豊後ピートのブログ

元北アルプス南部の小屋番&夏山パト十数シーズン経験。今はただのおっさん

GWの白馬岳で6人が凍死 その2

2012年05月07日 | 山岳遭難
ようやく求めていた情報が出てきました。

北アルプス:冬山用ズボンなど遺留品回収 6人遭難死
毎日新聞  2012年05月07日 21時38分


引用
遺留品は長野県警大町署員が確認した後、遭対協の降籏義道隊長が取材に応じた。五つのザックにはそれぞれ、春・夏山用の羽毛ジャケット、防風機能のある冬山用ズボン、保温機能のある登山用下着、予備の手袋、500ミリリットル入りの水3本などが入っており、約15キロの重さだった。簡易コンロも二つあったという。6人で使用したとみられ、発見時に遺体に巻き付いていたツェルト(簡易テント)1点も回収した。
引用おわり



うむむ、ザックの中にはけっこうなものが入っているじゃないですか。「軽装」批判が盛んですけど、トータルで持っているものを見れば、決して軽装ではないと思いますよ。



引用
6人は発見時、防水透湿性素材の雨がっぱに綿のズボン、ウールのシャツなどの薄着だった
引用おわり

引用
降籏隊長は「冬山用のズボンを持っていたが、全身の装備は冬山に耐えられない。加えて、低体温症で判断が鈍り、吹雪になって着替えられなかったのではないか」と推測した。
引用おわり






さて、これをどう考えるかです。



考えられるのは、ピンチを実感した時にはもう風雨が強くて、物理的に、あるいは気分的に着替えどころではない、という状態に陥っていたってところでしょうか。

寒く感じたら服を着ればいいって、もちろん誰でもわかるでしょうけど、では風速15~20メートルの状態でしかも雨が降っている時に、雨具を脱いで防寒着を着込み、さらに雨具をもう一度着るなんて芸当をやった経験がある人って、どんだけいるんですかね。

遺体にツェルトがまきついていた、とも書かれています。ツェルトは普通、中に入るものであり、身体に巻き付けるということは風が強すぎて張ることができなかった、と考えるのが自然です。

前回のエントリー「テントや防寒着など充分な装備があるのに、それらをザックにしまったまま低体温症で死んだ話はいくつもあります。このケースでは、どうだったのでしょうか。」と書きましたけど、普通に考えたら60~70代の人がロクに衣服を持たず登ることは考えにくいのです。ツアー登山のガイドをしていた経験からすると、寒さを嫌がりますから、むしろ持ち過ぎると思った方がいいかもしれません。一方、ピッケルとかアイゼンなんかは嫌がりますよね。爺ヶ岳のケースなんかみると、思います。











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6 コメント

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Unknown (ニシ)
2012-05-08 08:39:30
赤文字部分、本当にそのとおり!だと思います。
シャツ+雨具で歩いていて雨に降られ、風雨がだんだんひどくなった状態で、立ち止まってザックを開き、中の防寒具を出して雨具の下に着るだけのことがどれだけ難しいか。風が強いときはザックをあけて中のものを取り出すことさえ怖いです。

あと、某Y新聞で「彼らはテントも持っていなかった」と批判が書いてありましたが、小屋泊まりで縦走する人間で、ガイドさん以外でテントを持って行く人間なんて、どのくらいいるんでしょうかね。ツェルトは持って行きますが(彼らも持っていましたね)。
Unknown (kijibato)
2012-05-08 18:11:36
話はそれますが福岡から来たパーティばかり遭難。
福岡出身の私としては気になって考えました。
その前に愛読してる登山ブログやコメントを見ました。
彼らはひとまず北アに入るが天候を見ながら、山が荒れても逃げられるコースに臨機応変に
変更していました。
それに比べて福岡から団体で出かける方は、折角ここまで来たのだから、めったに来れないから、と突っ込んで行くのでしょうか。
また福岡から行く人は縦走コースが多い、
一回でなるべくたくさん回りたいと考えるのでしょう。
なことが遭難の遠因にありそう。

またブログでは晴天から突然吹雪になった?ようです。
Unknown (bongo-pete)
2012-05-09 22:52:48
ニシ様

自分も急激な天候変化によって、いきなり風速20メートルぐらいの風が吹き荒れた状態に追い込まれたことがありますけど、正直、当初はうずくまるのが精一杯です。そのうちに風が息つくタイミングを見計らって防寒着を着込みましたけど・・・

kijibato様

九州から北アルプスに来ることが遭難の「遠因」なのはあり得るのですが、これを「引き金」だと思い込んでいる識者は多いです。これについては、近日中に書きます。
登山者と地域性 (元アミューズ社員k)
2012-05-11 17:20:40
私は大分県の高校山岳部で山を始め、東京の大学山岳部と社会人山岳会で岩と雪を覚え、アルパインツアー東京で繁忙期ヘルプをし、アミューズ福岡に勤めたので感じるのですが、地域性が事故の遠因なのは十分あり得ると思います。言っちゃあ悪いですが、九州のお客さんを見て、いろいろな意味で関東とのレベルの違いに驚いた記憶があります。でもこれは仕方のないことであって、今回の遭難者が山をナメていたとは思いません。ただ春山特有の、ポカポカ陽気から瞬時に地獄の冬山に豹変する気象の変化を体感する機会が、今まであまりに少なかったのではないでしょうか。そういえばアミューズの幹部も全員九州の人間なんですよね…。ちなみに遥か25年前、私は山岳部の新人合宿で奇しくも同じ白馬でメイストームにやられひどい目に遭いました。富士山でマイナス36℃になったのを覚えています。その前日・翌日共にポカポカ陽気でした。
Unknown (bongo-pete)
2012-05-13 20:25:23
元アミューズ社員k様

>ただ春山特有の、ポカポカ陽気から瞬時に地獄の冬山に豹変する気象の変化を体感する機会が、今まであまりに少なかったのではないでしょうか。

そうですね。これを体験できてしかも生き延びればいいのですが、体験と同時に死んでしまうこともあるわけです。
このあたりをもっと突き詰めたいですね。
場所も悪い (PIYO)
2012-06-07 18:08:40
報道では三国境辺りと伝えられています。あそこは吹きっさらしで場所が悪い。強風でハイマツも生えない場所で片側は断崖です。昔、常駐隊から、逃げ場がないから午後、落雷の時間はあそこにはいるな!と言明された記憶があります。
もう少し手前まで戻られていればまだ逃げる場所もあったでしょうが。

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