今日、友人と喫茶店で、古細菌とその面白さについて・・・興味深々
あ古細菌は細菌の一種ではない。細菌とは全く別種の微生物である。
それは、古細菌の進化系統樹をみればよく分かる。
図1に、進化系統樹上における古細菌の位置を示す。
図1の一番下の線の先端は、系統樹の根元で、仮想上の生命の起源の位置である。
系統樹によれば、そこから先ず細菌(真正細菌)と古細菌に分かれ、その後にそれぞれが進化した。
古細菌側の枝の先端の方に、我々ヒトをも含む真核生物が位置する。
つまり、真正細菌と古細菌とは、最も初期に分かれた別系統の微生物であり、古細菌は決して細菌(真正細菌)の一種ではない。
ついでながら、真核生物とは古細菌の細胞内に真正細菌が共棲した結果できたものであると考えられている。
なお、古細菌には好熱菌、高度好塩菌、メタン生成菌の三種類があるので、以下それら各々の特徴について述べる。
1 好熱菌
あ地上における温泉や、深海における熱水孔付近から見出されることが多い。
地上においては100℃以上の水の存在は不可能であるが、深海では高圧のためにそれ以上の温度の水が存在する。
その様な環境から、これまでに113℃で生育し、121℃で20分のオートクレーブ処理でも死なない古細菌, Pyrolobus fumariiが見つかっている。
これが好熱菌の、高温で生育する現在の世界記録である。
あ 好熱菌の最も興味深い点は、進化系統樹の最も根元に位置することである。
図1の中で、生命の起源に最も近い、真正細菌の1、古細菌の7、8、9に位置する微生物は、いずれも90℃やそれ以上の温度の環境でしか生育出来ない超好熱菌である。
1、7、8の枝は簡略化されていて、そこには実際は2種以上の微生物が分類されているが、その総てが超好熱菌である。
これは、生命が誕生した時、そこは大変高温であったことを意味するのであろう。
そして地球の冷却とともに、低温に適応した生き物が進化してきたと考えると説明がつく。
この様に、好熱菌は生命の起源と関連して、大変興味深い研究対象なのである。
あ 好熱菌でもう一つ述べておきたい点は、耐熱性酵素を生産することである。
好熱菌そのものが高温で生育する訳であるから、生命活動に必要な酵素反応も高温で支障なく行なわれなくてはならない。
従って、好熱菌から耐熱性酵素が生産されることは、極めて自然である。
この耐熱性酵素で、現在最も有効に利用されているものに、PCR法で使われているDNAポリメラーゼがある。
この方法の開発によって、Kary Mullis は1993年度のノーベル化学賞を受賞した。
高温で失活しない酵素は、種々の工業的利用も考えられ、今後の開発研究が待たれる。
図1:生物の進化系統樹
2 高度好塩菌
あ食塩濃度で2.5-5.2M(約15-30 wt %)に最適増殖濃度を持つ高度好塩菌は、イスラエルの死海やアメリカのグレート・ソルト・レイクの様な塩湖、天日塩や岩塩の中などから分離される。
食品の保存方法の一つに塩漬けがある。
これは、高い塩濃度の中では微生物が生存出来ないことを利用している。
しかし上記の高度好塩菌では、好んでその様な条件に生育する訳である。
これらの好塩菌においては、彼らが棲んでいる環境と微生物自身の、細胞内外の塩濃度差は1000倍にも達する。
その濃度差を維持するためには、大変なエネルギーを必要とすると考えられるが、他の生物が棲めない環境で安全に且つ栄養分を独占して生きるという条件の方が優先されているのであろう。
あ 好塩菌には、光に感受性の特有の膜蛋白質(レチナール蛋白質)が存在する。
この蛋白質の一種がバクテリオロドプシンで、光のエネルギーを利用してプロトンを汲み出す働きをしている。
このプロトン濃度差による電気化学ポテンシャルは、ATPの合成、Na+の排出などに使われる。
3 メタン生成菌
あ低分子量有機化合物から、メタンを生成する時の化学エネルギーを利用することによって生育している嫌気性菌である。
嫌気条件の湖沼、水田、海洋、牛の反芻胃、シロアリの後腸などに棲息している。
嫌気性でさえあれば、他の条件に対する耐性は広く、15-100℃、淡水から飽和食塩水の範囲で生育する菌が分離されている。
あ 好気性の活性汚泥法に対して、嫌気性排水処理にメタン発酵が使われる。
このメタン発酵の最終段階でメタン菌が活躍する。この排水処理は、余剰汚泥が少ない、発生するメタンガスが燃料として利用できるなどの長所がある。
食品の廃液や下水処理に利用されている。
あ メタンガスが大気中に放出されると、地球温暖化ガスとして働く。
大気中のメタン濃度は、約200年前から急激に増加しているが、そのメタン発生の2/3はメタン菌由来のものであると推定されている。
この様にメタン菌の研究は、地球環境問題の観点からも重要である。
