猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ちゃぴ、3年

2020-10-28 22:22:29 | 日記
今日、10月28日は長女ちゃぴの命日です。もう3年が経ったなんて信じられません。
先月は次女ななの命日でした。まだついこの間のことのように思い出されます。い
つもはかわいかった姿ばかり思い出しますが、命日はやはり気持ちが沈んでしまい
ます…。ちゃぴ、20歳と11ヵ月でした。あと少しで21歳だったのに。21歳までは
生きてくれると思っていたのに。
ちゃぴは我が家に初めてやって来た猫で、1人だけ誕生日がはっきりわかっている
子でした。飼い猫が子供を産んだというお宅からもらってきたのです。他の子は皆
拾ってきた子たちでした。初めはそんなに猫を増やそうとは思っていなかったので
すが、つい拾ってきてしまって、多い時は女子4人になりました。うちは何故か女
子に縁があるようです。
ちゃぴはかわいがりすぎたせいかすっかり女王様気質になってしまい、他の子は誰
もちゃぴに逆らえませんでした。でも人の心がわかる優しい子でもありました。な
なととっても仲良しで(なながちゃぴのことを大好きでした)、いつも一緒に寝てい
ました。ななが亡くなってから、ちゃぴは急に弱っていきました。何だかななのあ
とを追っていきそうで、とても心配しました。そしてななが亡くなった翌月に亡く
なりました。やはりななのことがとても気がかりだったのでしょう。
2ヵ月続けて猫を失った私の喪失感は大きかったです。もっとしてあげられること
があったのではないかという後悔はずっとつきまといました。その気持ちは今でも
変わっていません。でも、運命だったのでしょうね…。ちゃぴとなな、そして1番
早く亡くなった3女のさくら、今頃は皆で元気に遊んでいることでしょう。こっち
のことは心配しないでね。私とベル、そして新しく迎えたノエルは元気でいるから。
いつかまたきっと会えるよね。

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異端の鳥

2020-10-24 22:13:21 | 日記
2019年のチェコ・スロバキア・ウクライナ合作映画「異端の鳥」を観に行った。

第2次世界大戦中、ホロコーストを逃れて東欧のある村の叔母の元に1人で疎開
した少年(ペトル・コトラール)。しかしある日、その叔母が急死した上、火事で
叔母の家も焼失し、少年は行き場を失ってしまう。たった1人であてのない旅に
出た少年は、行く先々の人々から異物と見なされ、ひどい仕打ちを受ける。それ
でも少年は、何とか生き延びようと必死でもがき続ける。

ポーランドの作家イェジー・コシンスキの小説の映画化。第76回ヴェネツィア
国際映画祭ユニセフ賞受賞作品。説明がないのだが恐らくユダヤ人である少年は、
東欧のどこかの村に住む叔母の元に1人で疎開する。叔母との生活は孤独なもの
だった。少年(11~12歳くらい)は村人たちにいじめられる。ある日叔母が病気
で急死し、家も火事で焼けてしまい、少年は1人で旅に出ることになってしまう。
あてのない放浪の中で少年は色々な人に出会い、面倒を見てもらったりするが、
転々とする中でとても過酷な目に遭う。
全編モノクロームの暗い映像で、セリフも少なく、物語もとにかく暗くて悲惨だ。
目を背けたくなるような残酷なシーンがたくさんあり、少年の身の上を思うと辛
くなってくる。彼はほとんど人間扱いされていないのだ。野宿をしたり誰かの家
で世話になったりしながらも、とことん不幸が彼を襲う。いじめ、暴行、性的虐
待、動物虐待と見るに堪えないシーンの連続である。過酷な思いをしていく中で
動物好きで気弱だった少年は少しずつ変わっていく。
少年が行く先々で出会う村人たちは、彼の髪や瞳や肌の色が自分たちと違うこと
で彼を差別し、異物と見なす。貧しく純朴そうに見える村人たちだがおかしな人
がとても多く、狂人だらけと言ってもいいくらいだ。少年を殺さず見逃してくれ
たドイツ兵や、心優しい司祭など、まともな人にも出会うのだが、平穏な生活は
続くことはない。これでもかという程少年は不幸に見舞われる。
この映画の原題は「ペインテッド・バード(The Painted Bird)」というのだが、
タイトルを象徴するようなシーンがある。少年がしばらく世話になっていた鳥売
りの男が、1羽の小鳥にペンキを塗って空に放す。群れの鳥たちと合流しようと
する小鳥だったが、色を塗られた小鳥は群れの仲間たちにとってもはや異物であ
り、小鳥はつつかれ羽をもがれ、無残な姿で墜落する。少年の存在はこの小鳥な
のだ。残酷なシーンだと思った。男が死んだ後、少年は売り物の鳥たちを皆カゴ
から出して空に放った。少年の未来はどうなるのだろう。2時間49分という長い
映画だが、とてもおもしろかった。




