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オックスフォード大学の入試問題5例、あなたは解ける? 日本の大学の比にならない難度に驚愕!
2016.10.30
http://tocana.jp/2016/10/post_11275_entry.html
オックスフォード大学といえばイギリスの名門中の名門大学で、ケンブリッジ大学と人気、名声、実力ともに二分する超難関大学である。しかも、オックスフォード大学の入試は、その難しさでは群を抜いているといわれている。その、オックスフォード大学の入試問題の一部が、模範解答例とともに公開されている。イギリスの「Daily Mail」紙のレポートを見てみよう。
■オックスフォード大学の入試問題
オックスフォード大学へ入学を希望する学生は、国内で最も競争率の高い試験を突破しなければならないが、その試験そのものが単に難しいだけと誤解されているところもあるという。入試担当部の部長でもあるサミーナ・カーン博士によれば、オックスフォード大学の口述試験は、受験生の生い立ちや家庭環境に関係なく、与えられた問題に対して、どういう興味を示し、その興味を他社にどう見せることができるかを公平にはかるものであるという。現代言語学科、医学科、哲学・政治及び経済学科、数学科、臨床心理学科の各問題を見てみることにしよう。
質問:何をもって小説もしくは戯曲を政治的と判断するか?(現代言語学科)
学寮制を実施しているオックスフォード大学だが、そのセント・ヒルダ・カレッジの面接官であるヘレン・スイフトさんによれば、口述試験では、受験生がいかに文学と言葉を意識しているかを知るために、特定の作品の話題からはじめていき、普遍的なモノの捉え方の質問に移っていくという。
そこに正答が存在しているわけではなく、作品の内容が政治的あればなぜそうなのか、それともスタイルが政治的なのか、そもそも文学作品はすべて政治的な要素をはらんでいるのか、どれほど政治的なモノであっても著者が政治的な意図はないとしたらどう判断するのか、といったさまざまな議論の中での受験生の対応を探ることが口述試験の目的だという。
議論の中で自身の意見を発展させていくことができる学生は有望で、当初の自身の発言と矛盾するような内容についてまで論理的に展開させることができるような学生は特に優秀であるらしい。
質問:イギリスでの癌による死亡は4人に1人であるが、フィリピンでは10人に1人である。何がこの差を生じさせているのであろうか。(医学科)
クイーンズ・カレッジのクリス・ノウベリー氏によれば、この質問に対する正しい解答はひとつではないとしている。質問に対してどう論理的、科学的にアプローチをかけて、イギリスとフィリピンの医学的、社会的背景の差を考え、答えに近づいていこうとするかの姿勢が問われているということである。
問題解決能力、批判的思考力、知的好奇心、コミュニケーション能力なども、ディスカッションの中で判断されていき、正しい答えを導き出すよりも、その思考の過程のほうが重要視されるとのことである。
質問:誰かを非難するということはどういうことか正確に考えなさい。(哲学・政治および経済学科)
セント・アンズ・カレッジの面接官イアン・フィリップ氏によれば、この質問には答えがない代わりに、例や提案を創造して提示できるかどうかを見ることができるという。多くの学生は非難する人間と非難される人間の例をあげながら理論を展開していくが、その中でも独自の理論を提案し、そしてさらに批判的な視点で自分の提案の反例を提示できるような学生を高く評価しているという。
質問:ハシゴが壁に立てかけてある。ハシゴの段はそれぞれ違う色に塗り分けられていて、横から見ることができる。このハシゴが地面に倒れた時、それぞれの段はどういった軌跡を描くか?(数学科)
クライスト・チャーチ・カレッジのレベッカ・コットン=バレットさんによれば、数学の口述試験では、具体的な事象から抽象的な理論を導けるかどうかが合格の鍵になるという。倒れてゆくハシゴを段階に分けて図にしていけば、軌跡は4分の1の円弧を描き、三平方の定理を利用して簡単にその数値を知ることができるが、そこからどういった数学的な抽象論を導き出していくかを見ているということである。
