現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

太宰治「人間失格」

2017-09-11 10:45:52 | 参考文献
 何十年かぶりに、この無頼派の代表作と言われる小説を読んでみました。
 自堕落な主人公の手記の形を借りた私小説(私は児童文学以外の近代日本文学に詳しくないので、どこまでが太宰の体験でどこからが創作なのかはわかりませんが)ですが、ここまで赤裸々に駄目な男の姿が描かれると、むしろ潔い感じさえします。
 意志薄弱ですが女だけにはもてる主人公の、女性遍歴、情死(相手のみ)、自殺未遂、アルコール中毒、薬中毒などが、徹底的に自己をさらけ出す形で描かれています。
 といって、私はここで作品論をするわけでなく、新しい近代日本文学の楽しみ方について述べたいと思います。
 私はこの本をすでに文庫で持っていますし、所有の日本文学全集にもこの作品は入っています。
 また、この作品が青空文庫(著作権の切れた名作をボランティアが電子化書籍化したインターネット上の文庫)に入っているのも知っていました。
 しかし、文庫(ましてや全集)を手にするのもおっくうですし、パソコンで読むのも読みにくいと思っていました。
 それが、キンドル(電子書籍リーダー、その記事を参照してください)にダウンロードしてみると、気軽にすいすい読める(古い言葉は内蔵の辞書でワンタッチで調べられます)のにびっくりしました(スマホやタブレット端末でも読めます)。
 近代日本文学は私の専門領域ではありませんが、いい意味でも悪い意味でも現代日本文学の土台になっているのは事実でしょう。
 この機会に、太宰ばかりでなく、漱石や芥川や安吾、それに近代童話の賢治や南吉や未明などの代表作を読み返して、自分の文学観の根本を見つめ直してみたいと思っています。

人間失格 (新潮文庫 (た-2-5))
クリエーター情報なし
新潮社
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