猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

アンナ・マデリーナ

2014-01-29 04:04:32 | 日記
1998年の香港・日本合作映画「アンナ・マデリーナ」。
ピアノの調律師をしているガーフ(金城武)は、仕事に行った家に居合わせた自称小説家の
モッヤン(アーロン・クォック)と知り合う。モッヤンはその家の女性と別れようとして
いた。おとなしいガーフとは正反対にモッヤンは調子が良く図々しく、行くあてがない
のでガーフの部屋に泊めてもらい、そのままなし崩し的に同居することになった。
2人が住む部屋の上の階に、マンイー(ケリー・チャン)という気の強い女性が引っ越して
きた。
上の部屋からしょっちゅう聞こえるへたくそなピアノのメヌエットに怒りが爆発した
モッヤンはマンイーに抗議に行くが、相手にしてもらえず、腹いせにマンイーの部屋の
ドアに落書きをして帰ってくる。
モッヤンの尻拭いでマンイーに謝りにいき、落書きを消すガーフ。マンイーが気になって
いるのだが、内気なガーフはアプローチすることが出来ない。

私の1番好きな香港映画だ。金城武、アーロン・クォック、ケリー・チャン共演のラブ・
ストーリー。 金城武の映画の中で1番好きな映画でもある。
ガーフとモッヤンのキャラクターがいい。真面目で内気なガーフ、お調子者で人なつこく
女たらしのモッヤン。金城武とアーロン・クォックがそれぞれはまり役だ。
初対面の男を家にあげ一緒に食事をし、そのままずるずると同居させてしまう、そんな
お人好しの男性がいるのだろうかと思うが、それがガーフなのだ。初めのうちは「君を
送っていく」と言っていたが、大体送る義理もないのだが。この2人のやりとりが魅力的
でおもしろい。定職もなく人の部屋に住み着いているモッヤンだが、不思議と憎めない。
きっとこれはモッヤンがハンサムだからだ、と私は思った。
映画は前半と後半に分かれていて、ちょっと変わった構成だが、とてもおもしろかった。
レスリー・チャンやアニタ・ユンが特別出演しているのも嬉しい。レスリー、生きてて
欲しかったなあ。もっと映画に出て欲しかったなあ。
タイトルの「アンナ・マデリーナ」は、バッハの2番目の妻アンナ・マグダレーナの英語
読みである。メヌエットはバッハがこの妻のために作った曲だ。
切ないラスト。この映画を観た後はバッハのメヌエットがずっと頭に残る。



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マーニー

2014-01-24 03:30:39 | 日記
1964年のアメリカ映画「マーニー」。
マーニー(ティッピー・ヘドレン)という女性がラトランド社の求職に応募してきた。
面接をした社長のマーク(ショーン・コネリー)は以前知り合いの会社で彼女を見ており、
彼女が金庫破りだと見抜いていた。しかしマーニーに興味を持ったマークは入社させる。
やがて機会を得たマーニーは会社の金庫から金を盗み、遠い田舎の農場に逃げた。マーク
はその後をつけ、マーニーの前に現れた。
マークの車の中でマーニーは嘘を繰り広げる。マークは彼女の盗癖が、無意識的な病気
ではないかと考える。マークは衝動的にマーニーと結婚すると言い出した。驚くマーニー
だったが、マークに「結婚か刑務所か」と選択を迫られ、仕方なく結婚することにした。
2人は身内だけの結婚式を挙げ、豪華客船で新婚旅行に出る。