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1922

2020-10-20 22:03:17 | 日記
2017年のアメリカ映画「1922」。

1922年。ウィルフレッド(トーマス・ジェーン)は妻アルレット(モリー・パーカー)
と14歳の息子ヘンリー(ディラン・シュミット)とネブラスカ州の田舎で広大な農場
を経営していた。だが、田舎暮らしが嫌で都会に憧れていたアルレットは、自分が
父親から相続した農場と家を売って都会に行くと言い出す。ウィルフレッドはこの
地を離れる気はなく、また隣家の娘シャノン(ケイトリン・バーナード)と交際して
いたヘンリーもやはり離れる気はなかった。ウィルフレッドはヘンリーを引き込み、
2人でアルレットを殺害し、死体を井戸に捨て、彼女が家出をしたかのように偽装
工作を行う。

スティーヴン・キング原作小説の映画化。Netflixオリジナル映画である。私はNe
tflixには加入していないが、観る機会があったので。ウィルフレッドは妻アルレッ
トと息子ヘンリーと農場を経営していた。その農場はアルレットが父親から相続し
たものだった。ウィルフレッドはいずれ農場をヘンリーに継がせようと考えていた
が、アルレットは田舎の生活を嫌い、農場と家を売って都会へ引っ越したいと言い
出す。そのことで夫婦は何度も揉めることになった。やがてアルレットは離婚して
ヘンリーと共に都会へ行くと言い出す。ヘンリーは隣家の娘シャノンと恋愛してお
り、引っ越したくはなかった。ウィルフレッドはヘンリーを説得して、2人でアル
レットを殺害することにした。
ちょっとホラーっぽいサスペンスという感じ。スティーブン・キング原作の映画は
当たり外れがあるが、これはおもしろかった。アルレットを殺して井戸に死体を捨
てたウィルフレッドとヘンリー。ウィルフレッドは妻の服や宝石を一部処分し、彼
女が家出をしたように見せかけた。ある日アルレットが農場を売るつもりで交渉し
ていた会社の弁護士がやって来る。アルレットは家出したと聞くが、高値で売れる
はずだったのに家出するのはおかしいと、弁護士は訝しむ。一旦帰った弁護士だっ
たが、今度は保安官がやって来る。保安官に色々聞かれるが、ウィルフレッドとヘ
ンリーは口裏を合わせ、切り抜ける。
しかしヘンリーは罪の意識で精神的に不安定になっていく。そんな時シャノンが妊
娠していることがわかり、シャノンの父親は激怒する。シャノンと引き離されそう
になったため、ヘンリーとシャノンは駆け落ちをしてしまう。1人きりになったウ
ィルフレッドはやがて精神も肉体も病んでいく。「もしあの時ああしていれば」と
思わせられる映画である。アルレットを殺すという選択は正しかったのだろうか。
完全犯罪は成功したものの、もし殺さなかったとしても、彼女の言う通りに農場を
売って都会へ引っ越して、この家族はうまくやっていけたのだろうか、と思う。
やたらネズミが出てくるので気持ちが悪いが、ネズミはウィルフレッドがしたこと
を象徴する存在になっている。ヘンリーの死体にもぎょっとしたが、何の罪もない
牛もかわいそうだった。ウィルフレッドは死んだ妻の姿を度々見るようになるが、
それが霊なのか幻覚なのかがはっきりわからなかった。あえてわからないように描
かれているのかもしれない。ラストシーンでウィルフレッドはある意味救われたの
だと思った。とても地味で陰惨な映画だがおもしろかった。この暗さがいい。トー
マス・ジェーンは「ディープ・ブルー」のイメージが強いのだが、年をとって渋く
なったなあ。



テーブルでゴシゴシ。

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タイムリミット 見知らぬ影

2020-10-15 23:12:35 | 日記
2018年のドイツ映画「タイムリミット 見知らぬ影」を観に行った。

ベルリンの不動産会社で大規模な建築プロジェクトに携わるカール(ヴォータン・
ヴィルケ・メーリング)は、ある月曜日の朝、娘ヨゼフィーネ(エミリー・クーシ
ェ)と息子マリウス(カルロ・トーマ)を車に乗せて学校に送り届けようとしている
最中に、正体不明の男からの脅迫電話を受ける。男はカールたちが座席を離れる
と爆発する特殊な爆弾を車に仕掛けたと言い、巨額の金を支払うよう要求してく
る。同じ犯人に脅迫された上司とその妻が目の前で爆死させられるのを見たカー
ルは、やむを得ず要求に従おうとするが、爆発の際に破片を浴びてマリウスが重
傷を負った上、今度は警官隊に包囲されてしまう。警察は、カールが不仲の妻へ
の復讐のため子供たちを人質にとって破れかぶれの行動に走ったと考えていた。

息もつかせぬノンストップ・サスペンスで、とてもおもしろかった。最初から最
後まで緊張しっ放しである。不動産会社の幹部であるカールは、朝出社するつい
でに子供たちを学校まで送り届けようとして車に乗った。するとスマホに何者か
から電話がかかり、座席を離れると爆発する爆弾を車に仕掛けたから、遠隔操作
で爆弾を止めて欲しければ大金を払えという脅迫を受ける。最初は相手にしなか
ったカールだが、朝車の鍵が開いていて変に思ったことを思い出した。気になっ
たカールは上司に電話をするが、上司も同じ内容の脅迫電話を受けたと言う。そ
して近くに停車していた上司の車が、電話を信じようとしない妻が座席を立った
ことにより爆発し、夫婦が無残な爆死を遂げたことからカールは脅迫が本物であ
ると確信する。カールは子供たちに絶対に座席から離れないように言うが、息子
のマリウスは爆発のせいで重傷を負っていた。
それからのカールはもう必死である。犯人はカールのことを何もかも知っていた。
カールが会社の金を動かせることも。カールは脅迫されていることは言わずに会
社に電話をし、理由をつけて金を用意させようとするが、マリウスの出血はひど
くなっていき、カールは病院へ行かせてくれと犯人に懇願する。ヨゼフィーネは
恐怖に怯えていた。言う通りにすれば病院へ行かせてやると言う犯人に、カール
はまるで心当たりはなかった。
カールが命がけで犯人や会社と交渉しているというのに、警察の無能さには腹が
立った。警察はカールが脅迫電話を受けていることを信じず、カールが子供たち
を人質にとっていると思い込んでいるのだ。爆弾のことは信じた警察は爆発物処
理班を呼ぶ。そのリーダーである女性警察官は初めはカールの言うことを信じて
いなかったが、カールの側で話を聞きヨゼフィーネの様子を見たことから信じる
ようになる。女性警察官はカールを脅迫の被害者だと主張するが、指揮を執る警
部はカールを容疑者だと決めつけて聞き入れない。
もうハラハラとイライラの連続である。カールが気の毒でならない。カールの妻
でさえ「どうしてこんなことをしたの」と言って彼を説得しようとする。実はカ
ールの方は妻を愛していたが、妻は不倫をしていた。そしてヨゼフィーネはその
ことを知っていたのだった。やがてカールは狙撃手たちに狙われてしまう。それ
を知ったヨゼフィーネは、自分が父親から離れたら父親が撃たれてしまうと思い、
絶対にカールの側を離れようとしないのだが、女性警察官が娘がカールの側から
離れないのだと言っても警部はカールが娘を拘束していると判断するのだ。もう
本当に無能な警察である。
被害者なのに容疑者扱いされているカールはかわいそうだし、マリウスの出血は
ひどくなって意識が遠のいていくし、八方塞がりの状況に緊張感が止まらない。
そして犯人の正体はとても意外な人物だった。人間ってあそこまで人を恨めるも
のだろうか、復讐しようとするものだろうか、と思った。気持ちはわからないで
もないが、不毛な復讐である。最後の方でヨゼフィーネが母親の不倫相手をひっ
ぱたいたのはスカッとした。ついでに警部のこともブン殴れば良かったのにと思
った。
本当におもしろい映画で、この迫力のある映画を映画館で観られて良かったと思
った。主人公のカール役の俳優、見た顔だなと思ったら「23年の沈黙」の主役
の人だった。人気俳優なのかな。


