猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ヒドゥン・フェイス

2018-04-27 21:54:36 | 日記
2011年のコロンビア・スペイン合作映画「ヒドゥン・フェイス」。

スペインの若手指揮者アドリアン(キム・グティエレス)はコロンビアの交響楽団
からの誘いを受け、恋人ベレン(クララ・ラゴ)と共に移住し、ナチスの残党の未
亡人から別荘を借りて暮らし始めたが、ある日、ベレンが動画メッセージを残し
て失踪してしまう。傷心のアドリアンはバーの店員ファビアナ(マルティナ・ガル
シア)と恋に落ち、2人はアドリアンの別荘で暮らすようになる。ところが、ファ
ビアナは不可解な現象に襲われることになる。一方、アドリアンからの届け出で
ベレンの行方を追っていた警察はアドリアンを疑っていた。

恋愛サスペンス映画だが、着目点がおもしろいと思った。主人公アドリアンの恋
人ベレンはどこに消えたのか?それは観ている方はわかっているのだが、アドリ
アンにはわからない。アドリアンが住む別荘が、ナチスの残党だった男の所有す
るものだというところが大きなポイントになっている。男はもう死んでいるので
今はその未亡人が貸主なのだが。アドリアンは交響楽団のメンバーの女性と浮気
をしていて、そのことでベレンは悩んでいた。そしてもうあなたとはやっていけ
ないという動画メッセージを残して姿を消す。アドリアンは警察に捜索願いを出
すが、警察はアドリアンがベレンを殺したのではないかと疑う。
1番悪いのはアドリアンである。本当に「男って…」という感じ。自分の浮気で
恋人を苦しめ、彼女がいなくなったら落ち込むものの別の女性とすぐに付き合い
始め、一緒に暮らし出す。それでもまだ浮気を続けていて、新しい恋人もそのこ
とで悩むようになるのだ。何という尻軽な男だろう。ベレンの行方を気にかけな
がら、よく別の女性と恋愛する気になるものだ。アドリアンが浮気をしなかった
ら、あるいはベレンに問い詰められた時にやめていれば、こんなことにはならな
かっただろう。
新しい恋人ファビアナは、シャワーが急に熱湯になったり、洗面所に溜めた水が
揺らいだりと奇妙な経験をして怯え、アドリアンは家が古いからだ、修理に来て
もらおうと言うが、ファビアナは何か別の不気味さを感じて仕方がない。そして
残酷なラスト。アドリアンはまた同じことを繰り返すんだろうな…。でもやっぱ
り人を試すようなことはしてはいけないと思う。げに恐ろしきは女なり。



ちゃぴが亡くなって明日で半年。ななが亡くなってからは7ヵ月。本当に時間が
経つのは早いものだ。あっという間だった。まだ私は悲しみから抜け出せないで
いる。新しく子猫を迎えたけれど、新入りのノエルがどんなにかわいくてもちゃ
ぴとななの代わりにはならないのだと痛感している。
ちゃぴなな、病気のない天国で楽しく暮らしているかな。さくらには再会できた
かな。










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ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮

2018-04-24 23:07:44 | 日記
2012年のデンマーク・スウェーデン・チェコ合作映画「ロイヤル・アフェア 愛と
欲望の王宮」。

18世紀後半。英国王ジョージ3世の妹カロリーネ(アリシア・ヴィカンダー)は15歳
でデンマーク王クリスチャン7世(ミケル・ボー・フォルスゴー)と結婚する。しかし
精神を病んでいた王との結婚生活はすぐに絶望へと変わり、世継ぎが誕生して以降
はカロリーネは王宮で孤立してしまう。そんな中、外遊先で症状を悪化させた王は、
ドイツ人医師のヨハン・フリードリヒ・ストルーエンセ(マッツ・ミケルセン)を侍
医として採用、自国へ連れ帰る。ストルーエンセは王と友情を築き、徐々に信頼を
獲得していく。一方でストルーエンセが信奉する啓蒙思想は孤独な王妃カロリーネ
の心を捉え、2人は急速に接近していく。やがてストルーエンセは王を巧みに操り、
事実上の摂政として次々と改革を実行していく。

