猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

武士の一分

2013-01-22 02:37:19 | 日記
2006年の日本映画「武士の一分」を観た。映画館で観ていたのだが、NHKのBSで
放映されたのでもう1度。
下級武士の三村新之丞(木村拓哉)は、美しい妻加世(檀れい)と慎ましく暮らしていた。
三村の仕事は、藩主の食事の毒味役。剣術のうまい三村はその仕事が不満だった。
ある日の毒味の時、三村は貝にあたってひどい吐き気や腹痛を起こし、倒れてしまう。
その後も高熱を出し意識が戻らない日が続いた。加世は献身的に世話をする。
やっと目を覚ました時、その目は見えていなかった。
医者に診てもらうが、恐らく失明は治らないだろうと言われる。
絶望した三村は、一時は死ぬことも考えたが、加世や、三村の父の代から仕えている
下男(?みたいな人)の徳平(笹野高史)に支えられ、生きていく覚悟をする。
しかし目が見えなくなった侍がこれからどうなるのか、三村の親戚が集まって家族会議が
開かれた。せめて今までの半分でも家禄を残してもらえまいか、と話していた時、加世が
独身の時から顔見知りだった上級武士の島田(坂東三津五郎)に、困ったことがあれば
相談にのると言われていたことを告げると、あの島田様に頼れるのならそれが1番いいと
話し合いは終わった。
結局三村は今までどおりの家禄で暮らせることが決まった。ホッとした三村は、次第に
暗闇の世界にも慣れてきて、以前の明るさを取り戻しつつあった。
そんなある日、叔母(桃井かおり)がやってきて、加世と島田が密会しているのを夫が
見たと話す。三村は「加世はそんなみだらな女ではない」と激怒し、叔母は気を悪くして
帰ってしまう。
だが、加世の口からそれが本当であると聞かされ、三村はショックを受ける。島田は、
藩主に口添えしてやるかわりにと、加世に関係を強いたのだった。三村は加世を離縁する。
ところがその後、三村の家禄が守られたのは藩主のなさけによるものであり、島田の
口添えなどではなかったことが判明した。島田は加世を騙したのだった。
三村は島田と果たし合いをするために、剣術の師匠(緒形拳)のところに通う。

木村拓哉の侍が思いのほかいい。美形の侍だなあ。しゃべり方も良かった。
武士の暮らしが丹念に描かれていてそれが興味深かった。毒味って大変だなあ。一旦毒味役の
ところへ料理を持っていき、6~7人の毒味役が食べ、それから殿様のところに食事が
運ばれる。殿様の食事だけでもこんなに手間がかかるんだ。結構大仕事だな。
「一命」を見た時にも思ったが、上級武士とか下級武士とか、武士のシステムがよくわからない。
時代劇といってもチャンバラものではなく、ある武士の家庭を描いた映画という感じで、
おもしろかった。特に、徳平さんがいい。ひょうひょうとしたこの人の存在が、光を失って
絶望している三村と妻の人生を支えているという気がした。
笹野高史さんは、この演技で日本アカデミー賞の助演男優賞を受賞したのではなかったかな?
檀れいさんの清楚で美しい妻役も良かった。緒形拳さんが出演しているのが、少し悲しかった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