あ古細菌は細菌の一種ではない。細菌とは全く別種の微生物である。
それは、古細菌の進化系統樹をみればよく分かる。
図1に、進化系統樹上における古細菌の位置を示す。
図1の一番下の線の先端は、系統樹の根元で、仮想上の生命の起源の位置である。
系統樹によれば、そこから先ず細菌(真正細菌)と古細菌に分かれ、その後にそれぞれが進化した。
古細菌側の枝の先端の方に、我々ヒトをも含む真核生物が位置する。
つまり、真正細菌と古細菌とは、最も初期に分かれた別系統の微生物であり、古細菌は決して細菌(真正細菌)の一種ではない。
ついでながら、真核生物とは古細菌の細胞内に真正細菌が共棲した結果できたものであると考えられている。
なお、古細菌には好熱菌、高度好塩菌、メタン生成菌の三種類があるので、以下それら各々の特徴について述べる。
1 好熱菌
あ地上における温泉や、深海における熱水孔付近から見出されることが多い。
地上においては100℃以上の水の存在は不可能であるが、深海では高圧のためにそれ以上の温度の水が存在する。
その様な環境から、これまでに113℃で生育し、121℃で20分のオートクレーブ処理でも死なない古細菌, Pyrolobus fumariiが見つかっている。
これが好熱菌の、高温で生育する現在の世界記録である。
あ 好熱菌の最も興味深い点は、進化系統樹の最も根元に位置することである。
図1の中で、生命の起源に最も近い、真正細菌の1、古細菌の7、8、9に位置する微生物は、いずれも90℃やそれ以上の温度の環境でしか生育出来ない超好熱菌である。
1、7、8の枝は簡略化されていて、そこには実際は2種以上の微生物が分類されているが、その総てが超好熱菌である。
これは、生命が誕生した時、そこは大変高温であったことを意味するのであろう。
そして地球の冷却とともに、低温に適応した生き物が進化してきたと考えると説明がつく。
この様に、好熱菌は生命の起源と関連して、大変興味深い研究対象なのである。
あ 好熱菌でもう一つ述べておきたい点は、耐熱性酵素を生産することである。
好熱菌そのものが高温で生育する訳であるから、生命活動に必要な酵素反応も高温で支障なく行なわれなくてはならない。
従って、好熱菌から耐熱性酵素が生産されることは、極めて自然である。
この耐熱性酵素で、現在最も有効に利用されているものに、PCR法で使われているDNAポリメラーゼがある。
この方法の開発によって、Kary Mullis は1993年度のノーベル化学賞を受賞した。
高温で失活しない酵素は、種々の工業的利用も考えられ、今後の開発研究が待たれる。
図1:生物の進化系統樹
2 高度好塩菌
あ食塩濃度で2.5-5.2M(約15-30 wt %)に最適増殖濃度を持つ高度好塩菌は、イスラエルの死海やアメリカのグレート・ソルト・レイクの様な塩湖、天日塩や岩塩の中などから分離される。
食品の保存方法の一つに塩漬けがある。
これは、高い塩濃度の中では微生物が生存出来ないことを利用している。
しかし上記の高度好塩菌では、好んでその様な条件に生育する訳である。
これらの好塩菌においては、彼らが棲んでいる環境と微生物自身の、細胞内外の塩濃度差は1000倍にも達する。
その濃度差を維持するためには、大変なエネルギーを必要とすると考えられるが、他の生物が棲めない環境で安全に且つ栄養分を独占して生きるという条件の方が優先されているのであろう。
あ 好塩菌には、光に感受性の特有の膜蛋白質(レチナール蛋白質)が存在する。
この蛋白質の一種がバクテリオロドプシンで、光のエネルギーを利用してプロトンを汲み出す働きをしている。
このプロトン濃度差による電気化学ポテンシャルは、ATPの合成、Na+の排出などに使われる。
3 メタン生成菌
あ低分子量有機化合物から、メタンを生成する時の化学エネルギーを利用することによって生育している嫌気性菌である。
嫌気条件の湖沼、水田、海洋、牛の反芻胃、シロアリの後腸などに棲息している。
嫌気性でさえあれば、他の条件に対する耐性は広く、15-100℃、淡水から飽和食塩水の範囲で生育する菌が分離されている。
あ 好気性の活性汚泥法に対して、嫌気性排水処理にメタン発酵が使われる。
このメタン発酵の最終段階でメタン菌が活躍する。この排水処理は、余剰汚泥が少ない、発生するメタンガスが燃料として利用できるなどの長所がある。
食品の廃液や下水処理に利用されている。
あ メタンガスが大気中に放出されると、地球温暖化ガスとして働く。
大気中のメタン濃度は、約200年前から急激に増加しているが、そのメタン発生の2/3はメタン菌由来のものであると推定されている。
この様にメタン菌の研究は、地球環境問題の観点からも重要である。
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