2016年のイタリア・フランス合作映画「修道士は沈黙する」を観にいった。
ドイツのハイリゲンダムで、空港に白い修道服の男が降り立つ。イタリア人修道士の
ロベルト・サルス(トニ・セルヴィッロ)だ。彼は運転手の迎えを受け、車に乗ってあ
る国際的な会合が行われる場に向かう。リゾート地の高級ホテルで開かれる予定のG
8の財務相会議。そこでは各国の財務大臣により、世界市場に多大な影響を与える決
定が下されようとしている。それは貧富の差を拡大し、特に発展途上国の経済に大き
な打撃を与えかねないものだ。会議の前夜、天才的なエコノミストとして知られる国
際通貨基金(IMF)のダニエル・ロシェ専務理事(ダニエル・オートゥイユ)は、自身の
誕生日を祝う夕食会を催す。招かれたのは、翌日の会議に参加する8人の財務相に加
えて、世界的なミュージシャン、有名な女性絵本作家、そして修道士サルス。楽しい
宴の後、サルスはロシェから自室に呼び出され、告解をしたいと告げられる。告解を
聞いたサルスが部屋に戻った翌朝、ロシェがビニール袋をかぶって窒息死しているの
が発見される。自殺なのか他殺なのかわからないまま、サルスに疑惑の目が向けられ
る。
ちょっと変わったミステリー映画である。先進国首脳会議に参加するフランス、アメ
リカ、イギリス、ドイツ、イタリア、日本、カナダ、ロシアの各国の財務大臣と3人
のゲストが集結した高級ホテルで、大物経済人のロシェの死体が発見される。自殺な
のか、他殺なのか。前夜にロシェが修道士のサルスに告解をしていたことがわかると、
警察は告解の内容を聞き出そうとするが、戒律によって話すことはできない。沈黙を
通すサルスに容疑の目が向けられてしまう。神父が告解の内容を絶対に口外できない
というと、ヒッチコックの「私は告白する」を思い出す。劇中でもその話が出た。
各国の財務大臣たちもそれぞれの思いを胸に秘めたまま、捜査は続けられる。サルス
は犯人ではないと信じてサルスに協力する者も出てくる。実は会議の決定事項に反対
している者も数人いる。ロシェはサルスに何を話したのかが回想シーンとして度々挟
まれ、次第に事件の全容が見えてくる演出はおもしろい。そしてサルスのICレコーダ
ーを盗んだのは誰なのか。
サルスはどこか飄々とした雰囲気で、映画は暗くはならない。物語のテーマは「物質
主義と精神主義」である。カトリック信徒であることとエコノミストであることは両
立することはない。8人の財務大臣の中にはカトリック教徒も何人かいるだろう。彼
らは自分の心に嘘をついて世の中を渡り歩いているのだ。その矛盾に苦しんでいるの
かどうかはわからないが。
フランスの大スター、ダニエル・オートゥイユも年をとったなあ。サルスの全身白の
修道服が印象的であり、象徴的でもある。ラストは爽やか。
映画を観た帰りに大好きなア・ラ・カンパーニュのタルトを買った。あああダイエッ
ト中だというのに💦いつもじゃないですよ!たまにですよ!
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ドイツのハイリゲンダムで、空港に白い修道服の男が降り立つ。イタリア人修道士の
ロベルト・サルス(トニ・セルヴィッロ)だ。彼は運転手の迎えを受け、車に乗ってあ
る国際的な会合が行われる場に向かう。リゾート地の高級ホテルで開かれる予定のG
8の財務相会議。そこでは各国の財務大臣により、世界市場に多大な影響を与える決
定が下されようとしている。それは貧富の差を拡大し、特に発展途上国の経済に大き
な打撃を与えかねないものだ。会議の前夜、天才的なエコノミストとして知られる国
際通貨基金(IMF)のダニエル・ロシェ専務理事(ダニエル・オートゥイユ)は、自身の
誕生日を祝う夕食会を催す。招かれたのは、翌日の会議に参加する8人の財務相に加
えて、世界的なミュージシャン、有名な女性絵本作家、そして修道士サルス。楽しい
宴の後、サルスはロシェから自室に呼び出され、告解をしたいと告げられる。告解を
聞いたサルスが部屋に戻った翌朝、ロシェがビニール袋をかぶって窒息死しているの
が発見される。自殺なのか他殺なのかわからないまま、サルスに疑惑の目が向けられ
る。
ちょっと変わったミステリー映画である。先進国首脳会議に参加するフランス、アメ
リカ、イギリス、ドイツ、イタリア、日本、カナダ、ロシアの各国の財務大臣と3人
のゲストが集結した高級ホテルで、大物経済人のロシェの死体が発見される。自殺な
のか、他殺なのか。前夜にロシェが修道士のサルスに告解をしていたことがわかると、
警察は告解の内容を聞き出そうとするが、戒律によって話すことはできない。沈黙を
通すサルスに容疑の目が向けられてしまう。神父が告解の内容を絶対に口外できない
というと、ヒッチコックの「私は告白する」を思い出す。劇中でもその話が出た。
各国の財務大臣たちもそれぞれの思いを胸に秘めたまま、捜査は続けられる。サルス
は犯人ではないと信じてサルスに協力する者も出てくる。実は会議の決定事項に反対
している者も数人いる。ロシェはサルスに何を話したのかが回想シーンとして度々挟
まれ、次第に事件の全容が見えてくる演出はおもしろい。そしてサルスのICレコーダ
ーを盗んだのは誰なのか。
サルスはどこか飄々とした雰囲気で、映画は暗くはならない。物語のテーマは「物質
主義と精神主義」である。カトリック信徒であることとエコノミストであることは両
立することはない。8人の財務大臣の中にはカトリック教徒も何人かいるだろう。彼
らは自分の心に嘘をついて世の中を渡り歩いているのだ。その矛盾に苦しんでいるの
かどうかはわからないが。
フランスの大スター、ダニエル・オートゥイユも年をとったなあ。サルスの全身白の
修道服が印象的であり、象徴的でもある。ラストは爽やか。
映画を観た帰りに大好きなア・ラ・カンパーニュのタルトを買った。あああダイエッ
ト中だというのに💦いつもじゃないですよ!たまにですよ!
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