嘆きのテレーズ

2013-01-15 02:15:47 | 日記
1953年のフランス映画「嘆きのテレーズ」。モノクロの映画。
生地店を営んでいるテレーズ(シモーヌ・シニョレ)は、夫カミーユ(ジャック・デュビー)と
その母親との3人暮らし。夫は病弱でマザコンで、母親もまた異常な過保護。それに夫は
気弱な割に傲慢な性格で、テレーズはうんざりしていた。
ある日夫が職場で知り合ったロラン(ラフ・ヴァローネ)を家に連れてきた。テレーズは夫とは
全くタイプの違う、たくましい運転手のロランに魅かれ、ロランもまた不幸せそうなテレーズ
を愛するようになった。2人はやがて密会するようになり、ロランは駆け落ちを口にする。
テレーズはなかなか心が決まらなかった。実は夫とはいとこ同士で、テレーズは両親を
亡くした後カミーユの母親に引き取られ、面倒をみてもらった経緯があるのだ。
学校へも行かせてくれた義母を裏切ることは出来ないと思っていたのだ。
だが2人の関係はカミーユの知るところとなり、カミーユはテレーズに行かないでくれ、
君がいないと自分は死んでしまう、とすがりつき、また母の恩を裏切る気か、と詰め寄った。
カミーユは3日間パリに旅行することを提案する。その3日間で話し合いたい、と。
テレーズはもう離婚する気になっていたが、仕方なく旅行に同意する。
が、カミーユは母に「テレーズを叔母の家に監禁するつもりだ」と話す。
パリへ向かう列車の中で、テレーズは心配して追ってきたロランと出会う。そこへカミーユが
やってきて、ロランとカミーユは口論になり、ロランは思わずカミーユを列車から突き落として
しまう。呆然とするテレーズとロランだったが、秘密を守ることに決める。
警察はカミーユの死を事故死と断定し、捜査は終了する。息子の死のショックで半身不随に
なり、口もきけなくなった母親だったが、世話をするテレーズをいつもにらみつけていた。
ロランは2人でどこかへ行こうと言うが、テレーズは夫の無惨な死体を見て以来、ロランと
一緒になる気持ちはなくなりつつあった。
そんな時、列車でテレーズたちと同室だった若い水兵が2人の元を訪れる。

ラストがとても皮肉だったなあ。フランス映画だなって感じ。
テレーズは最初にロランが駆け落ちを提案した時、従っていれば良かったのに、と思う。
私は別に不倫賛成派ではないが、テレーズはあまりにかわいそう。病弱なくせに態度が大きな
夫や、息子を溺愛して嫁には口うるさくイヤミばかり言っている義母との生活なんて、
私だったら耐えられない。ロランと一緒になっていればきっと幸せになっていただろう。
夫の死体を見たからってそんなにショックを受けなくても…と思った。まあ昔の映画だから
そういう流れになるのかな。今の人だったらそんな心情にはならないのではないだろうか。
うっとうしい夫が死んでくれたんだから、私なら幸せを選ぶけどなー。(え、私だけ?)
まさに嘆きの人生だったなあ。テレーズが、人生を諦めていて、終始無表情だったのが
印象的だった。

1952年というと、日本は昭和27年だ。それにしてはフランスの人は割といい暮らしをして
いたんだな、と思った。テレーズの家は1階が生地店で2階が住まいで、大きな家ではないんだけど、
調度品や装飾品がきれいで、こんな家に住みたいなあと思わせる家だった。
昭和27年頃の日本はとてもあんな暮らしは出来ていなかっただろう。「鉄道員」を見た時も思ったが、
ヨーロッパの家って可愛い。


「境界のRINNE」キターーー(・∀・)ーーー!!
高橋留美子先生の連載中の漫画「境界のRINNE」、1巻から14巻まで、楽オクで落札したー
連載最初の頃は時々サンデーを立ち読みしていたが、今は全く読んでなくて、ずっと
欲しかったのだ。嬉し~
これで当分漫画には不自由しないだろう。(読むのが遅いので)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鉄道員(イタリア映画)

