小学二年生のイトウ・ヨシオくんを主人公にした連作短編集です。
ひとつひとつの短編はあまりはっきりした形を持っていないので、全体の印象を述べます。
児童文学研究者の宮川健郎は「声をもとめて」(その記事を参照してください)という論文の中で、この作品を落語のような語り口と評していますが、確かに2010年のこの作品が発行されていた時にはこの老詩人は75歳になっていましたが、「K」の記事に書いように、若々しい文章と語りは魅力的です。
ただ、孫の世代よりも年下の現在の子どもたちの姿をとらえるのは、さすがに苦しくなっているようです。
コンビニや野球選手などに同時代性を出そうとしていますが、肝心の子ども像、家庭観が古めかしく感じられます。
特に、三木の年齢を考えると無理はないのですが、男らしさとか女らしさ、あるいは男女の役割の固定化などジェンダー観の古さは否めません。
無理に現代の子どもを主人公にするのではなく、三木が子どもだったころのことを書いたり(「K」の時のようなすばらしい記憶力を発揮してほしいものです)、老人になった三木の目で眺めた現代を書く方が魅力的な作品になるのではないでしょうか。
ひとつひとつの短編はあまりはっきりした形を持っていないので、全体の印象を述べます。
児童文学研究者の宮川健郎は「声をもとめて」(その記事を参照してください)という論文の中で、この作品を落語のような語り口と評していますが、確かに2010年のこの作品が発行されていた時にはこの老詩人は75歳になっていましたが、「K」の記事に書いように、若々しい文章と語りは魅力的です。
ただ、孫の世代よりも年下の現在の子どもたちの姿をとらえるのは、さすがに苦しくなっているようです。
コンビニや野球選手などに同時代性を出そうとしていますが、肝心の子ども像、家庭観が古めかしく感じられます。
特に、三木の年齢を考えると無理はないのですが、男らしさとか女らしさ、あるいは男女の役割の固定化などジェンダー観の古さは否めません。
無理に現代の子どもを主人公にするのではなく、三木が子どもだったころのことを書いたり(「K」の時のようなすばらしい記憶力を発揮してほしいものです)、老人になった三木の目で眺めた現代を書く方が魅力的な作品になるのではないでしょうか。
イトウくん (福音館創作童話シリーズ) | |
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