試験の誤認、社会の誤認

私は幼少期より、ありとあらゆるものからいじめられていたので、ありとあらゆるものに関して恐怖心を抱いた。

その時の周囲の人間は、「だらしないからそうなる」「きちんとしろ」と言うものだった。
今になって振り返れば、きちんと原因と結果、そしてヒューマニズムに基づく愛情と信頼の解決策があったであろうが、それが採用されることはなかった。

この意味で、自分の気持ちを押し殺してこなしていたのが、試験と仕事である。

試験は「こんなことも知らないのか」と言う嘲笑といじめの恐怖心が先行して存在し、それに対抗する形でやっていた。
仕事は「この人からも過度な暴言を履かれ、そこから逃れられないかもしれない」と言う恐怖心から、それに対抗する形でなるべく角が立たず、誰かの役に立つようにし、怒られないように動いてきた。

が、そうしたものは、自己の心理と相反するものなので、いつかどこかで限界を迎える。

「いじめてくるもの」に対する対抗は、適切に対処することが叶わず、私は破綻と言う形でその競争の現場から去ったと言える。

さて、改めて見れば、試験も仕事も何のことはない。
試験はその認識や知識が従前なレベルで満たされているかどうかを量るための営為だ。
仕事は単に業務が適切に回せれば良い。
両者ともに「私をいじめる」ために存在するのではなく、単にとある目的があってそれがなされているだけであるのだ。

私は何に恐怖心を抱いていたのだろう。何が私を恐怖させていたのだろう。

もう少し言えば、社会はなぜ個人にそうした不要な恐怖をもたらすのか、と言うことでもある。