ヒッチコック監督の有名な映画だ。大昔に観たことがあるのだが、ほとんど覚えていなか
った。うーん、それ程おもしろくなかったかな。「サイコ」のようなハラハラ感はなかった。
いわゆるトラウマをテーマにした映画で、ストーリー進行はおもしろいが、主役のマーニー
とマークの2人に魅力を感じなかったせいだろうか。
「サイコ」もある意味トラウマがテーマであり、「マーニー」によく似た映画で「白い恐怖」と
いうのがあるが、そちらの方が断然おもしろかった…記憶がある。
マーニーは幼い頃のある事件が原因で、その当時の記憶をなくしている。盗癖があり、平気
で嘘をつき、雷鳴と赤い色と男性を異常に怖がる。こう文章で書けばおもしろそうな感じが
するのだが、まずマーニーの行動が極端過ぎると思った。母親から愛されなかったり、ある
いは愛されなかったと思い込んでいる人が非行に走るというのは有り得ることである。
でもなんで金庫破り?大胆過ぎない?と思った。マークの方も、警察に届けずに結婚する
ほど、なぜマーニーを愛してしまうのかわからない。美人というだけでは説明がつかない。
マークがそれほどまでにマーニーに惹かれる理由が、観ていてわからなかった。むしろ
マーニーは嫌な女に見えた。それにマークはどうしてマーニーの行動を精神的な病気だと
思ったのか、それもよくわからなかった。
ついでに言うと、ティッピー・ヘドレン(北欧系美人だが)とショーン・コネリーの演技が
あまりうまくないと思った。ショーン・コネリーと言えば大スターだが、若い頃はそんなに
演技はうまくなかったのかな?
今度改めて「白い恐怖」も観てみたい。




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鬼火

2014-01-20 04:07:49 | 日記
1963年のフランス映画「鬼火」。
アラン(モーリス・ロネ)はアルコール依存症のため入院している。彼は死に取り憑かれて
いた。鏡には7月23日と、自分が死ぬ日を書いている。
アランは医者から完治しているので退院するように言われるが、不安でなかなか退院する
気になれない。自分は治ってはいない、退院したらまた飲んでしまうと思っているのだ。
アランはアメリカ人女性と結婚しているが、妻はニューヨークに行ってしまい、連絡も
ほとんどない。そしてアランには愛人もいる。
アランはパリに出て、旧友を訪問する。

暗く静かな映画だ。昔観たことがあるのだがまた観れて嬉しい。アランは大人になれない
男である。理想を追い求め、自由気ままに生きようとする。旧友が子供を持ち、平穏な
家庭を営んでいることを侮蔑する。アランは常に葛藤している。その心理状態の表現の
うまさは、さすがフランス映画と思ってしまう。
モーリス・ロネの神経質そうな表情も、アランという人間をよく表していて、惹かれる。
全編に漂う退廃的な雰囲気が良く、特に音楽が秀逸だ。こんなに作品に合った音楽はそう
ないのではないか。
ところでアランが入院している病院には驚いた。まるでホテルみたいだ。患者たちは個室
にいるのだが、とてもじゃないが病室には見えない。きれいな部屋のデザイン、きれいな
家具、きれいなインテリア。食事の時は食堂で皆で食べるのだが、その食堂がまたきれい。
お金持ちの家のリビングルームみたいだ。
ここは普通の病院と違って、アルコール依存症患者のための個人の療養所といった感じ
なのでこのような設備になっているのだろうが、フランスには今でもこんな施設があるの
だろうか。住みたくなるような個室だった。


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カティンの森

2014-01-14 03:58:03 | 日記
2007年のポーランド映画「カティンの森」。
1939年、ドイツがポーランドに侵攻し、第2次世界大戦が勃発した。その後ソ連は
ポーランド東部に侵攻し、秘密裏に独ソ不可侵条約が結ばれ、ポーランドはドイツ
とソ連に分割占領される。クラクフから夫のアンジェイ大尉(アルトゥル・ジェミ
イェフスキ)を捜しにきたアンナ(マヤ・オスタシェフスカ)とその娘ヴェロニカ(ヴィ
クトリア・ゴンシェフスカ)は、駅でソ連に連行される直前のアンジェイと、友人の
イェジ(アンジェイ・ヒラ)らポーランド軍将校たちに出会うことができた。アンナ
はアンジェイに逃亡することを勧めるが、彼は軍への忠誠心のためにそれを受け入
れず、家族と別れた。そして捕虜として教会に収容されたアンジェイは、これから
起きることを日記に記そうと心に決める。1943年4月、不可侵条約を破ってソ連領
に侵攻したドイツ軍が、カティンの森の近くで1万数千人のポーランド将校らの死
体を発見する。ドイツはこれを1940年のソ連軍の犯行であると大々的に報じた。

