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化学療法中の絶食(続) 臨床試験開始

2008-09-04 | 癌全般
マウスにおける劇的な副作用軽減効果により、化学療法中の断食の臨床試験が南カリフォルニア大学において2カ月内に開始される。化学療法受ける膀胱癌および肺がんの患者において、3日間もの間、水以外は摂取しない試験群が試される。

この研究を行ってきた同大学のLongo医師によると、カロリー制限は、細胞増殖を送らせ、ストレス抵抗性を増強し、老化によるダメージから防御すると広く考えられており、あらゆる生物にとって延命をもたらすという。しかし、その正確な機序は分かっていない。同氏の酵母での実験では、カロリー制限しても癌細胞は変化なく、増殖を続けていた。
増殖の遅くなった正常細胞は、増殖の速い細胞を殺傷する化学療法剤によって影響を受けにくくなるのではないかとみられる。
Longo氏の実験が3月に米国科学アカデミー会報に発表された(マウスの実験過去チップへ)あと、「毎日メールの問い合わせがきますが、自宅でおこなったりしないように」と注意している。

転移前立腺がん患者で眼科医トーマス(66歳)は、3度の化学療法を受けたところである。その際絶食を取り入れた。初回化学療法の際は多少の副作用があったが、その次には絶食期間を治療後8時間から、毒性の最も強い薬剤の半減期をカバーする24時間に延長、治療前にも64時間絶食を行ったところ、化学療法の副作用は皆無であった。化学療法後5日めにして初のゴルフへ行き、全コース回った。絶食3日半後には意識がはっきりとしなくなっていたと認めているが、彼が副作用を恐れて受けたくなかった化学療法を受けようという意欲がわいたという。

スローン・ケタリング記念がんセンターの著名な大腸癌専門医Salts医師はこう懸念する。「適切な試験が行われる前に、患者がこの方法を試してしまうことが心配だ。私もヤム・キプール(ユダヤ教の断食の日)には絶食するが、非常につらい。2日半も絶食する試験への登録を患者に勧めるなどできるだろうか?」また、ヴァンダービルト大学の医師は言う。「ごくわずかな人数で開始するので少なくとも適切である。しかし、化学療法中、良好な状態で過ごすには食べなければならないとしたこれまでの概念を大きく覆すものだ。」
8月29日 URL


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