デンマーク国民なら誰もが知るという王室史上最大のスキャンダルを描いた映画。
英国王の妹カロリーネはデンマーク王クリスチャン7世と結婚することが以前から
決まっており、文学や音楽を愛するカロリーネは王も同じ趣味を持つ人であると聞
いていたためとても楽しみにしていた。ところが実際王に会ってみると彼は無礼で
少し異常なところのある人物で、カロリーネはたちまち絶望してしまう。王は王で
真面目な王妃にうんざりし、娼館通いをするがカロリーネにとってはそんなことは
どうでもよく、ただ「体面を考えて」と言うだけだった。そんな日々の中で王が連
れてきた町医者のストルーエンセの知性にカロリーネは惹かれ、2人が恋愛関係に
なるのに時間はかからなかった。もちろん王は知らず、侍医であるストルーエンセ
に絶大な信頼を寄せ、政治のこともストルーエンセに相談して決めるようになる。
そんなストルーエンセに対して王の部下たちが反感を抱かないわけがない。
これは簡単に言ってしまうと王、王妃、王の侍医の三角関係の物語である。王はど
うやら統合失調症であったらしいことが現在ではわかっている。下品で突飛な行動
をする王に、王妃は全く愛情を持てなかった。昔の王室では(王室でなくても)顔も
知らない相手と結婚なんてよくあることだったであろうから、カロリーネのような
気の毒な人はたくさんいただろう。それでも彼女は世継ぎを産んで王妃らしく生き
ていこうと決意したのだ。割り切ったと言うべきか。そこへ現れたドイツ人医師と
彼女は愛し合うようになってしまう。そして医師のストルーエンセは野心家で、決
断力のない王に代わって政治に口出しするようになる。
ストルーエンセは様々な改革を行うが、それは客観的に見ると正しいものばかりだ
ったらしいが、当時の王室ではなかなか受け入れられなかった。王の心を操り、王
に代わって改革を行う町医者ふぜいのストルーエンセは王室での恨みを買ってしま
う。ストルーエンセを演じるのはデンマークの大スター、マッツ・ミケルセン。こ
の人の映画は他には「偽りなき者」しか観ていないが、素晴らしい俳優だと思う。
とてもおもしろかった。中世ヨーロッパの話は好きだし、実話というのもいい。カ
ロリーネはかわいそうだったが、ラストでカロリーネの息子であるフレデリク王子
が成長して母親の仇を討ったことは救いだろう。




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ダークネス

2018-04-21 02:38:09 | 日記
2002年のスペイン・アメリカ合作映画「ダークネス」。

1960年代、スペイン。7人の子供たちが突然失踪する。その後1人の少年が発見
されるが、ショック状態で何を聞いても要領を得ず、残りの子供たちは遂に見
つかることはなかった。40年後、神経症を患う父マーク(イアン・グレン)の療
養のためにスペイン郊外にレジーナ(アンナ・パキン)一家が越してくる。奇妙な
デザインのその家に住み始めてから、マークは何かにとりつかれたような奇妙な
行動をするようになり、レジーナの幼い弟ポール(ステファン・エンキスト)も奇
妙な絵を描くようになる。そして母メアリー(レナ・オリン)はレジーナの話をま
ともに聞こうとしない。レジーナはボーイフレンドのカルロス(フェレ・マルテ
ィネス)に相談し、家について調べ始める。