質問:IQテストの結果調査では、兄弟姉妹でテストを受けた際に多くの場合年長者のほうが高いIQを示している。どうしてこういう結果になるかを考えなさい。(臨床心理学科)
セント・アン・カレッジのケイト・ワトキンさんによれば、この問いからいかに多くの心理学の要素を捉えることができるかを見ているという。口述試験中に面接官がさまざまな要素や、条件などを次々と提示していき、それを踏まえてどういった回答をしていくかが判断基準になる。
自分が導き出した回答に、科学的、論理的な理由付けがなされ、仮説を検証し結論にたどり着くことができる受験者が合格に近いということになる。この質問にも正答はなく、重要なことは、いかに科学的な態度で仮説を導き出したかということである。
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恐らく記事にして皆が理解できるレベルの簡単な問題だけ抜き出したと思われるが、回答してみよう。
質問:何をもって小説もしくは戯曲を政治的と判断するか?(現代言語学科)
→政治とは、いつの時代、どのような体制であっても共通する要素がある。それは、代表者による寡頭制であり、少人数の決定がその他大勢を含む全体の動きを統制することである。
人類はこのような性質・修正を備えており、それは変わることのない本能だ。
政治的である、という文言は、しばし現代文章の文脈中で「全体としての要望や、あるいは時代の潮流が一定の方向に流れているのに、政治を代表する少人数の決定が、それとは異なる方向に恣意的に社会決定をなさしめた」という形で用いられる。
さて、小説ないし戯曲はこのような意味において政治的であろうか。答えはYes。
小説や戯曲は社会をバックグラウンドとした人間心情における意見の表明である。
そしてその心情は一定の流れを作ることもあるが、しかしそれは完全に一致しない。作品の発表は個人的意思の表明であり、これに同調した場合は、その少数集団の政治的意思決定をもたらすことになるからである。
質問:イギリスでの癌による死亡は4人に1人であるが、フィリピンでは10人に1人である。何がこの差を生じさせているのであろうか。(医学科)
→統計全体を見なければ正確には言えないのでこの問題には回答できない。
但し類推できる事項として、「癌を発生する平均年齢」というものがあったとするならば、フィリピンにおける平均寿命がそれに届いていないからではないか、という仮説を立てることができる。
質問:誰かを非難するということはどういうことか正確に考えなさい。(哲学・政治および経済学科)
→この問題には回答できない。なぜかというと、「正確」とは社会学的な人間行動要素が普遍的に既定できることを前提として理論を構築するものである。現代においては心理学、脳医学において、何が人間の行動たるか、という原子的な行動が規定できていないからである。
しかし、これは「これが正確な意味ではなかろうか」という仮定から作業仮説を立てて考えていくことができる。
「誰かを非難する」というのは、対象者Aが取った自立的な行動に対し、対象者Bがその行動を批判する、言わば、Aの個人的自由意志を他者が否定する、ということから始まる。
個人的自由意志はどこまで他者が否定できる権利を持つだろうか。
その個人的自由意志はJ.S.ミルの言うように、社会に損害を与えなければ、そこまでは自由にしていいという考えに立脚して、否定の有無の線を引くことができる。
非難とは、共同体における人権侵害などの権利侵害・社会的損害への行使に向けられるということである。
質問:ハシゴが壁に立てかけてある。ハシゴの段はそれぞれ違う色に塗り分けられていて、横から見ることができる。このハシゴが地面に倒れた時、それぞれの段はどういった軌跡を描くか?(数学科)
→数学的抽象論が出来ないので回答不可。どういうことを言えばいいんでしょう。
質問:IQテストの結果調査では、兄弟姉妹でテストを受けた際に多くの場合年長者のほうが高いIQを示している。どうしてこういう結果になるかを考えなさい。(臨床心理学科)
→これも回答不可。↑こういう風になるのはどうしてなのか?