現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

最上一平「山のちょうじょうの木のてっぺん」

2019-11-10 09:58:07 | 作品論
 小学校低学年ぐらいの、おっちょこちょいで元気ないがらしくんを主人公にしたシリーズの第一作です。
 いがらしくんと仲良しのにしやんは、対照的に運動が苦手で泣き虫なおとなしい子です。
 いがらしくんは、そんなにしやんをついかまいたくなって、くすぐったり、プロレス技をかけたりします。
 ある日、にしやんが、いつもと違った様子で登校してきます。
 愛犬のごんすけが、年をとったのと病気のために死にそうなのです。
 ごんすけは、にしやん(いがらしくんも)が生まれる前に、亡くなったおじいちゃんの家からもらわれてきた人間だと100才ぐらいの老犬で、にしやんは何をするのにもずっと一緒だったのです。
 学校が終わって、いつもとまるで違って全速力で家へ走って帰るにしやんを、いがらしくんは追いかけます。
 静かに死んでいくごんすけを、優しく見守るにしやんといがらしくん。
 おかあさんにごんすけが生まれた雪深い故郷の様子(にしやんも行ったことがあります)を聞きながら、二人はごんすけが死んだら、故郷の山の頂上の木のてっぺんに吹く風になることを想像します。
 幼い子どもにとっての、死ぬこと、年をとること、そして、そうした前提で生きていくために大事なことを考えさせてくれる作品です。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「印象派からその先へー」三菱... | トップ | 動物ファンタジーの擬人化度 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

作品論」カテゴリの最新記事