猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ブロウ

2014-08-28 03:30:36 | 日記
2001年のアメリカ映画「ブロウ」。
幼い頃、父親は社長なのに貧乏な両親の姿を見て育ったジョージ・ユング(ジョニー・
デップ)は、大人になって、マサチューセッツという田舎から、カリフォルニアという
流行の最先端の町へ引っ越した。やがてバーバラという女性を愛するようになり、
自分の理想の家庭を築くためドラッグの密売を始め、みるみる商才を発揮する。

70年代の伝説のドラッグ・ディーラー、ジョージ・ユングの栄光と挫折を描いた映画
である。なかなかおもしろかった。テンポが良く、さらっと観ることができる。
ドラッグの密売で有名になっていくジョージ。だが彼は子供の頃の経験から、幸せな
家庭を作りたいという夢があった。この人は、最初の恋人バーバラと結婚できていた
ら、ディーラーからも足を洗い、まっとうな生活が送れたかもしれない、と思う。
だがバーバラは若くしてがんで亡くなってしまい、結婚できなかった。
次に知り合ったマーサ(ペネロペ・クルス)と結婚するのだが、マーサは美人だが
感情的で気性が荒い。マーサと結婚したことでジョージの人生は転落に向かっていった
気がする。ジョージは娘のクリスティーナを溺愛するが、何度も逮捕されるうちに、
妻と娘の愛と信頼を失う。犯罪を犯していたのだから自業自得ではあるのだが、何だか
ジョージの人生が少しかわいそうにも思えた。何度か足を洗うチャンスはあったのに、
なかなかうまくはいかなかったんだなあ。
ジョージ・ユングは2014年12月に72歳で仮釈放になるそうである。



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洗礼

2014-08-22 02:31:17 | 日記
楳図かずお氏の漫画「洗礼」。
美貌の大女優若草いずみは、子役の頃から自分の美しさを意識して生きてきた。
そして、年を取って醜くなっていくことを異常に恐れていた。いずみはその
悩みを、幼い時からの主治医である村上医師に興奮してぶつける。村上医師は
ある提案をする。それは、いずみが女の子を産んで、その子がある程度の年齢に
なったら、いずみの脳をその子の頭に移植し、その子として人生をやり直すと
いうものだった。いずみは賛成し、どこの誰ともわからない男との間に子供を
作った。産まれた子供は念願の女の子だった。そして芸能界を引退し、母と子で
ひっそりと生きてきた。いずみはその頃顔に大きなアザができ、太っていて、
大女優だった頃の面影はなかった。いつか娘の頭に脳を移植する日を夢見て、
それだけを心の支えに生きてきた。一方さくらと名付けられた娘はいずみの
子供の頃そっくりの美少女に成長した。母親思いの優しい子だった。そして、
脳の移植手術の実験を繰り返していた村上医師は、とうとうそれに成功した。
そしてさくらは何も知らないまま、手術が行われることになった。

怖い物語である。人は(女性は)こうまで美しさに執着できるものだろうか。
幼児期からずば抜けて美しかった女優の、美に対する執着はわからないでもない。
人は誰でも若く美しくありたいと思うものだ。けれどもいずみとその主治医は、
人として超えてはならない一線を超えてしまった。
さくらに「私はあなたになるためにあなたを産んだの。悪いけどあなたに人生
なんかないのよ」と言って、さくらを手術台の上に乗せようとするいずみ。
かわいくて頭が良くて母親思いのさくらを、殺すことができるいずみ。
なんという業だろう。主治医も、産まれた子供が男の子だったら殺しなさいと
言っていた。
かくてさくらに成り代わったいずみの、次の目標はさくらの担任教師を手に入れ
ることだった。普通に結婚して、普通に暮らしたいという夢を叶えたかったのだ。
いずみは教師の家にまんまと入り込み、妻に壮絶な嫌がらせを始める。
この辺り映画「エスター」を思い出したのだが、本当に男の人ってなんて鈍いの
だろう。妻がどんなにあの子はおかしい、異常だと言っても、気のせいだろう、
で済ましてしまう。妻の方がおかしいという扱いをされてしまう。「エスター」の
夫も、妻の言い分を聞いていたら、殺されることもなかったのに。
いずみは教師を手に入れられるのか―。
ものすごくおもしろかった。ロマンチック・ホラーとでも言うのか。私は楳図
先生の描く美少女が好きだ。写実的で、緻密で、美しい。
楳図漫画の名作である。



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レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー

