猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

愛されるために、ここにいる

2010-01-22 16:09:04 | 日記
テレビの深夜映画で「愛されるために、ここにいる」というフランス映画を
見た。私はフランス映画が大好きなのだが、久し振りにフランス映画の
王道という感じの作品で、とても良かった。字幕だったし。2005年の作品。

主人公は50歳の男性。離婚して一人暮らし。仕事にも人生にも疲れている。
息子と同じ職場なのだが、関係はぎくしゃくしている。
そんな時、通い始めたタンゴの教室である女性と出会い、恋愛関係になるが、
実は彼女には婚約者がいて結婚を間近に控えていた。

それから主人公には老人ホームに入っている父親がおり、週末ごとに
訪ねているのだが、父親はわがままで気難しく、閉口している。

この、恋愛の話と父親の話が並行して描かれていく。
台詞が少なく、地味~な物語だが、とても心に沁みる。少し、
アキ・カウリスマキ(私の大好きな監督だ)の映画の雰囲気に
似ていると思った。フランスでは大ヒットしたそうだ。
ラスト、ネタばれになるが、父親が死んだ後、主人公は自分が載っている
新聞記事(彼は若い頃優秀なテニスの選手で、たくさんの大会で
優勝している)や優勝カップを、父親がとても大事に保管していたことを
知る。
その何枚もの新聞記事を、主人公が一枚一枚じっと見ていく場面がとてもいい。
哀愁をおびたタンゴの音楽もいい。

あと、父親役の俳優が、かなり昔の映画だが、「かくも長き不在」という
映画に出演していたというのは驚きだった。ああ、あの人だったのか、と。
「かくも長き不在」もすごくいい映画だ。確かカンヌでグランプリを
受賞したんじゃなかったかな。
主演のアリダ・ヴァリは2~3年前に亡くなったと記憶している。
私の好きな映画のひとつである。
コメント
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