2023年の日本映画「コーポ・ア・コーポ」を観に行った。
大阪の下町にある安アパート「コーポ」には、家族のしがらみから
逃げてきた辰巳ユリ(馬場ふみか)、複雑な過去を背負い女性に貢が
せて生計を立てている中条紘(東出昌大)、女性への愛情表現が不器
用な日雇い労働者の石田鉄平(倉悠貴)、人当たりはいいが部屋で怪
しげな商売を営んでいる初老の宮地友三(笹野高史)ら、様々な事情
を抱える人たちが暮らしている。ある日、同じくコーポの住人であ
る山口という男が首を吊って死んでいるのを宮地が発見する。似た
ような境遇で暮らす人間の死を目の当たりにした住人たちは、それ
ぞれの人生を思い返していく。
岩浪れんじ氏の漫画の実写化。スカジャン姿で自転車に乗る辰巳ユ
リが、とある安アパートに帰ってくる。そこは、住人たちがゆるー
くつながりながら暮らす「コーポ」。ここがまるで漫画「めぞん一
刻」に登場する一刻館のようなアパートで、トイレ・洗面所は共同、
風呂なしというボロアパートである。だが、個性豊かな住人同士が
顔を合わせる度に何かと声を掛け合っている。宮地友三が「管理人
さんが家賃回収に来よるで~」「取り立てやで~」と皆に声をかけ
て回ると、すかさず住人たちが外に飛び出していく(サラ金じゃあ
るまいし)。宮地は外にいたユリを見つけて「ユリちゃん、山口さ
ん死によった」と告げる。
首吊り自殺をした山口を皆で引っ張り下ろし、宮地は救急車と間違
って警察に電話してしまう。中条紘は「警察が来るなら私はちょっ
と」と言って姿を消す。後に拾ってきた家電で埋め尽くされた山口
の部屋から、それぞれが欲しいものを持っていく。このコーポには
山口を含め6人の住人がいるようだ。物語は章仕立てになっており、
ユリ、石田、中条、宮地のそれぞれの生活が描かれる。
ユリは母親との確執のせいで家を出ているようだ。居酒屋でバイト
をしていると言っているが、働いているシーンはない。いつもスカ
ジャンにダボッとしたジーンズ姿でふらっと自転車に乗って出かけ
ている。石田は建設現場で日雇いの仕事をしているが、短気なとこ
ろがあり、部屋に彼女を連れ込んでは暴力を振るうこともある。で
も根は優しい青年だ。中条はいつもスーツをきちっと着こなし、髪
を整えてパトロンから金をもらっている。中条だけが標準語で話す。
宮地は部屋でストリップまがいのことをして日銭を稼いでいる。ス
トリップを見に来た男子中学生(高校生?よくわからない)のエピソ
ードは悲しかった。
特に何も事件は起こらない。最初の方で山口が自殺するくらいだ。
石田は「昨日山口さん、俺んとこに金借りに来たけど、断ってしも
た。なんぼかでも貸しとったら、山口さん死なんで済んだやろか」
と気に病むが、皆はそんなに気にするなと慰める。山口はどうやら
全員のところに金を借りに行ったようだ。本当にゆるーい映画であ
る。中条はいつもスーツで決めて、それなりに女性に貢がせている
ようだが、何故こんなアパートに住んでいるのかわからない。
ほのぼのとした映画、というのとはちょっと違う。全編にユーモア
とペーソスが溢れている。いつも自分のタバコと人のタバコを交換
してもらいたがるおばちゃんは、少し頭がおかしいか弱いかのどち
らかだろう。ユリの母親はあまりユリに関心がないように見えるが、
実は心配しているというシーンは良かった。ユリがそれを知ってに
んまりしているシーンも。メインの4人の演技は良かった。特に東
出昌大と笹野高史の雰囲気やしゃべり方はおもしろかった。何も起
きない映画だが、退屈することなく観られた。コーポの住人たちの
アイドル猫が、我が家の長女猫に似ていてかわいかった。