オカルト・ホラー映画。あまり怖くなく、よく意味がわからないなあと思いなが
ら観ていたのだが、観終わってからよく考えてみるとじわじわ来る映画だった。
神経症で発作を起こすことがある父マーク。マークの父アルベルト(ジャンカル
ロ・ジャンニーニ)は医師で、彼の勤める病院が近くにあると安心だということ
で家族はスペイン郊外の古い家に引っ越してきた。しかしマークは良くなるどこ
ろかおかしな行動を取るようになる。息子のポールも奇妙な絵を描くようになり、
娘のレジーナは心配して母メアリーに相談しようとするが、別に何てことはない、
仕事で疲れている、などと言って聞こうとしない。レジーナ以外皆どこかおかし
くなるのだ。やがてレジーナは家に問題があるのではないかと考え始める。
マークの行動、ポールの絵、メアリーの頑なな態度、1つ1つが気味が悪い。ど
うしてメアリーは夫や息子が変だと思わないのか、レジーナは納得がいかない。
そしてカルロスに協力してもらって家について調べると、奇妙なことがいくつも
わかってくる。オカルトと宗教と科学が融合した物語とでも言うのだろうか、よ
くできていると思った。私が推測した事件の首謀者も外れ、それは意外な人だっ
た。その目的も「何故そんなことを?」と思うような非現実的なもので、おもし
ろかった。昔子供たちが行方不明になったということや、それから40年後とい
うのも大きなポイントになっている。そしてレジーナが発した1言により展開が
変わるのも、「そう来たか」という怖さを感じさせられた。
地味だしわかりにくいところはあったけれど、なかなかおもしろい映画ではない
だろうか。全てわかると本当に恐ろしい。イアン・グレンやレナ・オリンは安定
の演技力だし、アンナ・パキンも頑張っていた。ラストの救いのなさと後味の悪
さは大いに評価したい。




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欲望の翼

2018-04-17 23:03:58 | 日記
1990年の香港映画「欲望の翼」を観にいった。

1960年、香港。サッカー競技場の売店で売り子をするスー・リーチェン(マギー・
チャン)のところに、ヨディ(レスリー・チャン)という男がやってくる。「今夜、
夢で会おう」という言葉を残して彼は去っていく。彼は次の日も、また次の日も、
同じ時間にリーチェンの前に現れる。彼は彼女に1分間だけ彼の時計を見るように
言う。この日を境に彼らは毎日1分間を共にすることになり、それは2分間になり、
そして1時間を一緒に過ごすようになる。やがてヨディとの結婚を願うようになる
リーチェンに、彼はきっぱりとその意志がないことを告げる。ヨディの養母レベ
ッカ(レベッカ・パン)の経営するナイトクラブのダンサー、ミミ(カリーナ・ラウ
)は誘われるままにヨディの部屋に上がるが、そこにいつものように窓づたいにや
ってきたのがヨディの親友サブ(ジャッキー・チュン)。ミミがヨディの部屋を出
ると、彼が待っていた。名前を聞いただけで別れる2人だが、サブはもうすっかり
ミミの虜になっていた。降りしきる雨の夜、ミミと暮らすようになったヨディの
アパートのドアを警官タイド(アンディ・ラウ)がノックする。ヨディを訪ねてき
たリーチェンが部屋に入りかねて階段の下に座り込んでいたのだ。結婚しなくて
もいい、ヨディのそばにいたいと言うリーチェンに、ヨディは「今は良くてもい
つか君はきっと僕を嫌いになる」と言う。ミミの存在を知ったリーチェンは部屋
を飛び出してしまう。

ウォン・カーウァイ監督の大ヒット作。レスリー・チャン、マギー・チャン、ア
ンディ・ラウ、カリーナ・ラウ、ジャッキー・チュン、トニー・レオンといった
香港のスターが勢揃いした映画である(トニー・レオンはちょっとしか出ないが)。
私はレスリー・チャン主演映画の中でこれが1番好きで、何度も観ているのだが、
スクリーンで観るとまた違うものだ。リバイバル上映してくれて嬉しい。
暗い映画である。主人公のヨディは屈折した遊び人である。自分が養子だったこ
とを母に打ち明けられて以来、養母にもまだ見ぬ実母にも愛憎半ばの感情を抱い
ている。実母の居場所を教えてくれない養母に怒りながらも、養母と付き合って
いるチンピラを叩きのめしたりする。気持ちの置き場がないといった感じだ。自
分から近づいたリーチェンと付き合うようになり、彼女が一緒に暮らしたいと言
うとあっさりと承諾するが、結婚をする気はないと言ってリーチェンを傷つける。
そして今度はミミと付き合い出し、一緒に暮らす。いい加減な男だ。
リーチェンとミミはヨディが好き。警官タイドはリーチェンに想いを寄せている。
サブはミミのことが好き。けれどもヨディは誰のことも愛していないという複雑
で悲しい人間関係だ。雨のシーンが多く、登場人物たちの悲しさを増幅させてい
る。ミミがヨディの部屋を訪れて「いいとこに住んでるわね」と言うが、ちっと
もいい部屋には見えない。そういう時代だったんだなあと感じさせられる。日本
もきっと同じようなものだっただろう。
やがてヨディは養母から実母がフィリピンに住んでいることを聞き、フィリピン
へ向かう。そしてフィリピンの中国人街で今は警官を辞め船乗りになったタイド
と再会するのだが、この2人のエピソードも印象深い。お互いに覚えているのに
覚えていないふりをして一緒の時間を過ごすのだ。
ヨディのセリフに、「足のない鳥がいる。足のない鳥は飛び続け、疲れたら風の
中で眠る。そして生涯でただ1度地上に降りる、それが最期の時」というのがある。
小説からの引用らしいのだが、ヨディらしいと思った。彼は自分を足のない鳥に
たとえたが、自分の人生は所詮そんなものだろうとわかっていたのだろう。暗く
て切なくて悲しい物語である。


