猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら

2022-01-29 22:14:27 | 日記
2010年のカナダ・アメリカ合作映画「タッカーとデイル 史上最悪にツイて
ないヤツら」。

幼なじみで親友の中年男、タッカー(アラン・テュディック)とデイル(タイラ
ー・ラビーン)は、手に入れたばかりの別荘で休暇を過ごすため森へやってく
る。しかし、同じ頃に近所にキャンプに来た大学生グループから、見た目が強
面なため森の奥深くに住む殺人鬼と勘違いされてしまう。更に、2人が溺れか
けていた女子大生・アリソン(カトリーナ・ボウデン)を救出したことで、殺人
鬼にアリソンがさらわれたと学生たちに誤解され、思いもよらぬ事態へと発展
していく。

凶悪な殺人鬼と勘違いされてしまった2人の男が巻き込まれる事件を描いたス
プラッター・コメディ。爆笑ものの映画なのだが、血みどろ残虐描写満載なの
で一応R15指定である。気のいい中年男のタッカーとデイルは幼なじみで親友。
コツコツと貯めた金でようやく別荘を手に入れた彼らは休暇を過ごしにやって
来る。別荘といっても古びた山小屋で、あちこち修繕する必要がある。ところ
がそのボロボロの山小屋と彼らの見た目から、近くにキャンプをしに来た大学
生グループから殺人鬼だと勘違いされてしまう。実は別荘の立地は、20年前
にスプラッター映画のような惨殺事件が起きたいわくつきの場所で、学生の1
人・チャド(ジェシー・モス)はそのことを知っていた。
とてもおもしろかった。残酷描写も多いが笑えてしまう。タッカーとデイルは
いい人たちなのに、誤解が誤解を生んで人が次々と死んでしまうのだ。それも
彼らが死なせた訳ではなく、自滅のようなものなのだが、このままでは自分た
ちが犯人にされてしまう、と彼らは焦る。キャンプに来ていた大学生たちは山
小屋にいるタッカーとデイルを見て、危険な奴らみたいだから近づかない方が
いい、と話し合うが、湖で溺れかけたアリソンをデイルが助け、ケガの手当の
ために山小屋に連れて行ったのを見て、アリソンが殺人鬼にされわれたと思っ
てしまう。
気を失っていたアリソンだったが、最初は怯えたもののすぐに誤解は解け、デ
イルがいい人だとわかる。しかしアリソンを助けに来た大学生が誤って死んで
しまった上に、学生たちは警察を呼んでいたが、駆け付けた保安官まで過失で
死んでしまう。そうして誤解と不運が重なり、学生たちは次々と命を落として
しまう。アリソンを好きなチャドは何としてでも彼女を助けようと躍起になる。
アリソンが「誤解よ」と言って仲間を説得しようとするが、皆はアリソンがス
トックホルム症候群に陥っていると思い込み聞く耳を持たない。そしてデイル
の愛犬を人質ならぬ犬質にとってタッカーを捕まえ、彼の指を切ったりと過激
な行動に出る。
タッカーとデイルはただ仲がいいだけなのに最初の方で保安官にゲイと間違わ
れたり、本当にツイてない。ただあの見た目と性格(特にデイルは内気)では今
まで女性と縁がなかったであろうことは想像がつく。それにしてもアメリカの
ホラー映画を観ていると、よくおバカな大学生や高校生のグループが登場する
が、アメリカの学生って本当にあんなにおバカが多いのだろうか(アメリカ人
の方が読んでいたらすみません)。そして別荘の場所が昔惨殺事件の現場だっ
たというのも、最後の方でしっかりと関わってきて、驚いた。こういうふうに
決着するのか、と。よくできていたと思うし、とてもおもしろい映画だった。




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恋するリベラーチェ

2022-01-25 22:28:29 | 日記
2013年のアメリカ映画「恋するリベラーチェ」。

1977年夏、ラスベガスで出会った天才ピアニストのリベラーチェ(マイケル・
ダグラス)と青年スコット・ソーソン(マット・デイモン)は、年齢や住む世界
を超えて互いに惹かれ合う。スコットはリベラーチェの犬の世話係兼運転手兼
愛人としてリベラーチェに雇われ、彼を支え、リベラーチェはスコットの親代
わりにもなり、2人の秘められた関係は順調に続くかと思われた。しかし、薬
物への依存やマンネリ化した日々が次第に2人の間に溝を深めていく。