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大阪の下町にある安アパート「コーポ」には、家族のしがらみから
逃げてきた辰巳ユリ(馬場ふみか)、複雑な過去を背負い女性に貢が
せて生計を立てている中条紘(東出昌大)、女性への愛情表現が不器
用な日雇い労働者の石田鉄平(倉悠貴)、人当たりはいいが部屋で怪
しげな商売を営んでいる初老の宮地友三(笹野高史)ら、様々な事情
を抱える人たちが暮らしている。ある日、同じくコーポの住人であ
る山口という男が首を吊って死んでいるのを宮地が発見する。似た
ような境遇で暮らす人間の死を目の当たりにした住人たちは、それ
ぞれの人生を思い返していく。
岩浪れんじ氏の漫画の実写化。スカジャン姿で自転車に乗る辰巳ユ
リが、とある安アパートに帰ってくる。そこは、住人たちがゆるー
くつながりながら暮らす「コーポ」。ここがまるで漫画「めぞん一
刻」に登場する一刻館のようなアパートで、トイレ・洗面所は共同、
風呂なしというボロアパートである。だが、個性豊かな住人同士が
顔を合わせる度に何かと声を掛け合っている。宮地友三が「管理人
さんが家賃回収に来よるで~」「取り立てやで~」と皆に声をかけ
て回ると、すかさず住人たちが外に飛び出していく(サラ金じゃあ
るまいし)。宮地は外にいたユリを見つけて「ユリちゃん、山口さ
ん死によった」と告げる。
首吊り自殺をした山口を皆で引っ張り下ろし、宮地は救急車と間違
って警察に電話してしまう。中条紘は「警察が来るなら私はちょっ
と」と言って姿を消す。後に拾ってきた家電で埋め尽くされた山口
の部屋から、それぞれが欲しいものを持っていく。このコーポには
山口を含め6人の住人がいるようだ。物語は章仕立てになっており、
ユリ、石田、中条、宮地のそれぞれの生活が描かれる。
ユリは母親との確執のせいで家を出ているようだ。居酒屋でバイト
をしていると言っているが、働いているシーンはない。いつもスカ
ジャンにダボッとしたジーンズ姿でふらっと自転車に乗って出かけ
ている。石田は建設現場で日雇いの仕事をしているが、短気なとこ
ろがあり、部屋に彼女を連れ込んでは暴力を振るうこともある。で
も根は優しい青年だ。中条はいつもスーツをきちっと着こなし、髪
を整えてパトロンから金をもらっている。中条だけが標準語で話す。
宮地は部屋でストリップまがいのことをして日銭を稼いでいる。ス
トリップを見に来た男子中学生(高校生?よくわからない)のエピソ
ードは悲しかった。
特に何も事件は起こらない。最初の方で山口が自殺するくらいだ。
石田は「昨日山口さん、俺んとこに金借りに来たけど、断ってしも
た。なんぼかでも貸しとったら、山口さん死なんで済んだやろか」
と気に病むが、皆はそんなに気にするなと慰める。山口はどうやら
全員のところに金を借りに行ったようだ。本当にゆるーい映画であ
る。中条はいつもスーツで決めて、それなりに女性に貢がせている
ようだが、何故こんなアパートに住んでいるのかわからない。
ほのぼのとした映画、というのとはちょっと違う。全編にユーモア
とペーソスが溢れている。いつも自分のタバコと人のタバコを交換
してもらいたがるおばちゃんは、少し頭がおかしいか弱いかのどち
らかだろう。ユリの母親はあまりユリに関心がないように見えるが、
実は心配しているというシーンは良かった。ユリがそれを知ってに
んまりしているシーンも。メインの4人の演技は良かった。特に東
出昌大と笹野高史の雰囲気やしゃべり方はおもしろかった。何も起
きない映画だが、退屈することなく観られた。コーポの住人たちの
アイドル猫が、我が家の長女猫に似ていてかわいかった。
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