良かったらこちらもどうぞ。ウォン・カーウァイ監督作品です。
天使の涙
花様年華




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オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分

2018-04-14 16:35:07 | 日記
2013年のイギリス映画「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」。

バーミンガムで建設工事の現場監督をしているアイヴァン・ロック(トム・ハーディ)
は、7ヵ月前に酔って一夜限りの関係を持った同僚のベッサン(オリヴィア・コールマ
ン)が早産の危機にあることを知る。翌日にはコンクリートの大量搬入が予定され、自
宅では妻のカトリーナ(ルース・ウィルソン)と息子たちがサッカー観戦のために彼の
帰宅を待っているが、彼はベッサンの出産に立ち会うためロンドンへ向かう。

ほぼ車の中でのトム・ハーディの一人芝居という異色の人間ドラマ(そういう映画はた
まにあるけれど)。とにかくトム・ハーディがひっきりなしに車の中で色んな人と電話
で話しているのだ。電話の相手は皆声だけの出演である。それでもとてもおもしろい
映画ができあがったのは、トムの演技力と優れた演出の賜物だろう。
真面目なアイヴァンだが、同僚のベッサンと一緒に飲んでいた時、彼女の孤独さに同
情してつい関係を持ってしまう。ベッサンは妊娠し、絶対に産むと言い、アイヴァン
は彼女を説得できなかった。アイヴァンは妻に打ち明けられないまま苦悩の日々を過
ごす。浮気したアイヴァンが悪いのだが、これは少し気の毒だと思った。浮気相手を
本気で好きになり、妻と別れたいと思っているのならともかく、アイヴァンはベッサ
ンに特別な感情を持っておらず、愛しているのは妻なのだ。お酒が入っていたことと
ベッサンに同情してしまったことがきっかけだがその代償は大きかった。でもベッサ
ンも、孤独だし年齢的にも最後のチャンスかもしれないと思ったのはわからないでも
ないけれど、既婚者との間の子供は産むべきじゃないでしょ…
仕事でも次々にトラブルが起き、何人もの人と電話で対応するアイヴァンだが、その
合間を縫ってとうとう妻に打ち明ける。当然妻は驚き、怒り、もう家に帰ってこない
でと言う。それはそうだろう。信じていた夫が実は浮気をしていて、その子供が今日
にも産まれるなんてこと聞かされたら混乱するに決まっている。けれども夫は愛して
いるのは妻だけだと言う。どうしろというのだ。息子たちとも電話で話すが、彼らも
具体的なことはわからないけれど両親の間に何かが起きていることは察し、パパを待
っていると言うのでこちらも胸が苦しくなる。
車の中から見える夜の風景も良かった。どのくらい渋滞しているのか、どのくらいの
遠さなのかわからないが、まだロンドンに着かないの?とやきもきさせられた。ラス
トシーンの後が気になる映画である。




ノエル避妊手術を受けました。お腹の毛がジョキッと切られています。手術をしたら
少しは性格変わるかと思いましたが、相変わらずやんちゃでオテンバです(^-^;












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