猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ポーラX

2022-02-26 22:23:13 | 日記
1999年のフランス・ドイツ・スイス・日本合作映画「ポーラX」。

ノルマンディーの美しい自然に囲まれた城館で、仮面作家のピエール(ギヨーム・
ドパルデュー)は外交官だった父の亡き後、「姉、弟」と呼び合う仲の良い母マリ
ー(カトリーヌ・ドヌーヴ)と何不自由なく暮らしていた。婚約者リュシー(デルフ
ィーヌ・シェイヨー)との結婚も間近に控えていた。そんなピエールの前に突然、
異母姉と名乗るイザベル(カテリーナ・ゴルベワ)が現れる。彼女の出現で、以前か
ら渇望していた"この世を越える"きっかけを得たと感じたピエールは母もリュシー
も捨て、イザベルにいざなわれるようにパリへ出る。

レオス・カラックス監督作品。「フランス映画だな~」と思える映画だった。ピエ
ールは「アラジン」というペンネームで表に顔を出さず作家活動をしている。更に
外交官だった父が遺した城館と遺産で美しい母マリーと裕福な暮らしをしている。
婚約者のリュシーは結婚式のためにドレスを作る準備をしていた。順風満帆なピエ
ールの人生だったが、ある日浮浪者のような女が度々自分を見ていることに気づく。
カフェにいたピエールだったが女を追いかける。女は話し出す。自分の名前はイザ
ベルで、彼の異母姉なのだと。父が他の国の女性に産ませたのだと言う。
不思議な映画である。ピエールはイザベルの言うことをあっさりと信じ、姉だと思
うようになる。そして薄汚れた格好のイザベルに服を買い与えたりする。元々美し
いイザベルは身ぎれいになった。イザベルに何か特別な絆を感じ取ったピエールは、
母も婚約者も捨てて彼女とパリへ行き、廃墟の倉庫に住み着く。しかしピエールは
小説がなかなか書けず、生活はたちまち困窮していく。やがて母がバイクの事故で
死んだことと、リュシーがショックで病気になっていることを知る。
イザベルが本当にピエールの異母姉なのかどうかは物語の中で明らかにされないま
まだ。観ていて「多分本当なんだろうな」という感じ。ピエールもそれを信じてい
る様子なのに、何故か2人は関係を持ってしまう。この2人の関係性もよくわから
ない。カラックスの映画を観るのは5本目だがやっぱりよくわからない。おもしろ
いけど。そんなに深く理解しなくてもいいのかもしれない。やがてリュシーはピエ
ールを追ってきて、イザベルはリュシーがピエールの婚約者だと知らないまま3人
は一緒に暮らし始める。不思議な共同生活である。
ピエールが抱いていた「この世を越えたい」というのはどういう気持ちなのだろう。
人間ではない何かになりたかったのだろうか。ピエールは何不自由なく育った恵ま
れた青年なので、一応作家という仕事をしていても、地に足がついていない気がし
た。完璧すぎる生活に自分でも疑問を持っていたのだろうか。そんなふうには見え
なかったのだが。とにかくよくわからないところが多い物語だ。ピエールが望んだ
ものは何だったのか。ラストは思いがけない悲劇へと向かっていく。しかしそれで
も、ピエールにとっては安息の場所を得たことになるのかもしれないと思った。


良かったらこちらもどうぞ。レオス・カラックス監督作品です。
ポンヌフの恋人
ホーリー・モーターズ



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追龍

2022-02-22 22:18:16 | 日記
2017年の中国・香港合作映画「追龍」。

1960年、英国統治下の香港。中国本土から仕事を求めてやってきたン・サイホウ
(ドニー・イェン)は、ヤクザ同士の争いの助っ人に参加して警察に逮捕されるが、
サイホウの腕っぷしの強さにに目をつけた警官のリー・ロック(アンディ・ラウ)に
よって釈放される。やがてサイホウは麻薬の売買で黒社会の大物となり、恩義を感
じているロックの窮地を助けるなどして、ロックも警察幹部に出世していく。そし
て敵対している立場ながら2人は固い友情で結ばれていく。

