豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

八幡平・源太ケ岳で雪崩事故

2008年03月09日 | 山岳遭難
岩手県の八幡平にある源太ケ岳で、岩手県の職員2名が山スキーで登山中に雪崩に巻き込まれ、1時間後に掘り出されたのですが亡くなったようです。

山岳遭難:岩手・八幡平で雪崩、男性2人が死亡
毎日新聞  2008年3月8日 19時42分

雪山での雪崩・遭難事故のまとめ


遭難者がビーコンを装備していたことに加えて、現場付近にビーコンを持参したパーティが通りかかったために埋没した人を掘り出すことまではできたのですが、やはり1時間も経過してしまうと生還は無理ですね。またスキー板がねじれていたなんてことも報道されていますから、相当な衝撃だったのかもしれません。


で、源太ケ岳では2002年にも雪崩が発生し、大学の先生が亡くなっています。この事故については詳細な報告書が現在もネット上で公開されていますので、雪山に入るような人はじっくり読んだ方がいいと思います。なかなか完成度の高い報告書ですよ。

源太ヶ岳雪崩事故報告書

この報告書の中に出てくる文章は、なかなか重みがあります。例えば、


一冬に4~5回同じ山に10年登ればその山に関してはベテランの域に入ろうけれども、自然現象を捉えるには無に等しい経験でしかないと認識すべきである。


なんて文章が出てきますけど、これはどこの山でも、どの季節でも充分通じるものです。




ところで、今回の事故についてはビーコンが使用されたことで埋没位置を特定できたわけですが、ビーコン持っている方はちゃんとした講習会を受けたほうがいいですよ。

ちょっと気になったのでネットで調べてみたのですが、ブログ等に出てくるビーコン講習会の記事を読むと、まるで「宝探しゲーム」みたいなノリのものばかりで緊張感が伝わってこないですね。

私の場合、しっかりした講習会を受けた先輩に谷川岳の山麓へ連れて行かれて学んだのですが、それまで思いこんでいた講習会のイメージとは全然違っていて驚きました。

極端に書くと、雪崩発生と同時にビーコンを受信モードに切り替えてから、瞬時に雪崩に向かって疾走する、って感じでしょうか。あくまでもイメージなので真に受けて欲しくないのですが、そんな感じです。救助できるかどうかは時間との勝負ですから、雪崩でビックリしているヒマはありませんし、どうしようか?なんて悩んでいるヒマもないのです。

最近の講習会がどんな感じで行われているのかはわかりませんが、少なくとも独学はやめた方がいいですよ、きっと。大げさに書くならば、ビーコン講習会はビーコンの操作を習うのではなくて「何が何でも助け出す!」という講師の気迫を体感する場です。


↑この記事が参考になる、面白い!と思ったらクリックしてください。ランキングサイトです。