・ライリー
ってどこかで見たことあるなあと思っていたら、「少年は残酷な弓を射る」の妻に不理解な夫
役の人だった。あの映画はむちゃくちゃおもしろかった。また、クリストフ・ヴァルツも見たこと
あると思っていたら、「イングロリアス・バスターズ」の憎々しい大佐だった。
意外だったのは、この映画、ロマン・ポランスキー監督作品だということ。ポランスキーって
重たい映画ばかり作っているイメージがあるけど、こんなコメディも作るんだなあ。



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愛して飲んで歌って

2015-03-17 02:34:09 | 日記
フランス映画「愛して飲んで歌って」を観にいった。
コリンとカトリーヌ夫妻、ジャックとタマラ夫妻の共通の友人であるジョルジュが、癌で余命
いくばくもないことが判明した。特にジャックはジョルジュの大親友であり、激しいショックを
受ける。2組の夫婦と、それにジョルジュの別れた妻のみんなで、ジョルジュの残り少ない
日々を有意義なものにしてあげようと、話し合う。

アラン・レネ監督の遺作である。演劇のような不思議な雰囲気の映画だった。映像もユニ
ークでおしゃれ。
ジョルジュという男性が余命わずかだと知って、友人たちはジョルジュになんとか後悔の
ない人生を送ってもらおうと、いろんなアイデアを出し合って、考える。ジョルジュの別れた
妻には今では愛する男性がいるが、ジョルジュの世話をするためにやってくる。
おもしろいのは、肝心のジョルジュは全く登場しないことだ。物語は、コリンとカトリーヌ夫妻、
ジャックとタマラ夫妻、元妻のモニカ夫妻の6人だけで進められる。6人はジョルジュのために
動くが、次第にそれぞれの思惑が錯綜していく。
この6人の会話劇がとてもおもしろい。登場人物たちが皆美男美女ではなく、普通のおじさん
おばさんなのもいい。
ユーモラスでユニークで、心に残る映画だった。アラン・レネ監督、最後に素敵な映画をあり
がとう。



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ベニスに死す

2015-03-12 21:08:01 | 日記
1971年のイタリア・フランス合作映画「ベニスに死す」。
静養のためドイツからヴェネツィア(ベニス)を訪れることにした作曲家グスタフ・アッシェンバッハ
(ダーク・ボガード)は、その道中、船の中でふと出会った少年・タジオ(ビョルン・アンドレセン)に
理想の美を見出す。その時から彼の魂は完全にタジオの虜になってしまい、タジオの行く所、
いつも、アッシェンバッハの熱い眼差しが後を追った。

ルキノ・ヴィスコンティの名作である。この映画の成功は、何と言ってもビョルン・アンドレセンの
起用によるものだろう。映画史に残る美少年である。初めてビョルンを見た時、こんなに美しい
少年がいるものなのか、と驚いた。まさに北欧系美少年である。
アッシェンバッハは一目でタジオに魅せられた。そして今で言うストーカーのようにタジオを追い、
その美しさを密かに眺める。やがてタジオも、自分に向けられる視線に気づく。
アッシェンバッハは友人とよく芸術や美について意見を戦わせていた。アッシェンバッハにとって
タジオは究極の美であったのだ。
映画はヴェネツィアの風景が美しく、ホテルも豪華だ。ホテルの客たちも着飾っていて、とても
華やか。余程裕福な人たちなのだろうな、と思う。舞台が1911年だし。
しかし、その美しいヴェネツィアには、疫病の影が忍び寄っていた。
美しく、儚く、悲しい映画だった。



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