1960年代に実在したマフィアのボスと警察署長をモデルに描いたアクション・サ
スペンス。当時の警察は汚職が蔓延しており、黒社会とつながっていたようだ。実
在の人物が題材になっているので興味深かった。大陸から仕事を求めて香港へやっ
てきたサイホウと仲間たちだが、ヤクザの争いに参加して逮捕される。警察官のロ
ックはケンカの強いサイホウに目をつけ、留置場から出してやる。こういうことを
いち警察官ができたというのがすごい。その後サイホウは黒社会でのし上がってい
き、ロックもサイホウから助けられ警察幹部に出世していく。警察とマフィアとい
う関係でありながら、彼らは固い友情で結ばれていた。
とにかくアンディ・ラウがかっこいい。この人はいつもかっこいいけど。ドニー・
イェンはパーマをかけたような髪型(カツラ?)がすごく違和感があった。1960年
代が舞台であることを考えたら仕方ないのかもしれないが。それにドニー・イェン
のアクションはいいのだが、サイホウは途中で脚をケガしてしまうのでアクション
シーンもなくなってしまい、残念。でも物語はスリリングでおもしろかった。警察
と黒社会のつながりというのが香港映画らしくていい。現代もそういう部分はある
のかもしれないが、当時はもっと密着していたのだろうな。
サイホウが「香港は俺たちのものだ!」と叫ぶシーンが、今の香港を暗示している
かのようだ。当時は英国の統治下で、イギリス人が幅を利かせていて、香港の人た
ちはそれが不満だったようだが、将来中国の支配に苦しむことになるとは想像して
いなかっただろうなあ。中国に支配されるより英国に統治されていた方が良かった
のではないだろうか。現在の香港を見ていると少なくとも私はそう思う。
それぞれ大物になっていくサイホウとロックだが、世の常でやがて追い込まれるよ
うになっていく。ロックはサイホウに家族を連れて一緒にカナダに移住しないかと
誘うが、サイホウはあくまでも香港にこだわり、断る。けれどもずっとお互いのこ
とは気にかけている。こいいう男と男の友情の描き方は香港映画ならではだと思う。
ラストもちょっと切ない。アンディ・ラウの銃撃シーンが他の映画でもそうだけど
本当にかっこいい。アンディって年とらないなー。


今日は2022年2月22日で「スーパー猫の日」だそうです

ベル、鼻つんつん














天国にいる子たちも幸せにしているかな

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サラブレッド

2022-02-19 22:19:27 | 日記
2017年のアメリカ映画「サラブレッド」。

しばらく疎遠だったが再会した幼なじみの少女アマンダ(オリヴィア・クック)
とリリー(アニャ・テイラー=ジョイ)。個性的すぎるために周囲からのけ者に
されているアマンダと、名門校に通い一流企業でのインターンも経験するなど
上流階級の暮らしを送るリリーは、全くの正反対に思えた。しかし、リリーが
抑圧的な継父を憎んでいることがわかったことから、2人は心を通わせ、友情
を深めていく。そして、次第に自身の中の狂暴性をあらわにしていく2人は、
ドラッグの売人であるティム(アントン・イェルチン)を雇い、リリーの継父の
殺害を企てる。

女子高生たちが主人公の心理サスペンス。お金持ちの家に生まれ育ち、名門校
に通うリリーは、幼なじみのアマンダの母親から相談され密かに報酬をもらい、
アマンダに勉強を教えている。アマンダは分析力には長けているが他者に共感
できず、感情や表情が薄いという性格で、人とうまく付き合えない。リリーに
勉強を教わっても、「スティーブ・ジョブズみたいに起業したい」と言って真
面目に勉強せず、リリーは呆れていた。アマンダがリリーの家を訪れている時、
リリーと継父とのやり取りを見てアマンダはリリーが継父を嫌っていることを
察した。
リリーは一見お金持ちのお嬢様だが、結構わがままである。一方アマンダは見
るからに風変りで、人から好かれるタイプではない。アマンダは自宅で飼って
いる馬がケガをしたため安楽死させようとするが、薬が少なかったため効かず、
馬が苦しんでいるのを見てナイフで殺しており、動物虐待で訴えられていた。
馬の写真はネットで出回っており、地元の少年少女たちはアマンダを異常だと
思っている。ある少年は「自分の馬によくあんなことができるよな」と言った。
そしてリリーの方も問題を抱えていた。継父がリリーを転校させ寄宿舎に入れ
ようとしていると知ったのだ。そこは問題児が通う学校だった。そして「高校
を卒業したら無一文で放り出す」と言い、母親に相談しても母親は夫の言いな
りだった。
アマンダが自分の馬を惨殺した(本人が言うには安楽死させた)というところが
大きなポイントになっている。アマンダは本当に感情が薄いのだ。こういう人
っていると思う。リリーの方は感情的なタイプで、2人は正反対に見えるが案
外呼吸が合うものである。こういう人たちがタッグを組んだら怖いものなしな
のではないだろうか。2人は麻薬の売人であり未成年を強姦した前科のあるテ
ィムに、強盗に見せかけて継父を殺して欲しいと依頼するが、ティムは引き受
けたものの怖じ気づいて結局実行しなかった。
なかなかおもしろかったのだが、リリーもアマンダもどちらも好きになれず共
感できなかった。殺人を計画する彼女たちに共感すること自体難しいのかもし
れないが。でもアマンダ役のオリヴィア・クックとリリー役のアニャ・テイラ
ー=ジョイの演技が秀逸で、少女たちの移ろい迷う心や憎しみがよく描写され
ていると思った。彼女たちに比べるとまだティムの方がまともに見えてしまう。
ラストがすっきりしないというか、その後をもっと観てみたいと思った。アマ
ンダとリリーがそれぞれ何を考えているのか、一応描かれてはいるがもう少し
踏み込んで欲しかった。彼女たちはあれからどう生きていくのだろう。