1950~80年代アメリカで派手な衣装やパフォーマンスで人気を博し、同性愛
者でもあった天才ピアニスト、リベラーチェの晩年を描いた伝記映画。恋人だ
ったスコット・ソーソンの回想録を原作としている。監督はスティーヴン・ソ
ダーバーグ。獣医志望の青年スコットは知人と一緒にリベラーチェのピアノシ
ョーを観に行き、その実力に感動する。そしてゲイだったリベラーチェとバイ
セクシュアルだったスコットは惹かれ合い、やがて愛し合うようになる。リベ
ラーチェは犬の扱いがうまいスコットを飼い犬の世話係、運転手、自分の話し
相手、愛人として雇い、豪邸に住まわせる。
男っぽいイメージのマイケル・ダグラスのオネエ演技は珍しくて新鮮。さすが
ベテランの演技派スターだけあってこういう役もできるんだな、と思った。マ
ット・デイモンは実年齢よりかなり若い青年役だが、違和感がないのがすごい。
こちらもさすが俳優、と思う。リベラーチェはポーランド系アメリカ人で、名
前が読めないのだが、ファーストネームの芸名はウォルターだった。彼のステ
ージはとにかく派手で華やか。衣装もプレスリーよりもっと派手。普通のピア
ニストとは違うステージを見せ、世界的に人気だったようだ。
スコットは不遇の少年時代を送り、里親のところを転々として育った。現在の
里親との関係はとても良好だったが、リベラーチェと同居するうちにセレブ生
活にどっぷりとはまっていく。リベラーチェはスコットにブランド物のスーツ
や高級車など何でも買い与えた。そしてリベラーチェは実はカツラなのだが、
スコットには気を許してハゲ頭を見せた。ラブラブのセレブ生活を送る2人だ
ったが、少しずつ綻びが生じるようになる。ある時リベラーチェは若返りの整
形手術を受けるが、スコットにも自分の顔に似せるように手術を受けさせ、ダ
イエット薬でやせさせる。スコットはリベラーチェに支配される生活に不安を
感じるようになる。
映画を観ているとリベラーチェはかなり身勝手で自己中心的な人のように感じ
た。スコットとうまくいっている時はいいけど、彼が反発し出すとあっさり捨
ててしまうというか。スコットはダイエット薬からやがてコカインに手を出す
ようになってしまう。リベラーチェは薬物をやめるように言うが、元々のきっ
かけはリベラーチェが作ったのではないかと思う。若いスコットが駄々をこね
る(リベラーチェにはそう見えた)のを、リベラーチェは持て余すようになる。
前半はラブコメという感じだが、後半はかなり重たい話になっていく。
マイケル・ダグラスとマット・デイモンの熱演は素晴らしい。特にマット・デ
イモンは、スコットって本当にあんなに辛い生活を送ったのだろうな、と思わ
せられる。リベラーチェと破局してからもスコットは色々なことがありボロボ
ロになってしまう。でもそれはリベラーチェの責任が大きいと思うし、観てい
て辛かった。それでも最後の方でリベラーチェは病床の中でスコットに「君と
過ごしていた時が1番幸せだった」と言った。それはスコットにとって救いに
なったのではないだろうか。リベラーチェがかつて「君の親であり、兄であり、
親友であり、恋人でありたい」と言っていたのは本心なのだろう。稀代のエン
ターテイナーだったリベラーチェ。ラストは切なかった。


良かったらこちらもどうぞ。スティーヴン・ソダーバーグ監督作品です。
コンテイジョン
アンセイン~狂気の真実~



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アウトロー

2022-01-22 22:08:11 | 日記
2012年のアメリカ映画「アウトロー」。

米ペンシルベニア州ピッツバーグの郊外で、白昼に5人が射殺される事件
が発生。警察は事件発生後1時間という早さで、元軍人で腕利きスナイパ
ーだったジェームズ・バー(ジョセフ・シコラ)を容疑者として拘束する。
だが彼は容疑を全面否認し、かつて米軍で秘密捜査官を務めていたジャッ
ク・リーチャー(トム・クルーズ)に連絡するよう求める。ジェームズには
ヘレン・ロディン(ロザムンド・パイク)という国選弁護人がつくが、その
後彼は刑務所への護送中に他の囚人に襲われ、意識不明になる。ジャック
は事件の不審な点に気づき、真相に迫っていく。

