8875億円削減、前原国交相の「静かなる革命」
新政権の生みの苦しみが続いている。政府の外から見えるもの、内に入って見えるもの。その違いを乗り越えて、大局に立つことはなかなか難しい。
それでも、お題目だけ唱えて改革の先送り、骨抜きばかりが目立った自公政権時代と違い、日々、政治家が新政策の遂行に悪戦苦闘している姿を目撃できるのは、この時代に生きる者の幸運というほかない。
さて、麻生前政権が緊急経済対策として組んだ09年度補正予算14兆7000億円のうち、少なくとも2兆5000億円分の事業を停止する目鼻がついたらしい。
国交省の見直し額がダントツで8875億円。予算額の38%にあたる。二番目に農水省が続き4763億円、46.2%を凍結するという。
コンクリートから人へ、税金の使いみちを変えるというのだから、公共事業の多い国交省や農水省の削減額が多いのが当たり前とはいえる。
ただし、当たり前ではあるが、実際に削減するのは簡単ではない。
八ッ場ダム建設中止を前原国交相が表明したあと、即座に天下りOBを含むダム官僚シンジケートが動いて、住民の猛反対を煽り立てたのは、いかに公共工事の利権妄執が凄まじいかを物語っている。
国交省8875億円削減の中身が明らかになれば、その利害関係者からハチの巣をつついたような騒ぎが巻き起こるだろう。
前原国交相は、予算見直しの途中で情報が漏れ、関係者からの陳情攻勢や横槍を受けないよう、馬淵澄夫副大臣らと秘策を練った。
そして、官僚を一人も会議室に入れず、馬淵、辻本清美両副大臣と三日月大造ら三人の政務官、合わせて五人が分担して、一つ一つの事業をチェックしていった。
見直しの内容がまとまった段階で、谷口博昭事務次官と北村隆志官房長の二人だけに説明し、削減される個別事業については口をつぐむよう指示した。
省内外に具体的内容が漏れれば、谷口らに疑いがかかるため、いまのところ完璧に情報は守られている。閣議決定するまでは公表されないだろう。
補正予算見直し作業を統括する仙谷由人行政刷新相は各省庁にさらなる上積みを求めている。
文科省が1兆3174億円のうち2814億円(21.3%)凍結というのは、いささか物足りない。あの電子黒板はどうなるのだろうか。
1兆3390億円が計上されている経産省はもっとひどい。6.5%にあたる877億円しか削れないという。
川端達夫文科相は東レの労組出身で旧民社党グループ、直嶋正行経産相はトヨタ労組出身、これも旧民社党グループだ。
二人とも、テレビで見る限り、改革への迫力不足の感は否めない。目の前の人たちへの配慮はけっこうだが、政治の決断には国家的見地からの冷徹さも必要だ。
前原国交相は昨夜の報道ステーションでちらりと「静かなる革命」という言葉を使った。
ようやく政権交代が実現し、国のかたち、価値観を変えようとしているのである。政策の大転換により、既得権益が壊され、不利益をこうむる人も数多く出てこよう。
それでも、国民がチェンジを民主党に期待し、新政権を選択したのである。確信を持って人間重視、生活重視、自然重視の政策を進めるべきだろう。
自民党的「足して二で割る」政治だけはもう勘弁してほしい。
新政権の生みの苦しみが続いている。政府の外から見えるもの、内に入って見えるもの。その違いを乗り越えて、大局に立つことはなかなか難しい。
それでも、お題目だけ唱えて改革の先送り、骨抜きばかりが目立った自公政権時代と違い、日々、政治家が新政策の遂行に悪戦苦闘している姿を目撃できるのは、この時代に生きる者の幸運というほかない。
さて、麻生前政権が緊急経済対策として組んだ09年度補正予算14兆7000億円のうち、少なくとも2兆5000億円分の事業を停止する目鼻がついたらしい。
国交省の見直し額がダントツで8875億円。予算額の38%にあたる。二番目に農水省が続き4763億円、46.2%を凍結するという。
コンクリートから人へ、税金の使いみちを変えるというのだから、公共事業の多い国交省や農水省の削減額が多いのが当たり前とはいえる。
ただし、当たり前ではあるが、実際に削減するのは簡単ではない。
八ッ場ダム建設中止を前原国交相が表明したあと、即座に天下りOBを含むダム官僚シンジケートが動いて、住民の猛反対を煽り立てたのは、いかに公共工事の利権妄執が凄まじいかを物語っている。
国交省8875億円削減の中身が明らかになれば、その利害関係者からハチの巣をつついたような騒ぎが巻き起こるだろう。
前原国交相は、予算見直しの途中で情報が漏れ、関係者からの陳情攻勢や横槍を受けないよう、馬淵澄夫副大臣らと秘策を練った。
そして、官僚を一人も会議室に入れず、馬淵、辻本清美両副大臣と三日月大造ら三人の政務官、合わせて五人が分担して、一つ一つの事業をチェックしていった。
見直しの内容がまとまった段階で、谷口博昭事務次官と北村隆志官房長の二人だけに説明し、削減される個別事業については口をつぐむよう指示した。
省内外に具体的内容が漏れれば、谷口らに疑いがかかるため、いまのところ完璧に情報は守られている。閣議決定するまでは公表されないだろう。
補正予算見直し作業を統括する仙谷由人行政刷新相は各省庁にさらなる上積みを求めている。
文科省が1兆3174億円のうち2814億円(21.3%)凍結というのは、いささか物足りない。あの電子黒板はどうなるのだろうか。
1兆3390億円が計上されている経産省はもっとひどい。6.5%にあたる877億円しか削れないという。
川端達夫文科相は東レの労組出身で旧民社党グループ、直嶋正行経産相はトヨタ労組出身、これも旧民社党グループだ。
二人とも、テレビで見る限り、改革への迫力不足の感は否めない。目の前の人たちへの配慮はけっこうだが、政治の決断には国家的見地からの冷徹さも必要だ。
前原国交相は昨夜の報道ステーションでちらりと「静かなる革命」という言葉を使った。
ようやく政権交代が実現し、国のかたち、価値観を変えようとしているのである。政策の大転換により、既得権益が壊され、不利益をこうむる人も数多く出てこよう。
それでも、国民がチェンジを民主党に期待し、新政権を選択したのである。確信を持って人間重視、生活重視、自然重視の政策を進めるべきだろう。
自民党的「足して二で割る」政治だけはもう勘弁してほしい。
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