2013-01-09 02:05:23 | 日記
1956年のイタリア映画「鉄道員」。
ピエトロ・ジェルミ監督・主演。哀愁をおびたテーマ曲と、子役のかわいさが印象深い。
鉄道機関士のアンドレア(ピエトロ・ジェルミ)は50歳。妻のサラ(ルイザ・デラ・ノーチェ)、
長女ジュリア(シルヴァ・コシナ)、長男マルチェロ(レナート・スぺツィアリ)、年の離れた
次男(7〜8歳くらいだろうか)サンドロ(エドアルド・ネヴォラ)の5:人暮らし。
サンドロにとって父は誇りある大好きな存在だったが、成人しているジュリアとマルチェロは
厳格で口うるさい父を苦手にしていた。マルチェロは失業中であり、ジュリアはうまくいって
いない恋人との子供を妊娠していた。アンドレアは無理矢理ジュリアを結婚させたが、彼女は
幸せではなかった。
ある日アンドレアが運転する列車に青年が飛び込み自殺をした。ショックを受けたアンドレアは
赤信号を見落とし、前方から来る列車と正面衝突しそうになった。
幸い事故は免れたが、このことでアンドレアは同乗していた親友とともに左遷されてしまった。
事情をいくら説明しても組合に理解してもらえず、給料も下がり、アンドレアは次第に酒に
溺れるようになっていった。独り者の親友はアンドレアの良き理解者だった。
が、ストライキ中に列車を運転したアンドレアは、皆から孤立していった。町にはアンドレアの
ことを「スト破り」と書いた落書きが見られるようになり、サンドロも仲間はずれにされた。
ジュリアは流産して以来、夫と更にうまくいかなくなっており、不倫をしていた。
不倫がばれてアンドレアと大げんかになり、仲裁に入ったサラを突き飛ばし、サラは倒れた。
そこへ帰宅してきたマルチェロが「ママに手を上げるな」と言い、アンドレアはジュリアも
マルチェロも追い出してしまった。
3人だけの淋しいクリスマスを迎えることになったが、親友はアンドレアを行きつけの酒場に
連れていく。すると店主も客たちもアンドレアを暖かく迎えてくれた。
そして親友はアンドレアのアパートに皆を連れていき、アパートはパーティ会場のようになった。
マルチェロも帰ってきた。離婚して、洗濯工場で働いていたジュリアも、夫とやりなおすと
電話をかけてきた。
皆が帰った後、家族は幸せだった。こんな素晴らしいクリスマスはない、と。
が、アンドレアの体は病魔に蝕まれていた。

1956年だから、戦後11年経った頃か。その当時のイタリアの文化や生活が興味深い。
簡単に言うと、イタリアの労働者階級の生活の悲喜こもごもを描いた映画、である。
今とはだいぶ違うだろうけど。
とにかく母親のサラがいい。この人の夫や子供たちに向ける愛、いたわりが、問題の多いこの
家族の救いになっている。彼女の姿は聖母マリアを連想する。
そして末っ子のサンドロのかわいいこと。イタリア映画って子役がかわいくて泣かせる映画が
多いと思う。
ジュリア役の女優がすごくきれいだなあ、と思ってみていたのだが、シルヴァ・コシナという
人だった。美人女優として有名だったので名前だけは昔から知っていたが、顔を初めて知った。
もう亡くなっているが、本当にきれいな人だ。
名作と言われている映画だが、やはりとても良かった。


「天元突破グレンラガン」の再放送が、5日から始まったー
見たかったんだ、嬉しい~ ヨーコかわいい
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

くどい顔のネコ

2013-01-04 02:26:16 | 日記
「魔法陣グルグル」などでおなじみの漫画家、衛藤ヒロユキ氏の飼い猫、「くどい顔のネコ」が
2011年1月24日に22歳で天国に行っていたそうだ。知らなかった。
22歳ってすごく長生きしたんだなあ!
「魔法陣グルグル」のコミックスの巻末に、おまけ漫画として毎回このネコの話が載っていて、
グルグル読者に人気があったようだ。
私も、子供たちに頼まれてコミックスを買っていたが、真っ先にそのおまけ漫画を読んでいた。
くどい顔…どんなんだろう…と思いながら。このネコは行動もおもしろかった。
衛藤氏のネコに対する愛情がよく伝わってくるおまけ漫画だった。
衛藤氏のところは家族みんな猫が好きなようだ。大分県の実家に帰った時も、実家に猫が
いたと書いてあった。
うちのさくらは2011年2月23日に天国へ旅立った。10歳の若さだったけど。
さくらとくどい顔のネコ、天国で知らずに顔を合わせているかもしれない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする