ぶつぶつ地蔵

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第63回 正倉院展

2011-11-16 18:37:09 | 展覧会関係
先日リハビリの帰りに、オータムイレイト(17:30~19:00までの延長開場)があるのを利用して、正倉院展に行ってまいりました。
オータムレイトを利用と言っても、オータムの時間から入ると見る時間が1時間半しかありません。これではゆっくり見られません(とゆーよりは時間が足りない)し、すでに前売りを購入済みだったこともあり時間を待たずに17:00前に入場。
日中に見に来ている人達の大半が夕方に帰路に着き、オータムレイト待ちの人はまだ入場していない・・・この約30分はものっそご、空いていてゆっくり見ることができました。
まぁオータムの人が入ってきても、金曜の夜だったのでそんな混んではいなかったですが♪


昨年の正倉院展では、偶然にも国家珍宝帳に葛木連戸主のサインを見つけテンションだだ上がりでしたが、今回はそんな御物が見つかるかしら(笑)
ドキドキわくわくの正倉院展。そんな見方もあるんですヨ(笑)

ちなみに、今年のオイラの正倉院展示におけるテーマは「光明子の目線」でございます。(正倉院展とは全く関係なく、オイラが勝手に決めたテーマです。)
厚先生がおっしゃったように、正倉院に納められている御物は「後世に残された素晴らしい美術品であるとともに歴史を物語る大切な資料」である前に、光明皇后の最愛の夫の形見であるのです。その事を念頭に、遺品を見ると「崩れてしまうくらい悲しい」光明皇后の心を念頭に見ることにしました。



さて、今年の目玉は聖武天皇愛用の刀でございます。
東大寺の鎮魂壇具として発見されたこの刀は、国家珍宝帳の記述とも合致する聖武天皇縁の宝剣です。
色鮮やかな玉を飾り金具に埋め込み、漆塗りに蒔絵を施した宝剣。
持ち手の柄には滑り止めの鰐皮(鮫皮)が施され、握ったときにしっくりくるように指の形になっています。
この時代の刀には反りがほとんどなく、まっすぐな抜き身でございます。
この刀を腰に佩いた聖武天皇は、凛々しく見えただろうなぁと思いつつ。
ため息が出るような、本当に美しい刀でした。


そしてもう一つが蘭奢待(黄熟香)。
これは何がすごいって、足利義政や織田信長、明治天皇が切り取ったってことなんかより、未だにその香りを発している事実でしょう。
この黄熟香は、なんでも樹脂がそのままあるのではなく、何らかの原因で化学変化のようなものをおこしているので馥郁たる香りを醸し出すのだとか。その香りの成分は、1000年以上たった今でもなおこの木に留まっているんですって。自然ってすごいなぁ。
ガラスケースに入っているから香りがする訳ではないけれど、黄熟香の周りは良い香りがした気がしました(笑)


他にもいろいろありましたが、オイラが一番気に入った御物は沈香を塗り込めた経筒。
漆に沈香を練りこみ塗った上に、植物の種子と丁子の蕾で模様を施したもの。形も四角い箱ではなく、八角柱であるのも可愛らしい。金襴豪華って言うよりは地味派手って感じ。
経筒と書かれているものの、実際お経を入れたかどうかは解らないらしい。けれどとっても素敵でした。
美しんだけれどなんだか手作業の風合いが滲んでいる気がして、親しみがありました。彫りで作り上げた凹凸ではなく、沈香の粉のブツブツ感や丁子や種子のそのものの陰影がより温かみを増している気がしましたね。うん。これは可愛かったぁ♪


そしてもう一つ気に入ったのが袈裟。
仏教を厚く信仰していた聖武天皇ですから、袈裟も多く納められています。全部で9枚だったかな。
その中でも、出家後にご着用していたとされる袈裟だそうです。
袈裟って言葉は、サンスクリット語の「カーシャ」を日本語に当てはめたのだそうで、意味は「濁った色」らしい。
聖武天皇御愛用の袈裟はこの「濁った」に基づき、さまざまな色を使う事で混色させ鮮やかな色合いとせず、また、布をつなぎ合わせたように見えるように作ってあるのだとか。
贅を尽くしつつも本来の意味を再現しようとする、この頑張りがなんだか笑えて好感が持てました。
袈裟一つとっても、3枚一組で絹の風呂敷に包み、それを塗りの箱に納め、その箱をまたもや包むといった丁寧さぶり。この過剰包装には、高価なもの以上の愛を感じますね。