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ライダーズ・オブ・ジャスティス

2022-02-15 22:03:51 | 日記
2020年のデンマーク・スウェーデン・フィンランド合作映画「ライダーズ・
オブ・ジャスティス」を観に行った。

アフガニスタンでの任務に就いていた軍人のマークス(マッツ・ミケルセン)は、
妻が列車事故で亡くなったという報せを受け、悲しみに暮れる娘の元に帰国す
る。そんなマークスの元に数学者のオットー(ニコライ・リー・コス)が訪ねて
くる。妻と同じ列車に乗っていたというオットーは、事故は「ライダーズ・オ
ブ・ジャスティス」という犯罪組織が、殺人事件の重要証人を暗殺するために
計画された事件だとマークスに告げる。怒りに震えるマークスは妻の無念を晴
らすため、オットーや同僚のレナート(ラース・ブリグマン)、顔認証のプロで
天才ハッカーのウルフ(ニコラス・ブロ)らの協力を得て復讐に身を投じていく。

マッツ・ミケルセン最新作で、ニコライ・リー・コスとの共演ということで観
に行った。復讐ものだが悲惨な雰囲気はなく、ユーモラスなシーンも多くてお
もしろかった。マッツ・ミケルセンもニコライ・リー・コスも顔の半分を覆う
ようなヒゲ面で、パッと見ではわからないくらい。マッツ・ミケルセンは軍人
の役なのにどうしてあんなにヒゲを生やしているのだろう。軍人ってあまりヒ
ゲのイメージがないのだが。
列車に一緒に乗っていたマークスの妻と娘だが、車内は混んでいて立っていた。
それを座っていたオットーが妻に席を譲る。その直後爆発が起き、妻は死んで
しまう。席を譲ったことで責任を感じたオットーは、爆発の直前に怪しい行動
をとっていた男がいたのを思い出し、事故について友人のレナートと調べてみ
る。数学者で統計や確率に詳しいオットーは、事故ではなく周到に計画された
事件であると確信し、警察に行くが相手にされない。そこでレナートと共にマ
ークスの家を訪れる。「どうして住所がわかった?」と聞くマークスにオット
ーたちは「我々はそんなこと簡単だから」と答える。
マークスは帰国してから娘との関係がぎくしゃくしていた。2人とも母親(妻)
の死を受け入れられないでいた。私たちにはセラピーが必要だと言う娘に、マ
ークスは必要ないと拒み、娘は反発していた。マークスは悲しみの中でもあく
までも強い軍人でいたかったのだと思う。それが彼にとってのプライドだった
のだろう。そしてマークスは数学のスペシャリストと天才ハッカーという3人
のオタクたちと妻の仇を討つことを決意する。
娘の心の拠り所は恋人だが、この恋人がとてもいい子なのだ。マークスにいき
なりぶん殴られても、彼を許すだけでなく、「こんな時ですから」と言ってマ
ークスの家に通い娘に寄り添うのだ。おまけに悪党に指をへし折られたりして
も娘と別れない。こんなに思いやり深く辛抱強く理解のある少年がいるだろう
か。マークスが正気を失い、バスルームで暴れるシーンは悲しかった。オット
ーたちにもどうしてやることもできなかったのだ。ラストはこうまとまるんだ
な、という感じ。オタクのおじさんたちもかわいくて尚且つ頼もしかったし、
マッツ・ミケルセンはかっこいいし、とてもおもしろかった。




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男子フィギュア・シングル!

2022-02-11 21:26:58 | 日記
男子フィギュアスケート・シングルの、素晴らしかったです。
ネイサン・チェン選手(米国)が金、鍵山優真選手が銀、宇野昌磨選手が銅、
羽生結弦選手が4位という結果になりました。羽生選手は3連覇が期待さ
れていましたが、表彰台は逃しました。SPでの不運が非常に残念だった
と思いますが、それでも4回転半に果敢に挑戦し、成功はしなかったもの
の国際スケート連盟の公式大会で初認定されたことは、とても意義のある
ことだったと思います。
私はフィギュアは好きですが詳しくはわかっておらず、採点のこととかさ
っぱりわからないし、ジャンプも色々な種類のジャンプがありますが「ジ
ャンプ」としか認識できていませんそんな私ですが、とても楽しむこ
とができました。
そして私はネイサン・チェンのファンでもありますので、彼が金メダルを
獲得したことは純粋に嬉しかったです

私は普段「ザ!世界仰天ニュース」以外のテレビ番組をほとんど観ません。
あとはNHKのニュースを少し観るくらい。なのであんなに長時間テレビ
を観ることはなく、正直疲れました(^^;)でも息詰まる試合を観られて良
かったです。
選手の皆様、本当におめでとうございます

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