トム・クルーズ主演のサスペンス・アクション。トムは製作にも参加して
いる。白昼5人の男女が射殺されるという事件が起き、遺留品や指紋など
から元米軍の狙撃手ジェームズが容疑者として拘束される。彼は元米軍の
秘密捜査官で一目置かれていたジャック・リーチャーを呼ぶよう求める。
ジャックは今は流れ者となっていて、警察は連絡をとることは不可能だと
判断するが、意外にもニュースを見たジャックは自ら現れる。しかしジェ
ームズは護送中に他の囚人から暴力を受け、昏睡状態に陥っていた。そこ
でジャックはジェームズの弁護士で地方検事の娘であるヘレンと会う。
一応アクションものだがミステリー寄りでなかなかおもしろかった。トム
・クルーズは有名スターなのに、私は彼の出演作を3本くらいしか観たこ
とがないのだが、やはりトムはかっこいい。ジャックはかつてジェームズ
がイラク派遣中に殺人事件を起こした際に逮捕していた。そのためジェー
ムズの殺人衝動が甦ったと最初は見ていたが、軍の狙撃手が行うには不合
理な場所から行われたことや、証拠を残しすぎていること、そして捜査し
ていくうちに街のチンピラから狙われ出すといった不審な点を考え、ジェ
ームズは陰謀で犯人に仕立て上げられたのだと思うようになる。
ジャックとヘレンが独自の調査をしていく過程で、少しずつ真実に近づい
ていくのがおもしろい。黒幕はヘレンの父親である地方検事か、それとも
刑事か。私はなかなかわからなかった。途中でサンディという女性が殺さ
れてしまうのだが、ジャックは「サンディはいい子だった」と悔やむ。私
はそんなにいい子かな、と思った。もちろんだからといって殺されていい
訳ではないが。
登場人物が皆魅力的。ヘレン役のロザムンド・パイクも美人だし、ヘレン
の父親役のリチャード・ジェンキンス、狙撃場の経営者のロバート・デュ
バルなど味があって良かった。特に終盤でジャックと狙撃場のおじさんが
協力するところはおもしろかった。トム・クルーズは若い頃はいろんな役
をしていたのに、いつの間にかアクション・スターになってしまったなあ。
この映画もややB級っぽいがとにかくトムがかっこいいのでいいか、と思
った。


昨日の夜(正確には今日の午前1時9分頃)地震が起きてびっくりした。地震
慣れしていないので、少し揺れても怖いのだが、今回はかなり揺れたし結
構長かったので本当に怖かったスマホの警報メールに驚いてノエルが
布団から飛び出したし
皆様大丈夫でしたでしょうか。お気をつけください



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キャラクター

2022-01-18 22:19:58 | 日記
2021年の日本映画「キャラクター」。

漫画家として売れることを夢見る山城圭吾(菅田将暉)は、高い画力があり
ながら、お人好しすぎる性格ゆえにリアルな悪役キャラクターを描くこと
ができず、万年アシスタント生活を送っていた。ある日、圭吾はスケッチ
に訪れた一軒家で、殺害された4人家族と犯人(Fukase)の顔を見てしまう。
圭吾は犯人をモデルにキャラクターを創り上げ、ついに売れっ子漫画家に
なるが、漫画をなぞるような事件が次々と発生。刑事の清田(小栗旬)と真
壁(中村獅童)は圭吾に不審なものを感じる。そして、犯人の男が圭吾の前
に現れる。