アフタヌーンティーのアップルパイはすごくおいしいですダイエット中です
がたまにはいいよね

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怪怪怪怪物!

2020-10-10 22:25:09 | 日記
2017年の台湾映画「怪怪怪怪物!」。

優等生だがいつもクラスメイトにからかわれ、いじめられているリン・シューウェイ
(トン・ユィカイ)はある日、問題を起こし、ドアン・レンハオ(ケント・ツァイ)をリ
ーダーとしたいじめっ子の3人と共に奉仕活動として独居老人の手伝いを命じられる。
そして、手伝いのために訪れた老人宅でシューウェイたちは、夜中に2匹のモンスタ
ーと遭遇。モンスターを捕獲したいじめっ子たちは、モンスターを柱に縛り付けて彼
らなりの調査と実験をスタートさせる。しかし、次第にモンスターが彼らの手に負え
ない存在となっていき、学校がとんでもない修羅場と化していく。

あの頃、君を追いかけた」のギデンズ・コー監督による学園ホラー。B級映画みた
いなタイトルだがなかなかおもしろかった。優等生で真面目なのにいじめの標的にさ
れている高校生のシューウェイ。彼はある日いじめっ子たちの罠にかけられて泥棒扱
いされてしまう。どんなにやっていないと言っても担任の女教師も変な人で、結局い
じめっ子たちと共に奉仕活動を命じられる。それは独居老人の家で手伝いをするとい
うものだった。シューウェイといじめっ子のボス・レンハオたちは老人宅を訪れるが、
そこで2匹のモンスターと遭遇する。それは食人鬼の姉妹だった。姉の方には逃げら
れるが妹を捕まえ、皆のたまり場に監禁する。そして実験と称してあらゆる拷問をす
るのだった。
シューウェイはモンスターをかわいそうに思うが、いじめっ子たちの関心がモンスタ
ーの拷問に向いている間は自分はいじめられないので、安堵感もあった。それに拷問
に加担することで自分が彼らに受け入れられ、仲間扱いされているような気持ちにも
なっていたのだ。それでもシューウェイはモンスターの見張りをさせられている時に
は「いつかきっと助けてあげる」と言っていた。その頃モンスターの姉は妹を捜して
いた。
拷問と言っても「そのもの」は見せていないのでそれほどグロテスクな映画ではない。
流血シーンは多いが。レンハオたちはよくそんなことを思いつくものだ、というよう
な残酷行為をモンスターに対して行う。「人間じゃないから何をやってもいい」など
と言っている。時に衝撃的なのは体育館で女教師が無惨に死んでしまうシーンと、ス
クールバスの中での姉モンスターによる大量殺戮のシーンだろう。教師はクズなので
特にかわいそうだとは思わなかった。
とにかくこの高校、生徒も教師もクズばかり。こんな学校ってあるだろうか。だから
生徒たちが姉モンスターに虐殺されても同情する気になれない。モンスターよりも人
間たちの方が邪悪だ。ラストでシューウェイが選択したことも納得できる。モンスタ
ーより自分たちの方が怪物なのだと彼はわかってしまったのだ。この映画、傑作だと
思う。それにしてもギデンズ・コー監督ってどういう人なのだろうか。「あの頃、君
を追いかけた」とはまるで趣きが違うのだが(笑)




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