2014-08-19 02:01:44 | 日記
2009年のアイスランド映画「レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー」。
アイスランドの首都レイキャヴィク。世界中から訪れた観光客がホエール・ウオッ
チングに出航しようと集まってくる。その中には、中年の日本人夫婦と2人に仕える
メイド、エンドウ(裕木奈江)の姿もあった。6組の乗客を乗せていつものように
観光船は出航する。だが、沖へ出たところで不慮の事故が発生し、船長が死んで
しまう。船長を失い、帰港する術をなくした観光船は、当てもなく海に漂うだけ。
そこへ1隻の捕鯨船がやってくる。喜んで乗り移る観光客たち。それは家族経営の
捕鯨船だったが、その捕鯨船で暮らす母子3人は、国連の捕鯨禁止措置によって
生活する術を失ったことから、外国人に復讐する機会を待っていたのだった。捕鯨
船の中で、殺りくが始まる。

アイスランド初のホラー映画だそうだ。私は裕木奈江のファンなので観たのだが、
なかなかおもしろかった。おもしろいと言っても、訳わからない、突っ込みどころ
満載のおもしろさだ。スプラッター・ホラーだが全然怖くない。登場人物も嫌な人
ばかりで、殺されてもたいしてかわいそうではない。殺す側、殺される側、みんな
イカレた人ばかりなのだ。日本人夫婦とエンドウの会話で、時々日本語が出てくる
のがちょっと楽しい。
とても安心して観られるスプラッター・ホラーである。裕木奈江はなかなかに活躍
していた。監督は裕木奈江をとても気に入ったらしく、次回作でも起用することを
決めているそうだ。裕木奈江、海外でも頑張って欲しい。



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殺人犯

2014-08-15 01:23:05 | 日記
2009年の香港映画「殺人犯」。
被害者の背中に電気ドリルで穴をあけ失血死させるという、連続猟奇殺人事件の
捜査を担当していた香港警察のレン・クォン警部(アーロン・クォック)は、通報を
受け駆け付けたビルで何者かに襲われ、気絶してしまう。病院で目覚めた時には
記憶を失っており、一緒にいた同僚は瀕死の重傷を負っていた。そして、犯人は
自分だとする証拠が次々と見つかり、レンに嫌疑がかかるが、レンは同僚で親友の
クァイとともに事件を追う。

サスペンス・スリラーである。おもしろかった。レンが真犯人なのか、レン自身と
ともに観ている方も疑わしくなっていく。レンが犯人だとする証拠がいろいろ出て
くるのだが、罠かもしれない。その展開にはらはらする。そして事件の残忍さや
異常さが際立っていて、どうかレンが犯人じゃありませんように、と思ってしまう。
レンは妻と幼い息子(養子)と平穏に暮らしているのだ。犯人であって欲しくない。
しかし記憶障害のため、自分を疑ってしまうレンの姿に、妻も不信感を持ってしま
うようになり、夫婦関係もぎくしゃくしていく。怖い映画だ。
この事件の裏に隠されていた驚愕の真相。本当にショッキングである。後味も悪い。
が、とても見応えのある映画だった。
アーロン・クォックは相変わらず美形だ。さすが香港四大天王の1人である。



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ゆるせない、逢いたい

2014-08-11 12:00:49 | 日記
2013年の日本映画「ゆるせない、逢いたい」。
母親と一緒に郊外の一軒家に引っ越してきた高校生のはつ実(吉倉あおい)は、
古紙回収業の青年・隆太郎(柳楽優弥)と知り合う。2人はすぐに恋に落ちるが、
ある誤解からすれ違いが続く。はつ実に嫌われたと思い込んで孤独感にさい
なまれていた隆太郎は、久々に再会したはつ実を襲ってしまう。

デートレイプを扱った、胸が痛む青春ラブストーリーだ。
はつ実は母親が過保護で厳しいため、隆太郎とこっそり付き合っていた。ある
きっかけで2人の間にすれ違いが生じてしまう。それでも隆太郎に会いたかった
はつ実は、母親に黙って会いにいき、そこで隆太郎に襲われてしまう。
母親はすぐに警察に届け、恋人同士だった2人は加害者と被害者になってしまう。
刑事がはつ実に「2人きりになりたかったんでしょ?本当にレイプなのかなあ」
「彼も若いし、彼の未来もあるしね」と言っているところは、私もあれはレイプ
なのかと考えてしまった。でもはつ実の意志の合意が無かった以上、レイプに
なるのだろう。はつ実は心に大きな傷を負ってしまったのだから。
ただ、元々孤独な身の上(はつ実もそれを知っている)で傷ついている上に、
はつ実に嫌われたのかもという不安があれば、ああいう行動に出てしまった
隆太郎のこともかわいそうに思う。
それでも、加害者と被害者の立場になっても、2人はお互いに会いたいと思って
いた。胸が締め付けられる思いだ。
ラストは私の予想と違っていたけれど、いい映画だった。主演2人が瑞々しい。



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