1963年公開のイタリア映画です。
翌年、アカデミー賞の外国語映画部門で受賞しました。
以下の三話からなるオムニバス形式の映画で、イタリア女性の過去、未来、現在を描いています。
ナポリのアデレーナ
失業中の頼りない亭主を支えるたくましい女性が描かれています。
闇たばこ売りを摘発されますが、妊娠中及び出産後六ヶ月は逮捕されないことを知り、次々に子供を作って収監を逃れ、とうとう七人も子供が生まれます。
妻の方は七人産んでもますますたくましく美しく輝いていますが、夫の方はげっそりしてしまって、八人目はとうとう期限までに妊娠できずに、彼女は刑務所に収監されてしまいます。
しかし、周囲の人々のカンパと請願によって、無事釈放されます。
ミラノのアンナ
仕事中毒の夫に愛想を尽かせて、留守中に浮気をしている有閑マダムが描かれます。
彼女の高級車の運転を誤って事故を起こした、頼りない作家の浮気相手をさっさと見限って、その場を立ち去ります。
ローマのマーラ
魅力的で気のいい高級娼婦が描かれています。
彼女のアパートの隣に住む老夫婦の所へ休暇で来た、孫の神学生に一目惚れされて、大騒動(彼女に魅了されて、神学校をやめると言い出す。さらに、彼女の正体を知って絶望し、外人部隊へ入ると言い出す)が起きますが、根は善良な彼女のおかげで神学生も気を取り直して学校へ戻ります。
三話を通して、主役のソフィア・ローレンの魅力が全開です。
たくましい下町の主婦、奔放な有閑マダム、気立てのいい高級娼婦、どれをとっても、彼女の明るさ、素晴らしい肢体、美しさなどが存分に発揮されています。
それを引き立てる相手役のマルチェロ・マストロヤンニの演技も素晴らしいです。
女房の尻にしかれている気弱な亭主、頼りないインテリ風の浮気相手、マーラに振り回されるボンボン育ちの気のいい上客、どれにおいても、彼の人のよさと軽妙な持ち味が生きています。
彼ら名優たちを自在に操って、明るくユーモアたっぷりにイタリア社会の断面を描いて見せた、名匠ウ゛ィットリオ・デ・シーカ監督の腕前はさすがです。