現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

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2019-07-14 08:08:37 | 映画
 1956年公開のフランス映画です。
 初老の長距離トラック運転手と、そうした運転手たちを顧客にしている、郊外のロードサイドにあるガソリンスタンド兼食堂兼ホテル(主に仮眠用)の若いウェートレスとの悲恋です。
 家族から疎外されている男(NHKの「72時間」というドキュメンタリー番組で見たのですが、日本でも長距離トラック運転手たちは家庭問題で悩んでいることが多いようです。長時間にわたる不在、変則的な勤務、家にいても疲れ切っていて寝ていることが多いなどの理由で、家族生活を営むことにいろいろな困難があるのかもしれません)と、ひとりぼっちの若い女性(母親は、若い再婚相手が彼女の方を好きになることを恐れて、実家にいることを拒んでいます)が、互いに自分の求めているものを相手に認めて魅かれあっていきます。
 女性の場合は亡くなった父親の、男性の方は一番彼を阻害している実の娘(スターになることを夢見ていて派手な男たちと遊び歩き、父親のような地道な労働者を馬鹿にしている)の代わりを、相手に求めていたのかもしれません。
 ストーリー自体はベタなメロドラマなのですが、この作品が映画史に残っている理由は、主役を演ずるフランスの大スター、ジャン・ギャバンが、人生の悲哀を重厚な演技で観客にうったえかけてくることと、ヒロインのフロンソワーズ・アルヌールのいかにも幸薄そうな表情や仕草にひかれるからでしょう。
 また、こうした感情にうったえかける作品は、余計なビジブルな情報のないこうしたモノクロ映画の方が向いているようです。
 それにしても、この映画のジャン・ギャバンの年齢(実年齢は52歳ごろで、この役も同じぐらいの年齢設定でしょう)を等に越してしまっているのに、幸か不幸か、彼のように人生の重みを表すことができていません。


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