現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

大石真「教室205号」

2020-12-18 13:23:52 | 作品論

 現代児童文学のタブー(子どもの死、離婚、家出、性など)とされていたものを描いた先駆的な作品といわれています。
 1969年に出版されたのですが、その前に坪田譲治が主宰した同人誌の「びわの実学校」に連載されていたので、60年代半ばの子どもたちを描いた物と思われます。
 登場する子どもの死や家出以外にも、障害者、貧困、受験競争など、子どもたちを取り巻く様々な問題点を取り上げています。
 シリアスな題材なのに少しも暗くならずに力強く描いている点が、特に優れた点です。
 私の読んだ本は1992年で33刷ですから、読者にも長く支持されていたのだと思います。
 しかし、売れ筋作品最優先の現在の出版状況では、このような作品を出版することは困難でしょう。


教室二〇五号 (少年少女小説傑作選)
クリエーター情報なし
実業之日本社

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