第二次世界大戦中に実際に起きた「カティンの森事件」を基に作られた映画である。
監督のアンジェイ・ワイダは、父親をこの事件で亡くしたそうである。昔NHKのド
キュメンタリー番組でこの「カティンの森事件」について見たことがあり、興味を
持っていた。こんなひどい事件が起きていたのか、と驚いた。映画はひたすら暗く、
救いがない。当時の実際の映像も流れ、そのむごたらしさに胸が痛む。
アンナの夫アンジェイは、ソ連軍に連行された後、手帳に日記をつけ始める。自分
が死んだ後、何があったかを克明に残すためである。そしてこの日記は、物語の最
後の方で重要な役割を果たすのである。
ポーランドはソ連とドイツに侵攻された気の毒な国だ。戦争が終わっても、自由は
なかった。GHQに占領された日本の方がまだましだったのかもしれない。当時のこ
とを私は知らないので、そういうことは簡単に言えないのかもしれないが。
この映画はR15指定である。ラストの10数分は目を覆いたくなるような残酷なシー
ンが続く。人間とはここまで残酷になれるものなのか。犠牲者たちが口にする神へ
の祈りの言葉が胸に突き刺さる。そして無音のエンドロール。これがこの映画の悲
惨さを一層際立たせている。忘れてはならない歴史のひとつだと思う。戦争とは不
条理で恐ろしいもので、こんな過ちを2度と繰り返してはいけないのだと痛感した。
忘れられない映画の1つである。




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スナッチ

2014-01-11 04:53:28 | 日記
2000年のイギリス・アメリカ合作映画「スナッチ」。
フランキー(ベニチオ・デル・トロ)率いる強盗団はベルギーの宝石商から86カラット
のダイヤモンドを盗み出した。しかしニューヨークのボスの元へダイヤを届ける途中、
ロンドンに寄ったフランキーの知らないところで、彼に対する密かな裏切りが進行
しようとしていた。
一方、ロンドンでボクシングのプロモーターを営んでいるターキッシュ(ジェイソン・
ステイサム)とトミー(スティーヴン・グレアム)は、裏社会の大物になるため、悪党の
ブリック・トップ(アラン・フォード)に接近、賭博が絡む裏ボクシングの八百長で
儲けさせようとする。
ターキッシュとトミーは、パイキー(ジプシーのような流浪民)の1人で天才的なボク
シングの腕を持つミッキー(ブラッド・ピット)を見つけ出し、裏ボクシングに利用
しようとする。
そこに、裏ボクシングの存在を知ったギャンブル中毒のフランキーや、ある人物に
依頼されて彼を殺そうとする3人組などが関わり、事態は大混乱になる。

人気のある映画らしいので観てみたが、はっきり言ってよくわからなかった。私は
こういうドタバタ群像劇は苦手だ。観始めて15分くらいで観るのをやめようかと
思ったが、せっかくなので最後まで観ることにした。
終わってみると、最初に思ったよりはおもしろかった。よくわからなくはあるのだが。
悪党ばかりが出てくるが、皆どこかマヌケでユーモラス。フランキーを狙う3人組が
特におもしろかった。悪い奴らなのにやっぱりマヌケ。
あとはとにかくジェイソン・ステイサムとブラッド・ピットが良かった。ミッキーの
キャラクターが最高だ。ひどい訛りで何を言っているのかよくわからない。日本語
吹き替えで観たのだが、声優さんはさぞしゃべりにくかっただろう。
会話がテンポが良くて魅力的だった。ターキッシュがトミーに「あいつ(ミッキー)が
今何をしゃべったか一言でもわかったか?」と聞いたり(一体どんな英語なんだ)、ター
キッシュがトミーに失敗したらどうなるんだろうと聞かれて「殺されて豚のエサになる
だろうな」と答え、「なんでそんなに冷静なんだよ!」と突っ込まれたり、3人組が悪党
に死体の処理について「バラバラにした死体を冷蔵庫なんかに隠しちゃいけない。ママ
に見つかるからな」と言ったり、とにかくセリフがおもしろく、クスリとする場面が
多くあった。豚のエサとかママとかいうセリフがやたら多かったな。
そしてやっぱりブラッド・ピットはかっこいい。ひどく訛っていようが薄汚れていよ
うが、美形だしかっこいいのだ。ブラッド・ピットはこの映画に出演することを熱望
し、破格のギャラで出演したのだという。そんなにこの映画に出たかったのか?と
思ったが、観る方と演じる方では感覚が違うんだろうな。
私には苦手なジャンルだが、スタイリッシュな映画ではあった。



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