永井聡監督によるサイコ・サスペンス。原案・脚本は漫画原作者の長崎尚
志が手掛けている。漫画家として売れることを夢見て、アシスタント生活
を送る山城圭吾。ある日、一家殺人事件とその犯人を目撃してしまった圭
吾は、警察の事情聴取には「犯人の顔は見ていない」と嘘をつき、自分だ
けが知っている犯人をキャラクターにサスペンス漫画を描き始める。漫画
は大ヒットし、圭吾は一躍売れっ子漫画家の道を歩んでいくが、漫画の内
容を模した事件が次々と発生する。
とてもおもしろかった。圭吾が偶然一家殺人事件の犯人を目撃したことが
全ての始まりだった。アシスタント生活から抜け出し、恋人とも結婚でき
て、高級マンションに住むようになった圭吾だが、自分の漫画の内容と同
じ殺人事件が起きる。清田刑事と真壁刑事は圭吾を真犯人だとは思ってい
ないものの、何かを知っているのではないかと睨む。そして犯人の男が圭
吾に接触してきて、「(事件は)僕と先生の共同作品」と言い、圭吾は愕然
とする。
主役の菅田将暉はもちろんだが、清田刑事役の小栗旬がとてもいい。犯人
役は「SEKAI NO OWARI 」というバンドのメンバーであるFukaseとい
う人で、私はこの人を知らないが、演技はそれほどうまくないものの独特
の喋り方はサイコパスっぽくてなかなか良かった。神出鬼没で圭吾の前に
現れる犯人はやがて圭吾の妻にも接触してくる。妻は気味悪がり、圭吾は
全てを警察に話すことを決意する。でもこの流れで圭吾に警察の護衛がつ
かないのは変だと思った。それに清田刑事に打ち明けた後にも犯人は圭吾
の前に現れているのに、何故捕まらないのか。ちょっと変だな、と思うと
ころもあった。
犯人は完全な異常者である。彼がどうしてそうなったかは次第にわかって
くるが、その闇は深く、恐ろしい。そしてとても意外な展開になる。少な
くとも私にとっては。ええ、そうなるの!?と驚いた。アメリカのサイコ
・サスペンスみたいでおもしろく見応えがあった。日本映画もこういう作
品を作れるのだなあと思った。ラストもゾッとするし、ラストの続きを観
てみたいという気持ちになった。


完璧な円を描くベル



めり込むベル

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デリカテッセン

2022-01-15 22:21:40 | 日記
1991年のフランス映画「デリカテッセン」。

核戦争後、荒廃したパリにポツンと残る精肉店兼アパート"デリカテッセン"。
ここの住人は、いつも不気味な笑いを浮かべる店主(ジャン=クロード・ドレ
フュス)を始め、肉食主義の曲者揃い。このデリカテッセンに職を求めて元大
道芸人のルイゾン(ドミニク・ピノン)がやって来る。ルイゾンはやがてアパー
トに住む店主の娘ジュリー(マリー=ロール・ドゥーニャ)と惹かれ合うように
なる。

近未来を舞台にしたブラック・コメディ。DVDのパッケージが印象的である。
核戦争後、草木も生えず、ネズミ1匹いなくなった地上に精肉店があるのは何
故なのか。簡単にあらすじを読んだだけでも想像がつくが、あくまでもコメデ
ィである。ルイゾンが職を求めてデリカテッセンに来た時も、店主はルイゾン
の体をチェックして「痩せているな」と言うが雇うことにする。仕事はアパー
トの様々な雑用係だ。住人は変な人ばかり。そのうち店主の娘ジュリーは気の
いいルイゾンに好意を寄せるようになる。
非常にシュールな物語である。フランス映画ってコメディであってもこういう
奇妙な映画を作るからおもしろい。ジュリーはかなりの近眼でメガネをかけて
いるが、ルイゾンにメガネをかけた顔を見せたくなくて、彼をお茶に誘った時
外すのだが、失敗ばかりする。お茶を盛大にこぼしたり家具にぶつかったり。
ルイゾンはそんなジュリーをかわいく思い、次第に想い合うようになる。そし
て街の地下には反体制の菜食主義のレジスタンスたちが住み着いているのだが、
ジュリーは密かに彼らと手を組んでルイゾンを助け出そうとする。もちろん1
番の強敵はジュリーの父親である店主だ。
アパートには自殺マニアの夫人がいたり(夫はもう呆れて放置している)、おか
しなイタズラをする子供たちがいたり、笑ってしまう。だが元大道芸人のルイ
ゾンはピエロの芸を見せたりして子供たちから好かれる。ジュリーにとっては
こんな素敵な人であるルイゾンを助けないわけにはいかないのだった。レジス
タンスたちがおもしろくて、思わず応援したくなる。とにかく上を下への大騒
ぎの救出作戦である。追い詰められるルイゾンとジュリーだったが、ラストは
笑えてホッとできる。おもしろかった。


ピエトロに行って来ました。ベーコンと高菜の和風パスタ、おいしかったです

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