2001年に公開されたトールキンの指輪物語の実写版映画の第一部です。
あの長大なファンタジーを、できるだけ原作に忠実に作ろうとした労作です。
公開版も178分とすごく長いのですが、未公開部分を追加したエクステンデッド版で見直したのですが、なんと208分もあって、トールキンの世界観にどっぷりと浸ることができます。
冥王サウロンが、自分の作ったすべての指輪を統べる魔力を持つ指輪を、再び手に入れようとしていることを知り、ホビット族のビルボ・バギンスが持つその指輪を処分する使命を持って、ビルボの甥のフロドが旅立ちます。
エルフの森で開かれた会議によって、各種族の代表がモルドールの滅びの山まで廃棄しに行くことになります。
この危険な「旅の仲間」は、ホビットのビルボ、サム、ピピン、メリー、人間のアラゴルン、ボロミア、ドワーフのギムリ、エルフのレゴラス(イケメンのオーランド・ブルームが演じて一躍人気スターになりました)、そして、魔法使いのガンダルフの合計9人です。
様々な冒険をしますが、途中のモリアの坑道で、ガンダルフは悪鬼バルログと戦って行方不明になってしまいます。
さらに、ウルク・ハイに率いられたオーク鬼の大群に襲われ、ピピンとメリーは拐われ、ボロミアは戦死してしまいます。
その戦いのさなかに、フロドは仲間と離れて一人で滅びの山へ向かいますが、サムだけは後を追ってきて一緒に旅することになります。
つまり、ロード・オブ・ザ・リングは三部作に渡る大長編なので、これからは、フロドの旅、メリーとピピンの救出、ガンダルフの復活などの物語を経て、大団円に至るのですが、第一部「旅の仲間」はここまでです。
オリジナルの英語のタイトルでは、きちんと第一部のタイトルである「旅の仲間」が付いているのですが、日本語のタイトルではなぜか(おそらくわざと)削ってあります。
それは、欧米とは違って、原作を読んでいない人が大半の日本の観客を欺こうという姑息な手段だったのかもしれません。
そのため、公開時に見たときには、一番盛り上がったときのいきなりのエンディングに、戸惑いのどよめきが起こったのを覚えています。
しかも、彼らが続きの「二つの塔」を見られたのは、一年以上経ってからなのです。
それはともかく、映画の出来自体は素晴らしく、トールキンが作り出し、多くの追随者(一番わかりやすいのはドラクエでしょう)を生み出した「剣と魔法の世界」のオリジナル世界(トールキン自身も、欧米の神話や伝承を元にしていますが)は、ほぼ理想的な形で映画化されました。
私が20歳のころ(1974年頃)に、実現してほしいけれど、生きている間は無理だろうなと思っていたことが2つありました。
一つは日本のサッカー・ワールドカップ出場で、これは1998年のフランス・ワールドカップで実現(出場チームが24から32に水増しされていましたが)して、さらに2002年には日本で開催されました(これも韓国と共催という水増しですが)。
もう一つが、トールキンの「指輪物語の映画化」でした。
その時は、映画化されてもアニメだろうと思っていた(当時人気のあったファンタジー作品の「ウォーターシップダウンのうさぎたち」の一部分がアニメ化されたのですが、あまりいい出来ではありませんでした)のですが、CGの出現により実写版でこのように実現したのは、原作のファンとしては夢のようなことです。