ちなみに御物とは関係はないんですが、この袈裟ってどうやって着用してるんでしょうね?
長方形の四角で、表と裏に紐が付いているんですが。。。
お寺の行事の時にも、ずっと気になってたんですよねぇ。いつか着るところを見せていただきたいな。


さてさて、正倉院展に話は戻りまして。
この正倉院とゆー倉は化け物のような倉で。保存能力の高さは、今日目にする御物達で立証済みですね。この倉、今の技術では作れないほどのシロモノだそうです。
要は作り方が解らないんだそうで、ずっと再建をするために研究されている方がいらっしゃるそうです。(確か人間国宝の方だったと。)
実物が目の前にあるのに、再現できないって・・・すごいですよね。
実際、建築技術は奈良時代がピークで、以降新しい技術は発達していないんだそうです。(あ、使う物の進歩はありますよ。ここで言っているのは、理論と言うか、構造そのものの仕組みです)
基礎にしても、今の重機でも作り出せない強固な基礎が奈良時代には作られております。
技術とは・・・奈良時代から平成時代・・・進歩したのか廃退したのか。。。
なぜこんな話をするかと言いますと、御物の中に唐櫃があります。
この唐櫃、ものすごいんですって。
何がどうものすごいかと言いますと、湿度計を入れて蓋を閉めるとその中の湿度はほぼ一定を差すんだそうです。外気温に関係なく湿度を一定に保つ。この技術あってこその御物なのでしょうね。
かと思えば革製の箱は、蓋が曲がっちゃって今じゃ蓋と身が合わないって。
木を使いこなす技術はスンバラだったけれど、皮はだめだった~ってことでしょうか(笑)
ま、使われている内容からすると高貴なものはすべて木の箱なんですけれどね。皮の箱は一番外身だったりそんな感じでした。
使い分けがなされていたのかもしれません。


オイラ的にかなりテンションが上がったのが、羽根付うーたんの唐櫃です。
漆で塗られた表と裏に羽根の生えた兎が描かれているとゆー、なんともオイラ好みの箱でした。
うーたんが霊獣として描かれているのも珍しいと思いますが、そのうーたんが可愛かったんですよね~♪側面には鳳凰が描かれていて、重厚な櫃でした。


そしてそして、今回で一番テンションが上がった品がこちら。
文書のコーナーで発見です。
またまた戸主と思ったあなた!     不正解ですよ(笑)
今回は戸主以上にテンションが上がったかも知れない(爆)
なんとなんと、薬師寺から東大寺さんに宛てた請求書です!!
なんの請求かと申しますと、「貸してあげたお経さん、そろそろ返してよね!」って内容でした(笑)
当時はお寺間でお経さんの貸し借りが頻繁だったのでしょうか。すっごく微笑ましくって・・・マジで笑っちゃいました。
いやはや、前回の戸主同様、書簡侮れません(笑)


最終的な感想としては、やはり光明子の目線で見るのは難しく、すぐに表面的な部分をとらえちゃいますね。でも、これらをお使いになっていた聖武天皇に想いを馳せることはできました。
美術品としての御物。お使いになられていた日常品としての御物。展示されているもののいくつかは当時も観賞するためのものもあったでしょうし、実際に使われていたものもあるでしょうし。
いろいろ考えつつ、楽しく見ることができたかな~♪

正倉院御物は、一度展示されると10年はお休み期間に入るそうです。
今年見たモノたちは、例外を除いて10年の眠りにまたつく訳ですね。
来年はどんな御物に出会えるでしょうか。生きている間に出会える御物はほんの一握り。
悠久を経て今日にある正倉院御物には、ゆったりとした気持ちで向き合うのがいいのかもしれませんね。








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